2021年3月15日 NHKBS1「国際報道2020」
感染拡大で外出の自粛が求められるなか
日本でもこの1か月余で急速に利用者を増やしているのがクラブハウス(Clubuhouse)である。
このアプリは去年アメリカで生まれた。
「クラブハウスは新しいアプリよ。
本当にスゴイわ!」
誰もがクラブハウスを話題にする。
「音声のみのソーシャルメディアです。
映像も文章もありません。」
ソーシャルメディアは写真や話題を共有しながらネットワークを作りビジネスを確立してきた。
「ニコールです。
アーティスト名はブリンク。」
ニコールさんはインスタグラムはTikTokの映像加工技術を開発。
クラブハウスで売り込んでいる。
「フェイスブックの友だちグループやツイッターのフォロワーと違って
クラブハウスなら企業のトップや各分野の先駆者から直接話が聞けます。」
クラブハウスには不動産業界の大物や芸能人などが参加しているが
ユーザーは有名人だけではない。
デザイン会社を経営するブラウンさんはビジネスの拡大や人への支援に使っている。
「質問にはなるべくたくさん答えます。
私の話やアドバイスはルームにいる人たちみんなにすぐに役立ててもらえます。」
映像作家でコミュニティー活動家のモーリスさんは
クラブハウスで最大規模の映画と娯楽のクラブを起ち上げた。
「クラブハウスだからこそ思いが伝わって
黒人クリエイターのコミュニティを作ることが出来ました。」
クラブハウスの中には話題ごとに“ルーム”と呼ばれる部屋がある。
部屋を選んで入ると
その話題について話している人たちの会話を聞くことが出来る。
さらに
挙手ボタンを押して
話し手から指名されれば会話に参加することもできる。
クラブハウスはいま有名人や起業家と交流するだけでなく
国際情勢や政治問題などを議論する場にもなっている。
(ITジャーナリスト 三上洋さん)
「いまはインターネットのサービスは様々ある。
可処分時間の取り合い競争である。
24時間過ごしているなかで
スマートフォン パソコン テレビなど見る時間の奪い合いである。
激しい競争だがしかしながらここで1つだけ空いているものがある。
それは耳。
クラブハウスは仕事をしながら
あるいはお風呂に入りながら
ラフにコミュニケーションできる。
そこがメリットなので流行っている。
アメリカではIT関係の経営者が多い。
スペースXで有名なイーロン・マスク氏が
ビジネスや将来をクラブハウスで部屋を起てて話をしている。
クラブハウスは5~8,000人が1部屋で聞ける上限なので
すぐにいっぱいになってしまう。
このようにビジネスの最先端にいる人たちが
自分の経験・今後のビジネスの話をする。
それをIT関係者が聞く。」
軍によるクーデター以降 大規模な抗議活動が続くミャンマー。
ここでもクラブハウスが使われている。
ヤンゴンでコンサルティング会社を営む後藤さん。
クーデターの起きた2月1日
クラブハウスの中に部屋を起ち上げ
現地で暮らす日本人と抗議活動や治安部隊の動きなどについて情報交換をしている。
(後藤さん)
「3月27日に国軍記念日があり
そこに向けてより鎮圧の動きが広がる。
ますます暴力的な行為が見られるということが強く懸念される状況かと思います。」
後藤さんの部屋には日本からもミャンマー情勢に関心のある人が参加し
毎回100人以上が集まる。
(ITジャーナリスト 三上洋さん)
「日本ではクラブハウスのブームとミャンマーの軍事クーデターのタイミングが合った。
ミャンマーにいる日本人が
ミャンマー特にヤンゴンの状況を逐一伝えてくれた。
この情報をみんな聞いていて注目している。
“ミャンマーの最新の状況”というタイトルで部屋を起てて
その中で話をする。
1つの居場所を共有している。
単なる情報交換ではなく安心感や安否確認にもなる。
心理的な効果が大きい。」
クラブハウスでは会話の録音が禁止され
民主化や人権問題など
政治的に微妙な問題も活発に議論されている。
インターネット上の言論が規制される中国では使うことが出来ない。
(ITジャーナリスト 三上洋さん)
「中国は1月下旬の最初のころは問題なく使えていた。
“ウイグルについて話す部屋”が起っていた。
その中で中国人がずいぶん話していたという報道はある。
1月末に中国政府がクラブハウスを遮断した。
天安門事件を話をする部屋があるということで完全に遮断。
中国側はクラブハウスで自由にコミュニケーションできてしまうことを
政府は危惧している。」
さまざまな可能性が広がる音声のソーシャルメディアにはIT企業が次々に参入している。
三上さんは
今後ビジネスモデルが確立し話し手が収入を得る仕組みができるかもしれないという。
(ITジャーナリスト 三上洋さん)
「クラブハウスは雑談で人間性が如実に出る。
違う側面を見て面白いという
ラフな人間の本当の姿が見れるところが面白い。
仕事や地域の活動につながるところが面白い。
今後クラブハウスなどの双方向のものが人気になっていく。」