曇り、27度、90%
夏になって、雨の後、待ちに待ったかたつむり達が出てきます。待ちに待ったのは、私です。香港のかたつむりは、日本のとは少し様子が違います。縦長の巻殻を持っています。大きさも、日本のかたつむりの倍。殻だけ見たので一番大きかったのは、優に20センチを超えた殻もありました。
我が家が、20年以上前に香港に来て、初めて飼った生き物は、かたつむりでした。雨上がりには、ビルの植え込みにも姿を現しました。ちょっと、山に入ろうものなら、それこそ、至る所にいたかたつむりです。それが、雨上がりでも探さなくてはならないほどに、減ってきています。
私が、かたつむりを好きなのには理由があります。一冊の本です。前ベルギー王の王妃、ファビオラ王妃が、結婚前に書かれた童話の中の一つに、「にひきのかたつむり」というお話があります。12の話が、2冊の本になっていました。今は廃版で、教会の売店で聖書などと並んで売られていました。残念な事に、何度も読んだこの話の内容を覚えていません。兄弟のかたつむりの話だった事をうっすらと。きっと、実家の山のような本を探せば出てくるはずです。
何かの土について入ってきたのか、時折日本のかたつむりの殻を持ったのを見かけるようになりました。
雨上がりの朝、いつものように香港島のボーエンドーに走りに行くときは、ちょっと心持ちが違います。道の側溝や垣根を這っていてくれればいいものを、この大きなかたつむり達は、性格ものんびりしているようです。道をゆっくりと横断しています。そこで、内心、「かたつむり擁護協会」と自負している私は、かたつむり達を草むらに戻してやります。お仕事をしているつもりです。