
◎2015年10月3日(土)
銅親水公園駐車場(5:55)……堰堤前取り付き(7:50)……オロ山北の突端に到着(11:20)……沢入山(13:10)……中倉山(14:00)……林道(15:15)……駐車場(16:10)
※10時間かかっています。参考にはなりません。目安にもなりません。あちこちで長い休憩時間をとっています。掲載時刻は到着時間。
当初から土曜日は足尾に行くことに決めていたが、行く場所を決められないままに銅親水公園を出発した。他に車はなく気温は12℃とちょっと肌寒い。
候補は3つあった。いずれも松木沢沿いのルート。手前から一つずつつぶして(=あきらめて)いくようになるかも知れない。
(人気が無く静かだ。まだ紅葉の気配はない。この辺は木枯らしの時期にいい感じになる)

(<みちくさ>から。石塔はガスで隠れている)

まずは石塔尾根の石塔(最近は「ろうそく岩」とも呼ばれているらしい)に直登する尾根。前回、間違って隣の尾根を登っていたというヘマをやらかしている。さて、どこから松木沢を渡るかと思案しているうちに<みちくさ>に着いてしまった。正面から眺めると、件の尾根はえらく急で、これはちょっと手ごわいなといった感じに見えている。もともと、あそこだけは登っておきたいといった気持ちがあるわけでもないので、石塔付近がガスで隠れていたことを理由にまずは候補を一つつぶした。とはいっても、これは今日の話であって、自分の課題から外したわけではない。あくまでも、今日は今日の気分で選択している。
去年の暮れに石塔との合流点を一応確認はしていたのだが、その先(下)が雪でよく見えず、様子がしかとわからない。石塔の直前まで行って、その先行けませんでしたでは何とも情けないことになる。
横道にそれるが、<みちくさ日記>の9月20日付け記事に、その日の訪問者の一人として「私たちに『孤高のブナ』を紹介してくれましたクライマーさん」という記載があった。これは足尾のRRさん以外には想定しづらい。この「紹介」をきっかけに、ブナの樹にはNPOのスポンサーが付き、RRさんの手から離れて孤高とは縁遠い存在になる。中倉山尾根を歩くハイカーが増え、真新しいテープもオロ山から庚申山まで果てしなく付けられるようになった。それどころか塔の峰までも巻き込んでしまった。そう考えるのは飛躍だろうか。RRさんの功罪といったら気の毒な話だ。RRさんの及ばずのところで軽い気持ちのハイカーまでもがやたらと入り込むようになってしまったといった展開だろう。
(こんな崩壊あったかなぁ。これまで気づかなかっただけのことなのか)

(丹平治沢)

ワンパターンの嘆きはここまでにして先に進む。林道ゲートで一服。この辺の河原も堰堤が新設されてから様相が変わってきた。下り時にも気づいたが、今度は仁田元沢入口付近で何かの工事が始まっていた。下流部にはどんどん工事の手が入っていく。
今日はシカの声すら聞こえない。静かだ。今のところ上にはガスがかかっているが次第に上がってきている。昨夜のGPV天気予測では終日曇り空のようだった。この分では今日はずっと晴天になるだろう。
松木川に下ってウメコバ沢出合い。いつものように、ウメコバ沢をちょっと眺める。素人でも行けやしないかと、無謀なことはまったく考えないで通過。
(6号堰堤が見えてくる)

松木川の横断。どこを探しても冠水せずに渡れるところはない。仕方ない。靴を脱いで裸足で渡る。この時間だからか水は冷たく、石もコケで滑る。この先、本日、第3の候補もあるのだが、これでは確実に渡渉になるだろうし、そんな準備もしてきてはいない。この時期だし、簡単に濡れずに渡れると思っていた。甘かった。これで第3候補も放棄。ちなみに、この第3候補だが、3度目の小足沢右岸尾根で、瀑泉さんから安心して登れるルートの詳細情報をいただき、まずは試しにそこから登ってみるつもりでいた。その先は、きりんこさんの後追いだ。ダメなら戻るが、それなりの探索も楽しめそうだ。石垣も見たかった。
(昨年4月に対岸の尾根から撮った。正面にオロ北突端部。先の台地部は見えず、後ろにオロ山。今日は白いところを直進、右上、左上と行った)

まぁ、これで第2の候補にしぼられた。ここまで来て、戻るには早過ぎる。6号堰堤が先に見え、左斜面にその取り付きが見えてきた。意識して眺めたのは初めてだが、これくらいの張り出しのガレ場歩きなら、大きな問題はないか。以前、赤倉山失敗の帰りに大畑沢というとんでもない急斜面のガレ沢を下ったことがある。あれに比べたら穏やかにも見える。ここから沢伝いにオロ山北尾根に到達するという算段である(ここで「オロ山北の大地、台地」にするか迷ったが、大地と台地で迷うよりは「オロ北」と称する方がすっきりする。「オロ山北尾根」とすれば、地形図を見ても明白だが、松木川から乗り上げ1452m標高点を通るゲジゲジ尾根になる)。
このガレ沢の歩き、ネットの記事ではYoshiさんがまずやられて、これはおもしろそうだなと思ったものだが、その後にふ~てんさんが下られ、自分の域ではないなと実感しながらも、非玄人系のだれかやってくれないかなと期待しつつの待機状態で、そこに自分と同様に虎視眈々の雪田爺氏が10日前に登られた。雪田爺氏には失礼ながら、だったらと、自分の域に無理やりにしてしまい、今、この場に座ってタバコなんかをふかして沢を眺めているというわけだ。この沢の登り、対岸の尾根から覗く限りは恐怖と無謀以外の何物でもないのだが、この入口付近では、少なくとも恐い印象は薄い。
オロ北には昨年、ここからかなり先のゴケナギ沢右岸尾根から登っている。今回は2回目ということで、ブログのタイトルもPart2とした。ヘルメットをかぶっていざ出発。靴は普通の登山靴だ。スパイク地下足袋と迷ったが、候補3つともにガレ、ザレが想定されたので、滑ったらヤバいだろうと慣れた足元にした。
3つの候補といっても、実のところこの第2が強いての希望であった。それには理由があって、前回行った際に取り付けた標高板(山名板ではなく「1682m」の標高板)が、今のところだれの目にも触れられていないようだ。雪田爺氏もさることながら、きりんこさん、RRさんも探し回ったようだ。早いとこ、目の付くところに移動しておこうと思ってもいた。このついでがなかったら、さらに先延ばしをしていたろう。
(長いマクラは嫌われる。では出発といきますか)

(左岸尾根にはすぐにも取り付けそうなのだが、その先は簡単にはいくまい)

(見下ろすとすでにこうなっていた)

下のガレは意外に安定していて、大石は固定し、浮石らしいものにはぶつからない。ここは高度を稼げるなと思っていたが、すぐに松木川を見下ろす状態になった。下から見る限りはそれほどでもなかったのだが、かなりの傾斜になっている。対岸の荒れた岩肌もどんどん迫って来るような感じになる。見事なまでのガレ沢だ。登るに連れ、これは下るのがやっかいだなと思うようになってくる。石は次第に細かくなり、所によってはズルズルにもなっている。これではスパ足袋の方が正解だったろうか。
(心持ち狭くはなる。右岸側に岩峰が見え出す)

