休みですのでどんどんいきます。出典は前回記事と同書です。
(例2)実例を元に基本知識をより深められる例
Purchasers of GH automobiles are reminded that however unlikely the chances are of a breakdown, they are covered by a five-year guarantee.
(pp.151)
赤色が全部つながってしまいましたが、注意点は二箇所あります。まず1つ目は'are reminded that'の部分。
remindという動詞は”誰々に~を思い出させる”という意味だということはよくご存知だと思います。しかしこの例文、受験参考書なんかに出てくる例文とはちょっと違って、訳しにくいですよね。単純に”思い出さされています”なんてやってしまったのでは無茶苦茶です。
で、こういうのも日頃から英語に沢山触れていて勘の鋭い方は、「ひょっとして決まった言い方じゃないのか?」なんてことを思ったりすることができてしまうんです。で、もっと考えて、「何だか無理クリ受動態にしてる感が満載だな。ひょっとしてremindする主語の方をあえて表記しないために受動態にしているのではないか?だとすると、remindされる側に対する(表記していない主語側からの)注意喚起・アナウンス・お知らせ、みたいなものをやんわりと行っている、そんな感じじゃね?」と、そこまで頭が回ってしまうんです。結論からするとこれは決まりきった言い方なのですけど、英語に慣れてくるとたとえそれを知らなくても、これくらいの想像はできるようになってしまいます。
で、何だか調べてみる価値がありそうな用法だなってことで、ネット等で色々調べてみると、、、Passengers are reminded that ... ”(乗客に向けて)ご注意ください”みたいなアナウンスの用法が出てくるわけです。ああ、やっぱりな、と。そう、これは、GH automobilesの側からの、顧客(purchasers)に向けた注意喚起(アナウンス)なのです。おそらく契約の書面か何かに注意書きとして書かれているのでしょう。そういうセンテンスなのです。
重要なのは、普通の辞書や単語帳や参考書にはこのような用法が載っていないことが多いということです。なので、そういう物を勉強するだけではなかなかこういう用法に巡り合う機会がありません。しかし、英語の実例を注意深く観察する目が養われていれば、実例との出会いを元にして上のような調査を自分でやることで、 remind という単語に関する知識をさらに深めることができるのです。
次。however 形/副 S V という構文(たとえ~でも)はOKだと思いますが(実は出典元の問題はこのhoweverを選ばせる選択肢問題になっていました)、その後のthe chances are of a breakdown、この部分は一体何でしょうか?この英文の構造、説明できますか?なんだか奇妙ですよね。
で、are of という語順をそのまま素直に守って分析を試みると、
the chances are unlikely of a breakdown のunlikely(副詞)を譲歩したものではないか
という風にまずは考えると思います。この案の正しさを証明するためには、chances are of a breakdown が正しい英語表現だということを示さないといけません。しかし、、”be of + 抽象名詞”というような用法はあっても、chances are of a breakdown とは言わなそうですよね。実際、そんな用例は探しても見つかりません。で、どうするか。。
頭をひねって考えるんですよ。要するに、言いたい内容はおそらく「故障の見込み」ということだろうと考えると、”普通は the chances of a breakdownって言うはずだよな”ということになりますよね。だとすると、上の言い方は一体何なのか?そう、”語順変動”が起きているんじゃないか?という想像が付きますよね。
でも、またまた受験参考書とかで勉強した事を思い出してみると、否定語が文頭に来たときの強制倒置による語順変動とか、仮定法のifを省略した時の倒置とか、文末焦点や強調のための主語と補語の倒置とか、そういうのは聞いたことがあるけど、上のような語順移動のパターンなんてみたことないよなー、本当にこんなのが許されるのかなー、となるわけです。基本的な参考書には書かれていない例ですよね。
で、私も色々調べてみた所、「実例解説 英文法」(中村捷、開拓社)という本に、”前置詞句の右方移動”という項目が載っていました。これも目的は文末焦点のためだったり、頭でっかちの英文を防ぐことだったりするのですが、要するにこのような前置詞句の移動が起こることがあるのです。結局、上の文は the chances of a breakdown are unlikely (unlikelyは形容詞)のunlikelyを譲歩した、
however unlikely the chances of a breakdown are
と本来なるべきところを、Sがあまりに頭でっかちで、かつ、故障という言葉を文末において強調するために、of a breakdownという前置詞句が後ろに回った、というのが正体だと思われます。
なんだかウダウダ書いてしまいましたが、英文の実例に沢山あたっていると、このような”教科書的でない”用例にしょっちゅう出くわすのです。今回の出典はTOEICの対策本ですが、たかがTOEICの対策本レベルの英語でも、こんな用例が満載なのです(必ずしも詳しい解説が載っているわけではないのですが)。他にも、このブログでもよく参照する「TOEIC Testプラス・マガジン」も、教科書的知識では一筋縄ではいかない(もちろん正しい英語ですよ)英文を沢山提供してくれるいい本です。
こういう、教科書からちょっとばかし逸脱しているような英語を目にして、それを機に改めて教科書に戻ってみて、分かっているつもりの知識をおさらいすることによって、今まで持っていた知識をさらに深いものにすることができるのです。こういう事も、実例に沢山あたっておかないと経験できないことです。
そういう意味で、TOEIC公式問題集はちょっと教科書的すぎるかなーという気がします。おや?と思うような表現にほとんど出くわしませんでした。
(例2)実例を元に基本知識をより深められる例
Purchasers of GH automobiles are reminded that however unlikely the chances are of a breakdown, they are covered by a five-year guarantee.
