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抽象的な文章の難しさ

2020年05月05日 15時33分06秒 | 勉強一般
思考訓練の場としての英文解釈に少しずつ取り組んでいますが、思ったほど辛くないので安堵しています。文字が小さく分量も多いので全部こなすには相当な時間が必要になると思われますが、難しいか難しくないかと問われれば、大して難しくはないです。

英文の構造が取れないということはほとんどない。難しいのは、語彙。と言っても、別に知らない単語がたくさん出てくるとかそういうことではなくて、自分が知っている意味(訳語)を当てはめてもしっくりこず、いま一つ何を言っているのか良く分からない。そういう類の難しさです。昔の大学入試だけあってかなり抽象的な内容の英文ばかりなので、こういうことが起きやすいのだと思います。

こんなことを言うと専門家に怒られるかも知れませんが、言語学で言うところの「アドホック概念構築」の話が主に関係しているのではないかと。アドホック概念構築とは、簡単にいうと、単語の意味というのはその単語が出現した文脈に応じて自在に変化するということです(だから、アドホック)。例えば、「空っぽ」という単語も、本当になにも存在していない”真空”というような意味になることもあれば、「グラスが空になったからもう1杯ついで」というような場合の”空っぽ”は、”一定量以下の液体しか入っていない状態”というような意味になります。”空っぽ”が厳密に意味する所は文脈によって変わるということです。

抽象度が高い文章を読むとき、この能力が非常に問われます。これは日本語でも同じです。難しい文章を読んでいるとき、知っている語彙でも、「何を言い表しているのかいま一つ分からない」という状態に陥ることが多いですよね。文脈があまりに高度で非日常的であるために、それぞれの語彙の解釈においても深い洞察が必要とされるのです。本当の所はおそらく、人間の思考の幅よりも用意されている語彙が少ない、ということなのでしょうけど。要するに同じ語彙でも(やむなく)色々な役割を演じる可能性があるため、読む側にはそれを柔軟に捉える能力が求められるのです。

ある語彙に対して、それが何を意味しているのかの解釈を自分の頭でどこまで柔軟に振らせることができるか。こんな能力は、とてもじゃないけど英単語集を暗記して身につくようなものではありませんよね。小さい頃からの読書量、それによってできあがった頭のレベル、最終的にはそういう問題になってくるのです。もちろん、語法的な知識の問題(可算のときと不可算のときとでどのような意味になるかとか)の場合もあり、そんなのはまあ単なる知識の話なんですけど、それよりもっと高度な話になると、とてもじゃないけど一朝一夕には解決しません。

英語学習にプラグマティズムが強く求めるられるようになった昨今では、あまり求められない能力かも知れません。文法的に、そして、せいぜい語法的に英文を正しく捉えることさえできれば、何を言っているのかはバカでも分かる。そういう英文しか読ませられなくなっています。

あー、だから”思考訓練”なんですね。納得。