沢幅は徐々に狭くなり、回廊じみてくる。左右は尾根状になっているが、右岸側の尾根は論外としても、左岸側には上がれそうにも見えるのだが、その尾根(北尾根から北東に延びる枝尾根)の上がどんなものやら想像もつかない。切り立った岩壁状になっているところもある。出発時早々に左岸尾根に取り付いたとして、果たしてその先、すんなり歩けるものなのか。右岸側はウメコバ沢とのゴチャゴチャした中間尾根で、ヘタに引き込まれたらとんでもないことになりそうだ。それが証拠に、視界が開けたところで左手前方を見上げると、いくつもの尖った岩峰が屹立しているのが見える。見ているだけでも恐ろしげだ。
(右岸側奥に行き過ぎた)

(ヤブの地盤はかなり脆い)

(対岸の山。一応、そんな余裕はあったみたい)

(ここを渡って)

(さらにこの先に出たいが、ここの通過が一番つらかった)

雪田爺氏は沢を避けて右岸尾根寄りに一旦逃げたらしいが、自分もまた、草付きのその斜面に逃げてしまい、気づいたらかなり東の方まで(おそらく雪田爺氏以上に)行っていた。こうなると戻るかトラバースしかない。草付きとはいっても、そのまま下るのはかなりやっかいで、右の沢側にトラバースして下ろうと、低い灌木の根元に手をかけると土もろともに抜け落ち、ズルっといった。あやうく踏ん張って何とかしのいだが、これはあぶない、あぶない。
このままでは状況がかなり悪くなる。冷や汗を吹きだしながら何とか沢には下りたものの、GPSを見る限りは、その沢は本来の沢の手前のヤセ沢で、さらに岩場の尾根を越えないとガレ沢には戻れない。沢はザレてここも簡単には渡れない。まず下が見えていない。痩せた小尾根を何とか乗り越えて、ガレ沢に復帰した。その間、脆い岩尾根で何度もズルっといったのは言わずもがなのこと。重圧にも似た切羽詰った気分がずっと続いた。
それにしても随分と流されていたものだと思ったが、後でGPS軌跡を見ると直線距離で50m程度のものだった。こんな距離で地形も急変する。
(何とか復帰した)

ようやくこれで助かった。ほっとすると同時に、ノドがカラカラになってしまった。これは雪田爺氏の手記と同様だ。冷や汗どころでは済まなかった。安心はしたものの、とんでもないところに入り込んでしまったという思いが出てきて、この先、いったいどうなっていくのか、えらく不安になった。そのまま沢を登っていればいいものを、こんなところでつい安易に尾根に出てしまったのが災いした。ここが今回唯一のハラハラドキドキスポットだったが、無駄なハラドキでもあった。
見下ろしても見上げても、ガレ沢の斜面は続いている。足を踏み外したらたまったものではないだろう。あっさりと転落だ。でも、このエリアでは、ガレ沢が唯一の安全通りなのかもしれない。
先日の根利古道歩きといい、足尾ではどうもここのところデンジャラスな歩きを続けている。予測やら期待して歩いているわけではなく、身の程知らずとも言える。テープを回収しながら尾根を歩いている方が自分には相応なのではないのか。他人様の情報をもっとレベルを高くして見るべきだったと後悔しても今さらはじまらない。
気を落ち着かせるべく二服し、水を飲む。水はいつものように1リットルしか持参していないが、こんな状況が続けば、あっという間に渇水になってしまうかもしれない。
さてと、歩きを再開。これからは我慢しながらもずっと沢伝いに行こう。とはいっても、普通の沢と違って涸れたガレ沢だ。傾斜の度合いは相変わらずのもので、幾分楽そうなところを見つけては歩いてしまう。大きく迂回もする。つい、左岸尾根にさっさと上がってしまった方が得策かもしれないなと思うのだが、さっきの危うい件もあるし、ここはこらえる。
(雪田爺氏の忘れ物)

ふと、この沢に似合わぬ人工物が目に入った。ビニールファイルに納められた地図。水で地図の等高線は消えてはいるが、赤鉛筆で記されたメモは生きている。もしかして、雪田爺氏の忘れ物じゃないのか。表裏二枚重ねの地図で、このルートの先はオロ山を経由して沢入山方面に赤線が入っている。さらには、裏には1682m標高点周辺を丸囲みして「この辺り」と記されていた。端を見ると、プリントアウトした日付が印字され、「2015/09/21」とある。雪田爺氏の歩かれたのは22日だから、これはほぼ確実に雪田爺氏の落し物だろう(実際のところそうだったが)。事前に手記は拝見していたから、「この辺り」とは、つまり、自分の設置した標高版の位置ではないのか。これを見て、意気消沈しているのがいくらか立ちなおった。ここは踏ん張って、標高板をどうにかしなきゃならないなぁ。別にこのガレ沢を経由しないと行けないわけでもないのだが…。
(中倉山尾根が見えるが)

(下は相変わらず)

(斜め岩の回廊)

先にぽっかりと中倉山尾根が見えてくる。千畳敷から見上げる宝剣岳のカール状の光景にも似ている。何とも神々しくも見えるが、あそこまではまだ遠い。上を見ても下を覗いても急なガレ沢はずっと続き、まだまだ安堵の気分にはなれないでいる。
斜めになった衝立のようになった岩の間をくぐると、水流が出てきた。ほっと一息。今、標高1250m付近だ。この辺になると、沢を見下ろしても、せいぜい50mくらい先しか見えず、その先の落ち込みは想像すらしたくもないが、危うさには幾分慣れてきているようだ。下るのは絶対に有りえないと思うようになっているからでもあろうか。
(行けそうに見えたがダメだった)

(水流に戻る)

水流のすぐ上で二股になった。右には水がない。ここは右だろう。しばらく行って、岩壁で行き詰った。戻る。ここの沢、「戻る」といってもあっさりと戻れるところではない。それなりの覚悟が必要だ。結局、予想通りにすんなりとは戻れず、強引にトラバースして水のある左股に下りた。その間、石を2、3個落としてしまい、はるか下まで転がる音が聞こえていた。
水流をちょっと渡るとまた二股。何とも紛らわしい沢が分岐する。こんなところにテープを付けろと叫びたくなる。ここは間に灌木の低い尾根があり、いずれに行くか、様子見がてら、尾根に入る。それなりのヤブがあって、ザックに括り付けたストックを枝にひっかけてはイライラする。このまま歩くのもうっとうしく、結局は右の沢に下りた。ちょっと行くと、目の前の左岸尾根が大分低くなってきているのが見えてきた。ここは左岸尾根に這い上がるのが正解ではないのか。
またしても安易な発想だった。易々と登れるわけがない。足場はかなり悪く、登った3倍の時間をかけて下った。ここでも立木を引っこ抜いてしまった。そのまま沢を行く。今、1350m付近にいる。心なし、沢の傾斜が緩やかになったような気がする。どこにでもありそうなやや急なガレ沢の様相だ。
(ここを行けば尾根に出られそうだが)

(これではまたまともには戻れないかも)

(空が間近に)

また二股。ここは迷わずに右。理由はない。幾分穏やかに見えたからに過ぎない。そのうちに、その沢の先にぽっかり開けた空が見え出した。あれが左岸尾根との合流とは思えないが、取りあえず行ってみよう。
展望が少しずつ広がっていく。対岸の山々、社山も見えている。そして険悪なウメコバ沢両サイドの尾根。正面左手に見えるのは沢入山だろう。こんなところで感動していてもしょうがないが、なかなかの景観が広がっていく。
(展望が広がる。ウメコバ沢の両岸尾根)

(尾根はそこ)

(左岸尾根に出た)

