goo blog サービス終了のお知らせ 

日暮しの種 

経済やら芸能やらスポーツやら
お勉強いたします

シビックハッカーたちの革命

2021-06-20 08:55:03 | 報道/ニュース

2021年5月31日 NHKBS1「国際報道2021」


シビックハッカー(civic hacker)
市民を意味する シビックとITやコンピューターに精通するハッカーをかけ合わせた造語である。
ハッカーといってもコンピューターなどで違法な活動を行うのではなく
シビックハッカーは
社会の課題に対してネット上でアイデアやデジタル技術を集め便利なサービスを開発したりして解決策を探る人たちのことである。
たとえば去年注目を集めた台湾のマスクマップ
この薬局ではマスクの在庫が残り40というように
マスクがどこなら売っているのかがすぐに分かるというもの。
これもシビックハッカーの開発したものである。

台湾北部の農村。
5年前 水田から汚染物質が見つかり作付け禁止を余儀なくされた農家。
近くの金属加工場が原因だと考えてきた。
(通報者)
「排水によって汚染されたのだと思います。
 農地が7年も使えなくなってしまいました。」
自治体に通報しようとしたが名前や住所を申告しなければならない。
告発者と分かると嫌がらせを受けかねないとあきらめてきた。
そんなとき見つけたのが匿名通報サイトだった。
「このサイトは簡単で安全です。」
違法性が疑われる農地や工場を匿名で通報できる農地違法工場マップ
通報者がサイトの地図上に位置や画像 被害状況などを記入する。
サイトで集まった通報者からの情報は
運営するシビックハッカーが代理で自治体に報告。
そして現地調査や対策を求めていく仕組みである。
シビックハッカーの蔡さん。
ときには現地に赴いて通報の詳細を確認している。
(シビックハッカー 蔡さん)
「現地を訪ねると細かいところまで見えてきます。
 自治体に事態の深刻さを伝えることが大切です。」
農地の不正利用が後を絶たない一方で
行政の対応は鈍いと考えた蔡さん。
解決策としてサイトを起ち上げた。
開設から1年。
行政側からの理解も少しずつ得ることができ
手ごたえを感じ始めている。
実は蔡さんはプログラミングはできない。
技術を持つ他のシビックハッカーたちと協力している。
(蔡さん)
「違法工場の撮影を農村以外の人にも手伝ってもらえる機能を作りたいです。」
(仲間のシビックハッカー)
「農地だった場所に工場を建てたかは写真の照合などで調べられます。」
(シビックハッカー 蔡さん)
「情報や技術をシビックハッカーたちと共有しながら
 社会をより良くしていきたいです。」
いま蔡さんたちシビックハッカーの交流の場となっているのが
ガブゼロ(g0v)と呼ばれるサイトである。
技術者や社会人 学生など1万人以上が登録し
ボランティアで動いている。
#環境問題
#学校教育
#違法工場
#フェイクニュース
などテーマごとに集結。
さまざまなスキルや公開された情報をもとに解決策を探り
行政や政治の場に反映してもらおうと提案する。
「g0v」を起ち上げた高さん。
権力に対し情報公開や透明性の担保を求めを求めてきた。
その原点となった経験がある。
(高さん)
「ここで撮影していました。
 この入り口付近です。」
2014年
議会にあたる立法院に若者たちが集った。
中国との協定に反発した若者による大規模な抗議活動
ひまわり学生運動。
若者たちが議会を占拠し
手続きを一方的に進めようとした当時の政権への強い不信を示した。
当時 選挙した議会内の様子や若者の声をネットで配信していた高さん。
最終的に政策を撤回させたか“市民の力”を間近で感じた。
(高さん)
「“自分たちは社会の一員だ”と証明したいという思いでした。
 市民が影響力を持っていることを実感できたのです。」
去年 シビックハッカーの力が行政を動かした象徴的な出来事があった。
新型コロナの対策として使われたマスクマップである。
地図上にマスクの販売店が記され
クリックすると
その時点の大人用や子ども用のマスクの在庫数が確認できる。
IT政策の担当閣僚 オードリー・タン氏らが大きな成果として報告してきたこのマスクマップ。
シビックハッカーの発案が出発点だった。
プログラマーの呉さん。
去年 街なかでマスクを求める行列を目撃した。
(プログラマー 呉さん)
「長蛇の列でした。
 みんな不安を抱えているみたいでした。」
呉さんは
事前にマスクの在庫数が確認できれば行列は減らせると
マスクマップを考案。
ところが在庫数を調べる術がなく
ネットの情報を頼りに
完売・残りわずか・十分ある
とあいまいなままサイトを発表するしかなかった。
すると翌日 オードリー・タン氏からガブゼロサイトに書き込みがあった。
SNSでの公開を急がないでください
台湾当局はマスクマップが市民に使いやすいサイトだと判断。
活用してもらおうと
開発に必要な販売データを公開に踏み切った。
それによって在庫数が常時確認できるマスクマップが生まれたのである。
(中央健康保険署 情報グループ 陳氏)
「このような販売データの活用は私たちには出来ませんでした。
 公開できる情報はできる限り公開していきます。」
(プログラマー 呉さん)
「行政の情報公開の姿勢に市民は賛同しました。
 それでマスクマップが生まれたのです。」
“市民の積極的な関与は権力の監視にもつながる“という高さん。
これからも継続していくことが大切だという。
(高さん)
「声は遠慮なく上げるべきです。
 普段から改革を進め皆に参加してもらうことが大切ですが
 簡単なことではありません。
 それが自分たちの手で民主主義を守ることになるのです。」

 

コメント