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深まる宗教対立深まるスリランカ

2019-06-07 07:00:00 | 報道/ニュース

5月21日 国際報道2019


日本人女性1人を含む250人以上が死亡したスリランカの同時爆破テロ。
捜査当局は容疑者としてイスラム過激派のメンバーなど約90人を拘束。
容疑者たちがつけ込んだのがスリランカの多宗教国家としての側面である。
仏教徒      70.1%
ヒンドゥー教徒12,6%
イスラム教徒    9,7%
キリスト教徒  7,6%
今回のテロ事件では現地のイスラム過激派組織がキリスト教徒を襲った。
そしていまは事件に憤りを覚えた一部の仏教徒がイスラム教徒を敵視するようになってその住宅などに対する破壊行為が起きている。
異なる宗教のもとで憎しみの連鎖は広がるのか。
スリランカは岐路に立たされている。

(神父)
「憎しみはあります。
 ですが主はそれでも兄弟姉妹を愛しなさいと言います。」
最大都市コロンボ近郊の教会で礼拝が再開された。
事件後は新たなテロを警戒して自粛されていた。
(キリスト教徒)
「きょうは皆のために祈りを捧げに来ました。」
休校が続いていた小中学校や高校も始まり
徐々に普段の落ち着きを取り戻そうとしている。
(スリランカ シリセナ大統領)
「テロリストを特定し99%を逮捕した。
 国の状態は平常に戻ったと言っていいだろう。」
しかしテロはスリランカの社会や経済に大きな爪痕を残している。
スリランカでは10年前におよそ30年続いた内戦が終結して以降
美しい自然と貴重な遺跡を生かし観光業に力を入れてきた。
去年1年間の外国人観光客は前の年より10%多い230万人。
年々増加を続けてきた。
しかしテロ事件の後 観光客は大幅に減少している。
コロンボから約30キロ離れたリゾート地ネゴンボ。
毎年この時期は欧米からの観光客などでほぼ満室になっていたというホテル。
しかし事件後キャンセルが殺到。
客が戻ってくる見通しは立っていない。
(ホテル責任者)
「5月は50%
 6月は40%のキャンセルで本当に困っている。」
一方 事件は人口の10%にも満たない少数派のイスラム教徒を追い詰めている。
イスラム過激派組織の犯行と断定されたことから
多数派の仏教徒などがイスラム教徒に不信を抱く人たちが増えているのである。
(仏教徒)
「イスラム教徒に対して疑いの目で見てしまう。」
「イスラム教徒はもっと社会に適応する必要がある。」
5月中旬にはイスラム教徒が経営する店舗やモスクなどが襲撃される暴動が拡大。
政府が夜間の外出禁止令を出して鎮圧にあたるなど緊張が走った。
住宅を兼ねる雑貨店が暴徒に襲撃されたアフアンさん。
夜中に40人ほどの男たちが突然店に押しかけ破壊し尽くしたうえで火を放った。
住宅部分を含め全焼した。
なんとか家族とともに安全な場所まで非難したが
今でもいつ襲われるかわからず恐怖におびえながら暮らしているという。
(雑貨店経営 アフアンさん)
「まだとてもおびえている。
 私はテロリストとは何も関係ない一般の市民だというのに。」
急進派仏教団体を率いる男は今回の暴動を扇動した疑いで警察に拘束された。
男はインターネット上にイスラム教徒を敵視するメッセージを発信していた。
(急進派仏教団体 リーダー)
「問題は
 この国のイスラム教徒の人口が急増していて
 仏教徒の暮らす町をイスラム化しようとしていることだ。」
自身も団体のメンバーである 男の妻は暴動への関与を強く否定する一方
問題の根本はイスラム教徒側にあると主張した。
(急進派仏教団体 リーダーの妻)
「社会の輪を乱しているのはイスラム教徒で
 私たち仏教徒は自らを守る必要がある。」
政府が新たに打ち出した政策も追い打ちをかけている。
事件後
イスラム教徒の女性が着るブルカやニカブを念頭に全身を覆う衣装を公の場で着用することを禁じたのである。
政府は“身元を確認しやすくするため”と説明するが
イスラム教徒の女性の間で動揺が広がっている。
10年余りニカブを着てきた女性は慣れ親しんできた衣装を脱ぐことができず
政府の禁止令が出て以降 一度も外出していない。
(イスラム教徒の女性)
「ニカブを着ることによって精神的に安心できる。
 着られなくなってとても困っている。」
異なる民族や宗教同士の融和を目指してきたスリランカ社会。
テロが生んだ憎悪が新たな対立を呼び
再び国民が分断される危機に直面している。





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