岩場になった。ここ登れるのかなと思ったが、岩は棚状になっていて、足場には事欠かない。ただ、かなりガレていて、浮石もある。これまでの沢の歩きに比べると、すっきり感が出てきた。すぐそこが尾根だった。ようやく左岸尾根に出た。1460m付近だ。
一番最初に目に入り込んだ風景は、西側の沢を越えた1452mを通過する北尾根の中腹部。切れた岩峰が2つ並んでいた。あれはまさにその1452mあたりではないのか。あれでは北尾根を松木川の末端からなんて発想は尋常ではないだろう。
(積んだケルン。その向こうに1452m標高点付近の岩峰2つ。妖怪に見えた)

(見下ろす。ここも安全とは言い難い。勢いづいたら相当にヤバい)

しばらく休んだ。いい眺めだ。風も心地よい。こんな景観を眺められるなら、あの危い沢歩きもまた帳消しといいたいところだが、冷静に考えずともここに至る負荷が大き過ぎる。ここまでならオロ北からでも下って来られる。いずれにしても、これでもう危険な目に遭うことはないだろう。ほっとしてケルンを積んでみたりする。
さて危機が去ったとはいえ、台地の突端まではまだ200mの標高差がある。傾斜は急で、ガレの間にザレも見えている。取りあえず目の前の岩峰は右から巻きだろう。ここを越えれば少しは楽なような気がする。
(オロ北突端部)

(右手に皇海山)

回り込むと、オロ北の突端が見えてきた。早めにガレ沢からは上がったが、左下の沢は灌木の間にササが広がる斜面になっている。そうか、雪田爺氏はあのササの急斜面を登られたわけだな。いつまで経っても目の高さのササが続くらしい。そこを見ながらニンマリとしてしまった。さっさと尾根に上がれば良かったのに。
ガレが消え、草原になった。北尾根と合流した。傾斜もかなり緩くなった。右手に皇海山も現れる。おっ、紅葉じゃないか。色褪せた感じはするが、近づかなきゃいいだけのことで、期待をしていなかった立場からすれば、十分に楽しめる色づきだ。ただ、これからを期待するにはきれいな紅葉とは言い難い。
(左には沢入山)

(位置的には左下からササ原が上がってくる。ガレ沢の延長である)

(もう少し)

草原の間にシカ道が続いている。ここでヘルメットを脱いで、ストックを出す。このまま草原を登ってもいいが陽射しが強くなってきていて、右の樹林に逃げた。この樹林の先で前回歩いたゴケナギ沢右岸尾根と合流するはずだ。右岸尾根はさっきから見えている。
樹林を抜け出しちょいガレを登ってオロ北のヘリに着いた。相変わらずの臭いが漂っている。すぐに慣れる。よっこらしょっと大の字になって寝そべった。
随分ときつかった。このルートでオロ北に来ることはもうあるまい。途中で水の消費を気にしたが、水筒の水は1/4程度しか飲んでいなかった。ランチをとったり、タバコを吸ったり、景色を眺めながらウダウダ、ウロウロした。小足沢の大滝が正面に見えている。あの滝を間近に見ることは自分にはないだろうな。もう、デンジャラスはいいわ。
(オロ北に上がる)

(あの白いところに出て登ってきた)

(社山方面)

(大平山。前掲の写真はあの尾根から眺めたもの)

たっぷりと休み、では課題を片付けましょう。標高板の移動だ。実は心配していた。果たして設置した自分もわからなくなっているのではないのか。樹の特異な枝ぶりを覚えてはいても広い尾根だ。記憶を頼りに東側に行った。ここからの沢入山の眺めが気に入って、標高板は沢入山に向けて付けていたのだ。だれしも標高点付近の尾根中央にあると思ってしまう。
(ここから)

(ここに。お気の毒な気分)

すぐにわかったが、1年少々のわりにしては干からびた状態になっていた。ニスの塗りが甘かったようだ。今後、それほど持ちはしまい。だが、予備を持ってきたわけでもないので、これを活用するしかない。その位置のままに尾根中央に移動し、正面は台地末端に向けた。自己満足を象徴する標高板、だれかの目に入るといいが。本来なら、突端部に付けたいところだが、その場合の名称をどうすべきなのか。「オロ北」では手前味噌というもの。標高点の位置も突端部ではない。
(オロ山方面に向かう)

(皇海山方面の山肌)

やることもやったし、では帰るとしましょうか。当初の予定は、ここからオロ山に登り、塔の峰に下るというものだったが、もはやそんな元気はない。オロ山への上りすらうっとうしい。ここは中倉山経由としよう。オロ山を避けて沢入山方面にトラバース道があることは知ってはいたが、歩いたことはない。先日の雪田爺氏のレポによれば、目印テープがあるらしい。こういうテープは大歓迎だ。
(トラバース道)

オロ山の裾野に至って、テープに気づいた。ここから左か。何だ、刈り払ったような薄い道があるじゃないか。注意して追えばいいわけだ。これはシカ道なんかではない。しかしこんなところに道を付け、そんなにオロ北を訪れる人がいるのだろうか。何とも不思議だ。
テープがせわしなく続いていた。新旧両方だ。道があるのにどうしてここまでするのだろう。撤去したくはなったが、道もササがかぶって見えていないところもあり、ましてトラバース道だ。迷う人もいるだろうとそのままにした。ただ、とんでもないところに付いていたりするようなテープもあり、あれでは、ガスの濃い日に方向感覚を間違えば、ウメコバ沢にひきずり込まれ、二進も三進も行かなくなるのではないだろうかと、余計な心配をしてしまった。まして、真っ直ぐな一本道ではなく、踏み跡も分岐したり、クネクネしている。同標高の維持だけだから、間違っても下る人はいるとは思えないが。
(中倉山尾根に出た)

中倉山尾根1682m標高点手前の鞍部に出た。時間にして20分程度のトラバース。ヤブとちょっと薄暗い灌木の中の歩きでは長くも感じた。振りかえると、こちら側から森のトラバース道に通じる入口にはテープがなく、細いシカ道が2本見えているだけであった。それはそれでいいだろう。テープを頼ってオロ北に向かうよりは、オロ山からシャクナゲヤブを乗り越えて尾根伝いに下るのがオロ北の素晴らしさも実感できるというものだ。
(オロ北を眺める)

(先ずは沢入山)

(振り返るとオロ山と皇海山)

ここからの下山ルートをうだうだと記しても仕方があるまい。いつものへたれのクタクタ歩きだ。相変わらずの色褪せた感じの紅葉が尾根伝いに続く。塔の峰も山腹もかなり色づいている。何ともむしむしして暑い。風も止まった。休んでは歩くの繰り返し。その間、タバコもかなり吸ってしまった。沢入山ではまた寝転がった。いい気分だ。
以前、仁田元沢から南東尾根を経由して沢入山に登ったことがある。その尾根をちらと見て、このまま下ろうかなと思ったりもしたが、登山靴では滝も越えるのはちと厳しい。断念。そんな思いにかられたのにはそれなりのわけがあり、中倉山からの下りのコース、いずれもあまり好きではないのだ。井戸沢右岸尾根は風情が感じられず、下りで使うと、その都度振りかえらないと景色を楽しめない。テープで賑やかな一般道の下りもまた嫌いだ。石塔尾根は論外。となると、右岸尾根途中からどこかのダムに下るルートとなるが、あそこを下りで使うと、いつもシカフェンスにぶつかってしまう。仕方がない。今日は一般道をきれいにしながら下るとするか。
(庚申、オロ、皇海)

