たそがれオヤジのクタクタ山ある記

主に北関東の山を方向音痴で歩いています。山行計画の参考にされても責任は負いかねます。深慮せず軽く読み流してください。

(西上州)立岩から荒船山周回。まさか帰路のルート探しで手こずるとは。~その1~

2017年10月22日 | 西上州の山
◎2017年10月18日(水)

線ヶ滝先駐車場(7:42)……東西立岩コル(8:54)……西立岩(9:29)……荒船山分岐(10:15)……立岩分岐(11:06)……行塚山(12:02)……山頂分岐(12:17)……荒船山艫岩(12:47)……山頂分岐(13:30)……星尾峠(13:42)……左岸コース分岐(14:17)……威怒牟幾不動分岐(15:00)……威怒牟幾不動滝(15:08)……威怒牟幾不動分岐(15:22)……駐車場(15:56)……線ヶ滝観瀑台(16:08)……駐車場(16:13)
※表記時刻は到着時刻です。あちこちでかなりの休憩時間をとって歩いていますので遅いタイムになっています。参考にしても意味がありません。


 西上州の山はさほどに歩いていない。ボチボチとは思っているが、サボテンのような岩峰群を思うだけでどうもなぁと尻込みしてしまう。それでいて、一昨年の10月末に烏帽子岳からの帰り道で見た桧沢岳が気になっていて、次の西上州の歩きは桧沢岳のつもりでいた。
 水曜日は天気も良さそうだし、行ってみるかと昭文社マップを広げると、立岩というのが目についた。数年前に南牧村から取り寄せていた観光ガイドパンフを確認する。そして、ハイトスさんあにねこさんの記事もチェック。ここも面白そうだ。立岩に荒船山を加えたルートで歩いてみようか。コース途中に威怒牟幾不動(イヌムキフドウ)という名前のおどろおどろしい感じのスポットと滝があって、これが気に入った。他にもイモリの滝、線ヶ滝という滝も見られるようだ。今回の紅葉は、標高も低いし、度外視だろうな。

(行く途中で。奥が西立岩、手前が東立岩だろう)


 下仁田インターから県道で南牧村星尾に向かう。この県道、先に行くに連れて狭くなり、待機スペースもあまりない所を通過するようにもなり、民家も連なっているので神経をやたらと使う。軽で来れば良かったと後悔。対向車と出会うことはなかったが、線ヶ滝の駐車場に着いた時には心底ほっとしたものの、帰りも同じところを通るのかと思うと、このまま帰りたくなった。

(駐車場に置かれた石仏)


(登山口)


(丸太のハシゴ橋。奥にも2つ目の橋が見えている)


(登山者守り地蔵)


 駐車場、ハイトスさんの記事には、バスの回転場所につき云々の看板があるようなことが記されているが、もう路線は廃止されたのかそんな看板はなく、石仏と登山の標識があるだけ。車10台は置けるか。もちろん、他に車はない。朝だからか気温は12℃。冷たい風有りで寒い。防寒対策はしていなかった。間に合わせのトレパンのジャージのみ着込む。歩いていれば暖かくなるだろう。
 標識は「荒船山登山口」と「立岩登山口」の2種が並んでいた。丸太渡しのハシゴ橋を渡ると「登山者守り地蔵」。一応、手を合わせる。今日は岩峰歩きだし、クマの気配もある。よろしくお願いしますよと。

(左直進は星尾峠経由で荒船山。右は立岩経由。ここは右)


(童子の石碑)


(この2つ目の橋でやらかした。帰りは上流を渉った)


 矜迦羅童子と制吒迦童子を併記した石碑には「是よりふどう道十八丁」とある。後で調べると、二童子ともに不動明王の使者らしい。そういえば、桐生の山で三十六童子の石碑探しに夢中になったことがあったなぁ。信仰の道ということか。この先で分岐する威怒牟幾不動に至る道のことを指すのだろう。
 そんなことよりも、次の丸太ハシゴ橋がやばかった。さっきよりも長いが、丸太が一本少なく、造りが粗雑っぽい。さらに雨上がりでツルツル滑る。半分まで慎重に渡ったところで滑ってしまった。バランスを崩したところで、左足が丸太と渡しの間をスポっと腿まで抜けてしまった。足を引っこ抜き、あとは膝突きの四つん這いになって渡った。沢に落ちなかっただけでも幸いではあるが、登山者守り地蔵に参拝した割りには幸先がよろしくない。賽銭をあげなかったからか。帰りにここをまた渡らないといけない。絶対に橋は使うまい。その時はフィニッシュ部だから、濡れてもかまいわしない。しかし、周囲にだれもいなくてよかった。他のハイカーにこのとんだ赤っ恥を見られていたら、先々で後ろ指をさされて歩くことになる。

