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飾釦(かざりぼたん)とは意匠を施されたお洒落な釦。生活に飾釦をと、もがきつつも綴るブログです。

鏡花幻想譚への接近#74・・・音楽劇「ACT泉鏡花 怪しのポップファンタジー」を見た

2010-10-04 | 泉鏡花
■日時:2010年10月23日(土)、18:00~
■劇場:東京グローブ座
■作・演出:加藤直
■出演:近藤正臣、木の実ナナ、秋元才加、中川遥香、片山陽加、佐藤亜美菜、松本慎也、山本芳樹、曽世海司、

今売れっ子のAKB48がなんと泉鏡花のお芝居に主演する。とはいいながら、当方AKB48なんて名前を聞いたことがある程度で、どうやら世間ではかなり売れているらしいのだ。ボクはとんとその方面には疎いので、その辺りのキャスティングの意味が今一ピンとこないのですが。ボクは泉鏡花というだけでそのお芝居を見に行ったのです。

さて、その舞台、泉鏡花の名作の名場面をオムニバス形式で演じた言わばいいとこどりの音楽劇仕立て作品でした。だから劇の合間合間にはAKB48の歌と踊りが入ります。ただ、どうしても思ってしまうのが、なぜ、泉鏡花なのか?ということ。今人気絶頂のアイドル?(と言っていいんでしょうか?その位置づけがわからないので)のAKB48と泉鏡花の組み合わせ。なにかこじつけのような気もしなくもない。彼女らの年齢では鏡花の世界を演じるにはちょっと若いんじゃないかなとも。

だいたい鏡花の言葉は現代の年配者でもとっつきにくい日本語を使用しているのに、話し言葉が大きく変化してきている現代の若者にはあまり似合わない感じもするのです。どちらかというと歌とダンスの流行路線できている彼女らにとって、それは無理しているんじゃないのかな、そんな感じがしました。基本的には歌と踊りの部分について少し違和感があったのは事実でした。鏡花の作品が自明の理というような進行であったので、そのお芝居のエッセンスを歌っているものの、どの程度までそれが観客に伝わっているんだろうかと。

ただその中でも「天守物語」の富姫を演じた秋元才加は、よかったと思いました。まず第一に着物も似合っていたし気高い姫でありながら一目惚れしてしまう女の部分の感じの所作がよく出来ていた。<洋>の女性ではなく<和>の女性、キャピキャピの現代人というよりは古風な女子(おなご)という雰囲気を醸し出していました。舞台映えもしていましたし。

しかし、やっぱり近藤正臣と木の実ナナが演じる部分は貫禄で見せてくれました。「婦系図」の湯島の境内の場面は、前後の脈絡なく、そこだけが演じられたのですが舞台は緊張が張り詰め、二人の演技に泣かされましたね。よくよく考えると「海人別荘」も「天守物語」も「婦系図」も男と女の愛の物語なのでした。もちろん、魑魅魍魎、妖怪の世界なのでそれらが登場するのですが、結局、愛なのだ。愛し合う離れがたい男女が描かれているのであります。

最後にファンサービスで握手会がありました。ずらりと並んだ長蛇の列、何百人と握手しなければならないわけで。アイドルは大変だ、そう思って劇場を後にしました。





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