摩訶不思議 with LOVE

日常の出来事ほか

 映画「太陽」

2006年12月18日 00時45分23秒 | しゃかい
先日、ロシアの映画監督アレクサンドル・ソクーロフの「太陽」を観た。この映画は、そのテーマや登場人物などから当初「日本での公開は無理だ」と言われていた。私は、ネットなどでこの映画の存在(ある程度の内容)は知ってはいたのだが、まさか松山で上映されるとは思ってもいなかった。昭和天皇をイッセー尾形、香淳皇后を桃井かおり、藤田侍従長を佐野史郎が演じている。
まず、ある程度予想していたとはいえフィクションが多過ぎる。皇居の中にまで米兵が入って来ていたり、天皇がマッカーサーとの会見に向かわれるときも連行されて行く感じに描写されていたり・・・。さらに酷い事に、米兵たちが天皇をチャーリー・チャップリンに似ていると言い、冷やかしながら陛下に向かって「チャーリー」を連発、最後には「バイバイ、チャーリー」といって笑いながら去っていくシーンまで捏造されている。全編に渡って、とにかく「子供っぽい天皇」を描いているのだ。いくらロシア人監督とは言え、あまりにも恣意的な解釈?ではないか。この監督は、ヒトラーを描いた「モレク神」、レーニンを描いた「牡牛座(原題の直訳・日本未発表)」に続く3部作の最終作として昭和天皇を描いた。ヒトラーやレーニンと並べているのは、彼が昭和天皇のことを独裁者だと思っているからなのだろうか。(※そういえば、チャップリンは独裁者という映画を撮っている)
この映画は最後に、天皇自ら神格を否定するという決意で、皇后に「私たちは自由だ」と言わせている。この辺りも、天皇を窮屈な操り人形のようにしか捉えていないようだ。その後、神格を否定するという決意は、新日本建設に関する詔書(所謂、人間宣言)に繋がっていくというあり得ないストーリーになっている。

この昭和21年1月1日の新日本建設に関する詔書が「天皇の人間宣言」と呼ばれているのは、後にマスコミが名付けたものだと言われている。というか、勝手にそう解釈したのである。本来、新日本建設に関する詔書は、人間宣言などではなく、戦争によって意気消沈した国民の心や国家の経済・文化を建て直し、国を再建するという内容だとハッキリ!そう書かれている。さらに、この詔書はこの言葉から始まっている。
今、もう一度、この言葉が必要な時代になってきているように思えてならない。

「茲ニ新年ヲ迎フ。顧ミレバ明治天皇明治ノ初國是トシテ五箇条ノ御誓文ヲ下シ給ヘリ。」

一、廣ク會議ヲ興シ萬機公論ニ決スヘシ
〈広く会議を興(おこ)し、万機(ばんき)公論に決すべし〉

一、上下心ヲ一ニシテ盛ニ經綸ヲ行フヘシ
〈上下心を一にして、盛んに経綸(けいりん=国家をおさめととのえる方策)を行うべし〉

一、官武一途庶民ニ至ル迄各其志ヲ遂ケ人心ヲシテ倦マサラシメン事ヲ要ス
〈官武一途庶民に至るまで、おのおのその志を遂げ、人心をして倦まさらしめんことを要す〉

一、舊來ノ陋習ヲ破リ天地ノ公道ニ基クヘシ
〈旧来の陋習(ろうしゅう=悪い慣習)を破り、天地の公道に基づくべし〉

一、知識ヲ世界ニ求メ大ニ皇基ヲ振起スヘシ
〈智識(ちしき)を世界に求め、大いに皇基(こうき=天皇が国を治める事業の基盤)を振起(しんき=ふるい起こす)すべし〉

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