たそがれオヤジのクタクタ山ある記

主に北関東の山を方向音痴で歩いています。山行計画の参考にされても責任は負いかねます。深慮せず軽く読み流してください。

二転三転して、結局は武尊でスリリングな紅葉を楽しむことに。

2017年10月10日 | 近所じゃない群馬県の山
◎2017年10月8日(日)─高木と

川場野営場(6:42)……コース分岐(7:16)……川場尾根合流(7:50)……岩峰通過(8:28~9:36)……前武尊(10:33~11:09)……不動岳分岐(12:45)……野営場(13:03)

 当初は3人で中芝新道を使って谷川岳に行くつもりでいたが、情報を集めていくうちに、半端なお気軽気分で中芝新道を歩けないことを知った。まして土曜日の降雨で芝倉沢の増水も予想される。あっさりと中止。元々、中芝新道は岩屋さんたちが下山ルートで使うところらしく、土台、その方面に縁のない自分には到底無理な話だった。
 中芝新道中止で同行予定のお一人が消え、結局、高木と西黒尾根でのんびりと谷川岳歩きとしたが、こうなったら、自分としては混雑を避けて茂倉、武能、蓬峠の周回をしたくなる。ちょうど6年前のこの日に行った茂倉岳の紅葉は素晴らしかった。万太郎もありか。山頂から眺める景色もまた捨てがたい。

 行き先が決まらぬままに、とりあえずは関越道に乗るが、水上インター、越後湯沢インター、いずれで下りるか早々に決めないといけない。その間に、平標はどうなんだ、蒸し返しで中芝新道の下見だけでもするかといった話が出たりする。だが、朝日があたる頃になっても、谷川岳は見えなかった(実際は晴れ渡った一日だったようだ)。それでいて、右手の上州武尊の連山はすっきりと見えている。「今日は武尊にするか」と意見が一致して赤城PAに寄り、地図を広げる。昭文社マップ『谷川岳』の裏面が武尊山になっている。
 高木はカミさんがこちらの出身で、その関係で、武尊の大方のコースは歩いている。ふと、HIDEJIさんの最新記事を思い出した。あの岩峰コースを歩いてみるのもいいか。高木に聞くと、そこは経験済みのようで、20年ほど前、小学生前の三男坊、カミさん3人で歩いたことがあるそうだ。ではそれにしようと、ようやく今日のコースが決まった。ただ、高木は明日、ジイサン、バアサングループを引率して尾瀬に行かなきゃならないらしい。疲れが残るのでは悪いなと、前武尊往復ということにする。こちらも、武尊山頂には2回ほど行ってもいるし、こだわりはない。HIDEJIさん記事の写真を拝見する限り、武尊遠望の紅葉見物だけで十分かなとも思ってもいる。

(登山口。川場カルタが置かれている。「らんらんと下界を睨む武尊像」。格上の上毛カルタにはないのかねぇ)


(ジトッとした感じの登山道。さらに樹林帯で薄暗い)


 駐車場には10台以上の車があり、ほとんどが既に出払っている。隣に朝食の後片付けをしている2人組がいたが、出発する気配はなく、昨日歩いた後に、ここでテントを張って飲み会でもしたのだろう。
 湿って、薄暗い樹林の中をしばらく行くと、標識のない二股になった。この時点では、どちらを行っても、先で合流するのだろうと左に行ったが、帰路に通過した際には、確認はしなかったが、どうも右手はちょっとした広場になっているだけのことのようだった。
 高木は水を持参し忘れていた。登山口で汲めると思っていたらしい。水のない沢を通過して2つ目の沢にかすかに水が流れている。ここで水をペットボトルに入れることになるが、チョロチョロ水で給水に時間がかかる。結局、ここで早々の腰かけ一服。10分ほどのロス。その間、若い単独氏に抜かれる。

 高木はふだんから年配者の引率を引き受けて歩いているので、どうしても足取りは遅くなる。オレの鈍足にすら早いよと言い、この先は高木を先行させて歩く。かなり遅い歩きだなと思ったが、結果的にオレの方が先にバテ気味になった。

(不動岳の分岐)


