先日ヤフオクで落札した石印材が届きました。
このブログでは篆刻と石印材はもはや不可欠となり、ワタシの篆刻作品はともかくとして、石のコレクションと印材の種類については専門家に通じるような道を歩みたいと願っています。残念ながら昨今の円安により希少な石・古い銘刻印の暴騰で手が出ません。私財をなげうって片端から高価・高級な印材をかき集めるといった暴挙に出たとしたら、老後あるいは死後に身内から罵倒され、お墓にも入れてもらえなくなる懸念があるので、そこは慎重に自粛しております。
さて、入手した石の一つは「鶏血石」のような未刻印であります。
鶏血石は、三宝と呼ばれる印材「田黄石・芙蓉石・鶏血石」の一つで、非常に高価に扱われてきました。前者二つが福建省の寿山系の石であるのに対して鶏血は主として「昌化石」の一種として扱われています。浙江省杭州市臨安区周辺で採石され、刃が立たないほど硬い、部分的にせよ赤い血のような層や波紋が入るというのが特徴であります。
既に持っているワタシのコレクションの一部がコレ
値札のシールのように、一時は小さなものでも数万円したようです。
上のものは比較的大きく、時代が新しいとか鶏血石としてはやや下品とみられるものかもしれません。
こちらも鶏血石としていいのですが、左の石は産地が異なるかと思います。右の葉「全紅」に近いような堂々とした石ですが、これもどのくらいの価値になるのかは正直わからないのであります。
さて今回入手した一番上の写真の石は血の色ではありません、どちらかと言えば紫色であります。落札額は4500円。明らかに硬度が高く、昌化石の一種とみておりますが厳密には鶏血石と言えないかもしれません。ただ出典は定かではないのですが、何かの専門誌で「希少な銘石」として紹介されていたような気がするのであります(笑)。まぁそのうち何かの拍子に見つかるでしょう。この色の石は手元にないので、コレクションが増えたとして喜んでおります。
もう一つの古印が今回の目玉であります。
出品時の説明文には「寿山石 石井雙石の作品だと思う。元々山田寒山が篆刻したのを改刻したのではないか」というくだりがありました。
側款には「寒山」と「雙石」の刻が読み取れます。
もし、それが本当なら大変な値打ちものなのです。
山田寒山(1856-1918年)曹洞宗の僧侶・篆刻家さんで、明治の初期に才能を発揮し、多芸多才ながら清貧に甘んじたとされています。
一方、石井雙石先生(1873-1971年)、昭和期の日本の篆刻家・書家で、宗像志功さんや東京都知事などの印を彫ったことで知られる有名な昭和の大篆刻家であります。
また、石材には非常に丁寧で芸術的な龍を彫った「紐」(持ち手の飾り彫)があります。経年相当にアタリやすれがあって大変残念なのですが見事なものなのです。石自体は分類上「水晶凍」に該当すると思います。透明度が高い黄色や黄金色の美しい石です。この石は、全体的には3種ほどの多彩な層があって、上部の紐だけが水晶凍の特徴を有しています。もしかするとその近種である「桐油凍」と言われる石かもしれません。
非常に貴重な石で色調に変化が多いものですが、これは私も持っていないのです。
いずれにせよ、1万円足らずで入手した今回のこの石は、ちょっとやそっとでは手に入らない大変価値がある逸品ではなかろうかと思います。
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