(分岐。立岩は右。左下直進が威怒牟幾不動道)


(標識はこんな具合だ。どこの山でも見かける光景だが)


 ここで威怒牟幾不動道と立岩との分岐。立岩までは1.8km。中級者向きとある。このところ、「中級者」のレベルがわからなくなりつつある。「中級以上」と言われた谷川岳中芝新道に至っては、自分は「超初心者」になってしまうし。この先もそうだが、この登山道、一部区間を除いて古い標識が豊富にあるものの、上に行くにしたがい、クマらしきものに粉砕されていて、支柱だけといったものもある。確かにクマは多いようだ。現に真新しい足跡やフンも見た。栗のイガやドングリがあちこちに落ちているところからして、クマがうろついていても不思議ではない。

(植林の中の道)


(ロープが出てくる)


 道はしっかりしている。植林の中をクネクネと登る。傾斜はさほどに急ではない。階段を敷設したところもある。雨後のためか、むき出しの道はかなり滑る。
 広葉樹が混じり込む。紅葉の気配はまだまだ先。うっすらとした色づきだ。この道、トラバース道といったところで、脆くなっているところにはクサリやロープも出てくるが、手をかける程でもない。ただ、次第に急になってきたので、ストックを出すことにする。

(魔界に入り込む感じ)


(そしてクサリ場を登る。あれで終わりではなく、岩を回り込んで付いている)


 いよいよお出ましかといった感じで、円柱型7~8mの岩が目に入ると間もなく、左右大岩の回廊といった風情になり、次第に緊張もしてくるし、ずっと続くクサリにもつい手が出てしまう。ここで、ストックは収納する。恐いもの見たさという感覚はなく、むしろ、さっさと済ませて先に行ってしまいたいといった気分の方が強い。
 ザレた岩峰の際を行くと、「立岩登り口⇒」の標識。見上げると、岩の際が急なクサリ場になっている。こういうのはバンドというのか、通路は細く、ちょっとばかりヒザがガクガクする。緊張しながらクサリに手をかけて登る。

(側面から。西立岩?)


 見上げて長いなと思った割りには短いクサリ場だった(実際は20mらしい)。まぁ、これからが本番だろう。目の前に切れ落ちた岩峰が見えている。まさかあれが、これから登る西立岩というのではあるまいな。余談だが、ここには、昭文社マップを見る限り、東西、北の立岩が記されている。登山道が通っているのは西立岩のみ。ネット記事を見ると、東立岩込みで登っている方もいるが、自分の場合、岩峰登りはそれほどの関心事でもないので、西立岩のみに行く。ハイトスさんも行かれていないし、東立岩は西上州ファンのHIDEJIさんにお願いすることにしよう。

(東西立岩の鞍部。枯れきったスズタケが繁茂している)


(ベンチがあったりして)


 で、これからは岩場続きかと思ったが、クサリは若干続くものの、スリリングなところはなく、普通の山歩きスタイルになってしまった。周囲が木立になり、紅葉が期待できるかなと思って歩いている。そして、これを折ってしまったらそれきりだろうなといったスズタケの小道になったりする。たまに大きな岩を見るくらいで、麓から見たあの岩峰の中を歩いているとはどうも思えない。
 鞍部のようなところに出た。ベンチがあって、標識には「立岩0.5km」とある。ここが東西立岩の分岐だろうか。0.5kmとは随分あるなぁ。やはり、まだ際どいのはこれからだろう。さっきのクサリ場は際どいレベルではなかったし。

(西立岩へ。岩峰の中を歩いている雰囲気ではない)


(ここを登ってみると)


(西立岩が間近に)


