◎2017年10月11日(水)
有料駐車場(6:31)……鉄塔下(7:34~7:41)……松手山(8:19~8:31)……平標山(9:51~10:02)……仙ノ倉山(10:55~11:10)……平標山(11:51~11:55)……平標山ノ家(12:23)……林道(13:06~13:15)……昼食(13:51~14:03)……駐車場(14:14)
もう天気予報はあてにはしていないが、出がけに「てんきとくらす」を見ると、平標山の午前中は登山指数Aとなっていて、午後3時頃からはB、夕方はCとなっている。GPV気象予報では、雨が明け方まで残るところもあるが、平標山にはかかっていず、ここもまた、午前から午後にかけては雲もきれいに消えている予報になっていた。いずれの予報ともに、午前中から午後の早い時間帯にかけては晴れということだ。那須のこともある。現地の麓から自分の目で見て判断するしかない。もう騙されまい。
月夜野ICで下り、国道17号線で三国トンネルを越えて新潟に入ると、いきなりの濃いガスになった。やはり騙されたみたいだ。
下って行くに連れ、ガスは収まったものの、やはり白い気配のままに駐車場に車を入れる。有料駐車場のシステムは後払いのようだ。車は8台ほど。2台ほどでごそごそやっている感じで、あとは既に出発か山中泊だろう。ここの駐車場、町営ということらしいが、後で渡された領収証の発行人は「山鳥原公園管理組合」とあった。その公園は、ここからさらに北にあるようだ。
平標山には過去3回行き、うち1回18年前にここに駐車したようだが、その時の記憶はなく、駐車場代を取られたかどうかも定かではない。他2回は三国峠からと、松手尾根経由だったから、その辺の空地に置いたような気がする。
(駐車場端の登山口)
(ここでコースが分岐。ここは左。帰りは正面から下って来た)
(青空が出てきたところでほっとする)
(松手山コース登山口)
一旦、林道だか町道を歩いて、改めての登山口。18年前の記憶が蘇った。松手山までつらかったことを覚えている。その時、仕事関係のまるっきりの初心者を平標山に連れて行き、彼が登りの階段で足を痛め、その後一年、整形外科に通う結果になり、会う都度にこちらから謝っていた。もっとも、当日は帰りに温泉に入り、いやぁ、きれいな汗をかきましたよ。また連れて行って下さいなと言われたが、急変したのは翌日からで、歩けずに3日程欠勤したらしい。以降、彼から山の話を一切向けてこなくなった。それでいて、その後に一人で乗鞍岳に行こうとしたらしく、当時は普通に通れた乗鞍スカイラインを運転中にカーブで擁壁に突っ込み、後日、愛車のBMWを松本の修理工場まで引き取りで同行したことがある。こうなると、山にはもう無縁としか言いようがない。
(階段の続く登山道)
(この辺の紅葉はさっぱりだ。これからだとしてもきれいではないと思う)
(歩いたことがあるのに、鉄塔ピークが松手山かと思っていた。地形図を持参していたら、1411m標高点であることは一目瞭然なのだが)
階段が続く道でクネクネと上に向かっている。雑木の間からチラチラと陽が入り込むようになり、薄暗い登りにならなかっただけでも幸いだ。天気予報どおりになったと安心したりもしている。
歩き出しから20分もしないうちにネエチャンに追い抜かれる。登山道口の脇のトイレでゴソゴソと音がしていたが、彼女だったかもしれない。しかし速いものだ、そして、オレも鈍足になったものだなとため息が出る。以降、彼女の姿を見ることはなかった。
(向かい側のピークは筍山か?)
(こちらは天丸木山かと思うが)
きつい登りでいつものように休んでは登る。ストックを出したら幾分楽な歩きになった。休んでは振り返る。振り返りの先に見える存在感のある山がずっと気になっていた。山腹を送電線が通り、山頂には何かの施設がある。苗場スキー場の筍山かもしれない。となると、あの施設はリフト乗場ということになる。左に見えるのは天丸木山? よくわからない。毛無山というのを歩いたことはあるが、この辺からは見えないのかもしれない。苗場山は雲の中なのか見えない。
(半分紅葉)
(赤は濃い。光線の関係? 濃淡が混在している)
誰も後ろにはいないという気安さもあって、かなりトロい歩きになっている。やがて、正面に送電鉄塔が見えるようになると色づきも出てくる。さらにのろくなった。まだ半分の紅葉のようだが、ここもまたアップには耐えられない。葉に穴があき、茶褐色もまた多い。真っ赤なものはなく、むしろどす黒い。これからだろうとはいっても、これでは期待できないかも。盛りになったとしてもさほどの見事さはないだろう。
(鉄塔)
鉄塔に到着。ここまで1時間。かかり過ぎか。コースタイム(以下CTとする)は1時間10分。高齢者向けのタイムだとしたら、お仲間入りということになる。ここで、鉄塔の土台に腰をかけようとしたら、ムカデのようなものがかなり這っていて、立ったままで一服する。
(当初、左が平標山で右奥が仙ノ倉山だと勝手に思い込んでいた。右奥が平標山)
さもピーカンといった中での歩きを続ける。紅葉は依然として淡いが、黄色中心で、目を近づけない限りは紅葉を楽しみながら歩ける。右手先に平標山も見え、天気予報が当たったな、今日は正解だったと、ここでまた安心したりしている。
(松手山)
(松手山山頂)
(山頂から振り返って。女性単独さんが見えている)
(山頂から。南側)
松手山が近づく。山頂には先行者(その時はそう思った)が一人休んでいるようだ。あの先であの方に抜かれるのは嫌だなぁ。さっさと出発してくれないかなと思った。
松手山に到着。オジサンが湯を沸かし、カップラーメンを食べるところだった。話を伺えば、昨日、土合から出発し、万太郎山下の越路避難小屋に泊まり、これから下るところとのこと。昨日はガスガスだったそうだが、今朝は仙ノ倉から富士山が見えたとおっしゃっている。もう見えないでしょうとの付け加えが気になったが、確かに、ガスが周囲を急速に流れ、この辺にも及んでいる。して、紅葉は? と問うと、ガスでよく見えなかったけど、オジカ沢ノ頭周辺はきれいだったようだ。避難小屋泊りは一人ではなく、もう一人いらしたとか。
その間に、女性単独氏、男性単独氏が立ち休みしては通過して行った。男性単独氏は自分と同年配の気配。後で聞くと、新潟市からいらしたとのことでここではNさんとする。「今日は風が強いですね」と言いながら先に行かれた。
(手前が松手山)
(陽があたっているのを遠くから見ると、確かにきれいではある)
二人の姿が小さくなったのを確認してから出発。女性単独氏はすでに米粒のようになっている。抜かれるのは後ろからあおられている感じで好きな歩きスタイルではない。Nさんと適当に距離を置きながら写真を撮ったりするが、しばらくは平坦道になり、Nさんの後姿が大きくなったりする。