(尾根筋の紅葉)

(塔の峰)

(例のブナ)

(中倉山)

例のブナの樹もちょっとばかり色づいてきた。男体山をバックに写真を撮ってみたが、日光方面も次第に雲がかかってきた。この中倉山尾根からの景色、遠くに皇海山、オロ山、庚申山がそろっていないとどうも素晴らしさも薄くなる。幸運にも今日はずっと見え続け、三俣山と日光白根、錫すら明瞭だ。この荒々しく武骨ながらも女性美をも含んだバラエティに富んだ景色だけは何物にも代えがたいと思っている。松木川斜面の危うい荒涼とした眺めもいいが、自分にはやはり取り巻く山々だろう。
(これが好きだ)

中倉山で最後の休憩。セルフ撮りをしたら顔半分が消えていた。やり直しを2回。寝そべることはなく、腰かけて一服。土曜日の好天だというのに、中倉山尾根に入ってからだれにも会うことはなかった。ブナも寂しかったろう(笑)。紅葉目的で中倉山を選ぶハイカーもいまい。
(きれいな尾根になっていた)

林道に向けて下る。嫌なテープが続くかなと思っていたが、奇特な方もいるのか、テープはかなり減っていて、気分良く下れた。ボロボロになったテープ、要所以外のテープは外させていただいた。さらにきれいになった。
(井戸沢の水を探したり)

(道がこうなっていたり)

(工事をしていたり)

林道を歩き進めるといくつかの異変に気づいた。井戸沢で顔を洗うつもりでいたら、沢が涸れている。水が細くなり、下流ダムとの間は伏流になり、いつもよりもちょっと上に行かないと顔は洗えなかった。続いて、もう舗装区間に入っているが、途中の50m区間ほどが荒い砂利に覆われていた。何でこんなことをするのだろう。これでは工事用の車両すら通るのが難しい。そして、仁田元沢の下流では工事をやっていた。これは新たな護岸工事だろうか。
(到着)

銅親水公園に着く。もう4時を回っている。資料館の前、コーラを買おうと小銭を持って自販機に向かうと、戸締りをしようとしていた係の方が「もう、それ使えませんから、中に入ってください」と言われた。中に入っても自販機は見あたらない。キョロキョロしていると、そこの左ですよと言う。その先にはトイレしかない。自販機はトイレの中なのだろうか。「自販機はトイレの中ですか?」と改めて聞くと、「あぁ、自販機ですか。外の自販機なら24時間使えますよ」だって。トイレと勘違いされたようだ。何でそうなるのだろうか。まぁ、親切な方だ。
駐車場には車が7台くらいあった。観光客もまだいるから、今日の山歩きはほんの数台だろうか。着替えをしていると、軽ワゴンがやってきて、運転していたヒゲのオッサンが双眼鏡で付近を眺めはじめた。この方、どこかで見たことがあるなと思っていたが、思い出した。数週間前に足尾のクマの生態をNHK・BSで放送していた。その時に出てきたオッサンだ。クマの姿が見えなかったのかさっと引き上げて行った。
10時間のいい歩きではあったが、どうにも疲れた。その疲労の大半はガレ沢の登り、ことに尾根に逃げてから復帰するまでの余分な行動に起因する。しばらくは尾根の清掃歩きに戻ろうか。
※本記事で記したオロ北までのコースは、ご覧のように尾根歩き専門の方には極めて危険です。お薦めはいたしません。オロ北に行くのであれば、オロ山かトラバース道経由で行ってください。ゴケナギ沢右岸尾根経由も中倉山尾根縦走の感覚ではきつい歩きになります。
銅親水公園駐車場(5:55)……堰堤前取り付き(7:50)……オロ山北の突端に到着(11:20)……沢入山(13:10)……中倉山(14:00)……林道(15:15)……駐車場(16:10)
※10時間かかっています。参考にはなりません。目安にもなりません。あちこちで長い休憩時間をとっています。掲載時刻は到着時間。
当初から土曜日は足尾に行くことに決めていたが、行く場所を決められないままに銅親水公園を出発した。他に車はなく気温は12℃とちょっと肌寒い。
候補は3つあった。いずれも松木沢沿いのルート。手前から一つずつつぶして(=あきらめて)いくようになるかも知れない。
(人気が無く静かだ。まだ紅葉の気配はない。この辺は木枯らしの時期にいい感じになる)

(<みちくさ>から。石塔はガスで隠れている)

まずは石塔尾根の石塔(最近は「ろうそく岩」とも呼ばれているらしい)に直登する尾根。前回、間違って隣の尾根を登っていたというヘマをやらかしている。さて、どこから松木沢を渡るかと思案しているうちに<みちくさ>に着いてしまった。正面から眺めると、件の尾根はえらく急で、これはちょっと手ごわいなといった感じに見えている。もともと、あそこだけは登っておきたいといった気持ちがあるわけでもないので、石塔付近がガスで隠れていたことを理由にまずは候補を一つつぶした。とはいっても、これは今日の話であって、自分の課題から外したわけではない。あくまでも、今日は今日の気分で選択している。
去年の暮れに石塔との合流点を一応確認はしていたのだが、その先(下)が雪でよく見えず、様子がしかとわからない。石塔の直前まで行って、その先行けませんでしたでは何とも情けないことになる。
横道にそれるが、<みちくさ日記>の9月20日付け記事に、その日の訪問者の一人として「私たちに『孤高のブナ』を紹介してくれましたクライマーさん」という記載があった。これは足尾のRRさん以外には想定しづらい。この「紹介」をきっかけに、ブナの樹にはNPOのスポンサーが付き、RRさんの手から離れて孤高とは縁遠い存在になる。中倉山尾根を歩くハイカーが増え、真新しいテープもオロ山から庚申山まで果てしなく付けられるようになった。それどころか塔の峰までも巻き込んでしまった。そう考えるのは飛躍だろうか。RRさんの功罪といったら気の毒な話だ。RRさんの及ばずのところで軽い気持ちのハイカーまでもがやたらと入り込むようになってしまったといった展開だろう。
(こんな崩壊あったかなぁ。これまで気づかなかっただけのことなのか)

(丹平治沢)

ワンパターンの嘆きはここまでにして先に進む。林道ゲートで一服。この辺の河原も堰堤が新設されてから様相が変わってきた。下り時にも気づいたが、今度は仁田元沢入口付近で何かの工事が始まっていた。下流部にはどんどん工事の手が入っていく。
今日はシカの声すら聞こえない。静かだ。今のところ上にはガスがかかっているが次第に上がってきている。昨夜のGPV天気予測では終日曇り空のようだった。この分では今日はずっと晴天になるだろう。
松木川に下ってウメコバ沢出合い。いつものように、ウメコバ沢をちょっと眺める。素人でも行けやしないかと、無謀なことはまったく考えないで通過。
(6号堰堤が見えてくる)

松木川の横断。どこを探しても冠水せずに渡れるところはない。仕方ない。靴を脱いで裸足で渡る。この時間だからか水は冷たく、石もコケで滑る。この先、本日、第3の候補もあるのだが、これでは確実に渡渉になるだろうし、そんな準備もしてきてはいない。この時期だし、簡単に濡れずに渡れると思っていた。甘かった。これで第3候補も放棄。ちなみに、この第3候補だが、3度目の小足沢右岸尾根で、瀑泉さんから安心して登れるルートの詳細情報をいただき、まずは試しにそこから登ってみるつもりでいた。その先は、きりんこさんの後追いだ。ダメなら戻るが、それなりの探索も楽しめそうだ。石垣も見たかった。
(昨年4月に対岸の尾根から撮った。正面にオロ北突端部。先の台地部は見えず、後ろにオロ山。今日は白いところを直進、右上、左上と行った)