 腐りかけの階段を登って下る。起伏が多い。左手に踏み跡が見えたので追ってみると、ちょっとした岩峰になっていて、登り上げると、さっき見かけた岩峰が間近に見えた。やはりあれが西立岩か。とすると、ここが東かなと思ったりしたが、左手にはしっかりと岩峰が見えている。あれが東立岩か。山頂まで木立が続いているから、むしろ西よりもやさしいかも。後で調べると、ここは西立岩の南峰というらしい。それにしても、ここから下の眺めは壮絶といった感じの絶壁になっている、ノドカラにならないうちにさっさと引き返す。しかし、あの西立岩、あんな険しい岩場になっていて行けるのだろうか。だけど、破線ルートでもないし、あっさり行けるんだろうな。

(踏み跡を追うと、先には行けなくなった)


 踏み跡があちこちに出てきて、テープも消えてわかりづらくなった。とりあえず濃い踏み跡に行ってみると、先は岩場でクサリなし。その先に行けないこともないが、横からトラバース気味に登るようになり、下は切れているから回り込むのはかなり厳しい。ここで撤退か…。しかし、考えてみると、ここまで丁寧にクサリがあったのに、急に消えることはあり得ない。このまま行くとなると破線未満の危険マークになってしまう。これは確実に道間違えだなと、すごすごと戻る。
 なんだ、テープがあるじゃない。改めて正当な方向に行く。踏み跡に騙されて早々に見切りをつけて戻るうちはまだいいが、頭の中が一方通行になっていたら、踏み込んでしまってから命からがらに戻るか落ちるかのパターンだろう。

(またクサリ場の登り)


(手前が南峰で、奥が東立岩かも)


(まだ上がある)


 またクサリが出てくる。ここは滑りやすくて急だからの配慮だろう。上ではロープも加勢する。見上げると、青空が開けている。あそこからかなりヤバくなるのだろうか。心構えをしてクサリ頼りに登ると、ぽっかりと見晴らしの良過ぎるところに出た。もしかして、これ、西立岩の山頂か? さっき登った南峰と東立岩らしき岩峰が脇にそそり立っている。だがまだ上が続いている。

(西立岩山頂)


(木彫りの仏様)


(山頂から1。真ん中の尖がりが行塚山だったようだ。その左にうっすらと浅間山)


(山頂から2。山頂から北西方面になる。あの乳首山が大変気になった。兜岩山かねぇ)


(山頂から3。これは北東方面)


(山頂から4。南西側)


(山頂から5。これは南側だったか)


 ベンチと標識が見えた。もしかしてこれが山頂かねぇ。半信半疑で見渡すと、例の、だれのレポにも載っている木彫りの仏像があり、立岩の標識もあった。勇んでやって来た割りにはあっさりした到達感だ。山頂とはいっても、むき出しの岩峰らしからぬところがあり、右手東側は木立になっているので高所恐怖症のレベルではないが、左はやはり景色が良いものの、見下ろしは避けた方が無難だろう。遥か下、国道254号線を走る車が見える。
 しばらく絶景の展望を楽しむ。木立がある分、360度とはいかないが、225度ほどの展望だ。岩峰がニョキニョキと並んでいるから、地図と照らしてもどれが何山、何岩なのか見分けがつかない。はっきりとわかったのは雲に覆われた浅間山だけ。これから向かうつもりの行塚山がどれなのかもわかっていない。すごい眺めだなといったど素人の楽しみ感覚だ。

(西立岩からの下り)


(威怒牟幾不動の標識)


 では下る。進む方向からして、あの、肩肘張って威張っている感じのピークが行塚山っぽい。それでいて、その先の荒船山の高原状の地形が見えない。ここからでは例の、クレヨンしんちゃんの作者が8年前に転落して亡くなった艫岩は見えないのだろうか。それはともかく、周囲は絶壁の下だから、これからどういうルート取りで肩肘張りの山に行くのだろうか。地図では、しばらくは尾根伝いにはなってはいる。下りかけで浅間山が雲から顔を出した。改めて東立岩を見る。登った南峰は見えない。南峰はささいなギザギザの一部にしか過ぎなかった。
 登った分もったいないなぁと思いながらもどんどん下る。「イヌムギ不動⇒」の看板があった(ここでは「キ」ではなく濁点付きの「ギ」だ)。ここで、分岐かなと思って地図を確認する。分岐ではない。このままの標識下りで良いようだ。

(尾根の歩き)


(見えづらいがクサリが3本垂れている)


(振り返って立岩。海坊主と大入道みたいだ)