(南側斜面)
(こちらは北側)
(ついでに)
ガスが露骨に出てくる。平標山頂はかろうじて見えている。平坦道から見える紅葉の斜面はきれいだ。新潟側は多分カラマツかと思うが、紅葉の少し手前の感じで薄い黄色ではあるものの、黄金色からは遠い。群馬側の斜面は鮮やかまではいかないがそこそこにきれいだ。ただ、間近の紅葉は見られたものではなく、もう終わりかといった印象だ。前を眺め、松手山の方を振り返っては色具合を見ながらの歩きが続く。
(松手山が遠くなる)
(なだらかな登山道に見えるがそうでもない)
(? よく見かけた)
目の前のピークが隠れ、すぐに顔を出す。とにかく雲の流れは音を立てている。ふと、Nさんに追いついてしまった。ガスの平標山を撮影中だった。休憩した後のようで、すぐに出発して行った。入れ替わりにこちらも休憩する。すでに女性単独氏の姿は視界にはない。
Nさんの姿が小さくなったところで出発。これまでは距離を保っての歩きだったが、斜面の角度が急になると、どんどん引き離されていく。やはりこんなものだろうな。この頃から、下って来るハイカーが目につくようになった。まだ9時前だ。早朝の平標山ピストンもいるだろうし、身軽なトレランもいる。さっきのオジサンのように避難小屋泊りもいるかもしれない。肩の小屋泊りだとすれば、4時出発にしても無理があるところだろう。
(しつこいが、また松手山。ガスの流れは速い)
(この辺で、平標山の位置が間違っていたことに気づく)
階段登りが出てきて、余計にきつくなった感じ。実は、勘違いをしていて、目先のピークが平標山、その右手のピークが仙ノ倉山だと一時的に思っていた。登り詰めた小ピークには何の標識もなく、ただ、先に登山道が続いているだけのことで、内心はそんな気がしていたが、さっきまで仙ノ倉と思っていたのが平標山だった。振り返ると、松手山はガスの中。
(色づきの気配なし。平標山の上に雲)
(ここをスキーで下ってみたい)
(平標山が近づく)
もう色づきのないササ原の間の登山道を行く。ここから見えるヤカイ沢南側の尾根の斜面の紅葉はすでに終わったのか、鮮やかさがまったくない。ヤカイ沢は急斜面でもなく、スキーで下ったら快適だろうなと思ったが、ネットで見ると、やはり、ここをスキーで滑る人は多いようだ。山スキーをすることはもうないだろうが、頭の片隅に入れておこう。
(振り返って)
(平標山山頂)
(平標新道)
平標山の山頂がガスで見え隠れを繰り返し、ようやく山頂に着いた頃には、どうにか晴れてはいたが、東側の視界はない。何だ、これでは仙ノ倉も見えないじゃないか。山頂にはカップラーメン調理中の方が一人だけ。Nさんはもう先に行かれたようだ。確証はないが、仙ノ倉だろう。この辺をよく歩かれている感じだったし。
ここまで3時間20分。休憩を除けば3時間。CTは3時間10分。微妙なところだが、CTタイム歩きだと考えることにし、単独女性氏もNさんも速足だと思うことにしよう。できれば2時間半で歩きたかったのが本音だ。そんなことはどうでもいいが、北側にある平標新道が見える。湿原の中を登山道が通っていて、いい感じの風景が続いている。かねてから吾策新道と合わせて歩いてみたいと思っているし、今年もまたそれを考えていた。CTで14~15時間。今年の歩きはもう無理として、松手山のオジサンの話だと、越路避難小屋はきれいだったというから、それもありか。
(仙ノ倉山に向かって下る)
ここで白い景色を見てボーっと突っ立っていてもしょうがない。一服して、そのものが見えていない仙ノ倉山に向かう。まだ午前中の10時だ。少なくとも午前中は雲はなく、登山指数Aの予報だ。雲の流れも速いし、そのうちに晴れ渡り、仙ノ倉山からは富士山も遠望できるはずだと信じている(本当は那須で騙されて以来、天気予報はまったく信じてはいない)し、鈍足は「天気の回復を待ちながらゆっくりと登ってきました」の都合の良い理由にもなってはいる。
少々寒いのでウィンドブレーカーを着、帽子のベルトをきつくした。これまでも帽子が飛ばされそうになっていた。
(下りの先の鞍部)
階段道をどんどん下る。ここからまた戻り返すのかいなと思うとうんざりもするが、鞍部との標高差は80m程度のものでしかない。脇を太めの女性がヒーヒー言いながら登って行く。一眼レフのカメラを首に下げ、さぞ絶景を撮れたろう。
途中のベンチで、靴ずれ予防にバンテージを左足首に巻く。登山靴を新調し、これで3回目の使用になったが、前2回ともに同じところが痛み、今回もまた、ここで我慢ができなくなってしまった。貼ると幾分楽になった。
(鞍部から。左肩に仙ノ倉山の頭がうっすらと)
(こちらは平標山)
登り返しも階段が続く。ガスの中ながらも、たまに左手前方に仙ノ倉山が頭を出しては消える。後ろの平標山もまた見えたり隠れたりだが、見える時には青空バックになったりで、何ともあきれた天気だ。
(これもよく見かけた)
(東芝ランプ)
「東芝ランプ」を通過。これが秩父方面では「マツダランプ」だが、電気の通わぬところでこんな宣伝をしてどんなものだろう。気になって調べると、マツダランプは元々はアメリカ物のネーミング(つまり松田でもマツダでもなく、東洋工業のMAZDAとは別物の米語のMAZDA lamp)で、日本では東芝グループがライセンス契約をして電球や真空管を生産していたようだ。それがいつの間にやら東芝ランプに名称を変更したらしい。つまり、両ランプともにイコールだ。
(ガスが濃くなっていく)
(一面茶色と白の世界)
また東芝ランプ。これは標識らしく「肩ノ小屋ヨリ10000m」とある。何とも殺風景な景色の中を歩いている。ぼんやりの中に色のあるものはなく、茶色が深まったカヤトとササが風になびき、その間を木道、階段が続いているだけの光景。逆方向からのハイカーと出会う。あれっ、この方、松手山で追い抜かれた女性単独氏じゃないの。やはり速いねぇ。
(仙ノ倉山山頂)
(Nさんに撮っていただく。別にお気に入りの写真というわけではないが)
(展望盤の先に見えるものは…)
ピークを2つほど越え、登り返して仙ノ倉山。予想どおりにNさんが休んでいた。昭文社マップには「360度の大展望」とある。ここは28年前に来ているが、その時はどうだったのだろう。記憶はすでにない。360度の視界に見えるのは白いガスだけ。これからのこともあるし、紅葉は後回しにしても、山並みが続く景色を見ておきたかった。まったく残念。
Nさんは、仙ノ倉もよくいらしているようで、ここ、晴れるのは滅多にないですよとおっしゃっているが、こちらはそんなものかと思いはしても、残念無念がどうしても先に立つ。ここでNさんに写真を撮っていただく。今度は私がと言うと、もうセルフ撮りしましたからとのこと。Nさんは先に平標山に戻って行った。
