飾釦

飾釦(かざりぼたん)とは意匠を施されたお洒落な釦。生活に飾釦をと、もがきつつも綴るブログです。

澁澤龍彦、幻想の世界NO.44・・・マルキ・ド・サド著「閨房哲学」澁澤龍彦訳(河出文庫)

2008-06-11 | 澁澤龍彦
マルキ・ド・サド著「閨房哲学」澁澤龍彦訳(河出文庫) 例によってマルキ・ド・サドの小説は胸が苦しくなる。最初の方は、遊蕩な侯爵ドルマンセが淫奔なサン・タンジェ夫人とともに未だ少女な娘ウージェニーに対して快楽と悪徳の哲学を伝授ゆくため、会話形式で進んでいき「悪徳の栄え」や「ジュスティーヌ」と比べ過激な部分が少なく、むしろその展開を面白く読むことができたのですが、途中で「フランス人よ!共和主義者たら . . . 本文を読む
コメント

澁澤龍彦、幻想の世界NO.43・・・「旅の仲間 澁澤龍彦と堀内誠一による航空書簡より」展

2008-06-10 | 澁澤龍彦
「旅の仲間 澁澤龍彦と堀内誠一による航空書簡より」展(ギャラリーTOM) 今から20年以上前の1987年の8月5日と17日に下咽頭で亡くなった澁澤龍彦と堀内誠一。その二人は一緒に旅行をし、長く手紙のやり取りが続いたとという。そんな彼らの往復書簡を展示したのがこの企画。おそらく去年名古屋でやっていたものと同じものと思われます。 展示についてですが、最初の方は手紙を読んでいたのですが、だんだん疲れ . . . 本文を読む
コメント

澁澤龍彦、幻想の世界NO.42・・・「澁澤龍彦回顧展」(県立神奈川近代文学館)

2008-06-09 | 澁澤龍彦
「澁澤龍彦回顧展 ここちよいサロン」(県立神奈川近代文学館) 「澁澤龍彦回顧展」が開かれている県立神奈川近代文学館へ出かけました。オシャレな「港が見える公園」を横切りながら、今回の企画は生誕80年、昨年は没後20年と、かれこれ澁澤龍彦に関する展覧会はけっこう見ているなアと思いつつ、これまた雰囲気のある文学館を前にしました。 この展覧会の印象は、澁澤の手紙や原稿に触れる機会が多かったように思いま . . . 本文を読む
コメント (2)

澁澤龍彦、幻想の世界NO.41・・・マルキ・ド・サド著「美徳の不幸」澁澤龍彦訳(河出文庫)

2008-01-24 | 澁澤龍彦
マルキ・ド・サド著「美徳の不幸」澁澤龍彦訳(河出文庫) 先に「悪徳の栄え」を読んでいたからこの「美徳の不幸」は、過激度では吸収できるほどである。しかし、冷静に考えるとこの小説も相当極点をいっている。主人公のジュスティーヌは敬虔な宗教的・道徳的な象徴として存在している。しかし物語は彼女が忠実であろうとすればするほど、数々の困難が待ち受ける。時折挟まれる悪徳の哲学は、サドはこれが言いたくて書いたんだ . . . 本文を読む
コメント

澁澤龍彦、幻想の世界NO.40・・・マルキ・ド・サド著「悪徳の栄え」澁澤龍彦訳(河出文庫)

2008-01-21 | 澁澤龍彦
マルキ・ド・サド著「悪徳の栄え」澁澤龍彦訳(河出文庫) 澁澤龍彦といえばマルキ・ド・サド、サド裁判が想起されるほどそのイメージは強いです。若い時分にボクも、この有名な本にチャレンジしましたが、途中で投げ出してしまった記憶があります。小説自体は物語の世界にグイグイ引き込まれてしまうといったものではなく、むしろ淡々とエピソードが描かれているだけ。なので読んでいても抑揚がなく、面白さに欠けあきらめてし . . . 本文を読む
コメント

澁澤龍彦、幻想の世界NO.39・・・「うつろ舟」(福武文庫)

2008-01-15 | 澁澤龍彦
「うつろ舟」(福武文庫) 澁澤龍彦の小説を読んだのは実はこれが初めてでありました。この前に書いた「ドラコニア綺譚」も、物語的な要素が入ってきており、どうやら後半生の澁澤はどうやら観念の世界をそのままストレートに書き連ねるのではなく、物語的な形式に乗せていく、そんな風に感じたのでありました。実際、澁澤は堀内誠一に宛てた手紙に、このままいくと小説でも書くより行き場がないのではないかといった内容のこと . . . 本文を読む
コメント (2)

澁澤龍彦、幻想の世界NO.38・・・ドラコニア綺譚集(河出文庫)

2007-12-27 | 澁澤龍彦
下痢と闘いながら読んだ本がこの本です。 ドラコニア綺譚集(河出文庫) 『ドラコニア』とは“航海者マゼランがパタゴネス(巨人族)を棲んでいる土地をパタゴニアと称したように、自分で勝手に龍彦の領土をドラコニアと呼んだにすぎない”とそのあとがきで書いている。つまりドラコニアとは龍彦の国といった造語、なかなか粋なもんだなと。そもそも名前に引っ掛けてもじることができるイマジネーション豊かなカッコイイ漢字 . . . 本文を読む
コメント

澁澤龍彦、幻想の世界NO.37・・・「澁澤龍彦 幻想文学館」(仙台文学館)

