◎2014年1月5日(日)
林道分岐駐車地(7:24)……花木峠への破線路分岐(7:46)……花木峠(8:29)……鍋岩山神(9:15)……野峰(10:45~11:04)……破線尾根分岐(11:14)……古道・林道(11:49)……駐車地(12:52)
別に野峰に対してのこだわりがあるわけではない。素晴らしい山と呼ぶにはいささか難がある。ただ、暮れの29日に丸岩岳経由で歩いた際、花木峠につながる尾根下りを断念した経緯があり、気になって仕方がない。気になったら、さっさと片付けてしまった方がいい。そうしないと、気になりがどんどん山積していく。時間もさほどかかるまい。自宅からのアクセスも近いし、疲れを残さずの連休最後の歩きにはちょうどいい。
さて、花木峠となったら、課題がもう一つ出てくる。峠から野峰に向かう途中にある岩峰上に鍋岩山神なる石祠があるとのこと。これは必見だろう。野峰南峰にある別口の石祠も見たいところだが、これは、行ける状況ならという条件付きにしておく。予定では、野峰までは行かず、山神先の適当な尾根から東へ、林道(古道)に下るつもりでいる。
花木峠から先の様子は、あにねこさんとハイトスさん記事を参考にし、刷り出し地形図に要所をしっかりとマークして持参した。残念ながら、飛駒から花木峠に向かう記事は目にしなかった。
(林道脇の石祠は正月飾り。上下ともに向きが違うのは何でだ?)
先日と同じく、林道の二股分岐に駐車。林道をテクテク歩く。右手に見えてきた2基の石祠には正月飾りが施されていた。そして御神酒とミカン、鏡餅が供えられていた。やはり、地元の方が山神様として崇めているのだろう。参拝しておこう。
(植林の中、道が続いている)
先日下見した破線路の入口に着く。その昔、この辺に花木(かぎ)という集落があったらしい。それらしき生活の跡は目につかない。沢を渡って入り込む。やはり道が続いていた。地形図で見る破線路は、沢沿いからやがて微妙に小尾根を巻いている。今歩いているこの道が花木峠まで続いているのを期待しているのだが。
何だか、作業道っぽくて、暗く湿っぽい道だ。杉の植林の中、右の斜面は間伐が無数に横たわり苔むしている。だが、沢沿いに道は続く。これでいいと思うが…。それよりも気になったのは、地形図では、破線路起点が林道の大分手前から始まっていることだ。そんな踏み跡を確認してはいない。そもそも、地形図の破線路を信用するものではないことは、十分に承知しているのだが…。
(しかし、ここで消えてしまった)
(しばらくは方向転換でこの窪みを歩いたが、結局、左の尾根に上がることになる)
やがて、道は沢に合流して消えた。少し戻って、この地形を地図と見比べた。破線路が南西から北西寄りに若干カーブしている場所だ。沢も北西に行くと思っていたが、そのまま南西に向かっている。このまま沢沿いに進めば718mピークに出てしまう。正面には小尾根が横切っている。この小尾根に乗ればいいものを、律儀にも手前の北西に向かう沢に入ってみた。沢といっても水のない窪みだ。
窪みをしばらく登ったが、作業用の薄い踏み跡しか目につかない。古道というには程遠い。ここで、花木峠に向かう古道は既にないと判断。左手の小尾根に取り付くことにする。標高差が開き過ぎてしまっていた。上がるまできつかった。
(尾根上には荒れた窪みが曲がりくねって上に向かっていた)
(あのへっこんだところが花木峠に違いない)
尾根には、杉の葉に覆われた道型が続いていた。もしかして、これが古道ではないのか。地形図の破線は、尾根上から外れているんだけどなぁ。正直のところ、これが古道なのか作業道なのかどうでもよくなっていた。カーブしながら上に向かい、やがて幅広の道が西側から合流する。かまわず上に向かう。すぐそこに峠らしき鞍部が見えている。
ここが花木峠だろう。文字の記された板切れも何もない。視界も開けてはいるが、作業道路(こういう道を「ブル道」と言うらしい。以下、これにしたがう)がやたらと目に付く。そして伐採地。皆沢方面に行くにはどこをどう下ればいいのやら。そんな古道のような形跡のものはない。風がひんやりとしている。
(花木峠から南方面。718mピーク)
(西側。古道はあちらに続いていることになっている)
(ブル道から、野峰に続く尾根に上がる)
これから向かう尾根に沿ってブル道が通っている。しばらくこれを歩き、途中から尾根に上がる。ヒノキの植林の尾根。左に赤城山が見え、後ろには718m峰。続いて、目を凝らすと富士山。今年初めての富士山だ。
(岩峰を右に巻いたはいいが…)
(見下ろすとこんな感じだが、写真を撮る余裕はある)
(まぁ何とか尾根に復帰して岩峰真下に辿り着く)
尾根幅が次第に狭くなり、やがて岩場にさしかかる。巻いて、念のため、岩場の上に戻って確認する。歩き終わってから、何だあそこだったのかというのはよくあるパターンだ。標石があるだけ。一旦下ると、正面に岩峰。これが鍋岩山神のある岩峰じゃないのか。去年4月のあにねこさんの最新情報によれば、クサリは垂れていないとのこと。