菓子パンを食べて、一服。天気の回復を待っていても仕方がない。晴れ上がるわけがない。平標山に戻る。
(仙ノ倉山からの下り)
(背後に気配を感じて振り向くと仙ノ倉山。今なら富士山も見えたりして)
途中で2人組がやって来て、山頂の様子を聞かれてがっかりしていたが、このお2人、後でNさんの話では、時間の許す限り先に行くつもりでいたようで、果たしてガスの中、どこまで行けたのやら。
ぜいぜいするとは思ったが、階段状のところは斜め歩きにすれば楽で、さほどに苦労せずに平標山に戻った。後ろの仙ノ倉山は、往路と同じに頭をチラッと一回見ただけ。何とも情けない。
(平標山山頂は賑わっていた。Nさんが湯を沸かしていた)
山頂に着くなり、休んでいるトレラン風の2人連れに「仙ノ倉はどうでした?」と聞かれ、「ガスで何も見えませんよ」と答えると、2人で「やっぱりやめようか」なんて言っている。
山頂にはグループを含めて15人くらいいて賑わっていた。さっきよりもさらに白くなっている。傍らにNさんが腰かけて湯を沸かしている。慣れたところとはいえ、Nさんとてがっかりだろう。同じ新潟でも、新潟市では、沼田からあたりよりも遠いはずだし。
Nさんに挨拶をして下ろうとし、「平標小屋の方に下るんですよね」と聞くと、「いや、松手山経由にします」とのこと。先に2、3歩進んで、やけにその言葉に引っかかり、半身戻って「小屋方面に何か不都合でもあるのですか?」と聞くと、「いやぁ、あっちはあまり面白くなくてね」。なるほど。松手山コースに比べれば、確かに下り一方で風情も何もないかもしれないな。でも自分はここから小屋方面に下る。小屋から下へは歩いたことがないからだ。
(平標山ノ家に向かって下る)
「天国への階段」ならぬ「下界への階段」、いや、これはよそう。「現実への戻り階段」を下る。余計な話だが、よく「下界は、今日はさぞかし暑かろう」と言う人がいる。本人に意識はなくとも、「下界」という言葉は見下しのようにも思え、自分にはどうも好きになれない言葉だ。
(ガスっているからきれいに見えるのか)
(湿原ぽくって良い感じだが)
(天国への階段)
(左手斜面にポツポツと見える)
(これは惜しい)
(平標山ノ家が見えてくる)
ササ原の中に赤いのが見えたりする。そしてカヤトらしき茶色。ガスでよくは見えないが、晴れていれば、それなりのレベルできれいかと思う。向こう側の尾根の斜面もまた同様。どうしてもササ斜面になっていて、風景の中に色物そのものが少ない。ガスはかなり下まで降りてきている。歩いていると、そのままガスの中に吸い込まれていきそうな気分になる。登って来るハイカーはもういない。
平標山ノ小屋が見えてくる。ここは素泊まり小屋かなと思っていたが、賄い付きもあるようだ。外のベンチでバアチャングループがお食中。垂れ流しの水をいただく。おいしい。ここでウィンドブレーカーは脱ぐ。かなり蒸し暑くなっている。雲の動きも止まってしまったようで、微風すらない。
(山ノ家)
(こちらを下るのは初めてだ)
ここから駐車場までは歩いたことがないと記憶している。以前、こちらが側から平標山に行った時は、三国峠から三国山、大源太山、平標山のピストン歩きだった。休憩するには落ち着かず、一服だけして下る。
(下り道で。その1)
(下り道で。その2)
(下り道で。その3)
(下り道で。その4)
(下り道で。その5)
(下り道で。その6)
(下り道で。その7)
(下り道で。その8)
(下り道で。その9。これは晴れていれば確実にきれいだったろう)
何ともすごい紅葉が続いていた。ただ、葉をよく見ると、まっとうな紅葉には程遠く、ガスをバックにしている割には色具合が鮮やかではあるものの、焼けて、穴あき、ブツブツ、変色となっている。上の紅葉が終わったとしても、小屋の標高は1660mほどのものだ。もう終わりということはあるまい。どうも不作といった感じだが、ここの下りだけはガスがうっすらと巻いていて、むしろ幻想的な雰囲気の下りだった。
つい、写真をベタベタと貼ってしまったが、この紅葉も、ガスがかかっていたから幻想的にも見えるというもので、上が青空だったら、目もあてられないものだったかもしれない。
(もう終わり)
(林道出合い)
標高1400mあたりになると、もう濃い色はなくなり、植林の中に淡い色が見える紅葉になった。ということは、やはり、紅葉の盛りのところを下っていたのだろう。それにしてもここは蒸し暑い。サウナの中のようで、頭から汗が顔に落ち、メガネも曇り、身体はベトベトで何とも不快。
階段が終わったと思ったら、また復帰して、林道に接する登山道入り口に出た。何だかほっとした感じがする。林道は開けているし、さほどの蒸し暑さは感じないだろう。まして、左は沢のようだし。
石に腰をおろして一服していると、山頂にいたトレランカップルが下りて来た。さすがに走りはしないが、颯爽と林道を下って行った。ここの林道、車はここまで入れるのか。先に車が2台駐車している(実際は、大分先の分岐に「通行止め」の看板がある)。
(林道歩き)
長い林道歩きがはじまった。CTでは55分とある。距離がどれくらいあるかは知らない。途中で見かけた目印用の標識には2.2kmと記されていたが、その前後に同じ標識を見ることはなかった。ここは最後まで未舗装林道だ。途中で砂利撒きの作業をしていた。林道はいくつか分岐するも、標識が置かれているので、選択を誤ることはない。
(ここから遊歩道に)
(沢沿いのハイキングコース)
(トレランのオバチャン2名。山頂では見かけなかったから、この周辺でただのマラソンか)
途中に「登山口駐車場→」の標識。右手の沢筋にハイキングコースが続いているようだが、この時点では林道が離れていくので、ここに標識を置いたのかと思った。石がゴロゴロして歩きづらい歩道。すぐに、後ろから女性の大声で「こっちよー、こっちよー」と声がした。標識を見つけて入り込んだのか。
しばらくそのまま歩いたが、背後直近に声が聞こえてきたあたりで先行していただく。何と、トレランのオバチャン2人だった。トレランをするオバチャンを見たのはこれが初めてだ。ともに脂ぎっている様子はなく、むしろ乾いた感じ。
ちょとした坂があり、上がったところで左を見ると、林道が接していた。知っていたら、わざわざこんなところを歩かずとも、林道をそのまま歩いたのに。勝手な想像だが、この辺は別荘地になっているようで、ハイキングコースは敢えてずらして設置したのかもしれない。