 標識のある分岐。左は不動岳。南の旭小屋からの川場尾根に先で合流。右は天狗尾根に合流し、いずれも前武尊で合流となる。ここは左に向かう。
 樹林の中の歩きは続く。次第に急登になってきて、汗をかき、ウインドブレーカーを脱ぐ。今日は気温は高くなるようだ。風はまったくない。樹間から右手前方に前武尊が見えてくる。斜面のところどころに赤味はみえるが、元から針葉樹の多い植生か、見栄えのする紅葉ではない。逆光で見づらいが、この先の尾根伝いに岩峰のようなものが見える。高木も厚手のシャツを脱ぐ。

(旭小屋からの道が合流)


(赤城山)


 7時50分、旭小屋から続く川場尾根に乗る。高木の話によると、旭小屋は元々は修験道のための小屋だったらしい。刈払いされた道が下っている。
 ボチボチと赤いのが見えたところで最初のクサリ場。ここは別にクサリに頼るほどのものでもない。左右が灌木になってもいるので、切れ落ちは見えず、さした緊張感もない。登り上げると右手に赤城山。富士山は赤城山に隠れているのか見えない。

(次第に色づきが目に入る)


(前武尊)


(青空だからこそか)


 次第に赤、オレンジを賑わってきたところで休憩。お互いにタバコを吸うから始末が悪く、つい頻繁な休憩タイムをとるようになる。HIDEJIさんの時と違って、今日は静かな尾根だ。さっきの青年に追い抜かれてから前武尊に至るまでの間に誰にも会うことはなかった。
 紅葉を見ながら歩くので、さらに歩きも遅くなる。高木は写真撮りの趣味がないので持参したカメラを出すこともないが、こちらはつい周囲を見ては色づきを撮ってしまう。高木からの距離は離れ、高木が先で待っている状態になる。岩峰が近づきつつあることは確かのようだが、まだその気配はない。

(禅定の窟)


(進行方向に岩峰が見えてくる)


 「禅定の窟 群馬修験」を通過。ここは群馬ではなく上州とすべきじゃないかと思ったりする。岩峰群もそろそろかねぇ。緊張してしまう。こちらは多少のガレ、ザレ場は平気だが、岩場となるとどうにも苦痛でしかない。恐いもの見たさの趣向は持ち合わせていない。おっ、見るからにこちら岩峰ですといった感じのピークが先にある。右手を見ると、日光白根から錫ヶ岳、皇海山が見えてくる。皇海山はつい足尾の山と思ってしまうが、中倉山から見る皇海山よりも、こちらから見える皇海山の方が大きい。沼田が皇海山はオイラの山だと言っても、これでは仕方があるまい。

(最初の岩場)


(日光白根から皇海山方面)


(沼田の町が見える。山腹の紅葉はたいしたことがないが、陰になっているからか)


 ついに岩場登場。先ずは衝立のようなこんもりした岩。ここは岩の間を難なく通過。ここから立て続けに岩場になるのかと思ったが、普通の高度感のある尾根歩きに戻った。この尾根からの展望は最高で、沼田の町の先に子持山が見えている。その後方には榛名、西上州の山並み。

(岩場から進行方向)


(武尊山方面)


(あの尖がりは川場剣ヶ峰か?)


 再び露岩のゴツゴツ、ボコボコ。クサリはない。危ういところはなく、今度は上州武尊、剣ヶ峰が左手に見える。斜面の紅葉は、やはり終わったのか煤けた感じの色合いになっている。左に下って先に進む。この辺は紅葉の色がかなり濃い。

(クサリ場の下り。影の自分は上で待機している)


(どでかい岩)


(巻きながら見上げる)


(カニの横ばい)


 クサリ頼りの歩きになった。もう、岩峰尾根の両サイドは切れ落ちている。右のクサリを使って、一旦下る。見上げると、垂直の岩の脇を巻いて下っていた。次の岩、左から巻いてクサリ。一枚岩のでかい岩だ。そして、トラバース。ここは剱岳のカニの横ばいのミニ版らしいが、自分は早月尾根で日帰り剱岳に登ったからそれは知らないが、早月尾根にもこんなところがあった。霧が巻いていて、下が見えなかったので、高度感知らずに渡れたことだけは覚えている。あの時も高木と一緒だった。

