曇り、17度、69%
カンボジアから日本に来て、陶作を続けているイム サエムさん。私が、イムさんの器にであったのは、もう30年近く前のことでした。 素敵な和食器が並ぶ中、ひときわ私の目には、違って見えました。当時のイムさんのブルーは、どちらかというとグリーンに近く、土の色も今のそれとは違っていました。なんと言っても、皿の底にたまったガラス質がきらきらときれいでした。ご覧の通り派手ではありませんが。
8年ほど前に、いつもの九段のお店でいただいたお抹茶用のお茶碗です。香港に持ち帰り、ふと、これにご飯をよそおって見ようと思い、食べているところに家人が起きて来て、目ざとく、その茶碗いいね、とおっしゃいます。そこで、
お願いして送ってもらったのが、こちらです。ちょっと高台です。もちろん、お茶用のお椀ですから、本来のご飯茶碗より大きく、軽く1合はいります。そのゆったり加減が何とも言えません。
イムさんの作るものは、安南焼のそれに近く感じます。 私の方はただ染め付けではなく、刻紋と言って、少し彫りがはいっています。その紋の上に絵付けがしてあります。
家人の使う茶碗は染め付けですが、釉薬の、滲みがとてもいい風情です。
以前にも書きましたが、イムさんに一度お会いしたことがあります。私が、ずうっと想像していた通りの穏やかな方でした。手を通して作るもの、どうしても作り手の人柄が反映するように思います。この、30年の間、少しずつ集めて来たイムさんの焼き物、気がつけば、大小の皿、鉢、花瓶に至るまでたくさんになりました。今年は、また、新しい挑戦をなさって、白地のものを作られています。欲しいと思うのですが、我慢。愛知県のイムさんの工房を訪ねてみたいと、ずっと思っています。その時まで、我慢、我慢。