東京、晴れ
今回の帰国の目的は、ワシントン ナショナル ギャラリーからやってきている印象派の絵を見る事でした。六本木にある国立新美術館で、9月の5日まで開催されています。帰国のとき、たまたまいい絵画展がやっている事もありますが、今回のように、わざわざ展覧会を見に帰ってくる事もしばしばです。こういう展覧会は、期間が長いので都合のつく日を決めて日本に戻ってきます。私の楽しみとはいえ、我がままを聞いてくれる家人に感謝です。
実は、香港最近でこそやっといい絵画展も催されますが、文化的に後進国と、自他ともに認めています。絵画展、音楽会を政府の文化局のようなところが、力を入れて紹介してくれるようになりました。近年、各国の印象派の絵を集めての展示の折は、びっくりするほどの行列ができました。のんびりと出かけた私など、今日中に見て帰れるか危ぶんだほどです。
ワシントンナショナルギャラリー所蔵の印象派の絵画は、あまり日本人には高く評価されていなかったそうです。確かに、絵画の点数はさほどでもありませんでした。よく目にする絵画も、モネの絵で数点。ゴッホ、ルノアール、マネが一点ずつほどでした。ところが、紙の上の印象派と題された部屋に入って意外な驚きがありました。紙の上、つまりエッチングなどの版画やスケッチが集められていたのです。もちろん、油絵ほどの大きさのある物ではなく、小振りなのでその精緻さが伺われ、大変興味深く楽しめます。ゴーギャンは、絵画ではあまり好みではないのですが、この、部屋で見た木版画の「ノア ノア」と題された一点に今までにない面白さを発見しました。
日本の、大きな美術展は、朝早くから並んで観なければなりません。お年を召した方もご夫婦で並んでいらっしゃいます。この事情を理解しているので、入場券は、前もって用意します。しかも昨日は、高校生が無料で入場できる日でした。絵の前でゆっくりとたたずむ事は無理だろうと予想していました。30分前に着いた私の前には既に100人ほど並んでいます。帰国前からの寝不足なんて、ここで吹っ飛んでしまいました。開場時に、私の後ろにどのくらいの人数が並んでいたか解りませんが、予想に反して、込み合いませんでした。油絵の筆の跡をじっくり観れるほどの、人の入りでした。このところ人気のフェルメールやルーシーリーの展示のときは、押し合いへし合いだったのですから、すごく得をした気分です。
難しい事、学術的な事は、何も解りませんがこうして絵を見る時間が持てる事、私の楽しみの一つです。