 岩峰のトラバースが続く。実はこの間のこと、しっかりした記憶が飛んでいる。トラバースのクサリ渡りに必死になっていた。上が見えない垂直の真上から、クサリが垂れ下がっているところがあり、ここを進路変更で登るのかなと思ったりしたが、トラバースクサリはまだ先に続いている。登りはしなかったが、あるいは、これが不動岩だったかもしれない。標識も見かけなかったというよりも目に入らなかった。後で他の方の記録を拝見すると、青銅の不動明王のレリーフが岩に埋め込まれていたらしい。これは惜しいことをした。

(この下りは苦労した)


(見上げて)


 この先で高木が笑っていた。何だい?と聞くと、ここを20年前に歩いたことは確かだが、女房はともかく、未就学児の息子をどうやって運んだんだっけかと己の行動を思い出して笑っていたのだが、その先は10mほどの岩場の溝状の間を下るようになっていた。もちろん、半端な角度ではない。高木が先に下る。クサリの乗り換え部分で苦戦している。
 高木が下りたのを確認してクサリに手をかける。1歩下って、登山靴を溝にひっかけ、抜けなくなって。態勢も変えられず、無理矢理力づくで足を引っこ抜いた。そして、クサリの乗り換え。ここで身体の向きを変えたいが、どうもうまくいかず、それでも何とか不安定な格好で着地。参った、参った。

(石柱と石祠)


(振り返って)


(休憩を入れる)


(八ヶ岳方面が見える)


 もうねぇだろうと言う高木の言葉を信じて先に行く。なんだ、まだあるじゃねぇかよ。だが、もうクサリはなかった。神様の名前を刻した石柱と石祠。その先の岩の上にも霊神碑。何の神様かは知らないが、霊神だから御利益のある神様なのだろう。
 ここで休憩、一服。先ほどの岩峰群を振り返る。右手には八ヶ岳。今日は混んでいるだろうな。岩峰の通過にたいした時間をとられたわけではなかったが、かなり気を遣った。さらに武尊山頂まで行く予定を立てていたとすれば、もう前武尊でやめようぜといつものパターンになっている。

 ところでネット記事では皆さん、この岩場を難なくあっさりと通過されている。なかには見るからに70歳過ぎのバアチャンが写った写真もあった。何とも不思議でしょうがない。こちらは、かなり神経が参っているし、高木とて同様。こんなところの綱渡り、20年前、どうやって息子を運んだのか記憶が蘇らないままでいる。彼の息子、自分の息子とは同じ年ながら、ひ弱さの印象があった我が息子に比べてワイルドな面があった。ボク行けるよと、そのまま行ったのではないか。

(ここをトラバースして下って来る人もいるんだろうな)


 休憩が終わり、明瞭な踏み跡のある左から巻いて行こうとすると、高木が「おメェ、どこ行くんだよ。こっちだよ」と、岩の間を指す。そういえば、HIDEJIさんが失敗していたなぁ。狭い岩間を抜け出し、次の岩の右下を危なげなく歩き、上を見ると、クサリがトラバースしている。あんなルートもあったんだなと、もう他人事の思いになっている。
 岩場はもうないようだ。左手にはロープが張られ、落ちないようにガードされている。前武尊の山頂はすぐそこだが、また急登りになりつつある。正直のところ、かなり疲れが出てきていた。今日は暑くて、まったく風がないのも応える。高木に声をかけ、シャリバテっぽいからと休むことにした。小腹を満たして一服。どうしても10分単位の休憩になってしまう。

 ちょっと立ち上がり、靴の泥を落とそうと、地面をトントンすると、下はフカフカ。高木まで揺れて腰を上げた。ここはヤバそうだ。下は隙間だらけの地面ではないのか。

(胎内潜り)


(岩場も終わって山頂へ)


(なかなかの眺め)


