日暮しの種 

経済やら芸能やらスポーツやら
お勉強いたします

フランス “あなたも城主に” 市民参加で古城再建

2018-04-27 07:00:00 | 報道/ニュース

4月13日 キャッチ!


フランスに約3万あるとされる古城。
しかしそのうち数千が崩壊に危機に瀕している。
古城のほとんどは個人が所有しているが
修復や維持費にばく大な金額を擁するため放置され荒廃するケースが少なくない。
ルイ14世やアンリ4世といった歴代の国王が滞在していた城も
修復や維持の費用のめどがつかず
今ではだれも住んでいない。
(古城専門家 ガエタン・デルバールさん)
「多くの古城の所有者が修復を試みますが費用が膨大で手段がありません。
 このため毎年 数千の所有者が城を手放し朽ちて行くのです。」
子どものころからの夢を実現し古城を手に入れたものの
厳しい現実とのギャップに直面している市民もいる。
7年前に会社員のアリゾンさん夫婦が
「パリ周辺で家を買うよりは安い」と日本円にして9、000万円余で購入。
その後ここに移り住みイベントを開くなどして生計を立てている。
(古城所有者 ダフネ・アリゾンさん)
「これがかつての古城の写真です。
 窓枠は崩れ落ち部屋も雨ざらしでした。」
しかし家具の買い替えや床・天井などの修繕費用が当初の予想より大幅に超えているという。
(古城所有者 ダフネ・アリゾンさん)
「すでに修繕費用 約1億3,000万円を使い
 多くの時間も費やしました。
 完全な修復には費用が倍になると覚悟しています。」
費用が工面できず危機に直面する貴重な古城をどうすれば守れるのか。
去年秋
文化財の修復やPRを手掛けるフランスの2つのベンチャー企業が共同で
クラウドファンディングで資金を集める新たなプロジェクトを起ち上げた。
一口50ユーロ(約6,500円)からの寄付を募るだけでなく
企業が重視したこととは
寄付をした人全員が古城の所有権を持ち自由に意見を述べられることである。
当初6500万円を目標にしたが
3倍以上の2億1,000万円の資金が集まった。
(ベンチャー企業代表 ジュリアン・マルキさん)
「このプロジェクトに人気が集まったのは
 遺産を守ることに共感しただけでなく城のオーナーになれるからです。」
資金が集まったのは
13世紀の建設後フランス革命や大火を乗り越えてきた中部にある古城である。
屋根が壊れたり床が浸水するなどして今は崩壊寸前の状況だが
周囲を池が囲み水と調和した独特の景観が魅力である。
ベンチャー企業の担当者が古城を訪れ被害の確認作業を行った。
ドローンや特殊な測量器具を使い
かつての城の姿はどんな様子だったのか
どこを重点的に修復すべきかなどを把握。
近く専用のサイトで情報を公開し幅広く意見を募ることにしている。
(ベンチャー企業代表 ジュリアン・マルキさん)
「修復後の城をコンピューターで再現することで
 寄付した人たちがネットを通じて城をイメージできます。」
このプロジェクトに寄付をしたアランジル・ショーサさん。
歴史学の博士号を持ち
去年 世界遺産のモン・サン・ミッシェルに近い北西部の自治体に就職した。
日常の業務でも地域の古城や教会をまわり資金集めに奔走している。
しかし実際はなかなか支援者が集まらず
再建のための画期的な方法がないか模索していた。
そんな中このクラウドファンディングのプロジェクトに出会い
再建の役に立ちたいと寄付をした。
(県職員 アランジル・ショーサさん)
「古城のオーナーになることは誰もが1度は思い描く夢です。
 私のように歴史的な建築物に関わっている人間なら なおのことです。」
ショーサさんは初めて自ら寄付をした古城を訪問。
水や緑に囲まれた古城の美しさに惹かれるだけでなく
その周りの池を活かして古城の魅力を紹介するボートツアーを実施することを思いついたという。
ショーサさんは市民がアイデアを生臣出せる計画作りが歴史的な遺産の再生に欠かせないと考えている。
(県職員 アランジル・ショーサさん)
「このプロジェクトは参考になることがたくさんあります。
 成功につなげるのは簡単ではありませんが
 他の遺産にも活用すべきだと思います。」
市民参加で歴史的な遺産を守る試みは成功するのか。
注目が集まっている。



コメント