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安倍の強行採決 強気の裏に 帝国憲法を企てる極右派の存在

2015-07-12 | Weblog

日本最大の右派団体「日本会議」と安倍政権のただならぬ関係 みんな、そこでつながっている

安倍政権の"黒幕“!?

ちょっと前の話になるが、6月15日、日本外国特派員協会での記者会見で面白いやりとりがあった。質問者はエコノミスト誌のマクニール記者。答えたのは慶応大名誉教授の小林節さん(憲法学)である。

小林さんは例の憲法審査会で安保法制を「違憲」と言い切った3学者の1人だ。もともとは憲法学会で改憲派を代表する存在だったが、今回の安倍政権の解釈改憲については、立憲主義の根幹を揺るがすものだとして真っ向から反対している。

マクニール記者「集団的自衛権行使を合憲としている憲法学者が3人いて、彼らはみんな、日本会議に属している。それは何を意味しているのか?」

日本会議は安倍政権の”黒幕”とも噂される日本最大規模の右派団体だ。そしてマクニール記者の言う3人とは、菅官房長官が安保法制を支持する憲法学者として名を挙げた西修・駒沢大名誉教授ら3氏を指す。

つまりマクニール記者はこう訊いたのである。日本の憲法学会に数えるほどしかいない”合憲派”の顔ぶれを見ると、そろいもそろって日本会議の関係者だ。これはどういうことか。単なる偶然とは思えない、と。

小林名誉教授「私は日本会議にはたくさん知人がいる。彼らに共通する思いは、第二次大戦での敗戦を受け入れがたい、だからその前の日本に戻したいということ。日本が明治憲法下で軍事5大国だったときのように、米国とともに世界に進軍したいという思いの人が集まっている。よく見ると、明治憲法下でエスタブリッシュメントだった人の子孫が多い。そう考えるとメイク・センス(理解できる)でしょ」

これは、なかなか意味深な答えである。いやそれどころか安倍首相と、彼の仲間の心情を的確に捉えた言葉だと私は思う。

国会議員の4割、閣僚ポストの8割を占める

そう言っても、日本会議と安倍政権のただならぬ関係をご存じない読者には、すんなり了解してもらえないだろうから補足説明させていただきたい。

日本会議には国会議員懇談会という超党派の集まりがある。現在そこに属する国会議員は自民党を中心に約280人。衆参両院をあわせた定数は717人だから4割ほどが日本会議の構成メンバーという計算になる。

驚くべきは日本会議の構成員が閣僚に占める割合である。第一次安倍内閣では首相をはじめ12人、麻生内閣では9人だった。それが改造前の第二次安倍内閣で13人になり、現内閣では19人中15人に増えた。公明党枠の1人を除く閣僚ポストの8割強を日本会議に関係する議員が占めている。

もし小林名誉教授が言うように、日本会議に属する人たちの「共通する思い」が、70年前の敗戦を受け入れがたく、明治憲法下の「日本に戻したい」ということだとするなら、現閣僚の大半が戦前の大日本帝国の再来を望んでいることになる。

まさか、そこまで非常識な政治家はいないはず。と思われる読者も多いだろうから、日本会議とはそもそもどんな団体かということについて語りたい。

日本会議が目指すものは何か

日本会議の特色は何と言っても、そのネットワークの全国的広がりと構成メンバーの多彩さにある。会員は全国に約3万5000人。日本会議の地方議員連盟に属する議員は約1700人と言われる。

HPの役員名簿を見ると、石井公一郎・ブリヂストンサイクル元社長、小田村四郎・元拓殖大総長、三好達・元最高裁長官、作家の石原慎太郎氏、外交評論家の田久保忠衛氏ら各方面の著名人がずらりと並んでいる。

加えてさまざまな宗教団体のトップたちが名を連ねる。神社本庁、靖国神社、崇教真光、霊友会、天台宗など数え上げるときりがない。新宗教から伝統仏教・神道まで多種多様な宗教の結集軸になっている団体、それが日本会議と言ってもいい。