 登山道右脇に「胎内潜り」。くぐった先はどうなっているのか気になったが、おそらくはそれだけのものだろうし、泥んこになるだけ損だと見ただけで終わる。
 山頂はもう見えない。ドーム型の山だから見えなくとも不思議ではないが、急登になってきた。ここでストックの助けを借りることにした。ここのところ、ストック利用が多くなってしまったが、高木は出さない。以前は頻繁に使っていて、甲斐駒黒戸尾根の階段でもよく邪魔にならないものだと感心していたが、今は下りでしか使わないそうだ。

(山頂に到着。この日本武尊は自分には初見かも)


 山頂到着。青年が一人休んでいる。ここまで出発から3時間50分か。コースタイムは3時間40分。休憩やら水汲みタイムをいれてのことだから、コースタイムを切ったことにはなるが、足を痛めながらのHIDEJIさんの2時間半に比べたらカヤの外タイムだ。こちらは前武尊が目的地だったし、その先に行く予定はなかったので、意気込みもまた違うだろう。まぁ、体力の差も大きいだろうね。

 だらだらと山頂で過ごす。自分には、前武尊は初めてかと思う。これまでは北西やら南西から登り、武尊山でそちらに下っている。余談だが、30年前に初めて登った時は、登山口で公安らしき刑事から職質を受けたことがある。過激派がこの辺に逃げ込んだらしいとか言っていた。それはともかく、ここにも日本武尊の像があるとは知らなかった。
 HIDEJIさんのブログにも記されているが、この川場尾根の入口に「旭小屋コースは…クサリ場があります。…一般登山者は川場野営場コースをおすすめいたします」の看板が置かれている。登って来たのも川場野営場コースの一部ではあろうが、そんな言葉のお遊びはともかく、下のコース分岐にこんな看板はなかった。両方に設置すべきものかと思う。もっとも、ハイカーは下調べをして登って来るのだろうけど。

 脇で高木が日本武尊の像の下に置かれた賽銭をかき集めては、100円玉ばかりを積み重ねている。何でそんなことをしてんのか理解できないが、おかしなことをするヤツだ。
 30分ほど休憩し、軽い食事もした。その間、10人ほどオグナほたか、川場野営場の方から登って来ては立ち休みしてそのまま武尊山に向かって行った。オグナほたかから登って来た青年が1時間半かとひとり言を言っている。地図を見ると、コースタイムは2時間45分。「速いじゃないですか」と言うと、「あおられましてね」と言っていたが、楽ちんコースなのだろうか。不動岳の方から登って来るのはだれもいない。しかし、不動岳コースもまた道の付いた登山道だったが、岩場歩きをいとわないハイカーが随分といるものだ。自分は、もう二度と歩くつもりはない。

(川場剣ヶ峰が台形状になった)


(燧ケ岳と至仏山)


 見晴らしが良いかなと、先まで行ってみたが、正面の川場剣ヶ峰、その先の家ノ串山、中ノ岳のピークが見えるだけ。かすかに武尊山の頭が見えるか。やはり、斜面の紅葉も決して見栄えがするほどのものではない。往復4時間かけて武尊山往復するよりも、さっさと下って、温泉に浸かって、冷たいビールでも飲んでいる方が気が利いているかも。右手には頭に雲がかぶった燧ケ岳、至仏山が見えている。

(ガスが上がってきた)


 前武尊に戻ると、もう東側はガスに覆われて視界が悪くなっている。下る。標識では「川場野営場駐車場」「OGNAほたかスキー場」が併記された方面となる。実はここからが紅葉を楽しみながらの下りとなり、かなり時間をとられてしまった。

(大天狗と)


(石仏)


(歩きづらい下り道)


 大天狗と記された寛政年間らしき石祠と石仏を通過すると悪路になった。石ゴロで、滑る。粘土がむき出しのところもあちこちにある。樹の根もじゃま。雨上がりだから余計に歩きにくくなる。滑った跡もかなり残っている。

(スキー場方面。淡い斜面の紅葉)


(出てきましたねぇ)


(ちょっとした紅葉通り)


(軽いクサリ場もあり)


 ガスが次第に上がり、周囲の紅葉がまぶしくなってきた。だが、晴れ間にちらりと見える山の斜面の色づきはやはりくすんでいる。ここは、間近な紅葉を楽しみながらの下りとしよう。
 再び日光白根が見えてきたが、小さな雲が漂っている。クサリ場のある露岩地を通過。ここは無理にクサリに頼る必要もないが、滑るとかなり痛いだろう。

