英語・ダイエット・その他徒然なるままに

趣味の英語学習(TOEIC 970点)やダイエットの成功談など、色々書いていきます。

基本を身につけるってどういう事?(3)

2016年05月28日 20時44分01秒 | 英語
休みですのでどんどんいきます。出典は前回記事と同書です。

(例2)実例を元に基本知識をより深められる例

Purchasers of GH automobiles are reminded that however unlikely the chances are of a breakdown, they are covered by a five-year guarantee.
(pp.151)

赤色が全部つながってしまいましたが、注意点は二箇所あります。まず1つ目は'are reminded that'の部分。

remindという動詞は”誰々に~を思い出させる”という意味だということはよくご存知だと思います。しかしこの例文、受験参考書なんかに出てくる例文とはちょっと違って、訳しにくいですよね。単純に”思い出さされています”なんてやってしまったのでは無茶苦茶です。

で、こういうのも日頃から英語に沢山触れていて勘の鋭い方は、「ひょっとして決まった言い方じゃないのか?」なんてことを思ったりすることができてしまうんです。で、もっと考えて、「何だか無理クリ受動態にしてる感が満載だな。ひょっとしてremindする主語の方をあえて表記しないために受動態にしているのではないか?だとすると、remindされる側に対する(表記していない主語側からの)注意喚起・アナウンス・お知らせ、みたいなものをやんわりと行っている、そんな感じじゃね?」と、そこまで頭が回ってしまうんです。結論からするとこれは決まりきった言い方なのですけど、英語に慣れてくるとたとえそれを知らなくても、これくらいの想像はできるようになってしまいます。

で、何だか調べてみる価値がありそうな用法だなってことで、ネット等で色々調べてみると、、、Passengers are reminded that ... ”(乗客に向けて)ご注意ください”みたいなアナウンスの用法が出てくるわけです。ああ、やっぱりな、と。そう、これは、GH automobilesの側からの、顧客(purchasers)に向けた注意喚起(アナウンス)なのです。おそらく契約の書面か何かに注意書きとして書かれているのでしょう。そういうセンテンスなのです。

重要なのは、普通の辞書や単語帳や参考書にはこのような用法が載っていないことが多いということです。なので、そういう物を勉強するだけではなかなかこういう用法に巡り合う機会がありません。しかし、英語の実例を注意深く観察する目が養われていれば、実例との出会いを元にして上のような調査を自分でやることで、 remind という単語に関する知識をさらに深めることができるのです。

次。however 形/副 S V という構文(たとえ~でも)はOKだと思いますが(実は出典元の問題はこのhoweverを選ばせる選択肢問題になっていました)、その後のthe chances are of a breakdown、この部分は一体何でしょうか?この英文の構造、説明できますか?なんだか奇妙ですよね。

で、are of という語順をそのまま素直に守って分析を試みると、

the chances are unlikely of a breakdown のunlikely(副詞)を譲歩したものではないか

という風にまずは考えると思います。この案の正しさを証明するためには、chances are of a breakdown が正しい英語表現だということを示さないといけません。しかし、、”be of + 抽象名詞”というような用法はあっても、chances are of a breakdown とは言わなそうですよね。実際、そんな用例は探しても見つかりません。で、どうするか。。

頭をひねって考えるんですよ。要するに、言いたい内容はおそらく「故障の見込み」ということだろうと考えると、”普通は the chances of a breakdownって言うはずだよな”ということになりますよね。だとすると、上の言い方は一体何なのか?そう、”語順変動”が起きているんじゃないか?という想像が付きますよね。

でも、またまた受験参考書とかで勉強した事を思い出してみると、否定語が文頭に来たときの強制倒置による語順変動とか、仮定法のifを省略した時の倒置とか、文末焦点や強調のための主語と補語の倒置とか、そういうのは聞いたことがあるけど、上のような語順移動のパターンなんてみたことないよなー、本当にこんなのが許されるのかなー、となるわけです。基本的な参考書には書かれていない例ですよね。

で、私も色々調べてみた所、「実例解説 英文法」(中村捷、開拓社)という本に、”前置詞句の右方移動”という項目が載っていました。これも目的は文末焦点のためだったり、頭でっかちの英文を防ぐことだったりするのですが、要するにこのような前置詞句の移動が起こることがあるのです。結局、上の文は the chances of a breakdown are unlikely (unlikelyは形容詞)のunlikelyを譲歩した、

however unlikely the chances of a breakdown are

と本来なるべきところを、Sがあまりに頭でっかちで、かつ、故障という言葉を文末において強調するために、of a breakdownという前置詞句が後ろに回った、というのが正体だと思われます。

なんだかウダウダ書いてしまいましたが、英文の実例に沢山あたっていると、このような”教科書的でない”用例にしょっちゅう出くわすのです。今回の出典はTOEICの対策本ですが、たかがTOEICの対策本レベルの英語でも、こんな用例が満載なのです(必ずしも詳しい解説が載っているわけではないのですが)。他にも、このブログでもよく参照する「TOEIC Testプラス・マガジン」も、教科書的知識では一筋縄ではいかない(もちろん正しい英語ですよ)英文を沢山提供してくれるいい本です。

こういう、教科書からちょっとばかし逸脱しているような英語を目にして、それを機に改めて教科書に戻ってみて、分かっているつもりの知識をおさらいすることによって、今まで持っていた知識をさらに深いものにすることができるのです。こういう事も、実例に沢山あたっておかないと経験できないことです。

そういう意味で、TOEIC公式問題集はちょっと教科書的すぎるかなーという気がします。おや?と思うような表現にほとんど出くわしませんでした。


基本を身につけるってどういう事?(2)