ちょうどお腹も空いていた頃だったので、林道脇のマンホールの上に腰かけて昼食。終点はもう少しだ。食後の一服をしたら、タバコのフィルターに血が付いていた。リンゴを食べた際、頬の内側を噛んでしまっていたが、血が出てしまっていた。
(朝の分岐に出た)
(そして終点)
ハイキングコースに復帰して駐車場に向かう。その間、隣の林道ではハイカーのスズの音が間近に聞こえ続けていたから、林道をずっと下っても問題はなかったようだ。
登山口の手前で、松手山コースに合流。そちらからオバチャングループが4人歩いて来た。そして、目の前にはオジチャンの単独。登山届を回収している。こちらは、提出そのものを忘れていた。
靴を洗い、トイレに寄って車に戻る。もう車は7~8台くらいしかないが、平標山の山頂で見たハイカーからして、その間の車の入れ替えがかなりあったのではないか。
さて、帰りの温泉はどうするか。ここで探すよりも、三国峠を越えて群馬県に入ってからにしよう。スマホで日帰り温泉を調べて、ナビに入力する。
車を出すと、Nさんが駐車代を支払い、自販機で飲料を買っていた。声をかける。温泉探しをしている間に戻って来たようだ。「お疲れさんでした。またどこかの山でお会いしましょう」と挨拶し、三国峠方面に向かう。あのタイプの方なら、再会することがあったとしも、逃げ隠れする必要はない。
ここは、でんさんのようなヒッチハイカーも通るだろうと思い、周囲に目を配りながら運転したが、歩いているハイカーはだれもいなかった。三国トンネル手前は工事中で、ここには三国山、稲包山コースがある。駐車場にはそれらしき車が2台あった。どっちに行っても、午前中に見えた紅葉の景色からして、今日の紅葉はたいしたものではなかったろう。標高的にはこれからの山だと思うのだが、やはり天気予報次第か(笑)。
ナビでセットしたのは猿ヶ京温泉の共同浴場『いこいの湯』だった。ここは新しく、入浴料が300円とのことだったのでこれに決めたのだが、近づくと、右折して細い道にUターン気味に入らなくてはならず、すぐ後ろに車がいたのでパス。ナビは次の入口を案内したが、これもまた同じ。そもそも道そのものが路地のようになっている。
いこいの湯はあきらめ、国道沿いに立てた『まんてん星の湯』の幟に引かれて行った。ここは3時間670円の設定だったが、3時間もダラダラと横になったり、風呂に入り浸るつもりはない。入ったら、そそくさと出る。そんな300円コースはなかった。ここは初めての気がしていたが、風呂に入ると、2回目であったことに気づいた。
途中、高速代をケチって、月夜野のもっと先のインターから入るつもりでいたが、結果的には越後湯沢からずっと17号で帰ってしまった。運転時間は3時間だった。渋滞もあったりして、かなり疲れた。目覚ましのつもりのタバコも吸い過ぎてしまった。
(本日の軌跡。皆さん、同じような歩きをされている。ありきたりの歩き)
「この地図の作成に当たっては、国土地理院長の承認を得て、同院発行の数値地図200000(地図画像)、数値地図25000(地図画像)、数値地図25000(地名・公共施設)、数値地図250mメッシュ(標高)、数値地図50mメッシュ(標高)及び基盤地図情報を使用した。(承認番号 平24情使、 第921号)」
有料駐車場(6:31)……鉄塔下(7:34~7:41)……松手山(8:19~8:31)……平標山(9:51~10:02)……仙ノ倉山(10:55~11:10)……平標山(11:51~11:55)……平標山ノ家(12:23)……林道(13:06~13:15)……昼食(13:51~14:03)……駐車場(14:14)
もう天気予報はあてにはしていないが、出がけに「てんきとくらす」を見ると、平標山の午前中は登山指数Aとなっていて、午後3時頃からはB、夕方はCとなっている。GPV気象予報では、雨が明け方まで残るところもあるが、平標山にはかかっていず、ここもまた、午前から午後にかけては雲もきれいに消えている予報になっていた。いずれの予報ともに、午前中から午後の早い時間帯にかけては晴れということだ。那須のこともある。現地の麓から自分の目で見て判断するしかない。もう騙されまい。
月夜野ICで下り、国道17号線で三国トンネルを越えて新潟に入ると、いきなりの濃いガスになった。やはり騙されたみたいだ。
下って行くに連れ、ガスは収まったものの、やはり白い気配のままに駐車場に車を入れる。有料駐車場のシステムは後払いのようだ。車は8台ほど。2台ほどでごそごそやっている感じで、あとは既に出発か山中泊だろう。ここの駐車場、町営ということらしいが、後で渡された領収証の発行人は「山鳥原公園管理組合」とあった。その公園は、ここからさらに北にあるようだ。
平標山には過去3回行き、うち1回18年前にここに駐車したようだが、その時の記憶はなく、駐車場代を取られたかどうかも定かではない。他2回は三国峠からと、松手尾根経由だったから、その辺の空地に置いたような気がする。
(駐車場端の登山口)
(ここでコースが分岐。ここは左。帰りは正面から下って来た)
(青空が出てきたところでほっとする)
(松手山コース登山口)
一旦、林道だか町道を歩いて、改めての登山口。18年前の記憶が蘇った。松手山までつらかったことを覚えている。その時、仕事関係のまるっきりの初心者を平標山に連れて行き、彼が登りの階段で足を痛め、その後一年、整形外科に通う結果になり、会う都度にこちらから謝っていた。もっとも、当日は帰りに温泉に入り、いやぁ、きれいな汗をかきましたよ。また連れて行って下さいなと言われたが、急変したのは翌日からで、歩けずに3日程欠勤したらしい。以降、彼から山の話を一切向けてこなくなった。それでいて、その後に一人で乗鞍岳に行こうとしたらしく、当時は普通に通れた乗鞍スカイラインを運転中にカーブで擁壁に突っ込み、後日、愛車のBMWを松本の修理工場まで引き取りで同行したことがある。こうなると、山にはもう無縁としか言いようがない。
(階段の続く登山道)
(この辺の紅葉はさっぱりだ。これからだとしてもきれいではないと思う)
(歩いたことがあるのに、鉄塔ピークが松手山かと思っていた。地形図を持参していたら、1411m標高点であることは一目瞭然なのだが)
階段が続く道でクネクネと上に向かっている。雑木の間からチラチラと陽が入り込むようになり、薄暗い登りにならなかっただけでも幸いだ。天気予報どおりになったと安心したりもしている。
歩き出しから20分もしないうちにネエチャンに追い抜かれる。登山道口の脇のトイレでゴソゴソと音がしていたが、彼女だったかもしれない。しかし速いものだ、そして、オレも鈍足になったものだなとため息が出る。以降、彼女の姿を見ることはなかった。
(向かい側のピークは筍山か?)
