新型コロナウイルスの感染拡大に伴う臨時休校が長期化している自治体は、休校中の登校日を導入するなどの対応を取っている。感染リスクを下げるため人数を減らした分散登校をし、学習指導などを実施。文部科学省も感染防止と教育活動の段階的な再開の両立を促している。
5月末まで休校が続く大阪府立高校では13日、一部で分散登校が開始した。
府立夕陽丘高校(大阪市天王寺区)では1年生が登校。生徒の密集を防ぐため、学級約40人を13~14人の3グループに分けて登校時間をずらし、教室内でも前後左右の席を空けるなどの予防対策をとった。
同校は府内全域から生徒が通っており、電車通学する生徒もいる。岩元健教頭は「消毒や換気を徹底しているが心配はなかなかぬぐえない。安心してクラス全員がそろえる日が一日も早く来てほしい」と話す。
文科省は今月1日、休校中の学校運営の工夫を各教育委員会に通知した。
「感染症対策を徹底したうえで分散登校を行う日を設けることにより、段階的に学校教育活動を再開していくことが重要」などとして、学年やクラスで時間帯、曜日を分けるなどした分散登校日を設けることを推奨。登校日には授業を行うこともでき、歌唱指導など感染の可能性の高い活動は避けるなどの対策を示した。担当者は「感染状況や学校の規模に応じて、できることから始めていく必要がある」とする。
5月末まで休校する大阪府教育庁と大阪市教委は分散登校日を週1~2回で設定。教室の人数は15人程度を上限とし、授業は行わず、家庭での学習状況の確認や、新たな課題の配布などを行う。京都府教委は、各学校の判断で分散登校日を設定できるようにした。
このほか各自治体は、感染リスクをさらに下げる対策も実施している。大阪市教委の場合、生徒の学校での滞在時間を2時間以内と設定。教職員と児童生徒の検温、マスクの着用▽こまめな換気▽登下校の際に子供が密集しないよう動線を工夫▽メンバー入れ替え時のドアノブなどの消毒-なども徹底するよう各学校に通知している。
ただ、リスクをゼロにすることはできない。富山市立小学校では4月の登校日で同じクラスの児童ら計5人が感染したが、市教委は「机の間隔をあけるなど、できる限りの対策はしていた」と打ち明ける。
下校途中の飲食など学校外で感染リスクを高める可能性もある。大阪市教委は「まっすぐ帰宅するよう、学校から子供たちを指導する必要もある」とする。
小学校の学校医を務める「ゆきこどもクリニック」(大阪府八尾市)の神原雪子院長は「感染リスクがゼロになるのを待つとなると、いつまでも学校は始められない。子供のストレスも限界。手洗いなどの対策をするならば、学校に登校できる方が子供の心身の健康にいい」と話している。
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