たいへん面白く読みました。
「アート思考」というだけあって美術の本だと思いますが、
美術だけでなく、他のことにも応用のきく考え方を紹介している、と思います。
たとえば、1幅の絵があるとして、
僕らはそれを見て、「すばらしい」とか「上手い」とか、
「こんなの自分でも描けるんじゃないか」とか思いますよね。
しかし、そのとき僕らが見ているのは「作品」であって、
植物に例えるなら「花」なんですね。
「花」はそれのみで咲くことはできないのです。
まず「種」があって、それが芽を出し、地中に根を張り、枝葉を伸ばして、
やっと花を咲かせることが出来るのです。
花だけを見て、感想やウンチクを述べているのは、本当の意味で芸術を理解しているのではない。
花だけを上手に描くことは出来ても、それは「花職人」のなせる技であって、
真の「芸術」ではない、というのですね。
どうでしょう。なんとなく、もっともな気がしませんか?
恥ずかしい話ですが、僕自身も、その辺のことを理解しないまま、
自分の絵などをブログに掲載していたような気がします。
この本を読んだだけで、いきなり芸術家のように考えられるようになることは、難しいかもしれませんが…
でも、いろいろな意味で「気づき」のある良書だと思います。
お時間と興味が許しましたら、是非お読みになってみてください。