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アメリカの格差社会 “ノマド”の映画が描くのは

2021-05-01 10:10:13 | 報道/ニュース

2021年4月10日 NHK「おはよう日本」


新進気鋭の映画監督 クロエ・ジャオさん(39)。
アメリカの格差社会の現実を描いた映画が
アカデミー賞の監督賞など6つの部門にノミネートされ注目を集めている。
ジャオが監督が主人公にしたのが“ノマド”と呼ばれる人々である。
どのような現実が描かれているのか。

「あなたはどこへでも移動できる。」
「確かにそうね。」
「あなたみたいな人はこう呼ばれる。
 “ノマド(放浪の民)”と。」
日本で公開が始まった映画「ノマドランド」。
ノマドとは「遊牧民」という意味だが
家を持たず車に寝泊まりしながら各地を転々とする人たちの呼び名としても使われている。
なかには不況で短期の仕事しか見つからず車上生活をせざるを得ない高齢のノマドもいる。
アメリカでは
リーマンショック以降
こうした人たちが増えていると言われている。
主人公は仕事も家も失った60代の女性 ターン。
夫も亡くし
ひとりキャンピングカーで寝泊まりしながら働かざるを得なくなった。
ある時は大手ネット通販の配送センター。
飲食店でも。
季節によってはキャンプ場の仕事に。
仕事を求めて町から町へ。
行く先々で出会うのは同じように車上生活を続ける人たちである。
映画を作る上でジャオ監督が重視したのがリアリティーである。
実際に車上生活をしている人たちを出演者に起用した。
「身を粉にして働き
 老いたら野に放たれる。
 それが今の我々だ。」
監督は
厳しい状況に置かれたノマドの人たちを通して
大切なものを失った人間の強さを描きたいと思ったのである。
(クロエ・ジャオ監督)
「ノマドは不況ですべてを失った。
 自分の存在意義を示す仕事 コミュニティー 家 愛する人を失った。
 これは目を背けてはならない現実だ。」
監督は多くのノマドのの人たちから話を聞いてストーリーを組み立てた。
そして実際の生活の場で6か月間カメラを回し続けたのである。
(クロエ・ジャオ監督)
「俳優ではノマドの人たちの代わりになることはできない。
 ノマドにはノマドの世界があり
 車で行く場所があり
 友人がいる。
 ノマドこそが映画の世界観を作ってくれた。」
アメリカ在住の映画評論家 町山智弘さん。
あまり知られてこなかったノマドの人たちのリアルな姿が
多くの人の心を動かしたという。
(映画評論家 町山智弘さん)
「何人かの俳優以外はほとんど全部実際のノマドの人を使っている。
 ドキュメンタリーに近いかたち。
 そのリアリティーは非常に大きい。
 どうして彼らは高齢者なのに家も失いお金もなく
 こんなことにならなければならなかったのか。
 この映画はそういう疑問に対する扉を開くことになる。」
全てを失ったノマドの人たちは
それでも前を向いて生きていこうとしている。
この生き方が好きなのは
最後の“さよなら”がないから。
“また路上で会おう”と言うだけだ。
ジャオ監督は
新型コロナでさまざまなものを失った人たちにもこの映画を届けたいと思っている。
(クロエ・ジャオ監督)
「パンデミックは私たちの生活を一変させた。
 これからどう前に進めばいいのか
 いま問われている。
 自然のなかやひとり静かなところで
 自分の居場所を作り
 いまの自分に何が必要か問いかけてもいい。
 再スタートを切るために一度立ち止まってもいい。」



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