(ボンボンになっていればなぁ)


(後ろから失礼)


 左手に前武尊東尾根が見えてくる。ここも紅葉になっているが、鮮やかさには欠ける。陽があたっていたらどんなものだろうか。キョロキョロと紅葉を見ながら行くと、後姿を向けた石仏が置かれていた。背中には「享和元年 武尊中興開山行者普賢法印?」とある。このルートもまた信仰の道だったようだが、この石仏が見下ろしているのはオグナほたかスキー場だ。

(スキー場)


(下るに連れて見頃になる)


(県境稜線は雲がかかり始めている)


(南側もちょっと色不足)


 皮肉にもスキー場周辺の紅葉がきれいだ。赤、オレンジ、黄色が鮮やかだが、あまりアップでは見ないようにする。ツツジの紅葉もかなり混じっている。そして、スキー場分岐。標識によれば、下って来た尾根は天狗尾根というらしい。大天狗の石祠があったことに由るのか。
 どういうわけか、下に行くに連れて紅葉が濃く、密になってくるような感じ。やはり、上は見頃が過ぎていたか。今、標高1730m付近になる。

(スキー場分岐)


(この辺が、今は盛りのようだ)


(しつこいけど1)


(しつこいけど2)


(しつこいけど3)


(しつこいけど4)


(朽ちた鉄板)


 しばらくゆっくりと下って行くと、倒れた標識には「川場尾根コース」と記されている。いつの間にか天狗尾根を離れたようだが、カーブして回り込んだところがあったから、あそこが尾根分岐だったかもしれない。標識の脇には錆びた上が三角になった鉄板が置かれているが、文字は見えない。うっすらと梵字が記されていた気配がある。この鉄板は前後して2枚ほど見かけた。

(岩峰群)


(前武尊にはガスがかかっている)


 右手に悩まされた岩峰群が見えてきた。あの尖がったのが不動岩だろうか。右手の前武尊は山頂にガスがかかっている。さっさと下ってきたが、もう上はガスが巻いている可能性もある。

(あと一週間だろうね)


 下りはずっと紅葉を見ては写真を撮っていたので、また、先で高木が待っている状態が頻発していたが、1620mあたりで、ようやく、色づきも淡くなり、わざわざ写真に収めるまでもない紅葉になってきた。ただ、これまでに見なかったブナの紅葉が目に付いたが、足元を見ると、かなりの葉が落ちている。ここの紅葉の見頃は東側で1750~1600mといったところだが、これでいくと、天神平の上の紅葉の盛りは、これからということになるかもしれない。素人判断にはたいした根拠はない。

(周囲の景色が一変する)


 周囲の植生が変わってきた、針葉樹中心の自然林。当然、薄暗くもなり、湿気が残り、秋きづらくなる。露岩のロープ場に差しかかる。泥んこエリアだ。ふと、後ろから人の気配。華奢な青年といった感じがしたが、こちらは脇に寄り、下り途中の高木に声をかける。ありがとうございますと言いながら脇を軽く下って行ったのは、長靴の若い女性だった。先で高木が声をかけているのが聞こえる。「今日あたりは長靴が良いやねぇ」。確かにこの下りは長靴がベストだが、登りコースは長靴だったら厳しかろう。今日とて、湿り気がありそうだったから、地下足袋は出発から対象外だった。

(ここで手間どる)


(分岐に戻った)


 木の枝を足場にした岩の間を下る。何とも足をかけづらく、あっさりと滑りそう。ストックを下に投げて下ろうとしたら、ストックの片方がズルズルと沢の方に落ちて行った。途中で止まってくれて回収には問題なかったが、反対側から見ると、最初っから備えの木を頼る必要もなかったようだ。
 不動岳の分岐に合流。この先は、出がけに歩いた道だ。キノコ採りらしい2人のニッカズボンのニイチャン2人とくたびれた親方風のオッサンを見かける。

(普通の道歩き)


(駐車場に着く。いやぁ暑かった)