まぁ、これで第2の候補にしぼられた。ここまで来て、戻るには早過ぎる。6号堰堤が先に見え、左斜面にその取り付きが見えてきた。意識して眺めたのは初めてだが、これくらいの張り出しのガレ場歩きなら、大きな問題はないか。以前、赤倉山失敗の帰りに大畑沢というとんでもない急斜面のガレ沢を下ったことがある。あれに比べたら穏やかにも見える。ここから沢伝いにオロ山北尾根に到達するという算段である(ここで「オロ山北の大地、台地」にするか迷ったが、大地と台地で迷うよりは「オロ北」と称する方がすっきりする。「オロ山北尾根」とすれば、地形図を見ても明白だが、松木川から乗り上げ1452m標高点を通るゲジゲジ尾根になる)。
このガレ沢の歩き、ネットの記事ではYoshiさんがまずやられて、これはおもしろそうだなと思ったものだが、その後にふ~てんさんが下られ、自分の域ではないなと実感しながらも、非玄人系のだれかやってくれないかなと期待しつつの待機状態で、そこに自分と同様に虎視眈々の雪田爺氏が10日前に登られた。雪田爺氏には失礼ながら、だったらと、自分の域に無理やりにしてしまい、今、この場に座ってタバコなんかをふかして沢を眺めているというわけだ。この沢の登り、対岸の尾根から覗く限りは恐怖と無謀以外の何物でもないのだが、この入口付近では、少なくとも恐い印象は薄い。
オロ北には昨年、ここからかなり先のゴケナギ沢右岸尾根から登っている。今回は2回目ということで、ブログのタイトルもPart2とした。ヘルメットをかぶっていざ出発。靴は普通の登山靴だ。スパイク地下足袋と迷ったが、候補3つともにガレ、ザレが想定されたので、滑ったらヤバいだろうと慣れた足元にした。
3つの候補といっても、実のところこの第2が強いての希望であった。それには理由があって、前回行った際に取り付けた標高板(山名板ではなく「1682m」の標高板)が、今のところだれの目にも触れられていないようだ。雪田爺氏もさることながら、きりんこさん、RRさんも探し回ったようだ。早いとこ、目の付くところに移動しておこうと思ってもいた。このついでがなかったら、さらに先延ばしをしていたろう。
(長いマクラは嫌われる。では出発といきますか)

(左岸尾根にはすぐにも取り付けそうなのだが、その先は簡単にはいくまい)

(見下ろすとすでにこうなっていた)

下のガレは意外に安定していて、大石は固定し、浮石らしいものにはぶつからない。ここは高度を稼げるなと思っていたが、すぐに松木川を見下ろす状態になった。下から見る限りはそれほどでもなかったのだが、かなりの傾斜になっている。対岸の荒れた岩肌もどんどん迫って来るような感じになる。見事なまでのガレ沢だ。登るに連れ、これは下るのがやっかいだなと思うようになってくる。石は次第に細かくなり、所によってはズルズルにもなっている。これではスパ足袋の方が正解だったろうか。
(心持ち狭くはなる。右岸側に岩峰が見え出す)

沢幅は徐々に狭くなり、回廊じみてくる。左右は尾根状になっているが、右岸側の尾根は論外としても、左岸側には上がれそうにも見えるのだが、その尾根(北尾根から北東に延びる枝尾根)の上がどんなものやら想像もつかない。切り立った岩壁状になっているところもある。出発時早々に左岸尾根に取り付いたとして、果たしてその先、すんなり歩けるものなのか。右岸側はウメコバ沢とのゴチャゴチャした中間尾根で、ヘタに引き込まれたらとんでもないことになりそうだ。それが証拠に、視界が開けたところで左手前方を見上げると、いくつもの尖った岩峰が屹立しているのが見える。見ているだけでも恐ろしげだ。
(右岸側奥に行き過ぎた)

(ヤブの地盤はかなり脆い)

(対岸の山。一応、そんな余裕はあったみたい)

(ここを渡って)

(さらにこの先に出たいが、ここの通過が一番つらかった)

雪田爺氏は沢を避けて右岸尾根寄りに一旦逃げたらしいが、自分もまた、草付きのその斜面に逃げてしまい、気づいたらかなり東の方まで(おそらく雪田爺氏以上に)行っていた。こうなると戻るかトラバースしかない。草付きとはいっても、そのまま下るのはかなりやっかいで、右の沢側にトラバースして下ろうと、低い灌木の根元に手をかけると土もろともに抜け落ち、ズルっといった。あやうく踏ん張って何とかしのいだが、これはあぶない、あぶない。
このままでは状況がかなり悪くなる。冷や汗を吹きだしながら何とか沢には下りたものの、GPSを見る限りは、その沢は本来の沢の手前のヤセ沢で、さらに岩場の尾根を越えないとガレ沢には戻れない。沢はザレてここも簡単には渡れない。まず下が見えていない。痩せた小尾根を何とか乗り越えて、ガレ沢に復帰した。その間、脆い岩尾根で何度もズルっといったのは言わずもがなのこと。重圧にも似た切羽詰った気分がずっと続いた。
それにしても随分と流されていたものだと思ったが、後でGPS軌跡を見ると直線距離で50m程度のものだった。こんな距離で地形も急変する。
(何とか復帰した)

ようやくこれで助かった。ほっとすると同時に、ノドがカラカラになってしまった。これは雪田爺氏の手記と同様だ。冷や汗どころでは済まなかった。安心はしたものの、とんでもないところに入り込んでしまったという思いが出てきて、この先、いったいどうなっていくのか、えらく不安になった。そのまま沢を登っていればいいものを、こんなところでつい安易に尾根に出てしまったのが災いした。ここが今回唯一のハラハラドキドキスポットだったが、無駄なハラドキでもあった。
見下ろしても見上げても、ガレ沢の斜面は続いている。足を踏み外したらたまったものではないだろう。あっさりと転落だ。でも、このエリアでは、ガレ沢が唯一の安全通りなのかもしれない。
先日の根利古道歩きといい、足尾ではどうもここのところデンジャラスな歩きを続けている。予測やら期待して歩いているわけではなく、身の程知らずとも言える。テープを回収しながら尾根を歩いている方が自分には相応なのではないのか。他人様の情報をもっとレベルを高くして見るべきだったと後悔しても今さらはじまらない。
気を落ち着かせるべく二服し、水を飲む。水はいつものように1リットルしか持参していないが、こんな状況が続けば、あっという間に渇水になってしまうかもしれない。
さてと、歩きを再開。これからは我慢しながらもずっと沢伝いに行こう。とはいっても、普通の沢と違って涸れたガレ沢だ。傾斜の度合いは相変わらずのもので、幾分楽そうなところを見つけては歩いてしまう。大きく迂回もする。つい、左岸尾根にさっさと上がってしまった方が得策かもしれないなと思うのだが、さっきの危うい件もあるし、ここはこらえる。
(雪田爺氏の忘れ物)

