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■放送:1993年8月4日、TBS
■監督:堀川とんこう
■出演:筒井道隆、松坂慶子、国生さおり、他
久々に松本清張のドラマを見たような気がします。ちょっと前のことが遠い昔のことのように感じでしまう今日この頃です。さて今回は松本清張作品の中でもどうやってドラマ化するんだろうと思っていた『或る「小倉日記伝」』です。それが見てみると、正攻法、真正面から取り組んでいてなかなか抒情的な見応えあるいい作品となっていました。
体が不自由ながら執念で小倉時代の森鴎外の知られざる足跡を調べる田上耕作を筒井道隆が熱演していました。そして、その不具な彼を支える母親役として松坂慶子が演じていました。母性愛に満ちた役柄でした。それを見て感じたことは、戦前から戦後にかけての九州の小倉を舞台にした話ながらその会話に方言やアクセントの違いが反映されていない不自然さはあるものの、親子の情感がそこかしこに感じられるある意味せつなく悲しい話でありました。この『或る「小倉日記伝」』は松本清張の小説の中で、ボクとしてはのちの清張小説の萌芽を見た程度で、あまり印象に残らない小説でありましたが、一転、映像化されると主人公の田上耕作がぎこちない体を引きずって取材に回る姿やそれを気遣う母親の姿が鮮明になってくるので、そうした境遇の親子のイメージが小説を読んで感じられる以上に、より胸に染み込んできました。特に筒井道隆の熱演ぶりはドラマに迫真性を与え大きな役割をはたしてていました。
ところで母親役の松坂慶子、このころまでは今のようにふっくらとする母親的な体型になる直前であり、いい女ぶりを見せていました。ボクの世代にとっては松坂慶子は雲の上の美女の代名詞のような存在で、たとえば、ドラマの中で再婚の話が持ち上がった時(未亡人の役のため)、話の筋とは全く関係なく、ボクは彼女なら有無を言わさず一緒になるよなあ、なんて勝手なことを思ったりしました。松坂慶子なら毎晩でもいろんなバリエーションでエッチしたいと…。厳粛な空気漂う雰囲気のドラマで、そんな下世話なこと考えながらみてしまうボクは、どうやら欲求不満がたまっていると言われてしまうのでしょうか??
そんなボクの下世話すぎる赤裸々な一瞬の感情はさておき、松本清張の小説の映像化作品のなかであきらかに小説よりいいなと感じた作品のひとつでありましたと書いて今日は終わりにしたいと思います。
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