(pp.151)
赤色が全部つながってしまいましたが、注意点は二箇所あります。まず1つ目は'are reminded that'の部分。
remindという動詞は”誰々に~を思い出させる”という意味だということはよくご存知だと思います。しかしこの例文、受験参考書なんかに出てくる例文とはちょっと違って、訳しにくいですよね。単純に”思い出さされています”なんてやってしまったのでは無茶苦茶です。
で、こういうのも日頃から英語に沢山触れていて勘の鋭い方は、「ひょっとして決まった言い方じゃないのか?」なんてことを思ったりすることができてしまうんです。で、もっと考えて、「何だか無理クリ受動態にしてる感が満載だな。ひょっとしてremindする主語の方をあえて表記しないために受動態にしているのではないか?だとすると、remindされる側に対する(表記していない主語側からの)注意喚起・アナウンス・お知らせ、みたいなものをやんわりと行っている、そんな感じじゃね?」と、そこまで頭が回ってしまうんです。結論からするとこれは決まりきった言い方なのですけど、英語に慣れてくるとたとえそれを知らなくても、これくらいの想像はできるようになってしまいます。
で、何だか調べてみる価値がありそうな用法だなってことで、ネット等で色々調べてみると、、、Passengers are reminded that ... ”(乗客に向けて)ご注意ください”みたいなアナウンスの用法が出てくるわけです。ああ、やっぱりな、と。そう、これは、GH automobilesの側からの、顧客(purchasers)に向けた注意喚起(アナウンス)なのです。おそらく契約の書面か何かに注意書きとして書かれているのでしょう。そういうセンテンスなのです。
重要なのは、普通の辞書や単語帳や参考書にはこのような用法が載っていないことが多いということです。なので、そういう物を勉強するだけではなかなかこういう用法に巡り合う機会がありません。しかし、英語の実例を注意深く観察する目が養われていれば、実例との出会いを元にして上のような調査を自分でやることで、 remind という単語に関する知識をさらに深めることができるのです。
次。however 形/副 S V という構文(たとえ~でも)はOKだと思いますが(実は出典元の問題はこのhoweverを選ばせる選択肢問題になっていました)、その後のthe chances are of a breakdown、この部分は一体何でしょうか?この英文の構造、説明できますか?なんだか奇妙ですよね。
で、are of という語順をそのまま素直に守って分析を試みると、
the chances are unlikely of a breakdown のunlikely(副詞)を譲歩したものではないか
という風にまずは考えると思います。この案の正しさを証明するためには、chances are of a breakdown が正しい英語表現だということを示さないといけません。しかし、、”be of + 抽象名詞”というような用法はあっても、chances are of a breakdown とは言わなそうですよね。実際、そんな用例は探しても見つかりません。で、どうするか。。
頭をひねって考えるんですよ。要するに、言いたい内容はおそらく「故障の見込み」ということだろうと考えると、”普通は the chances of a breakdownって言うはずだよな”ということになりますよね。だとすると、上の言い方は一体何なのか?そう、”語順変動”が起きているんじゃないか?という想像が付きますよね。
でも、またまた受験参考書とかで勉強した事を思い出してみると、否定語が文頭に来たときの強制倒置による語順変動とか、仮定法のifを省略した時の倒置とか、文末焦点や強調のための主語と補語の倒置とか、そういうのは聞いたことがあるけど、上のような語順移動のパターンなんてみたことないよなー、本当にこんなのが許されるのかなー、となるわけです。基本的な参考書には書かれていない例ですよね。
で、私も色々調べてみた所、「実例解説 英文法」(中村捷、開拓社)という本に、”前置詞句の右方移動”という項目が載っていました。これも目的は文末焦点のためだったり、頭でっかちの英文を防ぐことだったりするのですが、要するにこのような前置詞句の移動が起こることがあるのです。結局、上の文は the chances of a breakdown are unlikely (unlikelyは形容詞)のunlikelyを譲歩した、
however unlikely the chances of a breakdown are
と本来なるべきところを、Sがあまりに頭でっかちで、かつ、故障という言葉を文末において強調するために、of a breakdownという前置詞句が後ろに回った、というのが正体だと思われます。
なんだかウダウダ書いてしまいましたが、英文の実例に沢山あたっていると、このような”教科書的でない”用例にしょっちゅう出くわすのです。今回の出典はTOEICの対策本ですが、たかがTOEICの対策本レベルの英語でも、こんな用例が満載なのです(必ずしも詳しい解説が載っているわけではないのですが)。他にも、このブログでもよく参照する「TOEIC Testプラス・マガジン」も、教科書的知識では一筋縄ではいかない(もちろん正しい英語ですよ)英文を沢山提供してくれるいい本です。
こういう、教科書からちょっとばかし逸脱しているような英語を目にして、それを機に改めて教科書に戻ってみて、分かっているつもりの知識をおさらいすることによって、今まで持っていた知識をさらに深いものにすることができるのです。こういう事も、実例に沢山あたっておかないと経験できないことです。
そういう意味で、TOEIC公式問題集はちょっと教科書的すぎるかなーという気がします。おや?と思うような表現にほとんど出くわしませんでした。