(こちらは天丸木山かと思うが)
きつい登りでいつものように休んでは登る。ストックを出したら幾分楽な歩きになった。休んでは振り返る。振り返りの先に見える存在感のある山がずっと気になっていた。山腹を送電線が通り、山頂には何かの施設がある。苗場スキー場の筍山かもしれない。となると、あの施設はリフト乗場ということになる。左に見えるのは天丸木山? よくわからない。毛無山というのを歩いたことはあるが、この辺からは見えないのかもしれない。苗場山は雲の中なのか見えない。
(半分紅葉)
(赤は濃い。光線の関係? 濃淡が混在している)
誰も後ろにはいないという気安さもあって、かなりトロい歩きになっている。やがて、正面に送電鉄塔が見えるようになると色づきも出てくる。さらにのろくなった。まだ半分の紅葉のようだが、ここもまたアップには耐えられない。葉に穴があき、茶褐色もまた多い。真っ赤なものはなく、むしろどす黒い。これからだろうとはいっても、これでは期待できないかも。盛りになったとしてもさほどの見事さはないだろう。
(鉄塔)
鉄塔に到着。ここまで1時間。かかり過ぎか。コースタイム(以下CTとする)は1時間10分。高齢者向けのタイムだとしたら、お仲間入りということになる。ここで、鉄塔の土台に腰をかけようとしたら、ムカデのようなものがかなり這っていて、立ったままで一服する。
(当初、左が平標山で右奥が仙ノ倉山だと勝手に思い込んでいた。右奥が平標山)
さもピーカンといった中での歩きを続ける。紅葉は依然として淡いが、黄色中心で、目を近づけない限りは紅葉を楽しみながら歩ける。右手先に平標山も見え、天気予報が当たったな、今日は正解だったと、ここでまた安心したりしている。
(松手山)
(松手山山頂)
(山頂から振り返って。女性単独さんが見えている)
(山頂から。南側)
松手山が近づく。山頂には先行者(その時はそう思った)が一人休んでいるようだ。あの先であの方に抜かれるのは嫌だなぁ。さっさと出発してくれないかなと思った。
松手山に到着。オジサンが湯を沸かし、カップラーメンを食べるところだった。話を伺えば、昨日、土合から出発し、万太郎山下の越路避難小屋に泊まり、これから下るところとのこと。昨日はガスガスだったそうだが、今朝は仙ノ倉から富士山が見えたとおっしゃっている。もう見えないでしょうとの付け加えが気になったが、確かに、ガスが周囲を急速に流れ、この辺にも及んでいる。して、紅葉は? と問うと、ガスでよく見えなかったけど、オジカ沢ノ頭周辺はきれいだったようだ。避難小屋泊りは一人ではなく、もう一人いらしたとか。
その間に、女性単独氏、男性単独氏が立ち休みしては通過して行った。男性単独氏は自分と同年配の気配。後で聞くと、新潟市からいらしたとのことでここではNさんとする。「今日は風が強いですね」と言いながら先に行かれた。
(手前が松手山)
(陽があたっているのを遠くから見ると、確かにきれいではある)
二人の姿が小さくなったのを確認してから出発。女性単独氏はすでに米粒のようになっている。抜かれるのは後ろからあおられている感じで好きな歩きスタイルではない。Nさんと適当に距離を置きながら写真を撮ったりするが、しばらくは平坦道になり、Nさんの後姿が大きくなったりする。
(南側斜面)
(こちらは北側)
(ついでに)
ガスが露骨に出てくる。平標山頂はかろうじて見えている。平坦道から見える紅葉の斜面はきれいだ。新潟側は多分カラマツかと思うが、紅葉の少し手前の感じで薄い黄色ではあるものの、黄金色からは遠い。群馬側の斜面は鮮やかまではいかないがそこそこにきれいだ。ただ、間近の紅葉は見られたものではなく、もう終わりかといった印象だ。前を眺め、松手山の方を振り返っては色具合を見ながらの歩きが続く。
(松手山が遠くなる)
(なだらかな登山道に見えるがそうでもない)
(? よく見かけた)
目の前のピークが隠れ、すぐに顔を出す。とにかく雲の流れは音を立てている。ふと、Nさんに追いついてしまった。ガスの平標山を撮影中だった。休憩した後のようで、すぐに出発して行った。入れ替わりにこちらも休憩する。すでに女性単独氏の姿は視界にはない。
Nさんの姿が小さくなったところで出発。これまでは距離を保っての歩きだったが、斜面の角度が急になると、どんどん引き離されていく。やはりこんなものだろうな。この頃から、下って来るハイカーが目につくようになった。まだ9時前だ。早朝の平標山ピストンもいるだろうし、身軽なトレランもいる。さっきのオジサンのように避難小屋泊りもいるかもしれない。肩の小屋泊りだとすれば、4時出発にしても無理があるところだろう。
(しつこいが、また松手山。ガスの流れは速い)
(この辺で、平標山の位置が間違っていたことに気づく)
階段登りが出てきて、余計にきつくなった感じ。実は、勘違いをしていて、目先のピークが平標山、その右手のピークが仙ノ倉山だと一時的に思っていた。登り詰めた小ピークには何の標識もなく、ただ、先に登山道が続いているだけのことで、内心はそんな気がしていたが、さっきまで仙ノ倉と思っていたのが平標山だった。振り返ると、松手山はガスの中。
(色づきの気配なし。平標山の上に雲)
(ここをスキーで下ってみたい)
(平標山が近づく)
もう色づきのないササ原の間の登山道を行く。ここから見えるヤカイ沢南側の尾根の斜面の紅葉はすでに終わったのか、鮮やかさがまったくない。ヤカイ沢は急斜面でもなく、スキーで下ったら快適だろうなと思ったが、ネットで見ると、やはり、ここをスキーで滑る人は多いようだ。山スキーをすることはもうないだろうが、頭の片隅に入れておこう。
(振り返って)
(平標山山頂)
(平標新道)
平標山の山頂がガスで見え隠れを繰り返し、ようやく山頂に着いた頃には、どうにか晴れてはいたが、東側の視界はない。何だ、これでは仙ノ倉も見えないじゃないか。山頂にはカップラーメン調理中の方が一人だけ。Nさんはもう先に行かれたようだ。確証はないが、仙ノ倉だろう。この辺をよく歩かれている感じだったし。
ここまで3時間20分。休憩を除けば3時間。CTは3時間10分。微妙なところだが、CTタイム歩きだと考えることにし、単独女性氏もNさんも速足だと思うことにしよう。できれば2時間半で歩きたかったのが本音だ。そんなことはどうでもいいが、北側にある平標新道が見える。湿原の中を登山道が通っていて、いい感じの風景が続いている。かねてから吾策新道と合わせて歩いてみたいと思っているし、今年もまたそれを考えていた。CTで14~15時間。今年の歩きはもう無理として、松手山のオジサンの話だと、越路避難小屋はきれいだったというから、それもありか。