 明瞭な尾根状の歩きになり、鞍部にさしかかると、2人組のハイカーが逆方向から登って来た。うち一人はサイクリング用のヘルメットをかぶっている。まさか、こんな平日にと思っていたからびっくりした。コンニチワで素通りしたが、時間的に、駐車場に他の車はなかったし、自分の予定コース逆回りとは思えない。ということは、黒滝山の方から来たのだろうか。それにしても、まだ10時前だ。時間的には早過ぎないか。
 岩峰が目の前に立ちふさがる。散々下った後の岩峰だから、西立岩の一部ではあるまい。クサリが3本垂れている。ここは左に2本を左右の手を使いながら登った。無理に使わずとも登れるが、岩が濡れている時はクサリ使用必至だろう。振り返ると、立岩が陽光を背にして見えている。

(荒船山分岐の標識)


 後はずっと尾根伝い。部分的に細くなっている所もあるが、左右切れているわけでもなく危険は感じずに歩いて行ける。
 分岐になった。ここが南牧村マップにある荒船山分岐で。左の下りは威怒牟幾不動に至るようだが、おそらくはあったであろう標識はない。粉砕された標識に「←トモ岩方面」と手書きされているので直進する。この辺、不思議な現象で、上の木々の葉は緑だが、地面に落ちた葉は紅葉になっている。第二段の紅葉がこれからあるということだろうか。

(うっすらとした紅葉がきれいになってくる)


(ここも賑やかだ)


(尾根が細くなってもこの程度)


(1305m標高点ピーク)


 急斜面になっていく。さっきのお二人、さんざん下りで滑ったのか、その跡が結構残っている。落葉で道型は不明瞭なところもあるが、散発的なテープもあるので、これは助かる。この辺から先は大きなドングリがあちこちに落ちている。クマもいそうだ。ただ、クマの好みは緑色のドングリらしく、落ちて茶色になったドングリはあまり食べないようだ。
 自分としては順調に歩いている。荒船山に行くのはヤメにしようか、行塚山は巻こうかなとちらっと思ったこともあったが、このまま行塚山に行くことにする。艫岩に行くかどうかは未定だ。1305m標高点ピークに出て休む。ここには図根点が置かれている。

(ヤブ道標識)


(階段の下り)


(チラリと右手に毛無岩?)


 また下ってちょっと登ると標識。立岩方面の確認標識だ。それには「ヤブ道」と記されている。ここまで、少なくともテープもあったし、迷うようなところはなかったが。かつては、スズタケ充満のヤブだったのかもしれない。
 また余計な廃れた丸太階段の脇を下って行く。なだらかになった道を行くと、ここもまた落葉紅葉になっている。色づきがあるという点では確かにきれいだが、上の葉は半分の紅葉だ。ここで東の毛無岩方面からの道が合流する。立岩分岐。標識には「黒滝山不動寺8.4km」とある。行く方向には「星尾峠1.2km」。その下にも標識があったようだが、残骸も見あたらない。黒滝山方面の尾根を見ると、ポコンとしたピークが見える。あれが毛無岩だろうか。

 昭文社マップ(2005年版)を見ると毛無岩とこちら側・相沢越区間は「ナイフリッジ 危」とある。昨年、そこを歩かれたHIDEJIさんは楽勝で通過されているが、自分には毛無岩は縁なしのままでいたい。気になったのは、HIDEJIさん記事に掲載されたマップには「ナイフリッジ」が消え、南側に「ナイフエッジ」と書き込まれている。2005年版にはそれがない。そもそもリッジとエッジはどう違うのか。ridgeは尾根、edgeは鋭さを意味するから、険峻さからいえばエッジ>リッジとなるのか。となると、「キレット」はどのレベルなんだ?

(自分好みの紅葉の色づき)


(下ると、右からピーク迂回路。余計な歩きをしてしまった)


 紅葉がきれいになった。全体が淡い。この辺はこれからだろう。落葉紅葉はない。樹々の間から正面に肩肘張り型のピークが見える。やはりあれが行塚山のようだ。なだらかになってまた上りになった。ここでストックを出す。テープが見えなくなったが、尾根通しに行けばいいだけだろうが、急な登りに踏み跡はなく、登り切ってから呼吸整えがてらに一服する。
 せっかく登った小ピークだったが、下ると、右から明瞭な道が現れて合流した。どうも余計な登りをしただけのことだったようだ。

(良い感じ。ここも以前はスズタケ通りだったのだろう)


