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モンゴル 新たな国際戦略①

2014-01-19 08:00:00 | 海外ネットワーク
1月12日 NHK海外ネットワーク


モンゴルは石炭など豊かな資源を背景にここ数年10%以上の経済成長を続けている。
モンゴルは北はロシア 南は中国という大国に挟まれていて両国の影響を強く受けてきた。
1911年に中国の支配を脱し自治政府を樹立するが
1919年ふたたび中国の軍閥の支配下になった。
その後ソビエトの指導のもとに社会主義国となった時期もあったが
20年余前に社会主義を放棄して今に至っている。
モンゴルはいま日本を中国、ロシアに次ぐ“第3の隣国”と位置付けて関係を強化している。

モンゴル南部にあるタバン・トルゴイ炭鉱。
石炭埋蔵量は60億トン余で日本の年間輸入量の30年分に相当すると言われている。
海に面していない内陸国のモンゴルは採掘した石炭のほとんどを隣の中国に輸出する。
中国の経済発展に伴って石炭の輸出量も大幅に増加。
中国との国境に向かってトラックの列が延々と続く。
しかし石炭の価格は一手に輸入している中国側の立場が強いため国際価格の4割前後と極端に安くなっている。
モンゴルの炭鉱会社は中国の動向に左右されやすい現状に危機感を募らせている。
(炭鉱会社社長)
「中国経済が失速すると石炭の輸出量も減る。
 中国だけに頼って輸出するのはリスクが高すぎる。」
モンゴル政府は現状を打破するため中国以外にも石炭を輸出する巨大プロジェクトを策定した。
トラックに代わり列車で石炭を大量かつ迅速に輸送する。
国内の炭鉱と周辺国の港を鉄道でむすぶ。
プロジェクトではタバン・トルゴイ炭鉱通る総延長5,600kmものの新たな鉄道を建設する。
中国を通る南のルートとロシアを通る北のルート。
輸送ルートを2つ持つことで中国に依存する状態からの脱却を目指す。
中国とロシアの鉄道に連結し両国の港から日本や韓国へ輸出しようというのである。
建設資金はモンゴルの国鉄が自ら調達する。
そのためにPR映像も作って投資を呼びかけている。
きょうのためではなく未来のために作るべきだ
石炭の大きな買い手は日本だ

日本をターゲットにしたモンゴルの国鉄がプロジェクトの責任者に選んだのはゾリグ・アリマ―さん。
一昨年まで15年間日本で暮らし外資系の金融機関に勤めていた。
日本語も英語も堪能な語学力をかわれ抜擢されたのである。
(プロジェクトの責任者 ゾリグ・アリマ―さん)
「責任ある立場で携わっていることが一番の意気込みになっている。
 ぜひ成功させたい。」
ゾリグさんは自ら橋渡し役となって日本のコンサルティング会社と連日 技術的な課題や問題の解決にあたっている。
(日本のコンサルティング会社 現地担当者)
「完成に向け最終の微調整をやっていて入札図書の作成の手前までいっている。」
一度の輸送に200両の車両を連結させる新鉄道計画。
この日はルート上にどのような駅を設計するか話し合った。
(日本のコンサルティング会社 現地担当者)
「列車は非常に長くなる。
 駅ごとに施設をどう整備するか一番良い方法を考え出す必要がある。」
(ゾリグ・アリマーさん)
「きょう指摘していただいた点を検討して答える。」
夏は50度 冬は氷点下40度にまでなるモンゴル。
モンゴル国鉄は厳しい気候の中でも安全に運行できる鉄道の建設を期待している。
(コンサルティング会社 日本工営 仲野哲人さん)
「日本のエンジニアへの期待が非常に大きいのを実感しているしその期待に応えたい。」
ゾリグさんはモンゴルと日本との間で新たな協力関係が築けていると手ごたえを感じている。
(ゾリグ・アリマーさん)
「他の国の企業と比べ時間通りに質の高い仕事を私たちの意見を尊重しながらやってくれる。
 お互いを補いながら良い仕事が出来ている。」

中国のおかげで経済成長を遂げたとはいえモンゴルの国民の間には
貴重な天然資源を不当に安く中国に持っていかれているのではないかという批判的な見方が出ている。
モンゴルの輸出額全体に占める中国の割合は2002年には全体の4割だったが
年々増え続け2012年には中国1国で9割を占めるまでになった。
モンゴルは輸入も中国に依存しており食料、電化製品や日用品の大半は中国製である。
このままでは経済的にも人口でもはるかに規模の大きい中国に飲み込まれてしまうのではないか
中国のいわば属国になってしまうのではないかという危機感を強めている。


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世界が注目 仮想通貨ビットコイン

2014-01-15 08:00:00 | 海外ネットワーク
1月12日 NHK海外ネットワーク


本物のお金に代わって世界で注目されているのがインターネット上で流通するビットコインという仮想の通貨。
利用者はまずネット上に専用の口座を開く。
そして現金を支払ってビットコインを買う。
そうするとこのコインを使ってネット上の店舗などで買い物ができるようになる。
ビットコインを使う人同士なら支払いの際に金融期間を通さないので手数料がかからないというメリットがある。
ビットコインは現金や電子マネーに代わる決済の手段としていま世界に広がっていて
実際にお店で使えるところも増え始めている。

ビットコインを使えるニューヨークの飲食店。
客が10ドルの飲み物をビットコインで買う場合
店員はQRコードで請求する。
10ドルはこの日のレートで0,0248BTC(ビットコイン)。
“ビットコインで支払いを”という表示が出た。
それを客がスマートフォンで読み取り画面をタッチすると
10ドル分のビットコインが店側に支払われた。
銀行などの金融機関を通さないため取引に手数料はほとんどかからない。
スマートフォン1台で決済できる手軽さや世界共通の通貨で両替の必要が無いことから利用者は数百万人に急増しているとみられている。
(ニューヨークに来たドイツ人)
「とにかく便利だ。
 行く先々の国で両替せずに済むから。」
今や高額な商品までビットコインで売り買いできる。
ラスベガスで売りに出されている高級住宅は価格は日本円で約8億円だが所有者はビットコインでの受け取りを望んでいる。
ドルよりもビットコインのほうが将来的に価値が高まると考えているからである。
(住宅を売りに出す所有者)
「ビットコインは他の仮想通貨よりも広く普及しているから良い。」
ビットコインが世界に広がるきっかけを作ったソフト開発会社創業者フレッド・エーサムさん(25)。
一昨年 一般の人でも簡単にビットコインで買い物ができるソフトを開発した。
ビットコインの利用者の多くがそのソフトを使っていると言う。
エーサムさんは勤めていた大手投資銀行を辞めて開発会社を設立。
ビットコインによってビジネスチャンスが広がると確信している。
(ソフト開発会社創業者 フレッド・エーサムさん)
「これは素晴らしい技術で世界中の銀行や支払いの在り方を根本から変える。」
しかしビットコインは匿名で利用できるため犯罪に悪用されるケースが相次ぎ大きな問題になっている。
去年10月 インターネット上で闇取引を行うサイト「シルクロード」を運営していたアメリカ人の男がFBI連邦捜査局に逮捕された。
この闇サイトでは主に麻薬が密売され売買にはビットコインが使われていた。
開設余2年余りで世界各地で約100万人がこのサイトを利用し取引は日本円で1000億円超と見られていた。
この闇サイトはFBIによって閉鎖されたが同じような闇サイトがすぐに立ち上げられた。
掲載されているのはこれまでと同様コカインや覚せい剤などの違法薬物。
そして偽造パスポート。
決済はやはりビットコインである。
金融機関などの第三者に知られることなく取引が行われることから闇社会で悪用されているのである。
危機感を強めているのがアメリカ議会である。
闇サイトの摘発を受けて去年11月 緊急に公聴会を開催。
ビットコインの規制を強化すべきか調査に乗り出した。
(米上院国土安全保障・政府問題委員会 カーパー委員長)
「仮想通貨は資金洗浄や麻薬の密売、子どもの人身売買に悪用の可能性がある。」
アメリカ司法省の高官もビットコインの危険性を指摘した。
(司法省高官)
「ビットコインのような新技術は犯罪に使われる恐れがあると認識している。」 
これに対してビットコインの普及を目指す団体は
ビットコインが犯罪の温床になっているというのは誤りだ
と反論した。
(ビットコインの普及を目指す団体幹部)
「ビットコインが違法取引を助長しているわけではない。
 明確なルールを示してもらえれば人々は従うし雇用も生み出せる。」
ビットコインは利用者が増えれば価値が上がることから投資の対象になっている。
中國で富裕層を中心にビットコインを購入する人が急増し価格が急上昇した。
去年始め約10ドルだった1ビットコインの価格は1200ドルにまで上昇した。
(中国のビットコイン利用者)
「私が買ったビットコインの価格は今では10倍以上になりましたよ。」
しかし中国政府が投資の過熱を警戒し12月にビットコインの規制を強化する措置を発表すると瞬く間に価格は半分以下に下落した。
中国の国営テレビはビットコインへの投資はリスクが大きいと繰り返し伝えている。
(中国のビットコイン取引所社長)
「ニュースを見て多くの人があわてて売りに出して大幅に下落した。
 短時間で1000元も下落していて非常にリスクが大きい。」
通常の通貨と違って国や中央銀行の後ろ盾がないビットコイン。
ヨーロッパ諸国やインドも暴落の危険性を指摘し投資家などに注意を呼び掛けている。
専門家はビットコインがコインの裏表のようにメリットとデメリットを併せ持っていると指摘する。
(ジョージタウン大学 ジェームズ・エンジェル准教授)
「当面はコンピューター関連の雇用を生み出すでしょう。
 ほかの分野に応用が利く画期的な技術も開発されている。
 しかしビットコインは買いたい人がいて初めて価値が生まれる。
 価格が急激に変動したことは誰もその価値を保証していないことを示す。
 現時点ではまだ確固とした存在とは言えない。」