(仙ノ倉山に向かって下る)
ここで白い景色を見てボーっと突っ立っていてもしょうがない。一服して、そのものが見えていない仙ノ倉山に向かう。まだ午前中の10時だ。少なくとも午前中は雲はなく、登山指数Aの予報だ。雲の流れも速いし、そのうちに晴れ渡り、仙ノ倉山からは富士山も遠望できるはずだと信じている(本当は那須で騙されて以来、天気予報はまったく信じてはいない)し、鈍足は「天気の回復を待ちながらゆっくりと登ってきました」の都合の良い理由にもなってはいる。
少々寒いのでウィンドブレーカーを着、帽子のベルトをきつくした。これまでも帽子が飛ばされそうになっていた。
(下りの先の鞍部)
階段道をどんどん下る。ここからまた戻り返すのかいなと思うとうんざりもするが、鞍部との標高差は80m程度のものでしかない。脇を太めの女性がヒーヒー言いながら登って行く。一眼レフのカメラを首に下げ、さぞ絶景を撮れたろう。
途中のベンチで、靴ずれ予防にバンテージを左足首に巻く。登山靴を新調し、これで3回目の使用になったが、前2回ともに同じところが痛み、今回もまた、ここで我慢ができなくなってしまった。貼ると幾分楽になった。
(鞍部から。左肩に仙ノ倉山の頭がうっすらと)
(こちらは平標山)
登り返しも階段が続く。ガスの中ながらも、たまに左手前方に仙ノ倉山が頭を出しては消える。後ろの平標山もまた見えたり隠れたりだが、見える時には青空バックになったりで、何ともあきれた天気だ。
(これもよく見かけた)
(東芝ランプ)
「東芝ランプ」を通過。これが秩父方面では「マツダランプ」だが、電気の通わぬところでこんな宣伝をしてどんなものだろう。気になって調べると、マツダランプは元々はアメリカ物のネーミング(つまり松田でもマツダでもなく、東洋工業のMAZDAとは別物の米語のMAZDA lamp)で、日本では東芝グループがライセンス契約をして電球や真空管を生産していたようだ。それがいつの間にやら東芝ランプに名称を変更したらしい。つまり、両ランプともにイコールだ。
(ガスが濃くなっていく)
(一面茶色と白の世界)
また東芝ランプ。これは標識らしく「肩ノ小屋ヨリ10000m」とある。何とも殺風景な景色の中を歩いている。ぼんやりの中に色のあるものはなく、茶色が深まったカヤトとササが風になびき、その間を木道、階段が続いているだけの光景。逆方向からのハイカーと出会う。あれっ、この方、松手山で追い抜かれた女性単独氏じゃないの。やはり速いねぇ。
(仙ノ倉山山頂)
(Nさんに撮っていただく。別にお気に入りの写真というわけではないが)
(展望盤の先に見えるものは…)
ピークを2つほど越え、登り返して仙ノ倉山。予想どおりにNさんが休んでいた。昭文社マップには「360度の大展望」とある。ここは28年前に来ているが、その時はどうだったのだろう。記憶はすでにない。360度の視界に見えるのは白いガスだけ。これからのこともあるし、紅葉は後回しにしても、山並みが続く景色を見ておきたかった。まったく残念。
Nさんは、仙ノ倉もよくいらしているようで、ここ、晴れるのは滅多にないですよとおっしゃっているが、こちらはそんなものかと思いはしても、残念無念がどうしても先に立つ。ここでNさんに写真を撮っていただく。今度は私がと言うと、もうセルフ撮りしましたからとのこと。Nさんは先に平標山に戻って行った。
菓子パンを食べて、一服。天気の回復を待っていても仕方がない。晴れ上がるわけがない。平標山に戻る。
(仙ノ倉山からの下り)
(背後に気配を感じて振り向くと仙ノ倉山。今なら富士山も見えたりして)
途中で2人組がやって来て、山頂の様子を聞かれてがっかりしていたが、このお2人、後でNさんの話では、時間の許す限り先に行くつもりでいたようで、果たしてガスの中、どこまで行けたのやら。
ぜいぜいするとは思ったが、階段状のところは斜め歩きにすれば楽で、さほどに苦労せずに平標山に戻った。後ろの仙ノ倉山は、往路と同じに頭をチラッと一回見ただけ。何とも情けない。
(平標山山頂は賑わっていた。Nさんが湯を沸かしていた)
山頂に着くなり、休んでいるトレラン風の2人連れに「仙ノ倉はどうでした?」と聞かれ、「ガスで何も見えませんよ」と答えると、2人で「やっぱりやめようか」なんて言っている。
山頂にはグループを含めて15人くらいいて賑わっていた。さっきよりもさらに白くなっている。傍らにNさんが腰かけて湯を沸かしている。慣れたところとはいえ、Nさんとてがっかりだろう。同じ新潟でも、新潟市では、沼田からあたりよりも遠いはずだし。
Nさんに挨拶をして下ろうとし、「平標小屋の方に下るんですよね」と聞くと、「いや、松手山経由にします」とのこと。先に2、3歩進んで、やけにその言葉に引っかかり、半身戻って「小屋方面に何か不都合でもあるのですか?」と聞くと、「いやぁ、あっちはあまり面白くなくてね」。なるほど。松手山コースに比べれば、確かに下り一方で風情も何もないかもしれないな。でも自分はここから小屋方面に下る。小屋から下へは歩いたことがないからだ。
(平標山ノ家に向かって下る)
「天国への階段」ならぬ「下界への階段」、いや、これはよそう。「現実への戻り階段」を下る。余計な話だが、よく「下界は、今日はさぞかし暑かろう」と言う人がいる。本人に意識はなくとも、「下界」という言葉は見下しのようにも思え、自分にはどうも好きになれない言葉だ。
(ガスっているからきれいに見えるのか)
(湿原ぽくって良い感じだが)
(天国への階段)
(左手斜面にポツポツと見える)
(これは惜しい)
(平標山ノ家が見えてくる)
ササ原の中に赤いのが見えたりする。そしてカヤトらしき茶色。ガスでよくは見えないが、晴れていれば、それなりのレベルできれいかと思う。向こう側の尾根の斜面もまた同様。どうしてもササ斜面になっていて、風景の中に色物そのものが少ない。ガスはかなり下まで降りてきている。歩いていると、そのままガスの中に吸い込まれていきそうな気分になる。登って来るハイカーはもういない。
平標山ノ小屋が見えてくる。ここは素泊まり小屋かなと思っていたが、賄い付きもあるようだ。外のベンチでバアチャングループがお食中。垂れ流しの水をいただく。おいしい。ここでウィンドブレーカーは脱ぐ。かなり蒸し暑くなっている。雲の動きも止まってしまったようで、微風すらない。