 駐車場に到着した。まぁ暑かったわい。もう10月だよ。
 車の陣容は朝とさほど変わらず、新規の3台ほどが加わっいるくらいのもの。そりゃそうだろう。大方は武尊山頂まで行っている。車のナンバーを見る限りは、さすがの百名山、地元ナンバーは少ない。この時間まだ1時なのになぜかテントが2張加わっている。さっきの長靴の女性は帰り支度中。目が合って軽くお互いに会釈。見た目の印象と違って、車は神奈川県ナンバーのレクサスSUBのようだ。長靴のイメージとは不釣り合いな感じがしたが、追い越された際にチラ見した長靴は高そうで、ホームセンターやワークマン扱いとは縁遠いブランドものぽかった。舶来物だろう。ミツウマとか、日進ゴム、オカモトなんでないことは確か。横文字が入っていたし。

 着替えもせず、荷物を車に入れ、履物だけ替えて温泉に向かう。温泉とはいっても、HIDEJIさんお気に入りの「花咲の湯」なんて上品なところではなく、高木御用達の温泉旅館。ここには一度連れて行かれたこともあった。温泉旅館とはいっても聞こえはいいが、湯舟は男女入れ替えの一つしかなく、広間には演歌歌手のポスターがズラリと貼られ、舞台には、昔ながらにカラオケセットと巨大なスピーカーか置かれている。地元のジイサンらしき3人組が、もうクダを巻いている。他に客はいない。
 すぐに風呂に入りたかったが、農家のカミさん風の女将が言うには、さっきまでいた客が水を入れ過ぎ、今、湯を入れ直しているからしばらく待ってほしいとのこと。しかたがない。風呂は先送りして冷えたビールで乾杯。自分は車の運転もあるのでコップ3杯にとどめたが、泡のないキンキンビールは五臓六腑にしみわたった。できるなら、このまま飲み続けていたいもの。高木と2人だけの歩きとなった時点で、山の方はさっさと切り上げ、こうやって飲むのを楽しみにしていたし、今日はとにかくこの時期にしては暑く、微風を若干浴びただけだった。
 ここの温泉旅館には昼のメニューなるものはない。高木が「ウドンか何か適当に作ってくんない」と女将に頼んで出てきたのは餅に大根おろしをたっぷりと入れた雑煮とおにぎり。これがなかなかうまい。腹いっぱいになり、もうどうでもいいやと、横になったらすぐに寝てしまった。
 1時間半ほど経って、まだダラダラと飲んでいるジイサンの大声で起こされてようやく風呂に行く。たっぷりと汗をかき、着替えもしてすっきり。

 沼田インターにつながる120号は渋滞の気配。高木の指示で脇道、脇道でようやく関越に入ると、すぐに伊香保・前橋間渋滞の掲示。こりゃダメだと、赤城インターで下り、ナビは無視して後は高木の指示で高木家に到着した。
 ここで長居すると、BBQになってしまう。まして、明日の尾瀬行きで朝の早い高木にも悪い。飲みなおしとなると泊まることにもなる。高木と荷物を下ろして、そそくさと帰途に就いた。

(本日の軌跡。というほどのたいした歩きはしていない)

「この地図の作成に当たっては、国土地理院長の承認を得て、同院発行の数値地図200000(地図画像)、数値地図25000(地図画像)、数値地図25000(地名・公共施設)、数値地図250mメッシュ(標高)、数値地図50mメッシュ(標高)及び基盤地図情報を使用した。(承認番号 平24情使、 第921号)」