今のネット社会を象徴ともいえるビットコイン。
可能性を感じさせる一方で危うい側面も明らかになってきている。
新たな決済の手段として定着するまでには多くの課題が残されている。
 
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冷え込む日韓関係 韓国メディアに変化

2013-12-26 16:28:02 | 海外ネットワーク
12月15日 NHK海外ネットワーク


日本は北朝鮮の動向を見極めるうえでも韓国との連携は欠かせない。
しかし日韓の関係は冷え込んだままで
パク・クネ大統領の就任から約10か月が経っても安倍総理大臣との首脳会談はいまだ開かれていない。
日本の歴史認識などをめぐり批判を繰り返してきたパク・クネ大統領。
日本と韓国との関係はこれまでにないほど悪化している。
日本への反発はスポーツの場でも。
島根県の竹島では日本の民間人が島を訪れたという想定で特殊部隊が出動する訓練まで。
両国の関係に改善の兆しはあるのか。
ここにきて韓国メディアの日本への論調には変化がみられる。
(韓国の主な有力紙の社説)
“首脳会談の必要性”
“韓日関係の重要性を再確認”
“まずは韓日関係の改善を”

いずれもパク・クネ政権に対して日本との関係改善に乗り出すよう求めている。

韓国の新聞 国民日報のチョ・ヨンネ論説委員は
日韓関係の取材を30年近く続けてきて両国のジャーナリストの交流会の世話役も務めている。
両国の関係悪化にいま強い危機感を持っていると言う。
(国民日報 チョ・ヨンネ論説委員)
「関係悪化は日本にとっても韓国にとっても良くないこと。
 今の状態をこのまま放っておいてはいけない。」
(チョさんが11月に執筆したコラム)
“原則論をぶつけ合わず互いの違いを理解したうえで対話すべき”

と日本との関係改善に踏み切る決断をパク大統領に迫った。
チョさんは今の日韓慮国には復元力が無いのが心配だと指摘する。
以前は関係が悪化したときに両国の政治家同士が橋渡し役をするなど元に戻そうとする力が働いたが
今はそれが無いと言うのである。
両国の関係はこれまでも歴史問題などでたびたびこじれてきた。
しかしそんな時でも関係修復を模索する動きが双方から出てきて
その結果 首脳会談が行われるなど復元力が働いていたとチョさんはみている。
(国民日報 チョ・ヨンネ論説委員)
「新たにパク政権と安倍政権が誕生し復元力が働くと思っていたが
 両国の関係はむしろ悪化した。」
パク政権は日本との関係改善には手をつけずアメリカや中国との関係を重視。
こうした大国重視の外交は韓国国民の強い支持を集めた。
しかし10月 こうした世論は変わった。
東京で日米外務・防衛閣僚協議 2プラス2が行われたことがきかっけである。
この中でアメリカは日本の集団的自衛権行使容認への動きを歓迎する意向を示した。
(アメリカ ケリー国務長官)
「日米同盟は間違いなくアジア太平洋地域の平和と安定繁栄の礎だ。」
韓国が懸念を示す日本の集団的自衛権行使をアメリカが支持したとして韓国では衝撃が広がったのである。
国会では議員たちが“外交上の敗北”だとして政府を追及。
(韓国の議員)
「日本の外交の勝利だ。」
日米が安全保障分野で連携を強めるなか
韓国がそれに反対するかのような立場をとりつづければ孤立しかねない。
それまでの日本への対応ぶりに疑問の声が上がり始めた。
日韓関係の改善を求める動きはニュース番組でも取り上げられるようになった。
(韓国KBS)
「中国や北朝鮮情勢など考えると日本との関係修復は切実な問題。」

さらにNHKの紅白歌合戦の出場者に韓流スターが選ばれないのは日韓関係の悪化に原因があるとKBSは指摘。
(韓国KBS)
「日本で最高の権威を誇る年末の歌番組。
 韓流ブームのなか韓流スターたちが出演していました。
 しかしここ2年は選ばれていません。」

市民の間からも日韓関係を改善するべきだという声が聞かれるようになっている。
「会って話さないと互いの距離を縮めることはできない。」
「領土問題で緊張が続くが友好国として理解し協力し合う関係の維持してほしい。」
チョさんは国民の間にも改善を求める声が出始めた今こそパク大統領は日本への姿勢を見直すべきだとしている。
(国民日報 チョ・ヨンネ論説委員)
「復元力を一日も早く働かせ関係を正常化させ協力できる部分は協力すると言う柔軟性が必要ではないか。」

韓国外務省やパク大統領の周辺の高官も日本との関係立て直しを模索すべきだと考えているのは間違いない。
ただこのタイミングで踏み出すのは難しいと考えているとみられる。
問題を複雑にしているのが太平洋戦争中に日本に動員された元労働者や遺族らが日本企業を相手に韓国で起こした裁判である。
この問題は日韓両政府の間では解決済みとしてきたが日本企業に賠償を命じる判決が次々に出され
国民の間では日本企業が賠償を応じるよう韓国政府も働きかけるべきだという声が高まっている。
こうした状況の中では日本との関係改善に向けて動きにくい。
北朝鮮情勢が不透明になったこともあって韓国も関係改善の必要性は認識してきている。
これから来年の上半期がひとつのカギとなりそうである。
日韓両国は再来年2015年に国交正常化50年を迎えるが外交関係者の間からは
節目の年を前向きに迎えるためには来年の上半期から改善に向けた動きが始まらなければ間に合わない
という指摘がある。
関係再構築を決断できる人はパク・クネ大統領を置いて他にいない。
しかしパク大統領は12月に入ってからも歴史認識問題で日本の前向きな対応を求めるという従来の発言を繰り返している。
日韓関係の行方はパク大統領の決断にかかっている。
復元力がここで働いてパク大統領を後押しすることになるか注視していきたい。 

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インド 加熱する人材獲得競争

2013-12-18 16:00:00 | 海外ネットワーク
12月15日 NHK海外ネットワーク


インドといえばIT産業が盛んで理工系の分野で世界的にも優秀な仁人材を輩出してきたことでも知られている。
小学校の低学年から授業でパソコンを学び
高校を卒業するまでには様々なソフトウェアを開発できるようになる。
こうした国の方針は独立当時のネルー首相が植民地時代に立ち遅れた産業を発展させるために打ち出したのがきっかけだった。
こうして育成された人材の多くは欧米の企業が先を争うようにして採用してきたが
企業のグローバル化が求められている中で日本企業もインドでの人材獲得強に加わろうとしている。