 また起伏のあるなだらかな道。階段もある。この辺が一番紅葉はきれいだったが、あと一週間から10日は欲しいだろうな。ここもまたスズタケが壊滅状態。
 そして分岐。標識はない。正面は上りになっているから、行塚山への直通ルートで、左は星尾峠に向かう道だろう。ここは直登ルートを選ぶ。

(行塚山への登り)


(行塚山山頂)


 青空の下の紅葉を見ながら登って行く。のんびりながらも結構きつい。石がゴロゴロしてくると、左手に立岩が見え出す。こういう光景がなかったらつらいだろう。
 山頂に到着した。これが行塚山。注連縄を張り、石祠が置かれている。この石祠、「平成七年・内山氏子中」とあるから新しい。二等三角点と「佐久市炬火採火の地 国民体育大会」と記されたよく意味のわからない碑が置かれている。山名板には「経塚山」と記されている。棒状になっていて、他にも何か記された板があったのだろうが、これもまた粉砕。展望は木立に囲まれてよろしくない。

 ここで、余計なことを記す。荒船山とこの行塚山、別の山かと思っていた。32年前に友人と荒船山ついでにここにも来た記憶がある。内山峠から登った。その時は「経塚山」として覚えている。今回、調べると「行塚山」というのもある。帰ってから気になって山名事典を調べると、「京塚山(経塚山、行塚山)。1423m。荒船山の最高点」とあった。「荒船山」を調べると「1423m。頂上は南部の京塚山(経塚山・行塚山)で、北端に艫岩と呼ぶ170mの崖がある。山名は、荒波に浮かぶ船の意からきている」となっている。地理院地図に京塚山等の山名の記載はなく、三角点マークがあるだけで、このエリアとして「荒船山」と記されている。ちなみに三角点の点名は「荒船山」。昭文社マップでは「行塚山(経塚山)」の表記だ。ここでは行塚山として通すが、行塚山=荒船山とは知らなかった。これを知らなかったために、後でとんだ笑い話を起こすことになる。
 これを調べた際、「経塚山」という山は全国に多いことを知った。桐生にもある。経塚とは経典を土中に埋納した塚のことらしい。この行塚山も含め、それぞれの山も、そういった意味合いのある山かと思う。

 長い蛇足だった。その分、山頂では長い休憩になっていたが、その間、これまで荒船山の山頂と思っている艫岩まで行くかどうかでずっと悩んでいて、地図を見る限りは平坦になっているし、行ってみるかと、重くなった腰を上げて下る。

(艫岩に向かって下る)


(行塚山頂分岐)


 尾根を巻きかげんでずっと下って行くと、標識。昭文社マップでは「山頂分岐」、南牧村マップでは「行塚入口」とあるところだ。左は「星尾」、手前は「行塚山」、直進は「荒船山絶壁」となっている。すでに荒船山に入っているから、「荒船山山頂」としないのが不思議に思っているが、帰りはここに戻り、星尾方面に下ることになる。

(平坦な道が続く)


(落葉紅葉)


 ずっと平坦な高原遊歩道といったところを歩く。ここもまた落葉紅葉。これを見なけりゃ、紅葉はこれからだろうなと思ってしまう。去年までの落葉ということはあり得まい。変色して茶色になっているはずだ。
 のんびり歩いて行くと、2人連れが来る。やはり、内山峠起点なのか、その後も8人ほどの個人ハイカーと行き会ったか。ここの標識には、消えかけてはいるが「自然歩道」とある。

(本日一番の鮮やかさ)


(クリンソウ自生地)


(石祠。荒船不動尊関係だろうか。南向き)


(近づくと終わりかけっぽい)


(皇朝最古修武之地の案内板)


 しかし、艫岩までが長い。途中、「クリンソウ自生地」というのがあったので寄り道したが、この時期に咲いているわけがない。茶色の葉があちこちにあるだけ。祠も道端に2基ほど見た。「皇朝最古修武之地」の石碑の看板を見かけもしたが、これは帰り道に寄ることにする。