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14 コメント

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前武尊 (HIDEJI)
2017-10-10 23:52:47
たそがれさん、こんばんわ。
前武尊の周回お疲れ様でした。
私と同じようなアングルの写真を掲載していただき、1週間前との違いがよく分かりました。
岩場周辺はだいぶ色付いてきたようで、1週間ばかり遅らせていればと少々後悔の念を覚えますが、私の場合も紅葉の進み具合により、シャッターを切る回数が極端に増えますので、ペースもさらに遅くなっていたと思います(笑)。
しかしながら武尊山のほうの紅葉はもう終わってしまったのでしょうか。それとも気候的な影響でしょうか。日光や那須と比べ物足りなさが感じられますね。
あの岩場では私も青銅の不動様は気付かずにスルーしてしまいました。岩場区間は距離も短くあっけなく終わってしまい、すでに記憶も曖昧なのですが、適度な高度感が味わえて楽しめました。当日は私も武尊にするか谷川の西黒尾根でも歩いてみようかと悩んでいたのですが、冒頭で紹介された中芝新道というのが気になりました。
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上州武尊山 (みー猫)
2017-10-11 07:38:58
おはようございます。
ここのルートは未踏なので参考になります。紅葉は上の方は過ぎてると思ってましたが、下はそこそこだったようで行った甲斐はあったのではないでしょうか。鎖はおっかなそうです。高木さんはお忙しいのですね。シシッパナの予約も随分経ち、高木さんがあんまりご興味なくなられたなら有志で行くしか無いでしようか?中芝新道は若手クライム系の知り合いに聞いたのですが、登攀系はスラブが降りれるなら同じように懸垂やって東に降りちゃうようで新道の核心の崩壊地の様子は分かりません。お疲れ様でした。
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HIDEJIさん (たそがれオヤジ)
2017-10-11 19:57:25
HIDEJIさん、こんにちは。早速のコメント、ありがとうございます。
HIDEJIさんの記事ネタがなければ、地図を見ながら、どこを歩くかとなっても、川場ルートは選ばないでしょう。時間がなければ、前武尊よりも武尊を選びますしね。
スリリングな歩きで、苦手な立場のわりには楽しめましたよ。いつもなら、岩、ザレ場も含めて、かなりヤバいところの歩きになると、終了後はノドがカラカラになるのですが、今回はそれもなかったので、おもしろかったのでしょう。確かに区間も短いしね。しかし、足が岩の間から抜けなくなった時には慌てましたよ。
鈍足なりに紅葉の撮影タイムを言い訳にはしていますが、HIDEJIさんが快足か、こちらが本当に鈍足かのいずれでしょうね。
それはともかく、今日は谷川岳の方面に行ってきましたが、ガスガスの中で覗く紅葉はもう終わりですね。下に移動にはなってはいますが、鮮やかなものはありませんでした。武尊、谷川、あちら方面は、本当にタイミングが合わないと、今年はダメだなとなるんじゃないですか。それだけ楽しめる期間が短いのか。
中芝新道ですが、元々は、私が歩いてみたかったのが始まりですが、武尊に同行した高木に、「どんなレベルなの?」と聞いたら、「中級以上だって」の返事だったので安心したのですが、ネットで見ると、どうも半端では無理な気がして、高木に、「だれから聞いたんだ?」と聞くと、あの辺の大方の岩場を処理済みのロッククライマー氏でした。それでヤメにした次第です。「中級」のレベルが違い過ぎですよ。
堅炭尾根自体は急斜面で、ちょっと足場の悪い尾根といった感じのようですが、それに至るまでの芝倉沢が崩壊していて、その通過に手間取るようです。HIDEJIさん、ちょっと前向きに検討してみてください。
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みー猫さん (たそがれオヤジ)
2017-10-11 19:57:53
みー猫さん、こんにちは。
川場ルート参考になりましたか。それは幸いですが、雪の時期は野営場に入る林道が通行止めになりますからご注意ください。その場合は旭小屋という手はありますけどね。
武尊の紅葉、私、勝手に思っているのですが、元々、上の方はさほどのものではないのではないでしょうか。山本体ではなく、近隣に見える斜面がきれいなところなのではないのかなと。
獅子ッ鼻の件ですが、本人、すでに忘れているようですね。高速走りながら、あれが獅子ッ鼻かい?と聞くと、返答は「そうだねぇ」だけでした。続きませんでしたね。触れたがらないのは確かなようで、私の立場でもそれ以上の突っ込みはやめときました。