理工系の名門IIT(国立インド工科大学)。
入試の競争率は60倍。
人口12億のインドで頂点に立つ大学である。
IT企業が集まるアメリカのシリコンバレーでは管理職の60%をこの大学の卒業生が占めていると言われている。
12月1日 今年の採用が解禁となった。
優れた人材を獲得しようとやってきたのは世界の名だたる企業ばかり。
(エネルギー大手 採用担当者)
「ここの学生はとびきり優秀でエンジニア向きだよ。」
とりわけ欧米企業の採用意欲は強く今年は新卒の学生1人に日本円で年俸2,100万円を提示する企業も現れた。
採用希望が殺到するため大学側は企業を厳しく選別する。
大学は企業の給料やブランド力など独自に6段階で評価したリストを作った。
評価の高い企業から順に採用活動を始めることができる。
解禁日初日に活動が認められるのは欧米の大手IT企業などわずか30社ほど。
学生との面接は学内のみでしかも8時間以内に採否を決めなければならない。
有名企業がしのぎを削る人材の獲得競争に日本の企業も加わった。
神戸市に本社を置く医療機器メーカー シスメックスである。
血液の分析装置では世界一のシェアを占める。
海外でのビジネスをさらに展開するためにも国際的な視野を持った人材を求めている。
シスメックス 前田真吾人事企画部長はITの技術に優れ英語も堪能なインドの新卒を採用する計画を立てた。
(前田真吾さん)
「インドの学生は勉強量が日本や東南アジアの学生と違う。
 基礎がきちっと固まっていてハングリー精神が非常に旺盛。」
会社では2年前からIITの学生をインターンシップ制度で日本に招待。
渡航費や滞在費を全額負担し大学との関係強化を図ってきた。
こうした取り組みが実を結び前田さんは就職解禁日の初日に大学に招かれた。
前田さんがまず会いに行ったのはインターン生だったエマントさん。
インターンシップで強い印象を残していて真っ先に採用を伝えたいと思っていた。
その場で採用したいと告げる。
しかしエマントさんは提示された配属先が予想と違っていたことから詳細な説明を求めてきた。
「この配属先だと私はどういうキャリアを歩むのですか。」
前田さんは会社の組織図を示しながら丁寧に説明した。
しかし返ってきた言葉は
「少し考えさせてください。」
エマントさんは結局ほかの企業を選んだ。
意中の学生を採用できなかった前田さん。
気持ちを切り替え面接やグループディスカッションでいかにインドの学生を必要としているかを訴えた。
「これからはエマージングカントリー(新興国)の時代。
 まだまだ私たちの知らないニーズがあり皆さんに期待している。」
この日前田さんがリストアップした学生は20人。
限られた時間の中で面接を重ね有望な学生を見つけた。
ITを使った画像処理が専門で研究職に期待できる人材である。
(就職希望の学生)
「私は音響処理 画像処理の分野で研究を積み重ねてきました。」
早速採用の意向を伝える。
しかしこの学生は別の企業でも最終面接に進んでいた。
他社の面接に向かうところを引き留め最後の説得。
与えられた時間をすべて使い切り採用活動を終えたのは午前2時。
会場を後にした最後の企業だった。
後は学生からの返事を待つのみである。
翌日 大学から内定に応じる学生の名前が伝えられた。
早速学生に会いに来た前田さん。
採用が決まったのは3人。
最後まで説得を続けた学生もいた。
(採用が決まった学生)
「日本に行けることになりうれしい。
 会社に十分貢献したい。」
(シスメックス 前田真吾さん)
「世界の名だたる企業と戦うことは大きなチャレンジ。
 採用した学生たちに活躍してもらうことが第一で
 日本企業として競争に勝ち残っていく舞台をつくっていきたい。」

インドを舞台にした熾烈な採用合戦。
国籍を問わず優秀な人材に来てもらおうという動きが加速している。
今回就職が決まった学生たちになぜ日本の企業を選んだか尋ねたところ
仕事に真剣に取り組む日本人の姿勢を学びたい
日本企業はチームワークが強いと感じているから
と話したそうである。
日本の企業でもいま外国人の際威容を検討している日本企業が全体の半数にのぼるという調査結果もある。
言葉や文化の違いが大きいにもかかわらず日本の企業を選んではいってこようと言うわけだから
そうした外国人の学生の能力を十分に引き出す環境を整えて定着を図っていくとか
企業側は採用した後の課題も大きい。

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仏教遺跡バガン 世界遺産への課題

2013-12-13 08:00:01 | 海外ネットワーク
12月1日 NHK海外ネットワーク


東京ドーム約1700個分の広大な平野に点在する2500余の仏塔。
ミャンマーにある仏教遺跡バガンである。
11世紀から13世紀にかけてこの一帯を支配した王朝の遺跡である。
当時の信仰の様子を今に伝える世界有数の仏教遺跡。
今も国民の9割を占める仏教徒たちの心のよりどころとなっている。
ミャンマー政府はバガンを世界遺産に登録し文化や観光面での魅力をアピールしようとしている。
バガンはその歴史的な価値を高く評価されながらもいまだに世界遺産への登録は実現していない。

民主化が進み外国からの観光客が年間100万人も訪れるようになったミャンマー。
バガンが世界遺産に登録されれば観光客はさらに増えると期待されている。
(観光客)
「バガンは印象的で美しい。」
「ミャンマーで一番素晴らしい場所の1つ。」
貴重な仏教遺跡バガン。
かつての軍事政権は1996年世界遺産に加えるよう申請したが登録は見送られた。
遺跡の保存の仕方に問題があったのである。
遺跡の隣にゴルフ場を建設、
仏像の周りには派手な電飾が輝く。
床には現代的な模様のタイルが敷かれ遺跡そのものも手が加えられていた。
古く汚れた壁画より見栄えがいいとして石灰で塗り固められたものもある。
世界遺産の登録には少しでも多く元の状態が保たれていること。
そして万全の保護体制をとることが必要である。
しかし軍事政権のやり方は世界の基準からあまりにかけ離れていた。
そこでミャンマー政府は一昨年に方針を改め元の遺跡の姿を取り戻そうとしている。
ただ課題は技術の不足である。
そこで頼りにしているのが外国からの支援である。
日本からも高松塚古墳の壁画修復を手掛けた専門家を招いた。
壁画の修復に用いる薬剤の使い方も丁寧に指導する。
「カビができるかもしれない。
 何も絵の無いところに塗って1年間様子を見る。」
「絵の無いところにですね。
 塗ってみます。」
技術を学び取り本腰を入れて課題を克服しようとしている。
(修復の担当者)
「私たちには技術が必要。
 日本の支援を大いに期待している。」
(東京文化財研究所 川野邉渉さん)
「ミャンマーの人たちは自分ができること手に入るもので何ができるか
 一緒に考えてくれというのが第一歩。
 非常に有望だと思う。」
しかし保護に向けて舵を切ったことで
ふだん遺跡を祈りの場にしている地元の人たちからは戸惑いの声が上がっている。
金箔を貼ると願い事がかなうとされている仏像。
しかし自由に貼ることはできなくなった。
人々が触って傷がつけばもとの形と変わってしまう恐れがあるからである。
(寺院の職員)
「首の下はいいんですが上は禁止しています。
 傷がついて仏像の表情が変わってしまうからです。」
さらにすすで壁画が汚れないよう建物の中では線香をあげられない。
保護ばかり優先され信者の信仰心がないがしろにされているという批判が出ている。
(寺を訪れた人)
「信者たちも本当は仏像のそばで祈りたいと思っている。
 もっと信者たちが自由に祈れるようになればいい。」
こうした批判にミャンマー政府は
(修復にあたる政府の責任者)
「ユネスコが世界遺産に求めるルールと仏教との考えは相反するかもしれない。
 もっと情報を集めどう両立させるか考えることが必要だ。」

かつての遺跡の姿を取り戻しつつ信仰の場も同時に守っていく。
世界遺産の踏力に向けたミャンマー政府の模索は続いている。
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“ミスコン”を後押し コロンビア

2013-12-03 07:00:00 | 海外ネットワーク
11月24日 NHK海外ネットワーク


南米大陸北部にあるコロンビア。
かつては麻薬組織などによる凶悪犯罪が多発しかなり治安が悪い国というイメージがあった。
しかしいまコロンビアでは政府が全面的に後押しして
各地でミスコンテストを開くことで地域の活性化を図ろうとしている。

11月に開催されたミスコロンビア・コンテスト。
政府が共催する国内最大規模のイベントである。
3週間にわたって続きコロンビアの代表を決める。
審査するのは20項目。
容姿はもちろん国際大会でコロンビアをPR出来るだけの知識・英語力・それにマナーが求められる。
大会を支えるスポンサー企業はすべてコロンビア政府が集めている。
こうした企業の商品をどれだけエレガントに身につけられるかも重要な審査基準のひとつである。
カジノ会場ではコロンビアの代表になるために勝負強さまでもが求められる。
審査の対象は本人だけではない。
出場者の母親も登場。
地元への愛情や故郷の良さをいかに伝えてきたかを表現しなければならない。
この激戦を勝ち抜きミスコロンビアに輝いたのがパウリーナさん(21)。
日本円で1億6,000万円の賞金を手にした。
貧富の格差が激しいコロンビアではコンテストはまさに人生を切り開く大きなチャンスでもある。
(2013 ミスコロンビア パウリーナさん)
「いま涙をこらえるのに必死です。
 これまで生きてきた中で今が一番幸せです。」

コロンビアでは自治体が主催するミスコンテストの地方大会が年間300回も開かれる。
全国大会の出場に向けて各地でしのぎを削る。
コロンビア政府は地方都市ごとにミスコンに向けて競わせることで地域の結束力を育もうとしている。
そうした力が地域を活性化し犯罪などの抑止にもつながると考えている。
主催する自治体は出場者に地域の代表としてコンテストに臨むよう求める。
肩からかけるたすきには出身地域の名前が書かれる。
自分の住む町を紹介しどれくらい愛情を感じているかをアピールさせる。
(政府観光協会理事)
「各地域がコンテストのために一丸となり動くので治安改善につながる。
 コンテストを通して国がまとまる。」

