人生長くなると、痛恨の出来事・大失敗というのに遭遇することは仕方ありません。運の悪い人は、ただ一回のちょっとした不注意や過ちで人生を棒に振ったり時として命を失うこともあります。
たまたま数日前、ワタシが信号待ちしている交差点で、赤の信号なのに、猛然と突っ込んできてマイカーの右側をすれ違いました。それから10秒近くは赤のままでしたから、もし交差する青信号の道路から車が走行してきていたら間違いなく大事故になったでしょう。その軽自動車の運転手は赤信号に気づかなかったか、無視したかのいずれでしょうが、運がよかったに過ぎないのです。
失敗というのは、不注意や想像・思慮不足、そして運の悪さに起因することが多いのです。自分の半生を振り返ってみると、些細な失敗や、自分にとって都合が悪いのは大半を忘れております。あるいは思い出したくないものは記憶という沼の底に沈めていますが、それでもなにかの拍子に泡のようにぽっこり水面に浮き出してくることもありますね。
だいたい起きる大きな失敗は、事故・けが・病気・財産を失うといったことで、堅気の人間にとって犯罪とは無関係の事柄が大半であります。ワタシは数少ない自慢の一つが、刑事事件や明確な脱法行為を起こさず、検挙されたり警察の厄介になったりすることが無かったということであります。前科なしと胸を張れます。東名高速を夜中にぶっ飛ばして、一発免停を食らったことが一度ありましたが、まぁ交通違反程度は失敗に入らぬ、勲章みたいなものですか(笑)
車で言えば、若いころ銀行で外回りをしていて、信号のない交差点で出合い頭の衝突、高速道路で、自分の前で急に車線変更したほかの車をよけようと側壁にぶつかるという自損事故を起こしたくらいでお、基本的に人身事故には至っておりません。そもそも痛いのが嫌い、骨折など考えるのも嫌で「スキー」などけがをしそうなスポーツやレジャーを徹底的に回避してきた結果、いまだに明確な骨折をしたことはありません。
仕事上でも、多少抜けたぼんやりで約束を失念する程度の事はあっても致命的なミスで会社や顧客に迷惑をかけたことはなかった(はず)のでありました。多分、目立つ蛮勇とか先頭切って仕事をするといった指導力や出世欲が無くて、手柄を立てようというスケベ根性もなかったせいでしょうか。私生活でもさほど後世に残るような失敗談はありません。
ただし、お金にまつわる判断ミスは幾度も冒しました。ワタシが銀行に入行してから10年ほどが日本経済が急上昇し、バブルに突入しました。その時周囲の行員からお得意先まで、ちょっとお金を動かすことを知っている人、ある程度の信用力があった人たちはほぼ例外なくバブル時代の恩恵とダメージ両方を味わっているはずです。どんなかたちにせよほとんどの日本人はバブル時代の影響を被っているのです。
不動産や株を高く売ることが出来て一時的に利益が出たことは忘れ、ゴルフの会員権などで多額の借財をつくったことは一生忘れません。そんないくつかの失敗や経験から、だんだんと慎重で消極的、現状維持の生活重視という風に改心したのは50歳になったころからでしょうか。
しかし、それはある意味幸運であったともいえるのです。いくつかの事故、投資の失敗は一つ間違えば家族離散や「かたわ」になったかもしれないと思いますね。
少し話が飛びます。ワタシの高校時代は、九州の片田舎ながら県下の俊英が集まる一番の進学校でありました。T大や医学部に入学した学友だけで5~60人はいました。そうした頭脳明晰な同級生の中でぼんやりと受験時代を送った凡才のワタシでありましたが、なぜか最近は、そうした優秀だった仲間とゴルフ等でプライベートなお付き合いをすることが増えてきたのです。
そんな仲間同士でlineやらで世間話や情報交換するうち、ワタシはとんでもない思い違いをしていたことが判明しました。高校時代に京都へ修学旅行に行った、と数十年思っていたのに、実は修学旅行自体開催されたことはなく、唯一日帰りで「九重連山のほうでキャンプ」をしたらしいのです。全く覚えておりません。行かなかった旅行を行ったと思い込み、出かけたキャンプの事はきれいに忘れ去る、この程度(欠陥と言ってもいい)の記憶力ならば、彼らに伍して難関大学に受かるはずもなかったのだと妙に納得しているのです。
そして、その仲間たちと今月末に栃木の那須高原に参集し、ゴルフとバーベキューをやる運びになっております。ワタシは、自分が参加できる方に入っているかが定かでなかったので心配になって、lineで尋ねたのでありました。すると東京工業大学卒の秀才K君(この会の世話人)が、1週間ずれた(間違えた)スケジュール表を送ってきました。彼は同級生のK君(T大卒)、が誕生日だと知って「何歳になったん?」と書き込んできました。K君もだいたい70歳かのー、と思っていたと答えてきました。
同級生なら、みんな同い年じゃが!68歳だろうが、と即座に書き込んだワタシの常識人としての面目躍如であります(笑)。
記憶力・判断力・理解力・注意力それぞれ同じ頭の中ながら、それぞれ独立した別ものであろうと思います。後天的だろうと先天的だろうと、おツムのいいやつがみんな兼ね備えていると思うのは間違いです。
件のK君は、T芝かどこかのシステムエンジニアとして大変優秀であったと聞きます。今は某病院の介護施設の経営・理事長を務めています。しかし、旅行で意気と帰りの飛行機のチケットをANAとJALを別々に旅割で予約したまでは良かったのに、帰りに飛行場に行って登場しようとしたら予約が無いと言われた由。彼は往復ではなく、羽田→福岡と「往往」を予約していたそうです。
彼はさらにもう少し前には、ほかの団体ツアーの予約を仕切っていて、チケット予約に女性のメンバーを男性と登録したため、結局5万円ほど追加料金を払う羽目になったとか。これはもう「不注意」、物事の再確認不足であります。ワタシのような心配症で、自分に自信が無い人間は、チケットレスでも何でも幾度も確認します。完璧で優秀だと思っている人は、自分がそんなケアレスミスはしないと思っているので、見直そうとか再確認しようとか思わないのかもしれませんね。ちなみにT芝が業績悪化し身売りするような事態に陥ったのは、K君が影響しているのかも・・・それは無いか(笑)。
かといって、ワタシが失敗しない人間かといえば、さにあらず、かなりの失敗を繰り返しているのであります。覚えていないだけ、そんなところでありましょう。ワタシが犯した人生最大の失敗の一つは、ちょっとした不注意で「LINE」のアカウント喪失に伴う「ツムツム」の初期化→レベル0戻った大事件でありましたな。