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“海のASEAN” ③ヒト・モノ・カネを集めるシンガポールの“ハブ戦略”

2014-02-04 08:00:01 | ビズ プラス
1月26日 BIZ+SUNDAY


シンガポールは
人口540万、面積は716平方キロメートル(東京23区よりやや大きい)。
小さな国だが金融や物流の拠点としてASEANで高い存在感を示している。
小さい、資源もないという厳しい制約条件のもとで
1人あたりのGDPは日本を上回る5万ドルを実現している。
緻密な国家戦略のもとヒト・カネ・モノ、情報を集めるハブ戦略に徹している。

世界第2位のコンテナ取扱量を誇るシンガポール。
その規模は日本最大の東京港の7倍に及んでいる。
さらに取扱量を倍増させアジアの海上物流の中心としての地位をゆるぎないものにする国家戦略を立てている。
(シンガポール ルイ運輸相)
「シンガポール政府は長期的な視点に立ち
 経済の支柱である港湾産業をさらに発展させていく。」
海上物流の活発化に伴いコンテナ船の大型化が猛スピードで進んでいる。
輸送コストを下げるためである。
1隻あたりに積めるコンテナの量は10年で2倍余になった。
シンガポールはこの動きにいち早く対応している。
巨大なガントリークレーンはコンテナ船の大型化に対応するため導入された。
コンテナを積み替える時間を短縮するため岸壁の出入り口には自動でコンテナの情報を読み取り計量もする最新の装置が設けられている。
チェックにかかる時間は25秒。
コンテナ船が着岸から離岸まで12時間以内。
他の港より圧倒的にスピーディーな対応である。
シンガポールが蓄積する港湾のノウハウは世界中の事業をひきつけている。
日本の大手商社三井物産はシンガポールで港を運営する民間企業を3年前に買収した。
この会社の世界最先端の港湾運営のノウハウと日本の技術を組み合わせ
アジア以外の新興国での事業に活用したいと考えている。
(ポーテック・インターナショナル 大森孝生社長)
「日本の自動化の技術とか物流の効率化、資金調達の仕組み
 こういうものをシンガポールの人材と組み合わせながら
 新しい新興国での物流インフラの活性化につなげていきたい。」

世界中のモノやカネの中継地点となることを目指すシンガポール。
いま最も力を入れているのが教育の分野。
去年8月 シンガポール国立大学はアメリカの名門エール大学と共同で新大学を設立した。
(エールNUS大学 ルイス学長)
「我々の使命はアジアで世界に通用する人材を育てることだ。」
教授の人件費やキャンパスの建設資金をシンガポール側が全面的に負担することで名門大学の誘致に成功したのである。
第1期生は難関を突破した155人。
6割はシンガポール人で残りはアメリカ、インド、中国などからの留学生。
(インド人留学生)
「スタンフォード大やハーバード大にも出願しました。
 この大学のほうが教授たちと接する機会が多いと思います。」
教授陣は欧米の有名大学などで教鞭をとっていた一流揃い。
高額の報酬で招へいした。
また優秀な学生を集めるため奨学金も充実している。
年間約240万円の学費は希望すれば政府と大学が出す奨学金でほぼ無料になる。
奨学金の条件は卒業後3年間シンガポールの企業に勤務することである。
日本人留学生の今村ちはるさん(18)も奨学金に応募し学費は無料になった。
(日本人留学生 今村ちはるさん)
「世界から選ばれてきた人たちの間にいると自分が変わっていくのが目に見えてくる。」

海のASEANにあって強烈な存在感を示すシンガポール。
世界中から国の成長に役立つものを貪欲に取り込み
さらに一歩先を目指そうと動き続けている。


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