北部カルタヘナ市のヘッツェマニ地区。
この地区の予選に出場することになったシャノンさん(20)。
入賞すれば大学進学のための奨学金を得られるため出場を決めた。
全国大会に進むには地方の予選を何回も勝ち抜いていかなくてはならない。
歴史の知識など教養も求められるため日ごろから熱心に勉強に取り組んでいる。
(シャノンさん)
「先住民の文化について読んでいます。
 わたしたちとは違うので面白いです。
 マスコミの勉強をして将来はテレビやラジオなどの仕事をしたい。」
こうした出場者を出身地域の人たちが一丸となって支える。
シャノンさんの顔写真入りのTシャツまで作った。
(地元住民)
「シャノンは才能があるしミスにふさわしい女の子。
 彼女はコンテストでこの地域の魅力・文化を掘り起し多くの人に伝えようとしている。」
出場者は子どもたちの目標になっている。
審査項目のひとつであるダンス。
国中で無料で開かれているダンス教室では子供たちが将来のコンテスト出場をめざし練習を続けている。
「地域の代表になるために踊ってるの。」
「シャノンみたいにコンテストに出たいわ。」
地域の期待を一身に背負ってシャノンさんは地方大会ミスカルタヘナに臨んだ。
大会では子供のころから練習してきたダンスや水着姿の審査などが行われた。
会場にはシャノンさんの出身地域の人たちが駆けつけ声をからして応援。
最後まで笑顔で審査員のアピールするシャノンさん。
残念ながら入賞をのがし全国大会に進むことができなかった。
しかし主催した自治体から特別に年間50万円ほどの奨学金が支給されることになった。
(シャノンさん)
「とても幸せで感動しています。
 地域の皆さんから応援してもらいたくさんの愛情をもらいました。」
ミスコンテストにかける女性たちの情熱が地域の結束を強めている。

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島国キリバス 水没の危機 

2013-11-18 07:00:00 | 海外ネットワーク
11月10日 NHK海外ネットワーク


9月 世界の科学者が集まる国連の組織が温暖化の予測について新たな報告をまとめた。
今後対策を取らなかった場合は今世紀末には世界の平均気温が最大で4,8度上昇するというのである。
国際社会が有効な手立てを打てないでいるなか温暖化の影響はますます深刻になってきている。
地球温暖化対策を話し合う国際会議COPでは先進国と途上国との主張の対立が続きここ数年議論は滞りがちである。
こうしたなか温暖化による海面の上昇で自分たちの国の存続すら脅かされかねないと
国際社会に早急な対応を求めてきたのが南太平洋の島国である。
こうした国々の中にはもはや国際社会の対応には期待できないとして
国民をほかの国に移住させることも視野に入れて対策を取り始めたところもある。

南太平洋のキリバス。
車道に押し寄せる高波。
住宅への浸水。
キリバスでは海面の上昇による被害が相次いでいる。
人口は10万人余。
首都がある最大の島でも広さは25平方キロで小さな島々からなる国である。
一番高いところでも海面からわずか3m。
海面上昇の影響を受けやすい地形なのである。
毎年海面が上昇し1年で4ミリ上がった場所もある。
住宅のすぐそばまで海面が迫りこどもが泳げるほどである。
「キリバスのことが心配。
 でもどうすればいいのかわからない。」
「今のような生活を孫の時代になっても続けられるとは思えない。」
ある井戸は海水が入り込んだことで水質が悪化した。
今では飲み水として使うことができない。
海水が入り込み作物を植えることができなくなった畑。
キリバスでは10年余の間に農地が1割近く減少したと推定されている。
住み慣れた土地を離れざるを得なくなった人も少なくない。
海沿いの集落で暮らしてきた牧師のマエレレさんは度重なる浸水で集落から去っていく住人を見てきた。
(マエレレさん)
「ここはかつて家族が暮らしていた場所。
 でも引っ越してしまい床や物置のあとだけが残っている。
 他の場所に引っ越すしかなかったのだろう。」
温暖化の影響から逃れたいとキリバスを離れ難民として国外で暮らしたいと訴える人まで出てきた。
キリバス出身の男性は9月にニュージーランドの裁判所に自分を難民として受け入れるよう訴えを起こした。
キリバスでは海面の上昇で生活環境が悪化しているからというのがその理由。
(キリバス出身の男性)
「キリバスは沈んでしまう。
 身を守るためここで暮らしたい。」
男性は6年前にキリバスを離れてニュージーランドに移り住んだ。
(男性の弁護士)
「温暖化がもたらす被害から逃れようという人たちを難民として認めるべき。
 キリバスではこの先30年の間に大惨事が起きることになる。
 キリバスは30年後には消滅しているだろう。」
今後温暖化がすすめば海面はどれだけ上昇するのかを研究グループが予測した。
気象庁や東京大学などがスーパーコンピューターで計算。
2035年には地球全体の平均で約20センチ海面が上昇するという結果になった。
キリバス周辺でも20センチ以上の海面上昇という予測になっている。
農地や住宅地の更なる水没は避けられそうにない。
このためキリバス政府は思い切った対策を進めている。
飛行機で行くと3時間の2000キロ以上離れたところにある同じ南太平洋の島国フィジーで広大な土地を買おうというのである。
広さは約2,000ヘクタールで購入額は日本円で8億円余。
まずは農地として使い主食のタロイモなどを育てる。
海面上昇でキリバス本国では農地が減っているため食糧不足を補おうというねらいである。
そして将来はこの土地にキリバスの国民が移り住むことも視野に入れている。
(キリバス 大統領府 秘書官)
「現時点では食糧を生産するための土地を確保することが一番の目的。
 ただ今後 状況が変わればキリバス政府は住民の移住も検討することになるだろう。」
急速に進む温暖化の影響にもはや対処できなくなってしまうのではないか。
キリバス政府では最悪の場合 今ある土地を離れざるを得なくなることも考え備えを進めている。
(キリバス 大統領府 政策顧問)
「国土が完全に水没してしまうこともありうると想定している。
 我々はあらゆる可能性に備えなければならず国際社会にはぜひ支援してもらいたい。」



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与野党対立にティーパーティーの影

2013-11-16 07:00:03 | 海外ネットワーク
11月10日 海外ネットワーク


アメリカでは来年11月の議会の中間選挙まで1年を切った。
アメリカの政治の行方を占う重要な選挙のカギを握るのが野党共和党内で影響力を強める保守派の市民運動“ティーパーティー”。
その基本理念はイギリスによる支配を脱したアメリカ独立の精神に立ち返り
市民の生活に政府が関与することを最小限にとどめることである。
このティーパーティーは
民主党のオバマ政権の発足以来連邦政府が国民生活に過度に介入するようになり
個人の自由が脅かされていると反発を強めている。
与野党の対立が政府機関の一部閉鎖という事態を招いたのも反オバマ色を強めるこのティーパーティーの存在があったからだった。

ティーパーティーの中心となっているのは白人の保守層で経済面で比較的余裕のある人たちである。
2010年の中間選挙で共和党勝利の原動力となった。
ティーパーティーの全面的な支持を受ける共和党の連邦議会の議員50人超。
社会保障を充実させる政策を推し進めるオバマ大統領に反発する人たちを取り込んで勢力を拡大したのである。
ティーパーティーが特に強く批判しているのがオバマ大統領が最大の成果と位置付ける医療保険制度改革。
事実上の国民簡易保険を目指すものでオバマケアと呼ばれている。
来年1月から本格的に始まる制度だが10年間で日本円で90兆円余もの莫大な費用がかかる。
ティーパーティーは巨額の財政負担に加えて
保険に加入するかしないかを決める個人の自由を奪うことになるとして制度の導入に強く反対している。
このためオバマケアの実施を延期させようと共和党に圧力をかけた。
その結果民主党との対立激化で議会は混乱。
政府機関の一部閉鎖や債務不履行の危機を招いた。
反オバマケアの急先鋒になったのが去年の選挙でティーパーティーからの全面的な支持を受けて当選したテッド・クルーズ上院議員。
自分たちの主張を通すため議会で21時間のマラソン演説を強行した。
長時間の演説で審議の進行を妨げるためである。
こうしたティーパーティーの強硬な姿勢によって引き起こされた政府機関の一部閉鎖。
さらには政府が追加の借金を出来ず債務不履行に陥る恐れが強まったことで世界経済にも影響を与えた。
国民の間からも非難の声が上がった。
「議員たちは国民を無視してくだらない議論ばかりしている。」
「議会が仕事をしないから頭にくるわ。」
アメリカの調査会社が10月上旬に行った世論調査では
共和党の支持率は9月の38%から28パーセントに急落し過去最低の数字となった。
共和党の支持率急落について専門家はティーパーティーの存在が大きな原因だとしている。
(米調査会社 キャロル・ドハーティ副部長)
「問題はティーパーティーの妥協しない戦術だ。
 債務不履行問題や暫定予算案をオバマケアを葬るのに使おうとした。
 これにより国民からの支持が離れた。」

11がう5日に行われた南部バージニア州の知事選挙では
ティーパーティーの全面的な支持を受けた共和党の候補が民主党の候補に敗れるという結果になった。
ティーパーティーに対する有権者の反発で支持が広がらなかったのが敗因と見られている。
しかしティーパーティ側には敗北感はうかがえず今後も強気の選挙戦略を変えようとはしていない。

