チクチク テクテク 初めて日本に来たパグと30年ぶりに日本に帰ってきた私

大好きな刺繍と大好きなパグ
香港生活を30年で切り上げて、日本に戻りました。
モモさん初めての日本です。

伊利沙伯醫院 香港

2013年03月21日 | 香港

曇り、22度、89%

 伊利沙伯醫院、クゥイーンエリザベス病院、香港九龍サイドの一大歓楽街、チムサッチョイとモンコクの中間に位置する政府の運営する大きな病院です。

 数日前の夜7時過ぎに、この病院の急患室に向かいました。東端にある急患室、時間外患者から救急車で運び込まれる患者でごった返しています。ストレッチャーが、待合室に入りきれない状態で順番待ちです。そんな待合室に足を踏み入れた途端、普通の病院と何か違う印象を受けました。その時、23年前の真夜中過ぎに、この急患室に入った時のことを思い出しました。

 23年前は、とても緊迫した気持ちでこの待合室に入りました。就寝後一本の電話でエリザベス病院まで駆けつけました。ストレッチャーの上の人を見て、何の言葉も出せませんでした。頭の中ははっきりしています、待合室の普通と違うことも目には入るのですが、それを意味付けることすら出来ないほど、あの時は緊張していました。

 急患室です、歓楽街を2つも控えた場所に位置する病院です、しかも夜。警官が付き添いで運ばれて来るケースも少なくないことは察しできます。ところがその警官の数が、10人以上、診察室の区画にはそれ以上の警官が、出入りしています。

 香港は病院内でも携帯電話を使うことが出来ます。病院職員も携帯片手に仕事をさばいて行きます。患者はストレッチャーの上で、付き添いの人もその横で大笑いしながら電話をしています。年老いた人や重病らしき人はそんな中でも、寝息を立てています。長く香港に暮らすうちに、この土地の人たちのこうした様子を、非難することなく受け入れている自分がいます。

 今回は、ストレッチャーの上の人は私とも話が出来ます。自分で状態も判断出来ています。このまま病院にとどまるのか、帰宅出来るのかも解らないままストレッチャーの上で休んでしまいました。待機室の一角、まるで忘れられたかのように眠る人の側で6時間ほどその診察室をじっと見ていました。

 麻薬患者が警官とともに入ってきました。大声で叫びます、体格の大きいガードマンがその診察室に入ります。しばらくすると、しっかりとテープで巻かれたストレッチャーが出てきました。注射で落ち着いたのか、今度は泣いています。警官が4人側を固めています。

 横になってかぶっている毛布の下は、間違いなく手錠がかけられた人もいます。警官ではなく、刑務所の守官の制服を着た人が、やはり手錠をかけた人を運んでいきます。

 レントゲン室からは、赤ん坊の泣き叫ぶ声がします。年よりが酸素吸入をしてもらって、それでも苦しいのかゼーゼー喘いでいます。

 夜中も過ぎると、ストレッチャーの数も減りました。付き添っている警官も、眠気を防ぐためか、携帯でゲームをしています。

 ストレッチャーの上の人の状態が、思ったより落ち着いていました。23年前は、周りの様子を見る余裕もないほど、緊迫した状態でした。

 大都市の大病院、たった6時間の短い時間でしたが、何か凝縮された都会の一面を映画でも観るように待機室の片隅で見ていました。

 帰宅したのは夜中の3時。いつもなら、そろそろ起きる時間です。自分で思っているより、興奮と緊張で疲れてしまいました。

 香港島の高台に静かに住んでいると、ともすれば自分の足元を見失いがちになります。この土地を好きであればあるほど、あの6時間の経験は、私の身を引き締めてくれました。

 夜に着いて夜中に病院を出たので、写真はありません。小高いところに建つ大きな病院です。まだ、この病院の普通の診察病棟に足を踏み入れたことがありません。

 

コメント (2)
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