2007-11-30 | 澁澤龍彦
NHK教育の番組「知るを楽しむ 私のこだわり人物伝」で、今月澁澤龍彦を取り上げるのにあわせて、ボクのブログもこの月は澁澤メインで行こうと決めて、来る日も来る日もつらつらと書いてきたのであります。番組の方といえば登場したゲスト、四谷シモン、金子國義、細江英公、巌谷國士ともに澁澤への熱き思いを語っていました。 そしてそれを見ながらいつも気になっていたのは、番組の最後に告知されていた仙台文学館で開催中 . . . 本文を読む
コメント (2)

澁澤龍彦、幻想の世界NO.36・・・澁澤龍彦 眼の宇宙④(NHK教育「知るを楽しむ」)

2007-11-29 | 澁澤龍彦
澁澤龍彦 眼の宇宙④(巌谷國士)11月27日放送・NHK教育 「知るを楽しむ 私のこだわり人物伝」 「知るを楽しむ・澁澤龍彦 眼の宇宙」の最終回は、今年没後20年を向かえて開催された展覧会「澁澤龍彦 幻想美術館」を監修したフランス文学者の巌谷國士が登場しました。今となってみれば澁澤を語るには彼しかいないというほど、その世界をわかりやすく的確にガイドしてくれる方。番組を見ていても納得することも多か . . . 本文を読む
コメント

澁澤龍彦、幻想の世界NO.35・・・「別冊幻想文学 澁澤龍彦 ドラコニア・ガイドマップ」③

2007-11-28 | 澁澤龍彦
昨日の「知るを楽しむ」の放送は、感動しました。ということで本日も幻想文学でいきます。 「別冊幻想文学 澁澤龍彦スペシャルⅡ ドラコニア・ガイドマップ」(幻想文学) この幻想文学の別冊・澁澤龍彦特集号には「ドラコニア問答集」として雑誌誌上で実施されたアンケートが掲載されている。当時の年代などを考慮してみると興味もひとしおでしょうか・・・。 ◆なんでもベスト10・世界の好色文学◆ ①悪徳の栄 . . . 本文を読む
コメント

澁澤龍彦、幻想の世界NO.34・・・「別冊幻想文学 澁澤龍彦 ドラコニア・ガイドマップ」②

2007-11-27 | 澁澤龍彦
昨日に続き幻想文学の澁澤特集号を素材に、論者のテキストを抜粋しています。 「別冊幻想文学 澁澤龍彦スペシャルⅡ ドラコニア・ガイドマップ」(幻想文学) ⇒「熱烈な澁澤龍彦ファンである甥(十七歳)への手紙」  池内紀 “ついど一つの特徴はかわらない。絵巻物状の発展は発展はあっても、高まりをみせるようなドラマとはならないだろう。そこには世の小説家が苦心するような劇の要素がきれいさっぱりないだろう . . . 本文を読む
コメント

澁澤龍彦、幻想の世界NO.33・・・「別冊幻想文学 澁澤龍彦 ドラコニア・ガイドマップ」①

2007-11-26 | 澁澤龍彦
NHK教育の「知るを楽しむ」で澁澤龍彦が特集されて今月は澁澤月間とボクのブログはなりました。今週はその放送も最後の回、先週書いた記事にもあるように「裸婦の中の裸婦」で澁澤の窮地を救って共著となった巌谷國士が登場します。なのでボクの方も巌谷の言葉から今週は始めたいと思います。 「別冊幻想文学 澁澤龍彦スペシャルⅡ ドラコニア・ガイドマップ」(幻想文学) ⇒「澁澤龍彦とシュルレアリスム」  巌谷國 . . . 本文を読む
コメント

澁澤龍彦、幻想の世界NO.32・・・「裸婦の中の裸婦」澁澤龍彦・巌谷國士(河出文庫)

2007-11-23 | 澁澤龍彦
「裸婦の中の裸婦」(河出文庫) 何よりも沈痛な感じがしたのは、巌谷國士のあとがきであった。なぜ共著なのかというところが購入時には不明であったのがそれを読んでわかったから。1986年「文藝春秋」の連載として始まったエッセイは、澁澤の咽喉癌によって入院。後3回を残して中断やむをえない状況となった、そのピンチヒッターとして澁澤を見舞いに来きた巌谷が引き受けることになった。それを依頼した澁澤は声を出して . . . 本文を読む
コメント (4)

澁澤龍彦、幻想の世界NO.31・・・澁澤龍彦 眼の宇宙③(NHK教育「知るを楽しむ」)

2007-11-22 | 澁澤龍彦
澁澤龍彦 眼の宇宙③(細江英公) 11月20日放送・NHK教育「知るを楽しむ 私のこだわり人物伝」 カメラマン細江英公の写真といえば、一等頭に浮かぶのは三島由紀夫を撮った「薔薇刑」です。それは人物写真の一つの頂点であるような凄まじい迫力を持った、一度見たら忘れ難い作品です。その作品と名前はかろうじて知っていたのですが、実際に本人を見たのは今回が初めてです。撮った作品とは裏腹に普通の叔父さんのいで . . . 本文を読む
コメント (2)

澁澤龍彦、幻想の世界NO.30・・・澁澤龍彦事典(平凡社)

2007-11-21 | 澁澤龍彦
澁澤龍彦事典(平凡社) 澁澤龍彦を巡るキーワードが49個。澁澤に縁のある人たちが、まるで澁澤の作品と相似をなすかのように入子構造で、そのキーワードをテーマにエッセイを展開している本です。 そこには写真や図柄などがふんだんに使用されており、澁澤の断面を切り取りながらもまるで料理のレシピのような風合いを出しています。もし、澁澤スタイルなるものがあるならば、その入門編はこれっ!と言わんばかりの1ペー . . . 本文を読む
コメント