おおっ!
2020-05-17 | 日記
先ほどテレビ欄を見て思わず「おおっ!」と叫んでしまいました。将棋のNHK杯トーナメントは今年度の放送が延期され、アンコール放送が続いているのですが、今日は第38回加藤一二三九段×羽生善治五段、将棋ファンにとっては必見の一戦です。なぜそうなのかといえば、終盤で羽生五段(当時)が誰にも予想できなかった驚愕の一手を放ち、それが決め手となって快勝したからです。この「伝説の5二銀」については既にこちらなど、あちこちで解説されていますが、いわば「羽生マジック」のはしりといえるでしょう。(そしてそれが「藤井マジック」へと引き継がれています。)
私はこの対局をリアルタイムで(1988年に)、しかもその絶妙手が飛び出す少し前からテレビ観戦していましたが、空中に(タダで取られてしまうところへ)放り込まれた銀を見て「何ごとが起こったか!」と仰天したことを憶えています。なお解説していた故米長邦雄永世棋聖(後に日本将棋連盟会長)は「おー、やったやった!」と絶叫し、その声が対局者にもハッキリ聞こえたそうです。(後年の番組で「スタジオは防音がされていて普通なら解説室からの声が届くことはあり得ない。米長先生はよっぽど興奮したのではないか。」と羽生先生は笑いながら語っていました。)
そして敗れた加藤九段は今やタレントの「ひふみん」として有名ですが、その9年前のNHK杯の対大山十五世名人戦では、必勝の局面から三手詰めを見逃して(というより、わざわざ詰まされる手を選んでしまったため)大トン死するという離れ業をやってのけています。(これも家で観てひっくり返りました。)この人もやはり只者ではありません。この対局のビデオも残ってないのかな?
先日「最近のテレビは再放送ばっかし」とぼやきましたが、こういうのは嬉しいですね。
おまけ
こちらにその放送の解説室のやり取りを全て文字に起こし、続いて対局についての見解を延々と語っているページを見つけました。熱いです!
私はこの対局をリアルタイムで(1988年に)、しかもその絶妙手が飛び出す少し前からテレビ観戦していましたが、空中に(タダで取られてしまうところへ)放り込まれた銀を見て「何ごとが起こったか!」と仰天したことを憶えています。なお解説していた故米長邦雄永世棋聖(後に日本将棋連盟会長)は「おー、やったやった!」と絶叫し、その声が対局者にもハッキリ聞こえたそうです。(後年の番組で「スタジオは防音がされていて普通なら解説室からの声が届くことはあり得ない。米長先生はよっぽど興奮したのではないか。」と羽生先生は笑いながら語っていました。)
そして敗れた加藤九段は今やタレントの「ひふみん」として有名ですが、その9年前のNHK杯の対大山十五世名人戦では、必勝の局面から三手詰めを見逃して(というより、わざわざ詰まされる手を選んでしまったため)大トン死するという離れ業をやってのけています。(これも家で観てひっくり返りました。)この人もやはり只者ではありません。この対局のビデオも残ってないのかな?
先日「最近のテレビは再放送ばっかし」とぼやきましたが、こういうのは嬉しいですね。
おまけ
こちらにその放送の解説室のやり取りを全て文字に起こし、続いて対局についての見解を延々と語っているページを見つけました。熱いです!
ところで、この対局で敗れた加藤ひふみん(最初の中学生棋士)ですが、42歳(初挑戦から苦節22年)で名人位に就いた翌年、初挑戦の谷川浩司八段(2人目の中学生棋士)に敗れて失冠。また解説者を務めた米長邦雄永世棋聖は49歳で(7度目の挑戦にして)初めて名人位を獲得した翌年、これまた初挑戦だった羽生さん(3人目の中学生棋士)に敗れて防衛に失敗。ということで因縁を感じます。蛇足ですが、苦労の末にようやく名人位を手にしたベテラン棋士が翌年あっさりと天才若手棋士に奪われてしまうという点が共通しているので。(ちなみに、ひふみんが今も破られていない最年少記録の20歳3か月で名人に挑戦した時の相手は当時最強の大山康晴十五世名人で1─4の完敗でした。)
開幕が延期されている第78期名人戦は、初挑戦の渡辺明三冠 vs 豊島将之竜王名人という頂上決戦ですが、ともに早熟の天才棋士(4人目の中学生棋士と1年遅れながら16歳でプロ)という構図のみならず、挑戦者の方が6歳年上というのが大きく異なっています。
そして5人目の中学生棋士、藤井聡太七段の初挑戦(注)の相手は?(それがいつなのか、その時が八段位なのか、それとも他のタイトル保持者としてなのかはもちろん判りませんが、いずれ登場するものと勝手に決めています。)先述の両者のいずれかというのが常識的な線なのでしょうが、私としてはベテラン棋士が迎え撃つのを見てみたいですね。羽生さんの返り咲き、あるいは前期無念の(運悪く4勝5敗で)陥落となったあの「中年の星」の人とか・・・・
司会の永井英明氏は対局中も「何ですかこれは?」と驚きを連発していましたが、実は専門誌「近代将棋」の編集長を長年務められた強豪です。(おそらく視聴者目線で話すことに徹していたのでしょう。)その永井氏ゆえ、5二銀の直後に「ちょっとそこしばらく止めて下さい。もう一度見てみたいですよ。」と言われたのは、これが歴史に残る一手になると直観的に思ったからかもしれません。最後の最後、米長永世棋聖の「泣きたいとこだね。よく泣かなかったね。」というコメントにも笑えました。
今日のアーカイブは同じ年の大山十五世名人vs羽生五段戦。これも見逃せません。
なお私が使っているATOKでは「ふなり」を区切らずに変換できるのは「不成」のみ。だから間違えてしまったという訳。これから「歩成」も登録します。
ところで藤井七段といえば「羽生の5二銀」に匹敵するような絶妙手、鬼手を何度も指しており、既に1冊の本になるほどです。もうすぐ始まる棋聖戦でもマジックが見られるのか楽しみです。
コンピューターが当時の名人に勝った時には「将棋はもう終わった」などと言われましたが、決してそんなことはないです。少なくとも現在のAIでは人を感動させるような手は指せない。(逆にあり得ないような大ポカも。それはそれでドラマが生まれるのですが。)逆転の狙いを秘めた手が必要となる前に優勢を築き、そのまま勝ってしまいますからね。相撲に喩えたら全て寄り切りか押し出しで勝ってしまうようなもの。金を払ってまで観たいとは思わない。
連盟のサイトに出ていました。ところで記録を破られた屋敷九段もサバサバした様子でお祝いコメントを出していましたが、彼が棋聖戦2度目の挑戦で最年少タイトル獲得記録を樹立した時には信じられないようなドラマがありました。以下に詳しいです。
https://blog.goo.ne.jp/sharon106/e/c71eafda1d70f094cc319607e8f4d9df
https://blog.goo.ne.jp/handoroya/e/7d7fa9ca144183830b108947a4bf1d7c
https://umedamochio.hatenadiary.org/entry/20080205/p2
私もこれを「将棋世界」誌で読み体が震えました。(弟子の小林六段は「師匠もしょうがないな。自分の通夜を抜け出してきたりして....」などと思ったそうです。)大内九段がその手を知っていてとぼけていた、と冷めた見方をする人もいるようですけどね。