中芝新道、懸垂で降りちゃうとは、やはり、あそこはクライマーの下りルートですね。下から登る方がまだ危険度は少ないでしょうが、皆さん、芝倉沢の崩壊地で手こずるようだし、考え物のルートですね。中芝新道に触れることはもうないでしょうから、ご安心くださいな(笑)。
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Unknown (ぶなじろう)
2017-10-11 21:50:08
今晩は。
高木さんが登場されると、なぜかホノボノとした気分が醸し出されるような。最近「俺だ」さんのコメントが無いのが残念でなりません。
自分の場合、この山はほとんどスキー登山ばかりで、従って、ゴリゴリの岩場コースは経験がありません。上部は針葉樹が卓越してたような気がしますので、チョット下がった所が紅葉スポットなのでしょうね。
帰路は、自分も冬時分にスキー客渋滞で、よく赤城北麓から黒保根村に出て帰った記憶があります。
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ぶなじろうさん (たそがれオヤジ)
2017-10-12 08:22:14
ぶなじろうさん、こんにちは。
ほのぼのですか。自分には遠慮会釈の必要のない相手ですから、つい、気持ちもそんなところがあって、文章もさらに軽くなるのではと思っています。
俺だコメントは、まずないでしょうね。そういったヤツですから。それでいて、しっかりと見ているようですけどね(笑)。
武尊はやはりそうですか。遠見で、あまりきれいなところではなさそうだなと思っていましたし。ただ、スキー場周辺の紅葉がきれいだったのは、何とも皮肉な話です。
武尊も、一度だけ山スキーに行ったことありますよ。それも高木と一緒に、山スキーデビューをした時ですが、武尊はそれきりですが、高木がまたやろうかなんて言い出していますから、機会があるかもしれません。そういえば、今年だったか、武尊で山スキーやっていて、雪崩に遭い、死んだ方がいたようですね。
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Unknown (とくちゃん)
2017-10-12 22:03:57
こんばんは!
中芝破線ルートは、手強そうで力量を上げないといけないようですね。。。
以前、秋に川場から武尊・高手縦走をした折、武尊かえあ先が紅葉綺麗だった記憶があります。武尊山頂は賑わってましたけど・・・!
ヒールが旨かったよ~で、何よりです^^*
連休の尾瀬は、今年一番の激込みだったらしいですよ。
返信する
とくちゃん (たそがれオヤジ)
2017-10-13 06:20:50
とくちゃん、おはようございます。
とくちゃんも、意外にあちこち歩かれているようですね。高手山経由の武尊ですか。歩いた記憶は定かではありません。その南側にある鉱石山というのは登ったことがあるのは確実ですが。
武尊の山頂付近の紅葉はきれいでしたか。そうには見えませんでしたけどね。おそらく、遅かったのでしょう。一昨日、平標山に行きましたが、上はやはり終わっていましたし。もしくは、今年はダメなのか。
連休中の尾瀬、そういえば、高木が行ったのは9日ですから、寒かったでしょうね。当人は、鳩待出発で鳩待戻りだったようで、さっさと早くマイクロバスに戻って、酒でも飲んで一行の帰りを待つようなことを言っていましたけどね。
中芝新道は、破線ルートで記されているとはいっても、それ未満でしょうね。行くのなら、技術的なものも必要になってくるような気がいたします。
返信する
Unknown (俺だ)
2017-10-13 15:39:31
尾瀬より武尊のほうが紅葉はきれいだったよ。ちなみに、鳩待~アヤメ平~竜宮小屋~山の鼻~鳩待、だったが、草紅葉はアヤメ平が秀逸だった。倅の彼女が一緒だったので、お前が期待するほどの事件は起こせなかった。
返信する
俺だへ (たそがれオヤジ)
2017-10-13 18:33:12
尾瀬、ごくろうさん。
何もオレは期待はしていなかったよ。別にオレが尾瀬に行ったわけでもないし。そもそも、平均年齢が70歳超えだって言ってたんじゃないか。むしろ、高木は何を期待して行ったわけ? 相変わらず好きだねぇ。
次男坊と彼女が同行したのでは、平均年齢も下がって60歳台になったんじゃないの(笑)。
そうか、尾瀬ヶ原じゃ草紅葉だよね。高木がアヤメ平が秀逸と言うくらいなら、かなり良かったんだろうな。でも、かなり寒かったという話を聞いているけど。
いずれまた反省会でもやることにしよう。寒くなったし、外でBBQしながらキンキンビールでもごちになるよ。
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