ティーパーティーは来年の中間選挙に向け活動を本格化させている。
接戦が予想されるアーカンソー州など23の州を重点選挙区に決めた。
重点選挙区のひとつ南部テキサス州では11月初めにティーパーティーが候補者を選ぶ面接をした。
保険会社を経営するリード・キングさんは共和党からの立候補を目指している。
キングさんが候補者にふさわしいかどうか見極めるため6人の面接官が次々と質問をした。
「どうして保守派に?」
(リード・キングさん)
「他人からあれこれ指図されたくない。
 他人に何かを強制することは間違っている。
 テキサスは自由の最後の砦というのが私の信念だ。
 私はずっと保守派だ。」
当選後も民主党に簡単に妥協しない候補者を擁立するためである。
(ティーパーティーの面接者)
「個人の自由といった価値観が我々と同じなら喜んで応援する。
 大勝利は間違いない。」
ティーパーティーでは引き続きオバマケアに反対していくことを決めている。
オバマ政権に対する対決姿勢は崩していない。
このため今の暫定予算が切れる来年1月の再び議会が混乱し政府機関の一部閉鎖に突入する恐れもある。
同じような混乱を再び招いてはならないとティーパーティーに反対する動きも出ている。
ミネソタ州の刑務所で働いているサンディーパーさんは家族5人の生計を1人で支えている。
今回の政府機関閉鎖の影響で給与の支払いが2週間遅れ今後の生活に強い不安を感じている。
パーさんはティーパーティーのやり方に疑問を抱いている。
(パーさんの同僚)
「働いているのに給料が遅れたのは納得がいかない。」
(サンディ・パーさん)
「政治家はいい加減に駆け引きをやめてほしい。」
パーさんは同僚と一緒に地元の民主党議員の事務所を訪ねた。
国民生活に影響が出ないよう与野党は歩み寄るべきだと訴えたのである。
(サンディ・パーさん)
「政府機関の閉鎖はティーパーティーの活動家の責任。
 こういうことを続けていたら世界からも信用されなくなる。」

ティーパーティーは支持率の歴史的急落を招いた張本人といえるが矛を収める気配はない。
ただ共和党の穏健派の幹部は今回ティーパーティーに配慮しずぎたことは大失敗だったと反省している。
このままでは幅広い世論の支持が得られないとしてこれを機会にティーパーティーから主導権を奪い返そうという動きもある。
ただ一方でティーパーティーの支持がなければ当選できない議員も少なくなく簡単ではない。
共和党としてもティーパーティーの扱いをめぐって答えを見いだせていない状況で
再び政府機関の閉鎖や債務不履行に陥りかねない事態を招く危険性をはらんでいる。
実際に債務不履行となればアメリカ史上初めてのことになり
世界経済に与える影響は2008年のリーマンショック以上の衝撃だと指摘する人もいる。
日本にとって最も懸念されるのはドルの信用が揺らぐことと伴う急激な円高である。
そうなれば日本の景気回復の動きを支えてきた輸出産業を中心に大きな打撃を受けるのは避けられない。
現在議会では財政問題について話し合う与野党協議が行われている。
競技の期限となる12月13日までに与野党が歩み寄って予算などをまとめ決められない政治から脱却できるかどうか
アメリカ国民だけでなく世界が注目している。







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冬のベネチア 深刻な被害

2013-11-06 07:00:00 | 海外ネットワーク
10月27日 NHK海外ネットワーク


水の都ベネチア。
古い建物と水が調和した美しい町並みは世界中の人々を魅了し続けている。
しかし美しい景観に欠かせない水は人々の悩みのタネにもなってきた。
昔からこの地域を襲ってきた“アクア・アルタ”と呼ばれる高潮の被害が近年さらに深刻になっている。
被害は特に11月~2月までの冬の時期に集中している。
アドリア海の一番奥にあるベネチア。
冬の時期ここにはシロッコと呼ばれる季節風が吹きつけ波が押し寄せやすくなる。
このため大潮や気圧の変化が重なると高潮が発生するのである。
有名な観光名所 サン・マルコ広場も水浸しのありさま。
市街地が浸水する回数はこの20年で2倍に増えている。
高潮の被害増加の背景には地球温暖化による海面の上昇がある。
さらに地下水のくみ上げによる地盤沈下。
こうした地盤沈下で傾いてしまった建物が中心部にはいくつもある。
ベネチアでは海面上昇と地盤沈下で海水面が年に4ミリずつ高くなっているというデータもある。
ボートで物資を運ぶ仕事をしているフランチェスコ・ガダルピさんはアパートの1階に暮らしている。
浸水の被害を防ぐため15年前運河沿いの入り口を15センチかさ上げした。
さらに水門も設置したがその水門まで超えて水が入ってくるようになった。
(フランチェスコ・ガダルピさん)
「1m50センチぐらい。
 ここを超えて水が入ってきた。
 自分ではき出すしかない。」
部屋中水浸しになって家具を買い替えざるを得なくなったこともあり
今ではなるべく高いところに家具を置いて浸水に備えている。
(フランチェスコ・ガダルビさん)
「いろいろお金がかかるけど仕方ない。
 ここで生まれ育ってこれからも暮らしつづけたいと思っているので。」
度重なる浸水で市街地の建物は大きなダメージを受けている。
浸水を繰り返す地域の空き家の壁は指で触っただけで剥がれ落ちてしまう。
こうした建物の被害に追い打ちをかけているのが観光客の増加。
格安航空会社の路線拡大などでベネチアの人口とほぼ同じ6万人が1日に訪れるとされている。
問題はこうした観光客が乗る船の波。
浸水で傷んだ建物の基礎に波が横からあたることでさらにダメージが加わる。
観光客の増加で波が当たる回数が大幅に増え被害がより深刻になっている。
建物の修理やメンテナンスには多額の費用がかかる。
こうした負担に古くからの住民の中にはベネチアを離れる人もいる。
ベネチアで生まれ育った女性は建物の修繕費など経済的な負担が原因で故郷を離れた。
(ベネチアを離れた女性)
「自ら望んだわけではなくそうするしかなかった。
 ベネチアは旅行者のためだけの街に変わってしまった。」
観光客が年々増える一方でこの地に暮らす人の数は10年で10%も減った。
こうした事態を打開しようとイタリア政府はある者の建設を進めてきた。
それが海上に浮きあがる防潮堤である。
旧約聖書の中で海を2つに分けて人々を救った預言者モーゼにちなんで“モーゼ計画”と呼ばれている。
防潮堤のブロックは高潮の流れ込みを防ぐためアドリア海に通じる3つの入り江に設置される。
その長さは合わせて1,6キロに及ぶ。
普段は海底に沈んでいるこのブロックが
高潮が発生すると中に空気が送り込まれ浮力で海上に立ち上がってくるという仕組みである。
空気を入れすべてのブロックが立ち上がるまでにかかる時間は30分。
イタリア政府は3メートルの海面上昇までせき止められるとしている。
日本円で約7,400億円をかけ3年後の完成を目指している。
しかし多額の税金が投入されていることや環境への影響が心配されるとして反対の声も出ているこのプロジェクト。
市民の間には慎重な意見もある。
「上手くいくかもしれないけど機能するかはわからない。」
「高いお金と時間をかけているので良い方向に進むよう願っている。」
長年悩まされてきた高潮への対策の切り札となるのか。
新たな発想で作られた防潮堤に期待が集まっている。
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五輪開催が街を変える ソチとリオデジャネイロ 

2013-11-01 07:00:10 | 海外ネットワーク
10月26日 NHK海外ネットワーク


開幕まであと100日余りとなった冬のオリンピック。
その開催地であるロシア南部のソチ。
黒海に面した保養地である。
10年ほど前のソチ一帯は緑が目立っていたが今では近代的な街並みに様変わりした。
競技施設が外国メディアに公開された。
スピードスケート会場やスキーのジャンプ台などの建設は終わり組織委員会は作業は順調に進んでいると紹介している。
しかし開会式が行われるメインスタジアムは一部で骨組がむき出しで今も工事中である。
準備の遅れが懸念されている。
建設費用の当初の見込みの4倍以上に膨れ上がった。
9月に現地を視察したプーチン大統領。
「私が頻繁に来て自分でチェックする。
 全員が急ピッチで取り組むように。」
自らソチへの招致を実現させたプーチン大統領は
今回のオリンピックを絶対に成功させたいという強い思いがある。
措置のあるロシア南部は貧しい地域が多くイスラム過激派によるテロの温床にもなっている。
措置オリンピックをきっかけに地域を発展させ
雇用の確保と貧困の解消につなげることで治安の安定をはかる狙いがあるのである。
ロシア南部では10月21日にも自爆テロが起き6人が死亡した。
テロを封じ込めることも大きな課題になっている。
プーチン政権主導で準備が進められてきた今回のオリンピック。
6年前に開催が決まって以来措置の中心部では建設ラッシュが続いている。
新築マンションの価格もロシアの地方都市としては異例の高さになっている。
ソチ市内ではマンション価格が高騰する中で一部屋当たりの価格が日本円にして1億を超える物件も出てきている。
地価は開催決定前と比べて30%上昇。
不動産業者はどんなに高い物件でも売れ行きは良くオリンピック後も人気は衰えないと強気である。
(地元の不動産業者)
「オリンピック後もマンションの需要は伸び続けるだろう。」
さらに食料品などの消費者物価は開催決定直後に15%ほど上昇。
その後も物価は上がり続け住民の暮らしに大きな影を落としている。
(ソチの住民)
「物価は上がっている。
 もともと高かったのに。」
「ひどいです。
 この町では普通の暮らしができない。」
長年ソチで暮らすアンナ・プーラシンスカヤさん(55)。
物価の高騰で一つの仕事だけでは生活が成り立たなくなりかけもちでビルの清掃をするようになった。
生活にかかる費用はこの5年間で6割増しになった。
品質は多少悪くても安い野菜を選ぶなど生活費を切り詰めざるを得ない。
ソチオリンピックの恩恵を感じるどころか今ではソチを離れることを考えている。
(アンナ・プーラシンスカヤさん)
「何でもかんでも物価が上がりこれからもっと高くなると言われている。
 安いものを買うにはどこへ行けばいいのか見当もつかない。
 オリンピックのせいで生活は苦しくなった。」