2016年05月28日 14時40分32秒 | 英語
前回の続きです。前回は抽象的な物言いに終始してしまったので、今回は例を交えて、実戦力を磨くとはどういう事なのかをお話ししたいと思います。別に大した例ではありませんが、ちょうど今勉強している本の中で、「おや?」と思う箇所が立て続けに出てきたので、基本事項の暗記だけでこういうのが処理できるのか?という視点でお話しします。

以下、出典はすべて以前紹介した「TOEICテストBEYOND 990超上級リーディング 7つのコアスキル」(アルク)です(長げーな)。本来は選択式問題となっているものですが、正解を挿入した単なるセンテンスに変えさせてもらっています。

(例1)基本事項のちょっとしたアレンジ力が必要なケース

ビルの雨漏りが見つかったという話のあとで、以下の英文です。'these issues'とは雨漏りが見つかったという問題の事です。

Rather than fix these issues as they surface, it has been decided that we should replace the entire roof at the earliest opportunity.
(pp.153)

はい出ました。英文解釈における曲者中の曲者、as君の登場です。まあ、それほど難しい文ではないですし、言っていることは何となく分かるとは思いますが、この as の所でほんの一瞬たりとも混乱しない、余裕綽々なんて人は少数派ではないでしょうか。多くの日本人にとっていまひとつしっくりこない表現だと思います。

このasが接続詞だということはすぐに分かりますね。それが分かると、基本事項として、接続詞のasが表す意味には何があったかなー、と一生懸命思い出そうとするわけです。

限定、ちがうな、譲歩、これも違う。比例や様態でもない、、、と色々考えて、普通の感覚からすると、時(~する時。~しながらの方ではない)と理由、が最終候補として残る、という感じだと思います。はい、間違っていません。でも、「問題が表面化したとき」とか「問題が表面化したので」とそのまま訳を入れても、ちょっとしっくりこない感がありますよね。

それともう1つ構造的に気をつけないといけないのが、rather than は as以下の部分まで全てを含んでいるということに気づく必要があります。issuesの所で切ってしまってはいけません。fix these issues as they surfaceが一塊で、それ全体をrather thanが支配しているのです。どうしてそんな事が分かるの?と仰るかもしれませんが、私とて一発で分かっているわけではありません。 rather than がどこまでを支配しているのかなー、という事に対してちゃんと意識を働かせて、その区切りを頭の中で動かしながら、最適と思われる所を掴みとっているのです。こういう試行錯誤の能力も、読みながら身につけていくしかないですよね。

さて、ここまで考えて、asの基本用法を少し柔軟に解釈する頭があれば、「ああ、問題が表面化したからその場しのぎ的にそれを取り繕うというようなことは止めよう、と言っているのだな」ということがピンとくるのです。

このasについて”同時なのか理由なのか”を区別することはさして重要ではないと思います。どちらとも取っていい、きわめて微妙な位置にある as だと思います。まあ、asの大本質は”同時性”であって、”理由”というのも同時の一種だとみなせることからも、本来”理由”と”時(同時)”はとても近いもののはずです。

(問題が起こった時に -> 取り繕う) => てなことを止めよう
(問題が起きたので -> それを取り繕う) => てなことを止めよう

ほとんど同じですよね。で、大事なのは、実戦問題の中でのこういう体験を自身の中でどのように総括しておくか、なのです。この問題に関していえば、”問題がsurfaceするということと、それをfixするということを同時にやるということが本質的な意味になっている”という感覚をしっかりつかんで、あとは”問題が表面化したからその場凌ぎ的にそれを取り繕う”くらいの、日本語の世界でしっくりくる表現を思い浮かべることができればいいんだな、という風に肝に銘じておけばいいのです。上の1つめの矢印が”その場しのぎ的”なニュアンスになっているんです。そして、その最初の矢印で結ばれている内容全体を受けて、それを止めよう(二重線矢印)と言っている、そういう構造です。

同時性を表すasの1例であるこの例文をみて、日本語でいうところの”その場しのぎ的なニュアンス”、それを思い浮かべることができるか否か、それがここでいう所の”基本事項のアレンジ力”です。基本事項はasの同時性だけなんですけど、(問題が)surfaceして、それをfixする、その2つの用語が同時、という組み合わせになることで”その場しのぎ的”なニュアンスが醸し出されていることを感じとることができるか?ということですね。”同時”が何を生むのか、状況によって色々なケースがあるわけで、それらに上手く対応できて初めて”本物の基礎力”なのです。

基本事項の丸暗記の徹底、それだけでこんなこと、できるようになるわけないですよね。じっくり読んで、じっくり考える、そういう営みを通してしか養成されない能力じゃないですか?ひょっとすると、「asの本質は同時性にあり」という根本の事が理解できていればそれであらゆる英文が読めてしまうのだ、というような事を仰る英語の先生がいらっしゃるかもしれません。確かに、今回私自身もこのasの同時性をこの英文の解釈の出発点にしています。しかし、それさえ知っていればいかなる場合も大丈夫、というのは私は言いすぎだと思います。もちろん語彙の根幹を理解しておくのは強力な武器ではありますが、やはり、実際の場面でそれを使って状況に応じた最適な解釈を行う練習を積まないと、確固たる力にはならないと思います。結局それを実際に行うことが難しいのですから。暗記の内容をいくら工夫したところで、実際に英文を読む練習はやっぱり避けては通れないわけです。

で、こういう頭の訓練を「面白い」と思える人になってもらいたいんですよ。やれ1パッセージ何分で読めとか、パラグラフリーディングとか、スラッシュリーディングとか、、、そんなの、クソみたいな低レベルな話だと思いませんか?

長くなったので、次回以降に続きます。他の例を取り上げていきます。