英語・ダイエット・その他徒然なるままに

趣味の英語学習(TOEIC 970点)やダイエットの成功談など、色々書いていきます。

本物の語彙力

2016年05月23日 01時29分49秒 | 英語
英単語の話が出たので、関連して、最近の勉強の中で思ったことを。

今、リーディングの勉強として「TOEIC テストBEYOND990超上級リーディング7つのコアスキル」(アルク)という本をやっているのですが、練習問題の中にちょっと悩ましいものがありました。

問題をそのまま引用すると長くなるので概略だけ説明すると、ある投資会社の人がコンサル会社に対し、自社のコンピュータネットワークを更新するのにどこの会社に頼むのがいいか?という質問をしたという経緯を踏まえ、コンサル会社の人がそれに対して電子メールで行った回答(この会社がいいよ、と推薦している)が問題文として掲載されている問題があります。それで、設問として、「コンサル会社の人が投資会社の人にコンタクトしている理由はどれか?」というのがあり、以下のような選択肢が並んでいます。

(A) To advertise his services.
(B) To nominate an execute.
(C) To share some expertise.
(D) To recommend a network system.
(出展は同書:pp.113)

A, Bは簡単に除外できますが、私はCとDのどちらにするかを非常に迷いました(ちなみに、問題文の英語は非常に簡単で、ここで迷うことはありません。問題文自体は100%完全に読めています)。

Dは、ネットワークの”会社”ではなく”system”となっている所がひっかかりますし、CはCで、expertise(専門知識)という単語のニュアンスからして、「たかが会社の紹介程度のことを専門知識なんて言うか!?」という疑問があり、どちらにするか決めかねたのです。で、Dを選んでしまって、見事に間違えました。正解はCだそうです。

この本自体は実際のTOEICよりも難しめに問題を作っていると思われるので、このようなレベルの問題が実際のTOEICに出るのかどうかは私には分かりません。しかし、実際のTOEICのパート7でやらされる営みはまさにこのような問いに答えていくことです。なので、こういう問題に確実に正答するためにはどのような能力が必要なのか、こういう演習を通してよーく考えておくことが大事です。

非常に悩ましい問題、人によっては悪問呼ばわりする方もいるかもしれません。何が悩ましいのか?要は、Dのsystemという言葉と、Cのexpertiseという言葉と、”どっちの方がより許容できるのか?”その判断力が問われている問題だということです。私はその判断を正しく行うことができなかったと、そういうことです。

はい、今、”悩ましい”と書いてしまいましたが、英語が本当に分かっているネイティブレベルの人がこの問題を見たときにもはたして”悩ましい問題だ”と思ってしまうのでしょうか?

要は、expertiseという単語をどれくらい自分のモノにできているか、ということだと思うのです。ほとんどの日本人は、expertiseという単語を「専門知識」という日本語訳で覚えてしまっているでしょう。expertiseという単語をそのように理解・記憶してしまっている限り、この問題は”悩ましい問題”になってしまうと思います。しかし、色々調べていくと、expertiseという単語には”ノウハウ”みたいな意味もあって、日本語の”専門知識”よりももう少し広い範囲の意味をカバーしているようです。この事がちゃんと分かっている人にとっては、C(ノウハウを共有するため)を選ぶことはさほど難しくはないと思われます。

いかがでしょう。。。なんだが溜息が出ちゃいますね。この問題を何の躊躇もなく一瞬で正答するためには、expertiseという英単語をこれくらい正確に理解できてないと駄目なんです。もちろん、それができていなくても、system, の方により強烈な違和感を(たまたま)感じることができて正答できてしまう”幸運な”方もいらっしゃるでしょう。しかし、本当の実力者は、expertiseという単語の意味の守備範囲を正確に理解していて、これとsystemという単語のズレ具合とを比較して、その結果、Cの方が全然マシだと判断してしまえる、ということだと思うのです。なので、本物の英語力を持った人にとっては、この問題は全然悩ましい問題でも悪問でもないのです。

TOEICのリーディングセクションで問われる能力は様々ですが、これなんかはそれらの中でも最高級の部類に属する能力が問われている問題でしょう。問題文が読めた、読めないで一喜一憂する人が多いですが、短い短い設問文の中でも、高い精度の英語力が問われることがあるのです。

こういう問題こそが、”そう簡単に満点を取らせないための問題”なのでしょうね。なんだか、前回の記事と内容が矛盾している所もあるような気がしますが(すいません)、語彙にこだわるのなら本当はこのレベルまで極める、いや、極めるまではいかなくても、こういう所にまで気を配る勉強をしないといけないのです。本当は、ね。なので、別に英単語帳を使って勉強することを否定はしませんけど、”本物の語彙の勉強はそんなものじゃないよ”ということを、少しは意識しておいてほしいのです。容易なことではないですが、まあ、受験を直前に控えたギリギリの状態の人はともかくとして、中学生とか高1生とか、まだまだ時間に余裕のある人はすこしでも”高級な”勉強を心がけた方が将来のためです。もちろん、TOEIC 950を目指す社会人も、それくらいの志はあった方がいいでしょう。


もうちょっと書きたいことがあるのですが、長くなるので今回はこれで終わりにします。