飾釦

飾釦(かざりぼたん)とは意匠を施されたお洒落な釦。生活に飾釦をと、もがきつつも綴るブログです。

澁澤龍彦、幻想の世界NO.47・・・「黄金時代」(河出文庫)

2008-10-14 | 澁澤龍彦
「黄金時代」河出文庫)

“まだ文学などに血道をあげ出す以前の、ごく幼い少年時代から、私には、超自然のお伽話や夢幻的な物語にいたく心を惹かれる傾向があったが、とりわけメタモルフォーシス(変身)を主題とした物語に対しては、それを読むたびに、一種の生理的恍惚感とも呼び得るほどの、はげしい情動が身内に生起するのを感じたものであった。”(メタモルフォーシス考)澁澤龍彦は、この「黄金時代」に収められているエッセイに、そう書き出しているものがある。

それを読み、妙に納得したのは、三つ子の魂百までもというのか、少年時代の時に心ときめかしたものは、大人になってもすんなり入ってくるもんだし、妙に真贋の判断もつくからな…ということ。そこには心をときめかしたと書いたが、別の言葉、澁澤の言葉でいうところの“生理的恍惚感”といってしまっても大差ないように思うわけですが、その感性で接したものは、その後の嗜好性や判断基準などにも大きく影響を与えているように思うわけで。

当たり前と言えば当たり前なんですが、子供の時から澁澤の嗜好性はメタモルフォーシスに向かっていたということ、つまり澁澤は文学にふれる前から澁澤的であったわけです。結局彼はその嗜好性をどんどんと拡大させていき探求し、それへの感心によって蓄積された情報で飯を食うことになってしまうわけですから。(もちろんそれだけの要因で飯を食えるようになったわけではありません)彼の中では意識的あるいは無意識的にせよ、首尾一貫して興味と関心を持ち続け掘り起こしていったんだと思います。そしてその動機の原点は“生理的恍惚”。モチベーションとしては、これほど強いものはないでしょう。無意識にストレスを感じることなく行動に移せるのですから。

それが澁澤の文体にも表れているようにも思います。学者が書いた文章のように気負うことなく、さりげなく流暢な澁澤の文は、しかし驚くほどの知の宝庫となっているのですから。その分析も的確で、読んでいて唸ることしきりです。

“何事によらず、おれは好き嫌いから出発する人間だからね。まず嫌いという厳然たる事実があって、そのあとで理窟がつくわけだ。いま、その理窟をどういう風に組み立てようかと、きみのおかげで、頭を悩ましている最中なんだぜ。”(万博を嫌悪する)この部分を読む限り澁澤は好きか嫌いかという感情レベルの判断基準で選択しているわけで、それは先の“生理的恍惚”に近い感じがします。知性が溢れんばかりの澁澤ですが、案外動機は自己の衝動であって、それをまさに文字へとメタモルフォーシスさせているように思いました。

-----------------------------------------------
                  今すぐクリック  ↓↓
美しいヒップで男性の視線を釘付けに!ウエストシェイプアップ&ヒップアップ!

-----------------------------------------------
黄金時代 (河出文庫)
澁沢 龍彦
河出書房新社

このアイテムの詳細を見る

澁澤の世界を知るにはこの一冊、昨年開催された展覧会の本です。
澁澤龍彦幻想美術館
巖谷 國士
平凡社

このアイテムの詳細を見る
コメント    この記事についてブログを書く
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする
« 澁澤龍彦、幻想の世界NO.... | トップ | 澁澤龍彦、幻想の世界NO.... »
最新の画像もっと見る

コメントを投稿

澁澤龍彦」カテゴリの最新記事