では、その日本会議が目指すものは何か。HPには〈私たちは、美しい日本の再建と誇りある国づくりのために、政策提言と国民運動を推進する民間団体です〉と記されている。

〈美しい日本の再建〉という言葉に注目してほしい。再建と言うからには〈美しい日本〉が過去にあったということだ。それがいつの時代を指すか、明記はされてないが察しはつく。戦前の天皇主権下の日本だろう。

それを裏付けるようにHPにこう書かれている。

〈125代という悠久の歴史を重ねられる連綿とした皇室のご存在は、世界に類例をみないわが国の誇るべき宝〉であり〈皇室を中心に、同じ歴史、文化、伝統を共有しているという歴史認識こそが、(中略)国の力を大きくする原動力になると信じています〉

言っちゃ悪いが、これはアナクロニズム(時代錯誤)だ。国民の大多数は戦前の天皇制の復活なんか望んでいない。にもかかわらず、日本会議が国会議員の4割弱と閣僚の8割を占める勢力になったのは、なぜか。

ここが思案のしどころだ。私の考えをまず言わせてもらいたい。こんな異様な現象は一朝一夕には起こらない。相当な時間と労力と金をかけた、何らかの仕掛けがなくてはならない。

ちなみに私が日本会議に注目しだしたのは10年ほど前のことだ。従軍慰安婦、国旗・国歌法、教科書検定、外国人地方参政権、教育基本法や憲法の改正などの問題を取材すると、必ずと言っていいほど、背後に日本会議の勢力が蠢いていた。

どうやら日本の右傾化を演出しているのは日本会議らしい。誰がどんな経緯でこの組織を作ったのか。それを調べていくと奇妙な事実に突き当たった。

日本会議を仕切る事務総長や関連団体の責任者、安倍首相の側近議員、学者などの経歴に意外な共通点があった。

彼らは青年時代、ある教団の信者だった。その教団の創始者は熱烈な天皇主義者で「敗戦した日本などない」と唱えた。敗れたのは「偽の日本」で、天皇中心の真の日本ではない。我々の使命は明治憲法を復元することだ。その言葉が青年らの心を捉えた。日本会議の歴史はそこから始まる。

現代ビジネス7/12


安倍内閣を牛耳る「日本会議」とは? 閣僚の約8割が名を連ね憲法改正を画策!

憲法学者から「違憲」と指摘され、国会審議が難航する安全保障関連法案(以下、安保法制)。しかし、安倍政権は今月16日の衆議院本会議通過を目指して「強行採決」も辞さない構えだという。

そんな与党の背後で蠢(うごめ)くのが、日本最大規模ともいわれる右翼団体「日本会議」の影だ。

国政から地方政治まで、日本全土に幅広いネットワークを形成し、政界、宗教界、経済界を結びつけて日本の政治に大きな影響を与えるその正体とは?

安保法制を合憲としている3人の憲法学者は皆、『日本会議』に属している。その意味や日本会議の影響力をどのように見ているか?」

6月15日、安保法制を違憲と断じた小林節(せつ)慶應義塾大学名誉教授と長谷部恭男(やすお)早稲田大学大学院教授による外国人記者クラブでの記者会見の席上で、イギリスの経済紙『エコノミスト』の記者からこんな質問が飛び出した。

ちなみに、安保法制を合憲としている3人の憲法学者とは、長尾一紘(かずひろ)中央大学名誉教授、百地章(ももち・あきら)日本大学教授、西修駒澤大学名誉教授のこと

この質問に「日本会議にたくさんの知り合いがいるので私が答えます」と応じたのは小林氏。

「日本会議の人々に共通する思いは、第2次大戦で負けたことを受け入れ難い、だから、その前の日本に戻したいと。彼らの憲法改正案も明治憲法と同じですし、今回もそうですが、日本が明治憲法下で軍事5大国だった時のようにアメリカとともに世界に進軍したいという、そういう思いを共有する人々が集まっていて、かつそれは自民党の中に広く根を張っているように見える」

かつては、自民党のブレーンを務める改憲派の憲法学者として知られ、日本会議のメンバーとも縁浅からぬ小林氏はこう語った。

そして、海外メディアも注視する、安倍政権の急激な右傾化と日本会議との関係…。一体、日本会議とは、どんな組織なのか?

