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春告げる梅

2017-02-18 16:30:00 | 編集手帳

2月11日 編集手帳

 

 天神さま、
菅原道真は幼名を「阿呼(あこ)」といった。
5歳のときに詠んだ歌が伝わっている。
〈梅の花紅(べに)の色にも似たるかな阿呼が頬にもつけたくぞある〉

後年、
大宰府に左遷の身となった折、
見納めの庭木に悲痛な心情を吐露した一首はよく知られている。
〈東風(こち)吹かば匂ひおこせよ梅の花…〉。
早熟の天才児。
政争の敗残者。
ふたつの面影を花に映じた、
梅の人である。

立春、
雨水、
啓蟄(けいちつ)と連なる二十四節気を、
さらに細かく分けた暦の節目を七十二候という。
〈東風解凍(はるかぜこおりをとく)〉も、
その一つである。
「東風」に縁の深い学問の神様が、
受験生を励ましている言葉に聞こえなくもない。

厳寒のなか、
ほかの花に先駆けて咲く梅は春告草(はるつげぐさ)とも呼ばれる。
不安と焦燥の氷塊を胸に冬を過ごしてきた受験生は皆、
解凍の春到来を一刻も早く告げてほしいと、
心せく思いでいよう。

きょうの「建国記念の日」は昔の紀元節、
別名を梅花節という。
列島をいま、
今季最強の寒波が襲っている。
身の回りを暖かくして、
もうひと踏ん張りである。
浮世の涙を知る“梅の人”も、
きっと天上から見守っている。




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