晴れ、24度、84%
福岡市美術館で「電力王 松永安左エ門の茶」展が始まりました。「電力王」とは聞き慣れない言葉です。松永安左エ門の電力業界での偉業を讃えた言葉です。昭和の戦前から実業家として活躍した松永安左エ門は長崎壱岐の出身で、還暦を過ぎてから茶の道に入り「耳庵」と呼ばれました。実はこういう人物がいたことを知ったのは帰国して福岡市美術館訪れた時です。福岡市美術館には松永の収集した重要文化財を含むコレクションがあり、常設の松永コーナーがあります。今回は120点ほど一堂に会した展示です。
茶にまつわる収集物、お茶碗、お釜、水指、茶入れなど多岐にわたって展示されています。 仁清のこの壺は常設展の入り口にいつも見るものです。吉野山の風景、小さな耳がある大きな壺です。 お茶道具を包む布にも目が行きます。南方の更紗です。 志野焼の筒茶碗。 黒織部の筒茶碗。 黒の楽茶碗。いずれも小ぶりな茶碗です。
以前主人と訪れた時見た尾形乾山のお軸。 「花籠図」と題されています。季節は秋のお軸です。乾山が好きな私はこのお軸を見たさにやって来ました。色合い、構図共に見飽きません。きっと以前主人と来たのも秋だったのでしょう。もう一つ、乾山のお軸、 「茄子」の絵です。これも季節のものです。お軸はまだ数点ありますが、表装に使われている布遣いがどれもしっくりと目に映ります。
最後の展示物、思いがけないものに出くわしました。エジプトの「コプト織」です。古いものですから小布です。まさかお茶道具と一緒に見られるとは思ってもいませんでした。 以前から「コプト織」に興味がありましたが、実物を見る機会を逸していました。 独特な文様です。 色は掠れていますが、エジプトの古い遺産を感じます。
館内は人も少なくゆっくりした時間を持ちました。2階のバルコニーから見る大濠公園です。 毎朝、まだ日が昇る前のこの公園を走ります。明け切らぬ公園の水面もいいものですが、青空の下のこの景色は胸のつっかえを取り払ってくれます。
日本の実業界で活躍した人が集めた品々、身近の感じることが出来るのは幸せです。