 こんな良い雰囲気で歩いているところに、10人ほどのGB隊が大騒ぎしながらやって来て、気分は一時的に台無しになった。こちらが水溜まりで一行の通過を待機していたのに、半分以上が無視。ラストのGに至っては、スミマセンネ、アリガトウゴザイマスの挨拶すらしてこなかった。こんなのがリーダーかサブをやっているのでは、もう、山に登るなよって言いたいわ。
 ここで、さっきの蛇足話に戻る。艫岩の方からやって来た単独氏に「荒船山の山頂はどこですかね。このままずっと平らなままですか?」と問われ、「ずっと平らですよ。山頂は艫岩じゃないですか」と答えてしまった。すると「山名板もなかったけど」。これに対して、ふと思いつき、地理院地図を広げて見せ、さらにおかしなことを言ってしまった。「この辺では、1356m標高点が一番高いところになっていますけど、さっき通ったら何もなく、周りより高いといった感じもなかったし。途中に大きな石祠がありますから、山頂はそこかもしれませんね」。「どれくらいで行けますか?」。「5分くらいですね」。「じゃ、そこに見てきますよ」。考えてみれば赤面もののトンチンカンな会話だ。山頂は行塚山であることを知らないからこうなる。また艫岩に戻って帰るとおっしゃっていたが、会うことはなかった。おそらく、他のハイカーに山頂がどこか改めて教えてもらったのだろう。

(あちこちから登山道が入り込み)


(艫岩に着く)


(艫岩から1。普通の山の景色といったところ)


(艫岩から2。西側斜面)


(艫岩から3。浅間山)


(艫岩から4。八ヶ岳方面。蓼科山か?)


 ようやく艫岩。だれもいない。傍らに休憩舎。ちょっときたない。改築延期の看板が置かれているが、改築はあり得まい。発行元は下仁田町役場。何で下仁田?と思ったが、地図を見ると、行塚山から北側は南牧村から離れ、佐久市と下仁田町との県境になっている。どうりで、南牧村観光マップには荒船山の案内が記されていないわけだ。京塚山から北は消えている。
 風が出てきて、じっとしていると寒くなる。ここからの展望はたいしたものではなく、八ヶ岳から、浅間山、草津白根と180度の展望だが、空も大分白くなっているし、遠望は効かず、八ヶ岳も頭が見えるだけ。こちら側からでは西上州らしい岩峰は一つも見えない。斜面の紅葉も西側を除けばまだまだだ。薄い緑が主体になっている。長居して楽しいところでもなく、さりとて、下を覗き込むつもりもない。おにぎりを食べたら帰るとするか。

(皇朝最古修武之地の碑)


(さっきの一瞬、山頂と思っていた1356m標高点付近。荒船山山頂と思ったりしていたところだ)


(行塚山分岐に戻る)


 さっきの方々とまた出会う。何でかなぁ。行塚山に行ったにしても、行く価値のある山にも思えないし…。その時はそう思っていても、行かなかったら、ロープウェイで天神平を往復して谷川岳に行った気分でいるようなものだろう。山頂を知らずに荒船山に来たのは、自分と、質問の単独氏だけだったようだ。
 皇朝最古修武之地の碑を見物で立ち寄る。あっという間だった。昭和九年製の棒状石碑。何と記されているのか読めず。ぶらぶら行くと星尾峠方面分岐に戻った。内山峠方面から入ったらしいハイカーが、ここもまた艫岩に戻って行った。荒船不動尊の方を経由して周回しないのか何とも不思議だ。

その2に続く)
※今回はちょいバリエーションな歩きだったため、見栄えもしない、どうでも良いような写真を多く入れ過ぎてしまいました。そのため、一日写真アップ数の制限を超えてしまい、今回の歩きの記事は二部構成にさせていただきます


