
労働安全衛生法は、職場などでの受動喫煙について、事業者に対して「適切な措置を講ずるよう努めるものとする」とする努力規定を定めている。民主党政権時代の11年には「措置を講ずるよう努めるものとする」を「措置を講じなければならない」と義務規定を定めていたが、12年の衆院解散で廃案となった。 民主党の長妻昭元厚労相は6月の取材に対し、義務が努力規定になった理由について「利害関係者の政治力があった」との見解を示した。利害関係者として葉たばこ農家や小売店を挙げ、「たばこで生計を立てている人の声は大きく、票田にも受動喫煙推進派は献金したり、パーティー券を買ったりしない」と話した。 日本たばこ産業(JT)株式会社法は、政府が3分の1を超える同社の株式を保有するよう定めている。その理由について、財務省は取材に対し、国内葉たばこ農家の保護を目的に農産物の全量買い入れをJTに義務付けているためと答えた。 元財務官僚で嘉悦大経済学部の高橋洋一教授は、「財務省はJT株を保有することで天下り先を確保している。天下りを守るためにいつも健康規制に反対する」と話し、JTの完全民営化を訴えた。JTの現会長は丹呉泰健元財務事務次官。