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■日時:2009年3月22日(日)、13:00~
■劇場:東京ノーヴィ・レパートリーシアター
■原作:近松門左衛門
■演出:レオニード・アニシモフ
■出演:武藤信弥、岡崎弘司、他
随分と前になってしまいますが、演劇の街・下北沢に東京ノーヴィ・レパートリーシアターという、毎週金~日曜日に数本のレパートリー作品をロングラン上演している劇団?があります。その上演スペースの客席は26席。小さな小さな劇場(劇場と呼ぶにはほんとに小さい)なんです。そこで上演されるレパートリー作品はシェイクスピアやチェーホフといった時代の風化に耐えてきた名作ばかり。そのレパートリー作品のひとつである近松門左衛門作の「曽根崎心中」を観たときのことを本日の記事としてアップしたいと思います。以下はその作品を観た時の備忘録からです。
まずは、非常に丁寧に仕上がっていたと思います。小さなシアターのため、演じられる舞台空間と客席が非常に近いため、役者達が創り出そうとする空気というか世界がダイレクトに伝わってきます。ある意味すごく贅沢な時間を過ごしているのかもと観ていて思いました。近松門左衛門の世界がシンプルな舞台で、分かりやすく忠実に奇をてらうことなく構築されていました。
しかし、一方で近いぶん別の側面もありました。それは、お初を演じた女優の台詞回し。言葉として発話される時、その感情の乗り方が非常にイマドキの女の子といった風で、どうもいごごちが悪い。与えられた台詞と言い回しにギャップがあり、違和感を感じました。今生の世では愛する男と添い遂げるのが難しくなって、あの世における愛を信じて心中を決意する女には、如何せん心もとないのである。ただ近松によるお初の年齢の設定は、19歳であるためこの演技のように幼いものであっていいのかもしれないのですが…、観る方としては、ところどころに出てくる幼さが劇を心中に向けて高揚させるまでに至らせないのでありました。それはもう一人の主役、徳兵衛にも同じことが言えて、あまりにやさしさしい。そこには死を覚悟した悲壮な決意といったものがあまり感じられなかったしのであります。これまた最近増えている草食系の男の子ということなのでしょうか。
逆に、進行役として登場した近松門左衛門を演じた俳優や二人を心中へと追い込んだ九平次を演じた俳優の安定した懐の深い演技が目立ってしょうがなかったのであります。彼らによって作品に深みが出ていたし、天満屋から二人が抜け出す場面はどう見せるのかと思っていたら、なんと人形劇でというユニークさ。しかしそれが二人の緊迫した状態と求め引き合う気持ちをうまく表現していました。彼らがいなかったらどこまで重みを持てたであろうか?演出がよかっただけに、そんな心配をしてしまいました。
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■劇場:東京ノーヴィ・レパートリーシアター
■原作:近松門左衛門
■演出:レオニード・アニシモフ
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随分と前になってしまいますが、演劇の街・下北沢に東京ノーヴィ・レパートリーシアターという、毎週金~日曜日に数本のレパートリー作品をロングラン上演している劇団?があります。その上演スペースの客席は26席。小さな小さな劇場(劇場と呼ぶにはほんとに小さい)なんです。そこで上演されるレパートリー作品はシェイクスピアやチェーホフといった時代の風化に耐えてきた名作ばかり。そのレパートリー作品のひとつである近松門左衛門作の「曽根崎心中」を観たときのことを本日の記事としてアップしたいと思います。以下はその作品を観た時の備忘録からです。
まずは、非常に丁寧に仕上がっていたと思います。小さなシアターのため、演じられる舞台空間と客席が非常に近いため、役者達が創り出そうとする空気というか世界がダイレクトに伝わってきます。ある意味すごく贅沢な時間を過ごしているのかもと観ていて思いました。近松門左衛門の世界がシンプルな舞台で、分かりやすく忠実に奇をてらうことなく構築されていました。
しかし、一方で近いぶん別の側面もありました。それは、お初を演じた女優の台詞回し。言葉として発話される時、その感情の乗り方が非常にイマドキの女の子といった風で、どうもいごごちが悪い。与えられた台詞と言い回しにギャップがあり、違和感を感じました。今生の世では愛する男と添い遂げるのが難しくなって、あの世における愛を信じて心中を決意する女には、如何せん心もとないのである。ただ近松によるお初の年齢の設定は、19歳であるためこの演技のように幼いものであっていいのかもしれないのですが…、観る方としては、ところどころに出てくる幼さが劇を心中に向けて高揚させるまでに至らせないのでありました。それはもう一人の主役、徳兵衛にも同じことが言えて、あまりにやさしさしい。そこには死を覚悟した悲壮な決意といったものがあまり感じられなかったしのであります。これまた最近増えている草食系の男の子ということなのでしょうか。
逆に、進行役として登場した近松門左衛門を演じた俳優や二人を心中へと追い込んだ九平次を演じた俳優の安定した懐の深い演技が目立ってしょうがなかったのであります。彼らによって作品に深みが出ていたし、天満屋から二人が抜け出す場面はどう見せるのかと思っていたら、なんと人形劇でというユニークさ。しかしそれが二人の緊迫した状態と求め引き合う気持ちをうまく表現していました。彼らがいなかったらどこまで重みを持てたであろうか?演出がよかっただけに、そんな心配をしてしまいました。
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