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6 コメント

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内山峠から立岩まで、 (みー猫)
2017-10-22 16:25:45
往復した者です(笑)・・・艫岩のあたりの紅葉は見頃のようです。当時は全く調べてなかったですが星尾峠の北西の荒船不動から北に向かうルートがあるのでしたか・・・200mほど尾根を登れば行けなくもなさそうですが、知ってればやったのになぁ・・・一方で威怒牟幾不動は国土地理院地図にある破線ルートでしょうか。あの付近は山中が薄暗いイメージがありますがその中で目印探すハメになったのでしょうか?いずれは訪れようと思っておりましたので、後半楽しみにしています。ってgooブログは写真の数量が多いと1日ダメなんですね。初めて知りました。
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みー猫さん (たそがれオヤジ)
2017-10-22 18:15:59
みー猫さん、こんにちは。さっそくのコメントありがとうございます。
改めて、みー猫さんが立岩まで行かれた記事を拝見いたしました。内山峠からのピストンだったようですね。そんなところには縁がないようなコメントを、たそがれオヤジという方が入れていましたけど。
6月の新緑深い頃と、この時期の風景とは随分と違うもので、写真を見ると、別の山塊の歩きのような感じがしてしまいました。
地図を見る限りは、星尾峠~荒船不動~内山大橋~内山峠というコースが明記されています。一部、車道と重なっているようですが、車の大方は内山トンネルを抜けますから、さして苦痛にはならないとは思います。200mの尾根登りということはないでしょう。
この先、おっしゃるように威怒牟幾不動経由で破線路を歩いています。薄暗いとはいってもこの時期ですから、緑の時期なら、確かに薄暗い中の歩きになったかもしれませんね。
こういう、尾根、沢伝いでないところの歩きは、ちょっと間違えると、尾根に復帰したところでどうにもならないし、恐いものがありますね。
実は、南に下る破線路が2本あるのですが、威怒牟幾不動経由ではない方の破線路を見つけられずにこうなったといったところなのですが。
gooブログの写真ですが、一日100枚限度で、1000枚になると有料会員になってしまうもんでね(笑)。
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Unknown (とくちゃん)
2017-10-22 20:19:22
こんばんは!
西上州といっていたので、どこかな?と思ってましたが荒船をチョイスだったのですね。
モンベルの店員さんに何処へ行ったら楽しいですか?の答えが荒船で、内山峠から経塚山まで秋に行ったことがあります。下山後、富岡製糸場(今や世界遺産)見学したのでした。
改めて地図を見ると線ヶ滝から入ると周回できるのですね。
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Unknown (ふみふみぃ)
2017-10-22 20:50:54
地蔵に手を合わせたわりには橋から滑りGB隊に出会い帰路は迷い?と波乱万丈ですね。熊と滑落からは守ってもらえたと言う事でしょうか。
踏み跡追ったら間違いとか荒船山=行塚山などと細かい罠の多い場所のようで。間違い踏み跡なんかはどこでもありますが登山道だと信じ込むと怖いですね。道なき場所なら安全な場所を選んで進みますが。帰りは星尾峠からの黄色い破線で迷われたんでしょうか。
紅葉は稜線以外見頃一歩手前なのかなという場所が多く感じますが西上州の紅葉は足尾と同時期くらいなんですかね。勝手なイメージで谷川・那須→早い、日光・足尾→普通、奥多摩・奥秩父→遅い。みたいに考えてますが。
しかし平日なのに割と人がいるものですね。今度平日の奥多摩にテント担いでいくつもりですがGB隊に出会ったら興ざめだなと尻込みもします。
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とくちゃん (たそがれオヤジ)
2017-10-23 08:46:14
とくちゃん、こんにちは。
台風通過の中、お仕事ご苦労さまです。
正確に言えば、荒船チョイスではなく立岩と威怒牟幾不動に行きたく、荒船山はついでといったところなのですが。
とくちゃんは荒船山に行かれたことがあるのですか。モンベルご推薦で。荒船山は地味な山ですから、その店員さんの意図がよく分かりかねますけどね。おそらく、「ハイキングには楽しい」ということではないでしょうか。
私には、立岩の方が変化があって面白いと思いましたから、そちら方面に行かれ機会がまたありましたら、回ってみてくださいな。
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ふみふみぃさん (たそがれオヤジ)
2017-10-23 08:46:49
ふみふみぃさん、こんにちは。
今回の歩きコース、岩峰とはいえ、実線なり破線のあるルートですから、気軽なハイキングで、紅葉に出会えれば幸いだなあといった気分で出向いたのですが、往路部はともかく、復路のわかりづらさには参りましたよ。
尾根やら沢伝いならともかく、律義に踏み跡を探しながら行かないととんでもないところに出て自滅してしまいますから、それは緊張しましたね。
このルートを歩く方も多いようですが、途方に暮れる歩きをしていない方がほとんどで、自分には、それが不思議でなりません。あにねこさんが歩かれた当時に比べれば、荒れた様は増すでしょうけど、最近の記事でも、あっさりと歩いている人がいる。一種の嗅覚なのかなと思ったりしています。
奥多摩にテント泊で紅葉見物ですか。奥多摩とはいっても、酉谷山方面でしょうかね。あちらはG or Bがいても単独で、GB隊は歩かないと思いますよ。興ざめレベルならともかく、気分が滅茶苦茶になることもありますから、要注意に越したことはないでしょうけど(笑)。

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