ふと、この沢に似合わぬ人工物が目に入った。ビニールファイルに納められた地図。水で地図の等高線は消えてはいるが、赤鉛筆で記されたメモは生きている。もしかして、雪田爺氏の忘れ物じゃないのか。表裏二枚重ねの地図で、このルートの先はオロ山を経由して沢入山方面に赤線が入っている。さらには、裏には1682m標高点周辺を丸囲みして「この辺り」と記されていた。端を見ると、プリントアウトした日付が印字され、「2015/09/21」とある。雪田爺氏の歩かれたのは22日だから、これはほぼ確実に雪田爺氏の落し物だろう(実際のところそうだったが)。事前に手記は拝見していたから、「この辺り」とは、つまり、自分の設置した標高版の位置ではないのか。これを見て、意気消沈しているのがいくらか立ちなおった。ここは踏ん張って、標高板をどうにかしなきゃならないなぁ。別にこのガレ沢を経由しないと行けないわけでもないのだが…。
(中倉山尾根が見えるが)

(下は相変わらず)

(斜め岩の回廊)

先にぽっかりと中倉山尾根が見えてくる。千畳敷から見上げる宝剣岳のカール状の光景にも似ている。何とも神々しくも見えるが、あそこまではまだ遠い。上を見ても下を覗いても急なガレ沢はずっと続き、まだまだ安堵の気分にはなれないでいる。
斜めになった衝立のようになった岩の間をくぐると、水流が出てきた。ほっと一息。今、標高1250m付近だ。この辺になると、沢を見下ろしても、せいぜい50mくらい先しか見えず、その先の落ち込みは想像すらしたくもないが、危うさには幾分慣れてきているようだ。下るのは絶対に有りえないと思うようになっているからでもあろうか。
(行けそうに見えたがダメだった)

(水流に戻る)

水流のすぐ上で二股になった。右には水がない。ここは右だろう。しばらく行って、岩壁で行き詰った。戻る。ここの沢、「戻る」といってもあっさりと戻れるところではない。それなりの覚悟が必要だ。結局、予想通りにすんなりとは戻れず、強引にトラバースして水のある左股に下りた。その間、石を2、3個落としてしまい、はるか下まで転がる音が聞こえていた。
水流をちょっと渡るとまた二股。何とも紛らわしい沢が分岐する。こんなところにテープを付けろと叫びたくなる。ここは間に灌木の低い尾根があり、いずれに行くか、様子見がてら、尾根に入る。それなりのヤブがあって、ザックに括り付けたストックを枝にひっかけてはイライラする。このまま歩くのもうっとうしく、結局は右の沢に下りた。ちょっと行くと、目の前の左岸尾根が大分低くなってきているのが見えてきた。ここは左岸尾根に這い上がるのが正解ではないのか。
またしても安易な発想だった。易々と登れるわけがない。足場はかなり悪く、登った3倍の時間をかけて下った。ここでも立木を引っこ抜いてしまった。そのまま沢を行く。今、1350m付近にいる。心なし、沢の傾斜が緩やかになったような気がする。どこにでもありそうなやや急なガレ沢の様相だ。
(ここを行けば尾根に出られそうだが)

(これではまたまともには戻れないかも)

(空が間近に)

また二股。ここは迷わずに右。理由はない。幾分穏やかに見えたからに過ぎない。そのうちに、その沢の先にぽっかり開けた空が見え出した。あれが左岸尾根との合流とは思えないが、取りあえず行ってみよう。
展望が少しずつ広がっていく。対岸の山々、社山も見えている。そして険悪なウメコバ沢両サイドの尾根。正面左手に見えるのは沢入山だろう。こんなところで感動していてもしょうがないが、なかなかの景観が広がっていく。
(展望が広がる。ウメコバ沢の両岸尾根)

(尾根はそこ)

(左岸尾根に出た)

岩場になった。ここ登れるのかなと思ったが、岩は棚状になっていて、足場には事欠かない。ただ、かなりガレていて、浮石もある。これまでの沢の歩きに比べると、すっきり感が出てきた。すぐそこが尾根だった。ようやく左岸尾根に出た。1460m付近だ。
一番最初に目に入り込んだ風景は、西側の沢を越えた1452mを通過する北尾根の中腹部。切れた岩峰が2つ並んでいた。あれはまさにその1452mあたりではないのか。あれでは北尾根を松木川の末端からなんて発想は尋常ではないだろう。
(積んだケルン。その向こうに1452m標高点付近の岩峰2つ。妖怪に見えた)

(見下ろす。ここも安全とは言い難い。勢いづいたら相当にヤバい)

しばらく休んだ。いい眺めだ。風も心地よい。こんな景観を眺められるなら、あの危い沢歩きもまた帳消しといいたいところだが、冷静に考えずともここに至る負荷が大き過ぎる。ここまでならオロ北からでも下って来られる。いずれにしても、これでもう危険な目に遭うことはないだろう。ほっとしてケルンを積んでみたりする。
さて危機が去ったとはいえ、台地の突端まではまだ200mの標高差がある。傾斜は急で、ガレの間にザレも見えている。取りあえず目の前の岩峰は右から巻きだろう。ここを越えれば少しは楽なような気がする。
(オロ北突端部)

(右手に皇海山)

回り込むと、オロ北の突端が見えてきた。早めにガレ沢からは上がったが、左下の沢は灌木の間にササが広がる斜面になっている。そうか、雪田爺氏はあのササの急斜面を登られたわけだな。いつまで経っても目の高さのササが続くらしい。そこを見ながらニンマリとしてしまった。さっさと尾根に上がれば良かったのに。
ガレが消え、草原になった。北尾根と合流した。傾斜もかなり緩くなった。右手に皇海山も現れる。おっ、紅葉じゃないか。色褪せた感じはするが、近づかなきゃいいだけのことで、期待をしていなかった立場からすれば、十分に楽しめる色づきだ。ただ、これからを期待するにはきれいな紅葉とは言い難い。
(左には沢入山)

(位置的には左下からササ原が上がってくる。ガレ沢の延長である)

(もう少し)

草原の間にシカ道が続いている。ここでヘルメットを脱いで、ストックを出す。このまま草原を登ってもいいが陽射しが強くなってきていて、右の樹林に逃げた。この樹林の先で前回歩いたゴケナギ沢右岸尾根と合流するはずだ。右岸尾根はさっきから見えている。
樹林を抜け出しちょいガレを登ってオロ北のヘリに着いた。相変わらずの臭いが漂っている。すぐに慣れる。よっこらしょっと大の字になって寝そべった。
随分ときつかった。このルートでオロ北に来ることはもうあるまい。途中で水の消費を気にしたが、水筒の水は1/4程度しか飲んでいなかった。ランチをとったり、タバコを吸ったり、景色を眺めながらウダウダ、ウロウロした。小足沢の大滝が正面に見えている。あの滝を間近に見ることは自分にはないだろうな。もう、デンジャラスはいいわ。
(オロ北に上がる)

(あの白いところに出て登ってきた)

(社山方面)

(大平山。前掲の写真はあの尾根から眺めたもの)

たっぷりと休み、では課題を片付けましょう。標高板の移動だ。実は心配していた。果たして設置した自分もわからなくなっているのではないのか。樹の特異な枝ぶりを覚えてはいても広い尾根だ。記憶を頼りに東側に行った。ここからの沢入山の眺めが気に入って、標高板は沢入山に向けて付けていたのだ。だれしも標高点付近の尾根中央にあると思ってしまう。
(ここから)

(ここに。お気の毒な気分)

