ダムの訪問記

全国のダムと溜池の訪問記です。
主としてダムや溜池の由来や建設の経緯、目的について記述しています。

上日川ダム

2017-11-13 14:40:40 | 山梨県
2017年11月12日 上日川ダム
 
上日川ダムは山梨県甲州市塩山上萩原の富士川水系日川源流部にある東京電力リニューアルパワーが管理する発電目的のロックフィルダムです。
ダムの堤頂標高は1486メートルで南相木ダム、野反ダムに次いで日本で3番目に高所にあるダムとなっています。
オイルショックを契機に電力各社は火力偏重の発電体制を見直し、火力や原子力との連携が図れ余剰電力を有効利用できる揚水発電に着目します。
首都圏への人口集中や東京湾臨海部への工場集積を受け電力需要のピークが急上昇を続けていた東京電力も1980年代より積極的に純揚水発電所建設を進め、同電力4番目の純揚水発電所として1999年(平成11年)に葛野川発電所が完成します。
上日川ダムは同発電所の上部調整池として同年竣工し、下部調整池である葛野川ダムとの有効落差714メートルを利用して最大120万キロワットの揚水式発電を行っています。
この有効落差は国内水力発電としては最大です、また上日川ダムは富士川水系、葛野川ダムは相模川水系となっており、水系を超えた河川同士での揚水式発電となっています。
なお2020年(令和2年)の東京電力ホールディングスの組織改編により上日川ダム及び関連発電施設はすべて同社の100%子会社である東京電力リニューアブルパワー(株)に移管されました。 
 
国道20号線景徳院入口交差点から県道218号線を北に進むと上日川ダムに到着します。 
ダムに至る日川沿いには武田氏終焉の地である景徳院や竜神峡などの行楽施設があるほか、ダム直上の上日川峠は大菩薩嶺の登山口となっており、ダム周辺は山梨有数のアウトドアエリアとなっています。
天端のみ開放されており、左岸に管理事務所、駐車場があります。
管理事務所前の竣工記念碑。
 
左岸から下流面。
 
天端からは正面に富士山が見えます。
周辺のカラマツの紅葉も真っ盛り。
 
 
総貯水容量1147万立米のダム湖は大菩薩湖と命名され、その名の通りダム湖越しに大菩薩嶺を望めます。
ダム左岸に揚水発電用の取水ゲートがあります。
 
取水ゲートをズームアップ、実際の取水口は水中にあります。
 
 
右岸から下流面。
 
右岸の洪水吐斜水路。
 
横越流式洪水吐。
 
ダム湖北岸から洪水吐を遠望。
 
大菩薩嶺雷岩からの富士山と上日川ダム(2013年6月)。
 
同じポイントから(2014年1月)。
 
2017年(平成29年)11月から上日川ダムのカード配布が始まり、訪問者が増えているようです。
全国で数基しかない天端から富士山が見えるダム、今回は素晴らしい眺望を堪能することができました。
 
追記
上日川ダムは洪水調節機能を持たない利水ダムですが、治水協定により豪雨災害が予想される場合には事前放流により新たに673万立米の洪水調節容量が確保されることになりました。
 
3106 上日川ダム(1166)
山梨県甲州市塩山上萩原
富士川水系日川
87メートル
494メートル
11470千㎥/8300千㎥
東京電力リニューアブルパワー(株)
1999年
◎治水協定を締結したダム


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