
今日は俺が外出中に山ちゃんがウチのガレージで、
クランクの芯出しにチャレンジしていたらしいんだけど、
結局は芯が出せなかったみたいで俺が代わりにやってみたんだが…
正直芯出しをした事無い人がこのクランクの芯を出すのは無理、
と言うか俺も無理だ。
このクランク、芯のズレはほぼ無いんだけど、
片方が開いて、もう片方は閉じている、
言ってみれば平行四辺形みたいに偏芯してしまってるクランク。
こうなるともう芯を出す事は出来ないんだよね。
だけどこんなクランクでも使い物になるようしなきゃならないんだが、
この場合は折衷案的に芯出しする事になる。
これは俺の場合だし状況によって変えるんだけど、
このクランクは中華110ccの遠心クラッチのクランクで、
写真を見て分かるようにクラッチ側とジェネレーター側とは長さが違い、
しかし両端には重さが似た重量物が装着される事になるんだけど、
この場合センターから距離が長い方が偏芯していると、
同じ重さのウエイトが付いてる時は距離が長い分振動が酷くなってしまう。
だからクランクの傾きが同じ位ならジェネレーター側はしっかり芯を出して、
フレをクラッチ側に出してやる事になる。
つまりジェネレーター側は芯が出ていてもクラッチ側は見て見ぬフリをする。
斜めに偏芯してしまってるクランクはこうする方が振動が減るからこれがベストなんだよね。

じゃあロンシンの125cc、2次側クラッチエンジンの場合はどうだろう?
このクランクはクラッチ側の方が遥かに長いんだけど、
この場合もジェネレーター側だけ芯を出してフレはクラッチ側に出す。
このクランクはクラッチ側にオイルフィルターローターが付いてるんだけど、
俺が組むエンジンはこれを軽量化しちゃうし、
クラッチ側のクランクの先端はクラッチカバーに刺さる、
言わば3点支持クランクみたいなもんだから、
センターからの距離が長かろうがジェネレーター側より遥かに軽いから、
フレをクラッチ側に出しても問題無い、
と言うかこうした方が振動が少ないエンジンになる。
でも、例えばカブのレーサーを作る場合だと、
クラッチは重い遠心クラッチを使うんだけど、
ジェネレーターはインナーローターになると仮定する。
この場合はジェネレーター側にフレを出した方が軽い分振動が少なくなるんだが、
レーサーの場合はそんなハズレクランクは使わないだろうけど(笑)
つまり時と場合によって芯出しの方法を変える事になるんだけど、
俺が見てきたクランクで0.05ミリも偏芯してしまってるクランクは無かったし、
これ以上ならもう交換しかなくなる。
0.05ミリって事は両方でコンマ1ミリ、
ゲージで見ると10目盛り分偏芯してるんだけど、
そんなクランクは見ただけで偏芯してるのが分かるし、
また再利用しようとも思わないね。
潔く交換しよう。
まぁクランクの芯出しが出来る人はそうそう居ないと思うけど、
ウチで組んでるエンジンはこんな風に作ってるんだよ~、
的な事が分かってもらえればそれで良いと思う。
そんな訳で山ちゃんから芯出し用の鉛ハンマーをプレゼントしていただいたが、
今回は使わずに芯を出した。
けど、ウチみたく年間に何機もエンジン作る人なら、
芯出しくらい出来るようになった方が良いと思う。
俺が芯出しを覚えたおかげでかなりなセービングマネーになったし、
0.01ミリ以下で芯が出た時の気持ち良さと言ったら…
オリンピックの水泳平泳ぎで金メダル取ったあの人みたいになれるよ。