すぐにわかったが、1年少々のわりにしては干からびた状態になっていた。ニスの塗りが甘かったようだ。今後、それほど持ちはしまい。だが、予備を持ってきたわけでもないので、これを活用するしかない。その位置のままに尾根中央に移動し、正面は台地末端に向けた。自己満足を象徴する標高板、だれかの目に入るといいが。本来なら、突端部に付けたいところだが、その場合の名称をどうすべきなのか。「オロ北」では手前味噌というもの。標高点の位置も突端部ではない。
(オロ山方面に向かう)

(皇海山方面の山肌)

やることもやったし、では帰るとしましょうか。当初の予定は、ここからオロ山に登り、塔の峰に下るというものだったが、もはやそんな元気はない。オロ山への上りすらうっとうしい。ここは中倉山経由としよう。オロ山を避けて沢入山方面にトラバース道があることは知ってはいたが、歩いたことはない。先日の雪田爺氏のレポによれば、目印テープがあるらしい。こういうテープは大歓迎だ。
(トラバース道)

オロ山の裾野に至って、テープに気づいた。ここから左か。何だ、刈り払ったような薄い道があるじゃないか。注意して追えばいいわけだ。これはシカ道なんかではない。しかしこんなところに道を付け、そんなにオロ北を訪れる人がいるのだろうか。何とも不思議だ。
テープがせわしなく続いていた。新旧両方だ。道があるのにどうしてここまでするのだろう。撤去したくはなったが、道もササがかぶって見えていないところもあり、ましてトラバース道だ。迷う人もいるだろうとそのままにした。ただ、とんでもないところに付いていたりするようなテープもあり、あれでは、ガスの濃い日に方向感覚を間違えば、ウメコバ沢にひきずり込まれ、二進も三進も行かなくなるのではないだろうかと、余計な心配をしてしまった。まして、真っ直ぐな一本道ではなく、踏み跡も分岐したり、クネクネしている。同標高の維持だけだから、間違っても下る人はいるとは思えないが。
(中倉山尾根に出た)

中倉山尾根1682m標高点手前の鞍部に出た。時間にして20分程度のトラバース。ヤブとちょっと薄暗い灌木の中の歩きでは長くも感じた。振りかえると、こちら側から森のトラバース道に通じる入口にはテープがなく、細いシカ道が2本見えているだけであった。それはそれでいいだろう。テープを頼ってオロ北に向かうよりは、オロ山からシャクナゲヤブを乗り越えて尾根伝いに下るのがオロ北の素晴らしさも実感できるというものだ。
(オロ北を眺める)

(先ずは沢入山)

(振り返るとオロ山と皇海山)

ここからの下山ルートをうだうだと記しても仕方があるまい。いつものへたれのクタクタ歩きだ。相変わらずの色褪せた感じの紅葉が尾根伝いに続く。塔の峰も山腹もかなり色づいている。何ともむしむしして暑い。風も止まった。休んでは歩くの繰り返し。その間、タバコもかなり吸ってしまった。沢入山ではまた寝転がった。いい気分だ。
以前、仁田元沢から南東尾根を経由して沢入山に登ったことがある。その尾根をちらと見て、このまま下ろうかなと思ったりもしたが、登山靴では滝も越えるのはちと厳しい。断念。そんな思いにかられたのにはそれなりのわけがあり、中倉山からの下りのコース、いずれもあまり好きではないのだ。井戸沢右岸尾根は風情が感じられず、下りで使うと、その都度振りかえらないと景色を楽しめない。テープで賑やかな一般道の下りもまた嫌いだ。石塔尾根は論外。となると、右岸尾根途中からどこかのダムに下るルートとなるが、あそこを下りで使うと、いつもシカフェンスにぶつかってしまう。仕方がない。今日は一般道をきれいにしながら下るとするか。
(庚申、オロ、皇海)

(尾根筋の紅葉)

(塔の峰)

(例のブナ)

(中倉山)

例のブナの樹もちょっとばかり色づいてきた。男体山をバックに写真を撮ってみたが、日光方面も次第に雲がかかってきた。この中倉山尾根からの景色、遠くに皇海山、オロ山、庚申山がそろっていないとどうも素晴らしさも薄くなる。幸運にも今日はずっと見え続け、三俣山と日光白根、錫すら明瞭だ。この荒々しく武骨ながらも女性美をも含んだバラエティに富んだ景色だけは何物にも代えがたいと思っている。松木川斜面の危うい荒涼とした眺めもいいが、自分にはやはり取り巻く山々だろう。
(これが好きだ)

中倉山で最後の休憩。セルフ撮りをしたら顔半分が消えていた。やり直しを2回。寝そべることはなく、腰かけて一服。土曜日の好天だというのに、中倉山尾根に入ってからだれにも会うことはなかった。ブナも寂しかったろう(笑)。紅葉目的で中倉山を選ぶハイカーもいまい。
(きれいな尾根になっていた)

林道に向けて下る。嫌なテープが続くかなと思っていたが、奇特な方もいるのか、テープはかなり減っていて、気分良く下れた。ボロボロになったテープ、要所以外のテープは外させていただいた。さらにきれいになった。
(井戸沢の水を探したり)

(道がこうなっていたり)

(工事をしていたり)

林道を歩き進めるといくつかの異変に気づいた。井戸沢で顔を洗うつもりでいたら、沢が涸れている。水が細くなり、下流ダムとの間は伏流になり、いつもよりもちょっと上に行かないと顔は洗えなかった。続いて、もう舗装区間に入っているが、途中の50m区間ほどが荒い砂利に覆われていた。何でこんなことをするのだろう。これでは工事用の車両すら通るのが難しい。そして、仁田元沢の下流では工事をやっていた。これは新たな護岸工事だろうか。
(到着)

