国際結婚はたいへんだった(第2章)

ボリビア人女性との国際結婚に至るまでの道のりを記録するために立ち上げたブログです。最近は妻との日常生活を綴っています。

石黒一雄さん

2022-05-27 | 日記
(タイトルですが、漢字では本当にそう書くみたいです。)

以前ここなどに書いたように、私はベストセラーとか文学賞受賞という理由で本を手に取ったりはしない人間なのですが、つい最近この記事を読んで気になったため衝動買いしてしまいました。(ブックオフオンラインには在庫なし。アマゾンも送料を入れると文庫でも単行本でも600円近くになってしまうので、この価格で入手できたのは満足です。出品者も中古を買ったようですから、少しでも金になったことで同様でしょう。→追記:冷静に考えたら税込682円の中古本なので決して安いとはいえません。しかもカバーには「定価:本体552円(税別) 」とありました。早まったな。)

ここで件の賞の受賞作(&最終候補作)一覧を見てみました。やはり英国の文学賞だけに、そもそも日本語に翻訳されたものが少ない。ということで、私がこれまで読んだことのあるものは僅かに2作でした。(それら以外にナイポールとアチェベは他作を読んでいます。あと言いたいのは1984年受賞作の著者、アニタ・ブルックナー。私が最も敬愛する作曲家と同姓ゆえ、ヤフオクの検索でしょっちゅう「秋のホテル」が出てきてウンザリさせてくれました。ついでにイチャモンですが、原題 "Hotel du Lac" は誰がどう訳しても「湖のホテル」か「湖畔のホテル」にしかなり得ない。私は琵琶湖の北にある高級宿泊施設を即座に連想しました。「秋」なんかどこにもないだろう!)

さて、そのうちの最初が1989年受賞作の「日の名残り」でした。たしかブックオフ店頭(100円コーナー)で「おっ、日系人の書いた小説か」と思って手に取ったはず。その時点ではブラジルかペルー生まれの作家と勘違いしていました。そして期待外れの結果に。南米の話を期待して読み始めたのに、実際には英国の回想録と判って梯子を外された思いでしたが、ストーリーもまるで盛り上がりに欠け(ドンデン返し的結末の章も一部あったものの)、最後まで消化不良のまま、というか途中で放り出したくなったのを我慢して何とか読了した記憶があります。その次もタイトルだけで手を出した「浮世の画家」(1986年候補作)ですが、こちらはどんな話だったのかも忘れてしまいました。イシグロ氏を特集したNHK教育の番組を過去に何度か観たことがあり(注)、そのインタビューでの受け答えはとても面白いのに、肝心の作品はどうしてあんなに退屈なんだろうと不可解でしたが、要は相性の問題なのでしょうね。(注:その中には2005年の最終候補作に残った「わたしを離さないで」もあり、その番組および小説の筋書きには興味を抱きましたが、未だに手を伸ばす気になれないでいます。映画やドラマにもなっているようですが、それらも私はまず観ないですからね。たぶんこれからも。)

英国のクラシック音楽がまさにそうだからです。たぶんポピュラーの方は違うのでしょうが、エルガーであれブリテンであれ、一度耳にしたら忘れないようなメロディ(例:ドヴォルザーク)がある訳ではなし、ドラマティックな展開(例:ベートーヴェン)が待っている訳でもなし。私の耳にはノッペリしているように、メリハリが不足しているように聞こえて仕方がありません。そういえば日本では今や英国音楽のスペシャリスト、第一人者として知られている尾高忠明氏もBBCウェールズ交響楽団の首席指揮者に就任するまでは苦手としていたそうで、同国の作曲家による交響曲としては最も高い知名度と完成度を誇るであろうエルガーの第1番ですら嫌いだったと何かの番組で話していました。(たしか最初に聴きに行ったコンサートの曲目がそれで、隣にいた奥さんからも「あなた、あれ絶対振らないでね」と終演後に言われて肯いたとか。)けれども、後にこの曲を指揮することになった氏はその素晴らしさに開眼し、ついには英国エルガー協会より日本人初のエルガー・メダルを授与されるほどの熱心な伝道師になったそうです。そして私も遅ればせながらといった感じでまずディーリアス(盲目と全身麻痺に苦しめられた作曲家で、その作風を一言で表せばとにかく暗い)にはまりました。続いてヴォーン=ウィリアムズの交響曲全集(全9曲)もお気に入りに。映画「南極のスコット」の音楽を元に改作されたという第7番「南極交響曲」が切っ掛けとなりました。でもそのくらいですね。エルガーも主要オーケストラ作品集(5枚組)を一応持ってはいますが、積極的に箱を開けようとは思わないです。あっ、ホルストの「惑星」は別でした。あれは突然変異と言っていいぐらいに英国音楽の「地味」とか「渋い」といったイメージからはかけ離れており、交響曲以外の管弦楽曲としては我が国でも屈指の人気を誇るのもよく理解できます。
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1 Comments

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惜しい! (Yasuhiro)
2022-05-28 05:34:23
https://news.yahoo.co.jp/articles/77afc0448eb08a3d5cb67bc4adce4f0dcb69a5dc

先ほど朝刊で知りましたが、川上氏の "HEAVEN" が英「ブッカー賞」(正確には翻訳部門の「ブッカー国際賞」)の受賞を惜しくも逃したとのことです。
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