飾釦

飾釦(かざりぼたん)とは意匠を施されたお洒落な釦。生活に飾釦をと、もがきつつも綴るブログです。

昭和の黒い霧・松本清張NO.34・・・ドラマ「内海の輪」(出演:十朱幸代)

2009-10-24 | 松本清張
■放送:2001年、日本テレビ
■監督:三村晴彦
■出演:中村雅俊、十朱幸代、紺野美沙子、石橋蓮司、他

今回見た松本清原作のドラマ「内海の輪」は、いままで見た同小説の映像化作品よりも一番内容が自然であり、すんなりと入っていけました。感情移入がしやすい作りになっていました。製作のスタッフをみると脚本に那須真知子、監督に三村晴彦の名前が連なっています。おそらくはこの2人によって作られたことが、よかったんだろうと思います。特に監督の三村は同じ清張の映画「天城越え」が名作として知られる実力派でもありますし。もちろんドラマの中心である役者がその前によかったのですが。

そのドラマでは、主役となる奈美子を演じた十朱幸代が妙な存在を持って恋に溺れていく女を上手く見せています。大人のけじめを持った女性でいなくてはいけないとわかっていながらも、段々と感情が制御できなくなっていく様を、こうゆうのあるだろうなあと微妙なラインで共感や同情、あるいは反感までをよぶよう表現されていました。それは十朱幸代が繊細な部分で演じていたとも、脚本が細かいとも、演出がリアル感を出していたともいえるんじゃないかなと思いました。

十朱幸代が演じた奈美子という役柄は最終的には関わりたくないなと思う女性になってしまうのですが、それは2人の出会い方が不幸であったからかも知れません。ちがう形での出会い方であったなら2人は幸せになれたかもと思うのですが、それは、たらればの話でその不幸な出会い方こそが2人にとっての現実でありました。

奈美子は宗三(=中村雅俊)との逢瀬を繰り返すにあたり情熱的な側面をみせていきます。2人きりの時間はきっと妖艶な一面を見せたんだろうと想像させてくれる女性です。ある意味、奈美子は男にとっては魔性性を秘めた女性なのでありますが、純粋であった分、悪女にはなりきれず逆に惚れた男に殺されてしまうという不幸な運命を背負ってしまった女なのであります。男運がなかった幸薄い女性、それを考えると別れ話を承諾しながら一転して旦那と別れ宿した子供を産むと言い張っていく変化もわかる気がします。 どこかで歯車が違ってしまった。宗三はやさしいだけで実は融通が効かない男、演じた中村雅俊はキャラ的にはあっていたように思いました。実際、人など殺すなんてありえないようなタイプなんですが、追い込まれるとそうすることで問題を解決しようとする弱い男にぴったりでありました。

◆クリック、お願いします。 ⇒



◆関連書籍DVDはこちら↓↓
火曜サスペンス劇場 松本清張スペシャル 内海の輪 [DVD]

バップ

このアイテムの詳細を見る

内海の輪 (角川文庫)
松本 清張
角川書店

このアイテムの詳細を見る
コメント    この記事についてブログを書く
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする
« 昭和の黒い霧・松本清張NO.3... | トップ | 乱歩NO.78・・・乱歩歌... »
最新の画像もっと見る

コメントを投稿

松本清張」カテゴリの最新記事