僕らはみんな生きている♪

生きているから顔がある。花や葉っぱ、酒の肴と独り呑み、ぼっち飯料理、なんちゃって小説みたいなもの…

豚しゃぶを食べながら

2013年02月03日 | 何でも掲示板





以前「世界屠畜紀行」という本のことを書いたが
その作家、内澤旬子の「飼い喰い」のことを考えていた。

豚しゃぶはうまい!
いくらでも食べられる
葱やレタスも時々食べる
シメジやエノキも時々食べる

そしてひたすらロースとバラ肉を食べる
ゆず胡椒で食べる
たまに卵で食べる

そしてモルツを飲む

肉の前は豚だったんだよなぁ
と思いながら食べ続ける

そして冷酒をやる



できることなら自分で豚を育ててみたい
自分の手でつぶして
それを食べてみたい

命をいただくことををきちんと理解して
うまい!と言いたい。



文章の一部が載っていたのでコピーしてみました。
興味ある方は読んでみて下さい
そして、うまい肉を食べた時に思い出しましょうネ



                 以下原文抜粋


同じ豚なのになんでこんなに違うんだ?

 それにしても豚たちはよく寝る.一日のリズムのようなものも特になく,気がつくと起きてごつごつと餌箱に鼻をぶつけるようにして餌を食べ,水を飲み,またごろりと横になる.まさに喰っちゃ寝なのだ.
 彼らはときどきハッと気がついたように,ざっかざっかと走り回る.いちばんよく走るのは伸だ.夕方,ホースで水をかけてやると,バウッと啼いて大喜びして小さな運動場を駆け回る.
 そのうちに夢がつられて出てきてランニングに参加し,勢い余ってなぜか伸にまたがる.マウンティングである.伸は夢よりもずっと身体が大きいにもかかわらず,哀しそうに従う.どういうわけか夢は秀には決してマウンティングをしないのだった.
 こうして二頭が組んずほぐれつ遊んでいる時も,秀はまるでおかまいなく,黙って打たせ湯にでも来ているように,背中に水をかけてもらいながら寝そべり,それに飽きると小屋にもどって黙々と餌を食べる.餌だけではない.柵の中に入って来た毛虫だろうがナメクジだろうが,無表情に食べている.そこまで食べていたいのかと,問いただしたくなる.鬼気迫るものすら感じる.
 人間だったら,確実に肥満警報が鳴り響く.このままだと太るからもっと動きなさいと言いたくなる.しかしよく考えてみれば,豚は太ってナンボ.むしろ好ましいと考えねばならないのだった.
 それにしてもカワイイ.はじめのうちは養豚農家と同じように飼料だけで育てようと思っていた.ある日獣医の早川さんが,敷地に生えている草を豚たちにやったことで,がらがらと崩れた.
 え,ヤギじゃあるまいし,豚って草も食べるんですか?? びっくりして聞くと,早川さんは平然と「ええ,食べますよー.葛とかがいいかな.ほら」と,柵越しに草を差し出す.すると好奇心の強い伸がすぐにやって来て,ぱくぱくとおいしそうに喰いついた.あら.一方夢は警戒しながら,恐る恐るという風情で草を口にする.そして秀はまずそうに口をえーっとあけて吐き出していた.君たち豚なのに,なんでこんなにそれぞれ違うんだ!!

餌の手やりはおもしろい!

 しかし手で餌をやるのは断然おもしろい.三頭の個性の違いがよく把握できる.そもそも豚は,畑で出るくず野菜と家庭から出る残飯で育てるものだったのだ.
 できあがりの味を左右するほど食べさせられるわけじゃないのだから,どんどんやっちゃおう.ホームセンターに隣接する食料品売り場で一袋一九円のもやしや痛みかけたバナナ,お客が剥き捨てていったキャベツなどを仕入れては,一日一回やってみた.もちろん残飯も出ればやる.松ヶ谷さんに,刺激のある生姜やネギ,生の大根などはやらない方がいいと教えてもらった.
 伸はどんなものでも嫌がらずに,ぱくぱくと食べる.軒先に植えたイタリアンパセリなど,少し匂いのキツイ野菜も,うれしそうに食べる.もともと中ヨーク種は,残飯を食べさせて飼っていたからなんじゃないかと,みなさんに言われた.個体差なのか種の違いなのかはわからない.
 秀は対照的に,飼料をとにかく好んだ.給餌器にへばりついていて,いつも額から頭頂にかけて飼料をのっけていた.デュロックは飼料を効率よく食べるように作られているんじゃないかとすら思った.
 いろいろ試してみたところ,三頭そろっての大好物は,トウモロコシだった.さすが飼料の主原料の一つだけある.ちょうどこの年は,千葉県食肉公社の有志のみなさんで,畑を借りてトウモロコシを作っていた.公社の浄化槽から出る汚泥を肥料にしたという.売っているものより小ぶりだが,生で齧っても甘くてとてもおいしい.
 私に対して食べてくださいと段ボール一箱も,持って来てくださったのだ.ところが試しに豚たちにやったら,三頭とも異常なほど喜びまくって食べる.あんまりにもその姿がかわいいので,毎日三頭に食べさせることにした.
 そうなるともう,私がつなぎを着て運動場の掃除をしに出てくるだけで,夢などは,しゅばっと小屋からとび出してくる.
 糞を掻き取りチリトリに受けて,敷地の脇の溝まで運び,投げ捨て,土をかける.戻って来て,コンクリの床に水をかけて溝に入った糞などを流しつつ,割り込んでくる三頭たちに水をかけて,飲ませる.柵外の汚水受けにたまった糞尿混じりの汚水を,スキージで誘導し,大穴に溜める.
 夏になって水をかけてやる時間が長くなると,穴に溜まる汚水もすぐに一杯になるため,ひしゃくで汚水を合併浄化槽へ汲み出す作業も日課となる.はじめの頃は糞の量も少なくてそこまで床も汚れなかったし,暑くもなかったので,毎日浄化槽に汲み出さなくても大丈夫だった.
 夢と伸は,完全にこの作業の流れを把握して,私がスキージを持って汚水の誘導をはじめると,運動場をそわそわ歩き回り,私を熱く見つめる.
 手を洗って,家の中に置いているトウモロコシを取りに行く頃から,キョーッキョーッと近所に聞こえるほどの大声で啼きはじめ,夢は柵に前脚をかけて立ち上がり,暴れ出す.
 トウモロコシを出そうものなら,大変だ.三頭平等にやりたいのに,夢は他の二頭に対して,バスケットのディフェンスのように立ちふさがり,体当たりし,時には噛みつき威嚇して,すべてのトウモロコシを,我がものにしようとやっきになる.まさにジャイアン…….






コメント (2)
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする