11月21日 おはよう日本
日本人が保有する預金や株などの金融資産総額は1,1515兆円。
この金融資産をいかに消費に回して日本経済を活性化させるか。
この多くを持っているのがシニア層。
キーワードは“祝祭”。
不況の中でもシニアの財布のひもを緩めることがわかってきた。
少子化で結婚式の件数は減っているが
結婚式にかける金額は年々増えていて最新のデータでは約344万円。
ヘリコプターに乗って新郎新婦の登場。
名古屋伝統の菓子まき。
全国でも派手だという名古屋の結婚披露宴。
今月 名古屋のハデ婚の経済波及効果が発表となった。
試算したシンクタンクは600万以上使う結婚をハデ婚と定義。
去年 愛知県では1,300組のハデ婚があった。
指輪、家具など関連の消費を加えると経済波及効果は年間368億円。
この額は中日ドラゴンズが日本一になったときの経済効果の約2倍にあたる。
(共立総合研究所 取締役副社長 江口忍さん)
「地元への経済波及が相当大きいことが今回改めて分かった。
何年かトータルで見ると相当な額になると言える。」
まず雇用の拡大。
たとえば200人が出席する披露宴の場合
サービススタッフや調理スタッフ、カメラマン、演奏者など
合計100人の仕事が生まれる。
もうひとつが地場産業の活性化。
名古屋市内にある菓子問屋街。
若者たちが菓子まき用の菓子を求めてやってくる。
中には30万円分買う人もいる。
ハデ婚はこうした古くからの商店を支えている。
ハデ婚マネー368億円。
その出所の多くはシニア層の貯蓄である。
いつもは質素、倹約を心掛けている豊田さん夫婦が
息子の結婚となると財布のひもが緩む。
息子たちのために貯蓄を取り崩して披露宴や新居の費用として数百万円支払った。
ハデ婚はシニア層の貯蓄を消費へ向かせる大きな効果があるのである。
(豊田さん夫婦)
「使う気になる。」
「2人だったら使わない。」
「私たちにはないエネルギーを子どもたちから与えてもらって
私たちはそれを共有してお金は使うが一緒に喜んでやっている。」
消費不況の中で苦戦する百貨店もシニア層に注目している。
大丸松坂屋百貨店ではブライダルコーナーを4倍に拡大。
スタッフも10人から15人に増やした。
結納品の販売から式場手配、ドレスのレンタルなど
結婚関連のサービスを一手に引き受けている。
実際にお金を支払う親たちの意向を聞いて売り上げアップにつなげている。
(大丸松坂屋百貨店 ブライダル担当吉川忠男さん)
「家具であったり新生活のもろもろの道具であったりが
結婚の後ろに控えているわけです。
私どもとしてはそういったマーケットもしっかりと囲い込みたい。」
(日本総合研究所 調査部主席研究員 藻谷浩介さん)
「いま日本人はお金をためているシニア層がなかなか使わないんですね。
使わない最大の理由は使うだけの言い訳がないんですね。
言い訳がきちんと使える貴重な機会である
子供の結婚 出産 お祝い事に お金を使うということは
実は人類の知恵みたいなものですね。」
藻谷さんによると沖縄では長寿のお祝いが派手だと言う。
97歳の長寿を祝うカジマヤ―。
地域の人たちも参加して盛大に行われる。
茨城の七五三。
まるで結婚披露宴のように家族や親類を招いて祝う。
全国各地にはシニアの消費意欲をくすぐる様々な祝い事がある。
(日本総合研究所 調査部主席研究員 藻谷浩介さん)
「特定の人がため込んだお金を地域全体の売り上げに回していく仕組みだ。
貯金のまま眠っていたお金が一気に使われて若い人の給料に回る。
これこそ経済活性化ですね。」