リオデジャネイロでのオリンピックは南米で初めての開催とあって
ブラジル政府は大会を成功させようと国を挙げて取り組んでいる。
スタジアムの建設など総事業費は約1兆3,000億円。
街ではその準備の真っ最中。
そうしたなか国民もオリンピックに沸いているかといえば・・・。
10月にリオデジャネイロで起きた政府への抗議デモには約5万人が参加した。
ブラジルでは今年6月以降 各地でデモが続いている。
「国はオリンピックやワールドカップを開催するお金があるというのに
 教育や医療サービスのためのお金はどこにいったのよ。」
競技施設に税金を使うぐらいなら生活を良くしてほしいと訴えている。
経済成長著しいブラジルではここ数年 物価は毎年6%ほどの上昇を続けている。
さらに不動産価格も高騰。
リオデジャネイロでは3年間でほぼ倍になった。
デモの規模は縮小しつつあるが国民の不満はくすぶり続けていて政府は批判をかわすための政策を進めている。
オリンピックに向けてとくに重要視しているのが暮らしやすい環境づくりである。
“ファベーラ”と呼ばれる貧しい人たちが住む地域。
かつては麻薬犯罪組織に支配され警察ですら入ることができない地域だった。
オリンピック開催が決まり治安対策を最優先課題に掲げたブラジル。
3年前 リオデジャネイロ最大のファベーラに警察官3000人を動員し犯罪組織との全面対決に踏み切った。
その結果 約200人を逮捕。
地域から犯罪組織を一掃したのである。
「歴史的なこと。
 警察が介入するのは初めて。
 すばらしいです。」
現在も警察官が常駐してパトロールを行うなど治安維持にあたっている。
殺人や強盗などこの地域での犯罪は大幅に減少した。
2年前にはロープウェイも開通。
観光客も訪れるようになった。
(観光客)
「強盗など安全面の不安がなくなったのでここに来た。
 素敵な観光コースです。」
こうした変化の波に目をつけた人もいる。
ワグナー・ダシルバさんはファベーラにある宿泊施設のオーナーである。
3年前 400万円ほどかけて住宅を改造しオープンにこぎつけた。
以前は考えられなかったファベーラでの観光客の宿泊。
オリンピックの開催が街を様変わりさせたのである。
(宿泊施設オーナー ワグナー・ダシルバさん)
「人々のファベーラを見る目ががらりと変わった。
 私たちにとってはありがたいチャンスだ。」
オリンピックの本番まであと3年。
人々の期待や不満が入り混じるなか準備が進む。
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サッカーで心を一つに

2013-10-29 07:00:00 | 海外ネットワーク
10月20日 NHK海外ネットワーク


ワールドカップ初出場を決めた旧ユーゴスラビアのボスニア・ヘルツェゴビナ。
ボスニア・ヘルツェゴビナは1990年代前半
イスラム系主体の政府が独立を宣言したことをきっかけにセルビア系クロアチア系をふくめた三つ巴の内戦が起きた。
異なる民族を容赦なく排除する民族浄化の名のもとに3年間で約20万人が犠牲となっている。
ワールドカップ出場が民族対立を乗り越えるきっかけになってほしいという願いが
地元のサッカーチームにも広がっている。

10月15日に行われたサッカーワールドカップのヨーロッパ予選。
ボスニア・ヘルツェゴビナはイスラム系セルビア系クロアチア系の民族混成チームで臨んだ。
ボスニアはリトアニアを1-0で破り初めてのワールドカップ出場を決めた。
首都サラエボでは多くのファンが町に繰り出して初めての快挙に大騒ぎ。
「最高の気分です。
 うれしいです。」
「この勝利はボスニアにとって大きな意味がある。」
しかしボスニアでは内戦の傷は今も癒えていない。
東部の町スレブレニツァ。
内戦末期の1995年7月 セルビア人勢力がこの町に侵攻し
兵士であるかどうかを問わずイスラム系の男性約8000人を殺害した。
第二次世界大戦後のヨーロッパで最悪の虐殺と言われている。
この町に1924年にウ発足したサッカーチームのFCグーベルも内戦に翻弄された。
チームの会長でイスラム系のスーリョ・チャカーノビッチさん。
セルビア人勢力が襲撃してきたときチャカーノビッチさんは暗がりの中を6日間逃げまどいかろうじて助かった。
しかし町に残った兄は虐殺された。
今も遺体の一部しか見つかっていない。
墓はなく名前の刻まれた慰霊碑があるだけ。
(FCグーベル チャカーノビッチ会長)
「父親のいない私にとって父親が割りぬなってくれたのが兄。
 大切な存在だった。」
内戦前に撮られたFXグーベルのイレブンの写真がある。
所属していた選手25人はそれぞれの民族に兵士として駆り出され内戦で7人が命を落とした。
敵味方に分かれて銃を構えることになった選手たち。
チームは崩壊した。
サッカーを楽しむ若者たちの姿が消えて12年。
住民の間から町の誇りだったチームの復活を望む声が上がり始めた。
スレブレニツァの街の中心部にはキリスト教の教会とイスラム教のモスクが並んでいる。
異なる民族が共存してきた歴史を示す町の象徴である。
内戦後 医師としてイスラム系とセルビア系の住民を分け隔てなく治療してきたチャカーノビッチさん。
チームの政権に協力を求められた。
兄が応援していたFCグーベルを復活させかつての町の姿を取り戻したい。
迷うことなく引き受けた。
(FCグーベル チャカーノビッチ会長)
「ほとんどの市民がFCグーベルが活動を始めることを待ち望んでいた。」
わだかまりを乗り越えるためにチャカーノビッチさんが徹底しているのが
フィールドには民族の違いを持ち込まないというルールである。
クラブ内に十字架など宗教や民族を示すシンボルは一切ない。
さらにそれぞれの民族を尊重し各民族の祝祭日には練習や試合を行わないことにしている。
チャカーノビッチさんの思いは選手にも浸透している。
(イスラム系の選手)
「みんな仲がいいよ。」
(セルビア系の選手)
「クラブでは宗教や民族は関係ない。
 私たちは一つの国民です。」
復活を果たしたFCグーベル。
この日の試合ではセルビア系のゴールキーパーがゴールを守りイスラム系の選手がシュートを決め勝利をもぎ取った。
(FCグーベル チャカーノビッチ会長)
「このクラブでは90年間ずっと民族混成でやってきた。
 民族が力を合わせてこそ成功といえる。」
チャカーノビッチさんがいま期待している若手選手はセルビア系のブラダン・チェーリック選手(21)。
難民として4才のときにスレブレニツァに逃れてきたチェーリックさんは内戦では多くの親戚を亡くした。
(セルビア系 チェーリック選手)
「私たちは民族の悲劇を決して忘れない。
 しかし過ぎ去ったこと。
 もう許すべきです。」
内戦後民族を超えて友だちを広げるきっかけを作ってくれたのはサッカーだった。
この夏から14歳以下のチームの監督も泣かされるようになったチェーリックさん。
セルビア系の自分にチームの将来のチームを担う子どもたちを任せてくれた会長の期待にこたえたいと思っている。
(セルビア系 チェーリック選手)
「子どもたちにはイスラム教徒もセルビア人も同じ人間だということを学んでほしい。」

10月15日 ワールドカップに向けたボスニア代表の最後の試合。
FCグーベルの選手や関係者が集まってテレビでしあ散を観戦した。
民族の垣根を越えて戦う代表チームは自分たちとも重なる。
初出場が決まると全員が両手を突き上げて勝利を喜んだ。
(FCグーベル セルビア系 チェーリック選手)
「最高です。
 ワールドカップでは自国の代表チームを応援します。」
(FCグーベル イスラム系 チャカーノビッチ会長)
「サッカーがボスニア国民を団結させてほしい。
 民族同士が協力する動きがもっと広がってほしい。」
対立を乗り越え力を合わせることで大きなことを成し遂げることが出来る。
ワールドカップをきっかけに国民の気持ちがひとつになることをふたりは願っている。