銅親水公園に着く。もう4時を回っている。資料館の前、コーラを買おうと小銭を持って自販機に向かうと、戸締りをしようとしていた係の方が「もう、それ使えませんから、中に入ってください」と言われた。中に入っても自販機は見あたらない。キョロキョロしていると、そこの左ですよと言う。その先にはトイレしかない。自販機はトイレの中なのだろうか。「自販機はトイレの中ですか?」と改めて聞くと、「あぁ、自販機ですか。外の自販機なら24時間使えますよ」だって。トイレと勘違いされたようだ。何でそうなるのだろうか。まぁ、親切な方だ。
駐車場には車が7台くらいあった。観光客もまだいるから、今日の山歩きはほんの数台だろうか。着替えをしていると、軽ワゴンがやってきて、運転していたヒゲのオッサンが双眼鏡で付近を眺めはじめた。この方、どこかで見たことがあるなと思っていたが、思い出した。数週間前に足尾のクマの生態をNHK・BSで放送していた。その時に出てきたオッサンだ。クマの姿が見えなかったのかさっと引き上げて行った。
10時間のいい歩きではあったが、どうにも疲れた。その疲労の大半はガレ沢の登り、ことに尾根に逃げてから復帰するまでの余分な行動に起因する。しばらくは尾根の清掃歩きに戻ろうか。
※本記事で記したオロ北までのコースは、ご覧のように尾根歩き専門の方には極めて危険です。お薦めはいたしません。オロ北に行くのであれば、オロ山かトラバース道経由で行ってください。ゴケナギ沢右岸尾根経由も中倉山尾根縦走の感覚ではきつい歩きになります。
冒険心旺盛なことで・・・
「とんでもないところへ来てしまった」という気持ち、良~くわかります。
ご無事で何よりです。
これで標高板も日の目を見るようになりますね。
冒険心旺盛とのことですが、本人は冒険をするつもりはハナからなく、まさか、こんなにまで険しいところとは知らなかったといったところで、その意味では無謀といったところでしょうか。はまり込んでしまった以上は先に行くしかないでしょうね。
戻るに戻れないようなところには行くべきではありませんよ。ふ~てんさんのように、ここを「戻り」で使うという感覚は、自分には理解できませんね。
ついでながらの標高板ですが、ピカピカの時に人の目に触れず、干からびてから目に入るというのも複雑なものです。そのうちに交換に行くことになるでしょうが、今回のルートを使うことは100%有り得ませんね。
それにしても,記事を拝見して,やはりな・・・という印象ですヨ。
雪田爺様やたそがれオヤジさんをして,何度も脇の尾根に逃げたくなる地形。足元の不安定さのみならず,いつ頭上を鹿が横切って岩雪崩が起こるのか,ハラハラしながら登るなど,大滝でもあるなら考えなくもないですが,もはや自分の領域ではありませんワ。
ということで,後追いはご遠慮させていただいて,標高板の確認には,ゴケナギ沢右岸尾根辺りから登らせていただきます。
しかし,判ってはいましたが,此処を下られたふ~てんさんは,尋常じゃないですネ。
オロ山のトラバース道,以前RRさんに教えていただきましたが,こんな感じの道ですか。標高板見物の際にでも利用するとしましょう。
それにしても,足尾の紅葉,まずまずといった感じですネ。もう後,2週もすれば山腹もかなり色付くでしょうか。
件のガレ沢、瀑泉さんには有り得ませんか…。非常に残念ですね。
ぜひ、瀑泉さんのここでのお歩きレポを拝見したかったのですが。
雨が降れば水流部も大滝になりますよ…なんてことはないでしょうね。それどころか、下がさらに危くなるだけのことですからね。
無理強いして何かあっても責任も持てないし。まぁ、瀑泉さんの気が変わるのを気長にお待ちしますよ。
標高板といえば、あれは交換した方がいいでしょう。かなりおんぼろ状態でしたし。いい名称が思いついたら、突端部に付けてくださいな。やはり、付けるなら突端部ですよ。
中倉山尾根の紅葉、そうですね。2週間もかからないかと思います。ただ、塔の峰の腹あたりは、肉眼では濃くなりつつあっても、カメラで撮ると緑のままでした。どんな加減なのでしょうか。
いずれにしても、あの色付きでは、降雨があればすっきりするといった感じはありました。
敢えていろいろと記しはしませんが、でんさんはふ~せんさんのことを四つ足と形容されますが、ここは四つ足でも厳しいですね。まして下りで使うとはねぇ。開いた口…ですよ。
当時の画像を見ながら、たそがれさんは一体(左岸の)何処を登ってきたのだろうと(写真を)探してみました.私が左の尾根から中間尾根をトラバースしてガレ沢に下りた時、沢の下に大きな滑岩が見え、その左岸は灌木が崖に張り付くように生えていましたが まさか、その辺りの灌木帯を登ったんでしょうか?
笹藪登りは、鹿道があったのでそれを辿りました.鹿道は直登してるんですよ.それに、樹林の中で見通しが利きませんでした.従って、北尾根にはすぐに向かわず、ひたすら笹藪直登となった訳です(笑)
北尾根は又訪れたいので、次は上からのハイキングとなるでしょう.
白根山の登りのガレ場程度でも怯えていた自分は画像だけでヒヤヒヤします。ガレ場は嫌いです。
ある程度登ってしまうと下りが恐ろしく上に進まざるを得ない、こういう場所もあるのですね。
調子に乗って勢いでこういう場所に特攻しないよう気をつけます。
山名板は何れ探しに行きたいですが、もちろん違うルートから。
雪田爺さんからいただいた今日のコメントと、前に、雪田爺さんの記事でいただいたコメントをじっくりと確認させていただきました。
すでに、記憶は薄れてはおりますが、トラブルの場所は同じところのようですね。撮った写真とGPS軌跡を元に自分の足取りを追うと以下のようなところでしょうか。本記事とは若干のニュアンスが違っています。
雪田爺さんの記事を拝見していたので、左岸尾根には逃げずにガレ沢Aをずっと辿りました。ところが途中から意識もせずに左に入り込んでしまっていたようです。これが沢B。右手に大きなナメ岩が写っています。ナメ岩の上にはヤブの小尾根Cがあります。沢Bがきつくなったため、さらに左手の尾根Dに逃げました。それをちょっと登りましたが、かなり脆いうえに、正面間近に岩峰が2つ迫ってきたので沢Bに下りました。この先はどうにもなりません。ここで初めて沢を間違ったことに気づいて、右にガレ沢Aへの横断を開始します。その際、さっきとは別のナメ岩のある小尾根Cの上部を横断し、行ったり来たりしながらガレ沢Aに復帰となったのですが、その小尾根Cは小岩峰になっていて、その中腹のヤブにつかまってのAへの降り立ちになりました。
雪田爺さんの若干上、上を歩いて戻ったといったところでしょうか。
もう歩くことはありませんが、そのトラブルがなかったら、正直のところ、また歩く気になっているかもしれません。
ササヤブ登りは展望なしでしたか。上から見下ろすと、ササ床の雑木で、傾斜がなければ気持ち良さげでしたけどね。
次回のオロ北はきっとゴケナギ沢の先の尾根経由になるでしょうか。また、雪田爺さんの後追いをさせていただきますよ。
他人様の結果記事だけを参考にして登ると、実は自分のレベルを超えた想像以上のものがあるということですよ。それ未満だったりすることもあるでしょう。
この私の記事を読まれた方も、何だそんなところかと思うかもしれませんし、拙い写真で恐さを感じる方もいらっしゃるでしょう。
尾根でも、下から見るのと上から見下ろすのは大違いです。概して、下から見る方がきつく感じるものですけど、今回は逆でしたね。
オロ山そのものは大した山ではありません。中倉山から眺めると、皇海山の添え物のような存在です。でも、このオロ北はお薦めですね。
ことに突端からの眺めは飽きません。
ふみふみぃさんが行かれることがありましたら、オロ山周辺を賑やかにしている余計なものを町に返してやってくださいな。
自分も次回の足尾はオロ山尾根からオロ北大地と決めているので次回こそは標高板を探してきます。
たそがれオヤジさんの翌日に自分は写真に写っている塔の峰北尾根に行って来ました。岩頭から見る紅葉はなかなかでしたよ。
ただ、山頂から丸石沢方面にはピンクリボン、自分の下った熊の平方面にはビニール袋を切って作ったリボンが続いていて本当にうんざりしました。さらに許せなかったのは途中のブレークポイントから間違い尾根に自信満々にリボンの固め取りしてあり、さらに途中で間違いに気づいてリボンを放棄したまま本尾根にトラバース、又本尾根にリボンのベタ張り。さらに最後の急坂で自信が無かったのかリボンが無くなりました。左側の間違い尾根に向かったと思われます。本当になんでこんな事をするんでしょうかね。ブレークポイント以外はほとんど撤去させていただきました。
帰ってネットを見ていたらオロ山付近で踏みあとをロストした人がテープを剥がした人が悪い、中倉尾根はテープをベタ張りして一般道すべきだとか書いているのを見て、逆にこれからは徹底的にリボン、テープ類は剥がしてやろうと決意しました。
長々と愚痴をこぼしてすみませんでした。
間違い尾根のリボンはすべて撤去し、登りかえいて本尾根に張り替えました。
塔の峰の山名板はしばらく安泰と思われます。