(山ノ家)
(こちらを下るのは初めてだ)
ここから駐車場までは歩いたことがないと記憶している。以前、こちらが側から平標山に行った時は、三国峠から三国山、大源太山、平標山のピストン歩きだった。休憩するには落ち着かず、一服だけして下る。
(下り道で。その1)
(下り道で。その2)
(下り道で。その3)
(下り道で。その4)
(下り道で。その5)
(下り道で。その6)
(下り道で。その7)
(下り道で。その8)
(下り道で。その9。これは晴れていれば確実にきれいだったろう)
何ともすごい紅葉が続いていた。ただ、葉をよく見ると、まっとうな紅葉には程遠く、ガスをバックにしている割には色具合が鮮やかではあるものの、焼けて、穴あき、ブツブツ、変色となっている。上の紅葉が終わったとしても、小屋の標高は1660mほどのものだ。もう終わりということはあるまい。どうも不作といった感じだが、ここの下りだけはガスがうっすらと巻いていて、むしろ幻想的な雰囲気の下りだった。
つい、写真をベタベタと貼ってしまったが、この紅葉も、ガスがかかっていたから幻想的にも見えるというもので、上が青空だったら、目もあてられないものだったかもしれない。
(もう終わり)
(林道出合い)
標高1400mあたりになると、もう濃い色はなくなり、植林の中に淡い色が見える紅葉になった。ということは、やはり、紅葉の盛りのところを下っていたのだろう。それにしてもここは蒸し暑い。サウナの中のようで、頭から汗が顔に落ち、メガネも曇り、身体はベトベトで何とも不快。
階段が終わったと思ったら、また復帰して、林道に接する登山道入り口に出た。何だかほっとした感じがする。林道は開けているし、さほどの蒸し暑さは感じないだろう。まして、左は沢のようだし。
石に腰をおろして一服していると、山頂にいたトレランカップルが下りて来た。さすがに走りはしないが、颯爽と林道を下って行った。ここの林道、車はここまで入れるのか。先に車が2台駐車している(実際は、大分先の分岐に「通行止め」の看板がある)。
(林道歩き)
長い林道歩きがはじまった。CTでは55分とある。距離がどれくらいあるかは知らない。途中で見かけた目印用の標識には2.2kmと記されていたが、その前後に同じ標識を見ることはなかった。ここは最後まで未舗装林道だ。途中で砂利撒きの作業をしていた。林道はいくつか分岐するも、標識が置かれているので、選択を誤ることはない。
(ここから遊歩道に)
(沢沿いのハイキングコース)
(トレランのオバチャン2名。山頂では見かけなかったから、この周辺でただのマラソンか)
途中に「登山口駐車場→」の標識。右手の沢筋にハイキングコースが続いているようだが、この時点では林道が離れていくので、ここに標識を置いたのかと思った。石がゴロゴロして歩きづらい歩道。すぐに、後ろから女性の大声で「こっちよー、こっちよー」と声がした。標識を見つけて入り込んだのか。
しばらくそのまま歩いたが、背後直近に声が聞こえてきたあたりで先行していただく。何と、トレランのオバチャン2人だった。トレランをするオバチャンを見たのはこれが初めてだ。ともに脂ぎっている様子はなく、むしろ乾いた感じ。
ちょとした坂があり、上がったところで左を見ると、林道が接していた。知っていたら、わざわざこんなところを歩かずとも、林道をそのまま歩いたのに。勝手な想像だが、この辺は別荘地になっているようで、ハイキングコースは敢えてずらして設置したのかもしれない。
ちょうどお腹も空いていた頃だったので、林道脇のマンホールの上に腰かけて昼食。終点はもう少しだ。食後の一服をしたら、タバコのフィルターに血が付いていた。リンゴを食べた際、頬の内側を噛んでしまっていたが、血が出てしまっていた。
(朝の分岐に出た)
(そして終点)
ハイキングコースに復帰して駐車場に向かう。その間、隣の林道ではハイカーのスズの音が間近に聞こえ続けていたから、林道をずっと下っても問題はなかったようだ。
登山口の手前で、松手山コースに合流。そちらからオバチャングループが4人歩いて来た。そして、目の前にはオジチャンの単独。登山届を回収している。こちらは、提出そのものを忘れていた。
靴を洗い、トイレに寄って車に戻る。もう車は7~8台くらいしかないが、平標山の山頂で見たハイカーからして、その間の車の入れ替えがかなりあったのではないか。
さて、帰りの温泉はどうするか。ここで探すよりも、三国峠を越えて群馬県に入ってからにしよう。スマホで日帰り温泉を調べて、ナビに入力する。
車を出すと、Nさんが駐車代を支払い、自販機で飲料を買っていた。声をかける。温泉探しをしている間に戻って来たようだ。「お疲れさんでした。またどこかの山でお会いしましょう」と挨拶し、三国峠方面に向かう。あのタイプの方なら、再会することがあったとしも、逃げ隠れする必要はない。
ここは、でんさんのようなヒッチハイカーも通るだろうと思い、周囲に目を配りながら運転したが、歩いているハイカーはだれもいなかった。三国トンネル手前は工事中で、ここには三国山、稲包山コースがある。駐車場にはそれらしき車が2台あった。どっちに行っても、午前中に見えた紅葉の景色からして、今日の紅葉はたいしたものではなかったろう。標高的にはこれからの山だと思うのだが、やはり天気予報次第か(笑)。
ナビでセットしたのは猿ヶ京温泉の共同浴場『いこいの湯』だった。ここは新しく、入浴料が300円とのことだったのでこれに決めたのだが、近づくと、右折して細い道にUターン気味に入らなくてはならず、すぐ後ろに車がいたのでパス。ナビは次の入口を案内したが、これもまた同じ。そもそも道そのものが路地のようになっている。
いこいの湯はあきらめ、国道沿いに立てた『まんてん星の湯』の幟に引かれて行った。ここは3時間670円の設定だったが、3時間もダラダラと横になったり、風呂に入り浸るつもりはない。入ったら、そそくさと出る。そんな300円コースはなかった。ここは初めての気がしていたが、風呂に入ると、2回目であったことに気づいた。
途中、高速代をケチって、月夜野のもっと先のインターから入るつもりでいたが、結果的には越後湯沢からずっと17号で帰ってしまった。運転時間は3時間だった。渋滞もあったりして、かなり疲れた。目覚ましのつもりのタバコも吸い過ぎてしまった。
(本日の軌跡。皆さん、同じような歩きをされている。ありきたりの歩き)
