僕らはみんな生きている♪

生きているから顔がある。花や葉っぱ、酒の肴と独り呑み、ぼっち飯料理、なんちゃって小説みたいなもの…

トントの話って

2007年02月18日 | SF小説ハートマン
トントの話はフウセンカズラの種を集めていた時と全く同じで、僕の頭に直接聞こえてくるあの言葉だった。

嬉しかった。声を聞くのが嬉しかった。またトントと話せるのが嬉しかった。
そんな気持ちで聞いたいたのを知ってか知らずか、トントは続けた。全く危機感は感じなかったが、トントのメッセージは僕が感じたよりずっと重大な事だったのかも知れない。

「バイオリストコンピュータを構築する時、あらゆる可能性を予測してプラグラムを組みました。いくつかの条件が重なった時、それは実行されます。具体的には、また私が宇宙君をお呼びすることになりますが、多くの場合、その時の状況はあまり良いとは言えないでしょう。けれど必ず解決できます。私がほんの少しでもその時お役に立てれば嬉しく思います。いつでも頑張ってきた宇宙君、この夢が終わっても一つだけ忘れないでください。それは…」

「ちょっと待ってよ、トント。もう行っちゃうの?話したいことまだいっぱいあるよ。聞きたいこともまだいっぱいある。いつでもトントを呼び出せる合図はないの?」
「宇宙君、大丈夫。私は貴方の中にいつだっていますよ。」

「でも話はできないんでしょう?」
「宇宙君が私を覚えていてくれる限り、いつだって話はできます。今までだってそうだったでしょう?」
「うん。トントを思い出して、トントだったらなんて言うかなって一人で考えてた。でもそれは僕が勝手に考えてただけだし…」

「それでいいんです。それが宇宙君の中にいる私なんです。」
「えぇー?何だか変。ごまかしてる。」
「小さい子みたいなこと言わないの!宇宙君はハートマンでしょう?」
「ママみたいな言い方になった。」

そんな何気ない会話がもっとずっと続けばいいと思った。

「宇宙(ひろし)君。大事な事をお話しします。」
コメント (5)
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