ワールドカップ出場を決めた試合にはボスニア・ヘルツェゴビナ出身の日本代表オシム元監督も観戦に訪れていた。
母国の勝利が決まると
代表チームの活躍はボスニアの人々を一つにしたと涙を流して喜んでいたということである。
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イランとアメリカ 対立関係に変化

2013-10-28 07:00:00 | 海外ネットワーク
10月20日 NHK海外ネットワーク


長年にわたってアメリカと激しく対立してきたイラン。
1979年にテヘランで起きたアメリカ大使館員人質事件をきっかけに両国が国交を断絶して30年余り。
かたや「大悪魔」かたや「悪の枢軸」と罵り合ってきた両国の間で直接交渉ができる環境が整った。
9月 ロウハニ大統領がオバマ大統領と歴史的な電話会談を実現した。
こうした動きの背景にはアメリカに住む30万人以上とも言われるイラン系市民の水面下での働きかけもあった。

アメリカの大学で国際政治学を教えるイラン人のアミールアフマディ教授。
イラン・アメリカ友好協会の会長も務めている。
(アミールアフマディ教授)
「これはアメリカのヘーゲル国防長官と一緒の写真。
 かつてのバンス元国務長官やクリントン元大統領とも撮っている。」
5年前に撮られた写真には
核協議でイラン側の代表を務めたザリーフ外相と隣に立つのはアメリカのヘーゲル現国防長官。
テヘランとワシントンの双方に独自の人脈を築いてきた。
国交断絶後 激しく対立してきたアメリカとイラン。
その関係改善はアラブの春以降 混迷を深める中東の構図を大きく変えることになると言う。
(アミールラフディ教授)
「今 中東は未曽有の混乱状態。
 この状況を長期間続けるわけにはいかない。
 アメリカとイランの関係改善が進めば中東情勢は良い方向に変わる。」
関係改善を妨げているのが核開発問題である。
教授は今回アメリカ政府に対して
イランが原子力発電などのために低レベルのウラン濃縮を続けることは認めるべきだと助言した。
(アミールアフマディ教授)
「私はアメリカの政府関係者にアドバイスした。
 もしアメリカが核問題の解決を本気で望むなら
 3,5%程度の濃縮ウランをイランが持つことを認めるべきだと。
 だがそれ以上の濃度はだめと伝える。
 それならイランは受け入れるはずだ。」
保守強硬派が依然強い権力を持つイラン。
しかし反米的な言動で知られたアフマディネジャド前大統領ですら
実はアメリカとの関係改善を望み密かに教授に相談してきたと言う。
(アミールアフマディ教授)
「前政権下でもアメリカとイランはテロ対策などで協力していた。
 前大統領は濃縮度20%以上のウランを放棄する準備もしていた。
 ただアメリカ側が彼との交渉を望んでいなかった。」
しかしイランには今後の交渉で気をつけなくてはならないことがあると言う。
アメリカと同盟国でイランに対する軍事攻撃を辞さない姿勢を取り続けているイスラエルへの対応である。
(アミールアフマディ教授)
「私はロウハニ大統領らにアドバイスした。
 アメリカとの関係を考える時にイスラエル抜きでは進められない。
 イスラエルは強力。
 敵に回すのではなく協力するべき。」

イランは欧米との交渉と同時に国内をどうまとめるのか。
イラン人の間にはアメリカに対する根強い不信感がある。
急速な関係改善には保守強硬派の反発も予想され
最高指導者ハメネイ師がどこまでロウハニ大統領の対米政策を認めているのか未知数な部分がある。
イラン側はウラン濃縮活動の縮小やIAEAの査察拡大の妥協案を提案したもようだが
これに見合う十分な見返りが得られなければ政権基盤は危うく
欧米と国内を両睨みしながらの綱渡りが続きそうである。

アメリカ側は今回の協議をイランの核開発問題を外交的に解決するまたとないチャンスととらえている。
アメリカにとってイランは大規模な軍事行動もありうると考えてきた長年の懸案である。
しかしオバマ大統領はこの問題について国内で弱腰と非難されながらも
制裁による圧力で対話の道を探ってきた。
それだけにイランが対話路線を掲げるロウハニ大統領を選挙で選び
アメリカとの関係改善に踏み出してきたことはまさに期待して以上の展開である。
そのためアメリカとしてはロウハニ政権に最初から厳しい要求を突き付けて
せっかく生まれた交渉の芽を摘むことが無いよう細心の注意を払って今後の交渉を進めるものとみられる。
アメリカは制裁の緩和に簡単に応じられない事情がある。
イランに敵対するアメリカの同盟国イスラエルは明確に反対している。
またイスラエルロビーが強い影響力を持つアメリカの議会でも与野党を問わず多くの議員が制裁緩和に反対である。
(前米国務省イラン制裁調整官 ロバート・アインホーン氏)
「経済制裁はイランに決定的な影響を与えた。
 その緩和に議員の支持を得るにはアメリカに有利な交渉結果が必要だ。 」
中東地域の混乱が深まるなか
アメリカとしてはイランの核開発問題を前進させることでこの地域での影響力を復活したい考えである。
双方の落としどころをどう見つけていくのか。
アメリカ政府にとっては具体的な交渉が始まるこれからが正念場となる。




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インドの“金”事情に異変

2013-10-17 07:13:44 | 海外ネットワーク
10月13日 海外ネットワーク


投資目的の資産としてだけではなくアクセサリーなど身につけるものとして
金はインドの人たちの生活に欠かせない。
「金を身につけると女はますますきれいになる。
 だから私たちは金が大好き。」
インドは世界でも1,2位を争う金の輸入国。
去年1年間にインドの国民が飼った金の量は864トン。
日本の110倍にのぼる。
インドでは農村部に行くと銀行がないということもあり金の多くが各家庭に保管されていて
これを足し合わせると2万500トンにもなるといわれている。
タンス預金ならぬ膨大なタンス金が家の中に眠っているということになる。
金が身近にあるインドの人たちだが今年はちょっと様子が違うようである。

10月はじめ インドの人たちが待ちに待ったシーズンが幕を開けた。
ヒンズー教の神々に感謝する祭りが始まった。
インドではこのあと12月まで様々な祭りが続く。
毎年この時期は幸運を呼び込むとして金でできた品を買う人たちでにぎわう。
しかし今年は宝飾店もがらんとしている。
国内の市場に出回る金の量が大幅に減り金の値段が高騰したためである。
半年で20%も値上がりした。
「金は高くなり過ぎたので買うのをあきらめた。」
金が出回らなくなったのはインド政府が撮った経済政策のためである。
インドはもともと貿易など外国との取引が赤字だった。
特に海外から輸入する原油と金が赤字の原因である。
金はぜいたく品でありながら全輸入量の10%を占めている。
この赤字はこれまでは
アメリカの量的緩和政策の影響で海外からの投資マネーがインドに流れ込んでいたため補うことができていた。
しかし今年5月 アメリカが政策の見直しを示唆するとその投資マネーが一気に引き上げ補うことが難しくなった。
これ以上赤字を拡大できないインド政府は金に目をつけ
高い関税をかけるなどして事実上の輸入制限に踏み切った。
そして8月には金がほとんど入ってこなくなった。
これまで金の加工で生計を立ててきた1000万人の宝飾品業界は大きな打撃を受けている。
(全インド宝石・貴金属行連盟 ハレシュ・ソニ会長)
「今年は異常だ。
 とにかく我々はこの業界を守り抜かなければならない。」
業界では生き残りをかけたさまざまな対策を取り始めた。
対策その1 眠れる金を掘り起こせ
この宝飾店では市場に金が出回らないことから中古アクセサリーの買い取りに力を入れ始めた。
家庭に大量に眠っている金いわゆるタンス金を掘り起し新しいアクセサリーを作って売ろうという戦略である。
(宝石店店主)
「金はインド人の伝統や文化の一部だ。
 不景気でも乗り越える手段を考えなければならない。」
さらに業界が打ち出したのがこのアクセサリー。
対策その2 金の節約で活路を
一見 普通のネックレスに見えるが金のパーツは内側が空っぽである。
アクセサリーの見栄えはこれまで通り。
しかし金の使用料はできるだけ少なくしようというのである。
普通のアクセサリーに比べ加工に手間がかかるが値段が安い分消費者に受け入れられるのではと期待している。
金のアクセサリーがなくてもお祭り気分は存分に楽しみたい。
そんな人には
対策その3 見た目だけでも・・・
真ちゅうに金メッキを施したアクセサリー。
純金製だと30万円以上はするネックレスが金メッキのものはたった2400円で買えるというので
お手ごろ感が客に人気である。
(店主)
「金の価格が高くなったのでみんな金メッキのアクセサリーを買っていく。
 売り上げは去年の20倍。」
ニューデリーで開かれた結婚式。
きらびやかに着飾った花嫁。
そしてお祝いに集まった女性たちのアクセサリーも金メッキ。
金が高くてもやっぱりきらびやかに飾り立てたいという気持ちが表れている。
「私のように金メッキをつけている人もいるけど
 自分の結婚式では本物の金を身につけたい。」