今年2月からウェブメディアの『ハーバー・ビジネス・オンライン』で日本会議についての連載「草の根保守の蠢動(しゅんどう)」を執筆する、菅野完(たもつ)氏に聞いた。

「第3次安倍内閣の主要閣僚19人のうち15人、実に8割近くが『日本会議国会議員懇談会』という日本会議の議員連盟のメンバーです。

また、安保法制を『合憲』とした憲法学者の長尾氏と西氏は、日本会議のフロント団体『美しい日本の憲法をつくる国民の会』の代表発起人で、百地氏は幹事長を務めています。

他にも教育問題に関する安倍内閣の諮問機関『教育再生実行会議』や政府の様々な審議会にも日本会議の関係者が多くいます。安倍政権は事実上、日本会議に乗っ取られていると言っても過言ではありません」

さらに、菅野氏が続ける。

「日本会議が設立されたのは1997年。母体となったのは、70年代中頃、右派の宗教団体を中心につくられた『日本を守る会』と81年に結成された保守系文化人の組織『日本を守る国民会議』です。

日本会議の事務局を中心となって動かしているのは、『日本青年協議会』という右翼団体。この組織のルーツは70年安保の時代に民族派学生運動で活躍した『全国学協(全国学生自治体連絡協議会)』及びその母体である『生長の家学生会全国総連合』のメンバーです。

70年安保で“学園正常化”の名の下に、左翼の学生運動に対抗して大きな成果を挙げた彼らは、右翼・保守陣営の“大人たち”からも一目置かれる存在になった。

そして、左翼から学んだ市民運動の手法を生かして、地方議会に法制化を求める働きかけを行なうなどして79年の元号法制化でも大きな力を発揮し、成功を収めるのです。こうした運動手法は今の日本会議にも共通しています」(菅野氏)

「生長の家」とは戦前、谷口雅春によって創始された新興宗教。谷口は敗戦後も「大東亜戦争(太平洋戦争)に敗れたのは『偽の日本』であって、本当の『天皇國日本』は敗れたのではない」、「日本国憲法はGHQが日本を弱体化させるために日本に押しつけた無効の憲法であるので、日本国憲法を即時に破棄して大日本帝国憲法(明治憲法)に復元しなければならない」などと主張して、積極的な政治活動を展開してきた。

近年、生長の家は3代目の谷口雅宣(まさのぶ)総裁の下、左傾化といわれるほどの方向転換を行ない、政治からも距離を置いている。そのため現在、生長の家は日本会議の構成団体ではない。

しかし、菅野氏が「生長の家・原理主義者たち」と呼ぶメンバーが日本会義の事務局の中枢を占めており、日本会議の主張には創始者・谷口雅春の考え方が色濃く反映されているという。

「日本会議の主張を簡単に要約すると、『皇室中心』『改憲』『靖国参拝』『愛国教育』『自衛隊海外派遣』といったもので、それ自体はよく目にする『街宣右翼』の主張とそれほど大きな違いはありません。

ただし、安倍内閣における日本会議の存在感からもわかるように、その影響力は一般の人たちが想像するよりもはるかに大きい。しかも非常に組織的かつ大規模な『市民運動』の形をとっているのです。

衆参両院で実に280人近い議員を擁する『日本会議国会議員懇談会』を始めとして、県議会、市町村議会でも着々と勢力を伸ばし、『新しい歴史教科書をつくる会』および『教育再生機能』の教科書採択や憲法改正運動を草の根から進める『日本会議地方議員連盟』、憲法改正に向け1千万人の改憲賛成署名を集めることを活動目標に掲げる『美しい日本の憲法を作る国民の会』など、本体である日本会議以外にも数多くの関連団体、フロント組織を立ち上げて、国政と地方の両面から大きな影響力を発揮している。

安倍政権がこれまで実現してきた数々の政策を支えたのは、日本会議の持つ強力な動員力ともいえるのです」(菅野氏)

気がつけば、その日本会議が自民党最大の支持母体になっていた…。そして来年夏には衆参同時選挙で改憲をゴリ押し、叶わなければクーデターもありうるという。

週プレNEWS 7/9


参考:日本会議 役員名簿

http://www.nipponkaigi.org/about/yakuin