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香港で飛行機に乗るときは必ずパスポートチェックを受けます。狭い香港です、国内線がないためです。飛行場に停泊している飛行機は、みな国際便です。つまり、香港人が旅行に行くといえば、全てが海外旅行になるのです。
香港では、住人全てがIDカードを持っています。身分証明書です。その申請のとき、両手の指紋を採られます。このIDカードは、常に携帯しなくてはいけません。コンピューター管理で、番号ひとつで罪歴などがすぐに解ります。
このIDカードを使って、香港人は、空港のパスポートチェックを受けます。全て機械化されていて、パスポートチェックを受けるために、並ばなくなくてよくなりました。そのうえ、パスポートにスタンプを押されることがないので、度々旅行する者にとっては、パスポートの節約になります。
IDカードは、電子マネーのカードと同じ大きさです。 そのカードをこの機会に差し入れます。個人情報を読み取った後、手前にある硝子の扉が開きます。中に入って前に進むと、 この機械で左右どちらの親指でも構いません、指紋検査を受けます。ちょうど、親指を放したところです。問題なければ小さな硝子の扉が開いて、パスポートチェックが終わります。検査官が、パスポートにスタンプを捺してくれるのに比べれば、随分と時間の短縮です。
香港では、こうしたIDカードへの移行を10年ほど前からはじめました。出生年代ごとに、決められた期間内に新たな申請をしました。小さな自治体だから、出来たことかもしれません。おかげで、たったカード一枚で、香港への出入りが出来るようになったのです。
日本でも、新しいICチップ入りのパスポートが普及して、少しだけ様子が変わりました。前もって、指紋を届け出すれば、自動ゲートでパスポートチェックを受けることが出来ます。海外出張が多い方にとっては、あの長蛇の列に並ばなくていいので、気が楽になったのではないでしょうか。見出し写真のような機械が、パスポートチェックのカウンターの並び端の方に設置されています。中央の機械にパスポートを入れて、手前にある、指紋検査機に両手の届けでした指を置きます。問題がなければこれで終了。
日本のこの便利な自動ゲートは、いつ見ても使っている人を見かけません。羽田では機械が2台ありましたが、ひとつは休止中、稼働しているのは1台だけでした。たいていは身軽な服装の旅慣れたビジネスマンが使っています。私みたいなおばさんが、よいっしょと掛け声かけながら、パスポートをめくっていると、近くにいた係の方から声をかけられました。お客さん、登録してないと使えませんよ。側にいらした時には、私が両指をのせているときでした。随分先にある扉が開いたので、係の方は、すみませんとおっしゃいます。確かに、普通のおばさんが荷物をひいて通ることなど少ないのでしょう。
日本のこの自動ゲートは、どこの国際空港にもあるのではないそうです。成田、羽田、関空などの大きな空港のみのようです。そういえば、私がよく使う福岡の国際空港には、自動ゲートはありません。
日本でも、この指紋検査で受けるパスポートチェックがこれから増えると思います。マンパワーを減らすことが出来ます。機械ですから時折故障はしますが、使う側にとっては気楽なものです。そうそう、香港のこのパスポートチェックの機械の上には、サインが香港人と赤色で示されています。飛行機を降りて、この香港人と書かれた機械の下に向かう時、私、日本人だけどなあ、とつぶやいています。