インド政府が行った金の輸入規制によって9月の貿易赤字は67億ドル。
この2年半で最も低い額に抑えられたということである。
高い経済成長が続いてきたインドだがその勢いにはいま陰りが見え始めている。
インド政府は経済西洋のペースを取り戻すためには貿易などの収支を改善することが急務だとしていて
金だけではなく石油についても国民に効率的な利用を今呼びかけている。
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“みんなに教育を 広がるマラらさんの思い”

2013-10-16 07:00:00 | 海外ネットワーク
10月13日 NHK海外ネットワーク


(マララ・ユスフザイさん)
「私の夢はすべての子どもが教育を受けられること。
 今日の夢を明日の現実にしましょう。」
子どもたちの教育の重要性を訴えるパキスタンのマララ・ユスフザイさん。
1年前 女性の教育を否定するイスラム過激派に銃撃された。
一命を取り留めたマララさんは事件後に寄せられた寄付金でマララ基金を設立。
パキスタンの少女を学校に通わせる活動に乗り出した。
(マララ・ユスフザイさん)
「1人の子ども 1人の教師 1冊の本 1本のペンで世界を変えることができる。」
マララさんの願いは子どもたちが1人の例外もなく学校に子酔えるようになることだが
パキスタンの現状はどうか。

マララは頑張り屋さん
パキスタンの誇りマララ

女の子たちが歌う“マララの歌”。
パキスタン中部のパンジャブ州にある人口1000人ほどの村。
マララさんの写真が掲げられた去年出来たばかりの学校では女の子たちが読み書きの基本を学んでいる。
授業を行っているのはシャジア・ビビさん(27)。
地元の大学院で言語学などを学んだあと自分の知識を伝えたいと個人で塾を開き女の子たちに勉強を教えてきた。
そんな彼女の取り組みに賛同したNGOが資金を提供し1年前に学校を作ったのである。
3歳から17歳までの女の子約120人が通っている。
村の女性の識字率はわずか20%。
しかしここでは英語まで教えている。
シャジアさんはマラらさんの事件を受けて教育絵の思いを新たにしたと言う。
(シャジア・ビビさん)
「テレビでマララさんが教育のために命をかけているのを見た。
 小さな彼女にできるのなら私も村に教育を広められるのではと思った。」
しかし男性優位のパキスタン社会で女子学校の運営は簡単ではない。
女の子は学校に通わず家事をしていればいいと考えるのが農村部では一般的である。
この村では女の子の5人に1人しか学校に通っていない。
そこでシャジアさんは自ら子どもたちの家を訪ねて親たちを説得している。
この日は中学1年生のときから家事を手伝うため学校に来なくなった女の子の家庭を訪ねた。
(シャジア・ビビさん)
「教育の大切さはわかりますよね。」
(少女の母親)
「うちは貧しいのよ。」
(シャジア・ビビさん)
「男の子は通わせるのに女の子は通わせないのですか。」
女の子はいまも学校には来ていない。
シャジアさんはこのような家庭を何軒もまわっては教育の重要性を訴えている。
シャジアさんの説得で学校に通うようになった女の子は50人以上いる。
そのひとりメモナ・バシールさん(12)。
両親は当初 娘に教育をうけさせるよりも綿花畑で働き手になって家計を助けてほしいと思っていた。
しかしシャジアさんと話して考えが変わったのである。
(メモナさんの父親)
「女の子に教育を受けさせれば家庭や社会が良くなるとわかった。
 だから今は納得して娘を学校にやっている。」
(メモナ・バシールさん)
「他の子が学校に行っているのを見て私も行きたかった。
 両親が学校に行かせてくれてとても幸せ。」
一人でも多くの女の子を学校に通わせたい。
その思いは徐々に伝わり始めている。
(シャジア・ビビさん)
「貧しい家庭の少女や外出が許されない少女に教育をうけさせることが私の夢。
 達成すべき使命。」
しかしパキスタンの中でもマララさんの出身地北西部はイスラム過激派の活動が活発で状況がより深刻である。
女子学校を狙った爆破事件はこの2年間だけで100件以上起きている。
(警備員)
「見てください。
 ここで爆発があったんです。」
この女子学校は今年2月に爆破され今も閉鎖されたままである。
多くの子供がけがをした学校もある。
9月 校門の前に仕掛けられた爆弾が爆発。
下校中の女の子20人近くがけがをした。
窓ガラスは割れたままだが授業は再開。
まだ傷がいえない子供も多くいる。
アイーシャ・ハルークさん(9)は体中にけがをし今も自宅で療養中である。
事件当時アイーシャさんが着ていた服は血まみれで爆弾が飛んで来てできたと思われる穴も開いている。
(アイーシャ・ハルークさん)
「もも わきの下 首が痛い。
 爆発がまた起きるのではないかと怖い。
 今度あったら殺されてしまう。」
それでもアイーシャさんは怪我が治ったらすぐにでも学校に行きたいと考えている。
勉強して将来は医者になるのが夢。
(アイーシャ・ハルークさん)
「勉強すればマララさんみたいになれる。
 すべての子どもが学校に通えれば世の中が良くなると思う。」
イスラム過激派の脅威におびえながらも勉強がしたいと少女たち。
厳しい環境の中でマララさんは彼女たちの希望の光になっている。

ユネスコによると世界で初等教育を受けられずにいる子供の数は約5700万人にのぼる。
国別にみるとパキスタンはナイジェリアに次いで2番目に多く
このうち3分の2にあたる約300万人が女の子だということである。
国連は2015年までに世界のすべての子どもたちが初等教育を受けられるようにするという目標を掲げ
各地で学校の建設や教科書の配布といった支援を行ってきている。
しかし残念ながらあと2年でこの目標を達成するのは不可能と言える。
状況を根本的に変えるには紛争や貧困など
子どもたちが教育を阻んでいるさまざまな要因を国際社会が地道に取り除いていくしかないのが現状である。
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“屋上に緑を”上海でブーム

2013-10-15 07:00:00 | 海外ネットワーク
10月6日 NHK海外ネットワーク


中国で環境意識が高まるなか上海では身近な環境の改善とビジネスを結びつけた取り組みが注目されている。

鳥のさえずりも聞こえる豊かな森。
実はごみ処理場の屋上である。
上海ではあちらこちらで屋上が緑に覆われた建物を見ることができる。
ショッピングセンターの屋上にも庭園が広がっている。
中学校の屋上では野菜を収穫する子どもたちの姿。
世界有数の経済都市上海はこれまで緑地の開発を積極的に進めてきた。
狙いは国際的なイメージアップである。
3年前 7千万人以上が訪れた上海万博のパビリオンは今では緑に覆われ公園として利用されている。
とりわけ最近注目を集めているのが狭い土地を有効に活用できる屋上の緑化。
上海市には屋上緑化にかけた費用の半分を補助する制度がある。
大気汚染の問題などで環境意識が高まるなか補助金の申請が増え続けている。
こうした屋上緑化のブームはビジネスチャンスにもつながっている。
上海向けの物件を手がけている建設会社 莫剣峰社長は新しいタイプのマンションを売り出そうとしている。
それは屋上だけでなく建物全体が緑に覆われたマンション。
都会にいながら自然を身近に感じられる暮らしを提案している。
緑あふれる環境は部屋の中にも。
トイレから出た廃水は浄化されて部屋の植物を育てるのにも使われる。
莫さんはこうしたマンションは従来よりも2割以上高い価格で売れると見込んでいる。
(マンションの建設会社 莫剣峰社長)
「環境にも優しく住み心地がとても良いんです。
 家でくつろぎながら緑を楽しめるグレードの高い家をどんどん建てたい。」
9月 莫さんは政府の支援で開かれた屋上緑化の取り組みを紹介する大会に招かれた。
取り組みが評価され表彰された莫さん。
政府は屋上緑化を進める人を後押しすることで上海でのブームが全国に広がることを期待している。
(中国建築省エネルギー協会 鄭会長)
「これまでの経済最優先ではなく発展と環境保護を両立させる方向に変わってきている。
 屋上の緑化を進めれば中国はさらに美しくなる。」

中国内陸部にある酒造会社。
屋上緑化をビジネスに生かそうという動きは地方にも広がってきている。
工場の屋上一面に広がっているのは田んぼ。
酒造りの経費削減につながるのである。
工場の中には酒を熟成させるためのカメが並んでいる。
酒を熟成させるには20度以下の涼しい環境を安定して保つ必要がある。
しかし工場内は夏には40度近くになることもあり冷房代に頭を悩ませてきた。
そこで屋上を田んぼにしたところ稲が直射日光を遮りさらに田んぼの水で気温の上昇が抑えられるようになった。
工場内の気温は7度も下がり電気代は半分で済むようになった。
田んぼのコメは食用に販売もでき一石二鳥だと言う。
(酒造会社の経営者)
「工場での酒造りに良い効果が出ている。
 省エネで大幅に節約できた。
 『環境に良い』というイメージで消費者に受けるだろう。」

ビジネスにも生かして広がる屋上緑化。
中国にしっかりと根付くことになるのか。
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