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中国 高まる“攻撃的愛国主義”

2020-06-23 07:00:00 | 報道/ニュース

5月28日 NHKBS1「国際報道2020」


香港やウィグルなどへの対応をめぐり国外からの批判が強まっている中国だが
国内では新型コロナウィルスを抑え込んだとして
共産党指導部を評価する声が高まっている。
その一方で
党や政府に批判的な意見を示すとインターネット上で激しく攻撃されるという風潮も広まっている。
中国を代表する作家の1人で
新型コロナウィルスが最初に広がった武漢に住む方方さん(65)も標的になった。
封鎖された武漢での生活を綴ったSNS上の日記は
中国内外で1億人以上が読んだと言われている。
しかしその内容が政府に批判的だとして
ネット上で非難が殺到する事態になった。

武漢在住の作家 方方さんがSNS上に綴った日記。
今年1月下旬から2か月半にわたって封鎖された武漢での暮らしが詳細に記されている。
1月25日(封鎖3日目)
武漢がこのような深刻な災難に見舞われるとは思ってもみなかった。
街の中心部でも車の通行が今夜から禁止になった。
2月4日(封鎖13日目)
スーパーが閉鎖され
食料がなくなるのを恐れ
買い占めが起きているという。
一方で
いち早く警鐘を鳴らし自らの感染して亡くなった武漢の医師についても言及。
医療現場の声をも言論統制の対象にした当局に批判の声をあげた。
2月7日(封鎖16日目)
情報が封じ込められていた間に
多くの医療従事者が感染し
その家族も悲しんでいる。
3月に入り
対策の効果が出てきたという報道が増えるなか
方方さんは政府の姿勢に疑問を投げかける。
3月7日(封鎖45日目)
武漢のリーダーたちは市民に党や国家に感謝するよう求めるが
実に奇妙な考え方だ。
政府は人民の政府であって
人民のために奉仕する存在だ。
率直な思いを綴った日記に
市民の間では共感が広がった。
“あなたの勇気と揺るぎない意志に感謝”
“すべて賛同します”
ところが徐々に風向きが変わる。
4月8日 武漢の封鎖が2か月半ぶりに解除された。
北京や上海でも経済活動が再開。
欧米各国で感染の広がりが深刻化するなか
中国国内では感染拡大を抑え込んだ政府への支持がかつてないほど高まった。
(市民)
「中国の能力は偉大です。
 すばらしい。」
「国家や政府を信じています。」
ちょうどこの頃
方方さんの日記が海外で出版されるという情報がネット上で広がる。
すると一転。
“世界に中国の悪い印象を与える”と批判が殺到したのである。
“政府への責任を追及することは国への裏切り行為だ”
“西側諸国に中国を批判する格好の材料を与えている”
方方さんの日記は炎上し
殺害を臭わせる脅迫すら書き込まれた。
方方さんはやむを得ず
書き込み機能を停止。
海外メディアから取材を受けることも控えている。
知り合いの大学教授が方方さんを援護する文章を投稿すると
今度はこの教授のアカウントも炎上した。
中国のネット上ではいま
政府を称賛することが“愛国”であり
少しでも政府を批判するは攻撃されるべきだという
極端な論調が高まっている。
背景には
政府の対策の成果を宣伝する一方で
“批判的な意見は認めない“習近平指導部の徹底した言論統制があると指摘されている。
加えて
中国への批判を強めるアメリカに強い姿勢で反論する場面を積極的に報道。
(中国外務省 華報道官)
「アメリカの政治家の発言は恥知らずで非道徳だ。」
その結果
愛国主義を掲げるネット市民が政府を擁護し
勢いづくことになっている。
専門家は
政府に批判的な意見を書き込むことは
いまや当局の処罰の対象になるだけでなく
“愛国”を掲げる人たちの攻撃にもさらされる危険な行為になったと指摘する。
(中国人民大学 張教授)
「国を愛する気持ちは自然な感情なのに
 なぜそれを武器にして他人を殴るのでしょうか。
 異なる意見を心からぶつけ合うことこそ健全な討論なのに
 今はその場所すら無いのです。」



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