「この地図の作成に当たっては、国土地理院長の承認を得て、同院発行の数値地図200000(地図画像)、数値地図25000(地図画像)、数値地図25000(地名・公共施設)、数値地図250mメッシュ(標高)、数値地図50mメッシュ(標高)及び基盤地図情報を使用した。(承認番号 平24情使、 第921号)」
今回の平標山の記事はともかく、早速、あにねこさんの記事を拝見しましたよ。まめに見てはいるのですが、根拠もなく出張ついでにまた九州の山かなと思ったりして、見逃していました。
中芝新道、困ったものです。複雑な思いで、悩むところですよ。すんなりと歩かれているようですが、周囲のハイカーはその先で戸惑ったり、あにねこさんが先を譲ったりと…。
あにねこさんは、私みたいに、ザレ場の急登でノドがカラカラになったといったような、ストレートな感情むき出しの表現は記さず、どんなところでも淡々と表現されますからねぇ。正直のところ、実際の中芝新道がどんなところなのか、あにねこさんレベルに達していないのでよくわかりませんでした。
果たして本当に大丈夫かな、取り越し苦労なのかなと思ったり、複雑ですよ。
ただ、かつて、あにねこさんの後追いをして、万太郎山に吾策新道ピストンで行ったことがあったのですが、結果として、何で、こうも自分とかかった時間が違うのだろう、自分が苦労したところもあっさりとした表現で片付けている。不思議というよりも、レベルが違うんだなといった結論にしたものです。
しかし、あにねこさんの記事を拝見してしまった以上は、自分の足で歩いてみなきゃいけないなと思っています。ただ、皆さんを巻き込むことはせずに、一人で歩いてみてきますよ。しばらくは天気具合が悪そうなので、今日、明日ということはないでしょうけど。できれば近いうちに。
今回の記事ですが、やはり、天気でしたね。もう、紅葉もそれなりに楽しんだので、今度はしばらくご無沙汰の西上州あたりに行ってみようかなと思っています。意外と期待せずに行って、なんとまぁの心持ちで帰路に就くこともあり得ますし。
私はガス=雲と思っていましたから、GPVでも、雲なし=ガスなしで認識していました。それでは期待裏切られた気分にもなります。要注意ですけど、これだけは現地に行ってみないことにはねぇ。
この日はずっと至仏も雲がかかってました。高い所はそんな感じだったのでしょうか。
私もこのコース一度歩いて、その後からは、林道歩きを避けていますよ。
山の家の裏手をのぞいたら、お風呂場が気になったのでした。その時は囲いは??だったので。。
中芝新道・・・気になる!
それにしても「天国への階段」の紅葉,2年前の9月末と今回のに,あまり差がないのが不思議ですヨ。
10日以上も違っているのに,まだ,ドウダンツツジの葉が残っていたんですネ。
とはいえ,それ以外の中腹の紅葉は,さすがに10日の差があるだけ,色が濃いように思います。
「Yama Yama GPV」というサイトなら低層、中層、高層雲量予想が見られますよ。
山頂部の紅葉は終了して山の家付近がキレイみたいですから
紅葉だけを目当てにするなら大源太山方面のほうが良かったかもしれませんね。
それよりも人気の平標山というのは、たそがれさんには相応しくない気がしました(笑)
平日だからですね。
冒頭の写真を見るに、かなりいい感じの紅葉に見えますし、下山ルートの紅葉も美しく見えました。写真からはガスもいいアクセントに見えたりするのですが。確かにピーカンの秋空と紅葉の風景にあこがれますが、現実はなかなかそうはいきませんね。
ヤカイ沢に触れられておりました。自分もヤカイ沢を登ろうとした事がありましたが、巨大なデブリにでくわし、恐れを成してたそがれさんの下山ルートを登ってお茶を濁しました。当時は岩魚沢林道と呼ばれていて伐採跡地で広々としておりました。現在とは全く異なる風景でした。そんな事思い出しつつ、なつかしく拝見した次第です。
やはり稜線上の方は紅葉もう終わってましたか。谷川の稜線から穏やかな沢に下りて紅葉を楽しむと言うのを考えてましたが来年に持ち越しです。
対して山の家からの下りでは紅葉が綺麗ですね。月曜に巻機山からの下りで1500-1700mくらいの紅葉がやたら綺麗に見えましたがこの辺りも同様のようで。
ヒッチハイカー、この前初めて会いましたよ。登山口でバス逃した人でしたけど。
中芝新道、気になりますか。私もあにねこさん記事でさらに気になっていますが、危ういことに巻き込むわけにもいきませんから、とくちゃのたってのご所望でしたから、私もそうですので、いずれ、偵察してきますよ。
燧ケ岳は見えても至仏山は雲かぶりでしたか。ということは、水曜日は群馬県側の天気はどこもぱっとしなかったようですね。
あの山ノ家は風呂付きですか。水が豊富だからなのでしょうね。囲いがないということなら、どうも…といったところですが。男であっても、それなりに気にするものです。
あの林道、少なくとも4knはありそうだし、避けるのは当たり前かもしれませんが、私には、舗装道じゃなかっただけでも、たいして苦痛な歩きではなかったですけどね。
2年前のお歩き、記憶にありますよ。ガスガスで仙ノ倉には行かれなかったこと。
あれは9月末でしたか。今年も、上の方はその頃に見頃だったと思います。今回、見た限りは、上は終わりで、中腹は終わりかけ、下が盛りといった感じでしたが、いかんせん、ガスの中では、判断がつきません。さすがに、ガスの中でも赤は鮮やかでしたが。
那須にしろ、平津にしろ、晴れていればなぁといった紅葉巡りが続いています。それで、今週はずっと雨続き。晴れ間の明日は用事あり。となると、今季は絶望的かなと思ったりしているのですが、まだ足尾に望みをつなげますよ。
Yama Yama GPVですか。今、ネットで確認しましたよ。GPV気象予報よりもアバウトではなく使えそうですね。これから、参考にしてみることにします。ありがとうございます。
平標周辺は確かに、山ノ家の上部から下にかけての部分が盛りのような気がしました。
私もこれでは大源太あたりかなと思ったりしたのですが、その肝心の大源太は見えず、行く途中で晴れていた群馬側から稲包山を見る限りはさっぱりな紅葉で、くすんでいましたけどね。あるいは、これからなのでしょうか。ただ、松手山の紅葉を見る限りは、大源太も有りだったかもですね。
平標も、それなりに悩みましたよ。谷川だと人が多いから避けるとして、土樽あたりからの歩きだと、夕方にまでなりそうで、ちょっと天気がどうかなと思ったり。無難なところで平標にした次第ですが、休日なら、先ずは選択しませんね。