ここでどうも失敗歩きをしたようだ。岩峰基部をさっさと右に巻いたはいいが、元の尾根になかなか戻れない。傾斜が急で、枯葉で滑るし、つかむ木は簡単に折れる。手探り、四つん這いで尾根に上がった。12~13mばかり登ったろうか。下は急斜面が続いていたため、えらく緊張した。スパイク付きの長靴にしとけばよかったと後悔。グリップがよろしくなかった。
それにしても、ハイトスさんもあにねこさんも、岩峰をあっけらかん、さくっと登っている。レベルの違いだろう。
(鍋岩山神)
(桐生方面)
(富士山)
逆方向に戻り、岩の上に上がる。なるほど、これが鍋岩山神か。ちょっと傾いているんじゃないのか。狭い岩の上だ。登って来た尾根側は切れている。長居できる場所ではない。だが、富士山がよく見えた。景色だけ写真を撮って、そそくさと戻る。その際、足元に錆びたクサリを目にしたが、これはどう見ても寸足らずだ。この先はもうすんなりと歩く。
しかし、あのトラバース、恐い思いをした。汗びっしょりだ。825mピークで休む。予定どおり、この先で、手ごろな尾根から東に下ることにしよう。しかしそう簡単にはいかない。この先、ヤセ尾根が続き、東に下るにしても、かなり急斜面尾根に見え、度胸が要りそうだ。パス続きでいるうちに、尾根が広がり、なだらかになった。野峰はすでに見えている。仕方がない。このまま行っちゃうか。
(野峰が見えてきて)
(尾根が広がって、ようやくいい気分)
南峰手前の小ピークに到着。クマのものと思われるフンがあった。干からびている。その脇に座って、マーキング付きの地図を広げる。次の目当ては南峰の南側にある石祠だ。トラバースして石祠を先行しようか。
(で、これが、本日訪れのもう一つの石祠)
(野峰の南峰)
(左から野外活動センターからのコースが合流)
(野峰山頂)
石祠探しには手間取った。グルグル歩いて探し回った。ようやく見つけた。きれいなしっかりした石祠だった。正面に何かの紋章が入っている。「明治二十五年八月十五日 飛駒村 字」。その続きのカタカナ文字は自分には読みとれない。傍らの木には「桐山研」と記されたテープが巻かれていた。ハイトスさんご同行の際のテープだろうか。ここに石祠があるということは、この前を通って野峰に通うルートがあったということだろうか。半端なところに石祠は置くまい。
南峰を経由して野峰に向かう。途中で野外センターからのコースが合流する。陰気な植林の中を通って、野峰山頂に着いた。今日はだれもいない。先日来、雪も降っていないのか、積雪が少なくなったような気がする。休んで、菓子パンを食べる。ラーメンを作る気にはなれない。まださっきの緊張感が尾をひいている。
(今日の男体山)
ここまで来たら、先日、下った尾根を下るしかないか。それが安全だ。ついでに、見逃した滝を確認しておこう。
下りの破線尾根もまた、先日と変わり映えはないが、大型動物の新しい足跡があった。この辺、冬眠はしないのかねぇ。
(破線に沿って下ろうとしたが、こんな斜面を急降下)
(沢に出る。左に古道)
下り尾根の末端近くで気が変わり、前回と違って、ここも破線を実直に辿ろうとしてみた。左下に道みたいのが見えていたからだ。だが、ただのザレ場だった。そのまま植林の急斜面を下る。結局、ここもまた破線路は見あたらずで終わり。
(トーチカみたいな炭焼き穴跡)
沢を越えて古道に出る。一服して古道を下る。右手斜面に、先日は気づかなかった穴が見え、また、沢を渡ってわざわざ見に行く。中を恐る恐る覗く。石が数個あるだけ。これは炭焼き跡だろう。
古道に戻ると、いきなりズダーン(ズドーンではなくズダーン)と、耳をつんざく音が谷間に響き渡った。ブルッとした。先を見ると、白い犬が斜面を駆け上がって行き、すぐに戻ってきた。獲物を咥えてはいない。わずか50m先の沢の下流。ハンターに気づいてもらわないといけないから、上流から両手を振って近づいた。気づいたようだが、またズダーン。今度は5m先だった。また犬が走った。手ぶら戻り。ヘタくそが。ハンターの周囲には硝煙が立て込め、火薬の臭いがしていた。一言、二言、話をしたが、鳥撃ちだそうだ。とはいっても、シカを見つけたらシカ撃ちに切り替わりだろう。こんなところに獲物がいるとは思えない。ムダ撃ちと猟犬訓練に来たのじゃないかと疑ってしまう。初老のハンターだった。
話は違うが、RRさんからいただいたコメントによると、足尾では、親水公園上の公道やら中倉山の林道界隈で実弾射撃の訓練をしているらしい。恐っそろしい話だ。
このせいで、のんびりと滝見どころの気分ではなくなった。というか、忘れてしまった。逃げることしか頭にない。そそくさと下る。しばらくは、背中が気になって仕方がなかった。後ろからズドンではたまらない。足も本能的に速くなる。
(御神酒をいただきました)
(そして、林道合流点に戻った)
放ったらかしのアルトを見て、行者滝を見、石祠のところまで来る。途中にハンターの車が置かれていた。地元ナンバーだ。さて、今朝方から気になっていることがある。この石祠にお供えの御神酒。これ、いただいていいのだろうか。いいのだろうな。御神酒だし。栃木市の酒造の「祝駒」の名前の入った紙パック。午年で駒、神様で紙パックということだろうが、そんなことはどうでもいい。丸ごといただくと奉納者に悪いから、封を切って、一口だけいただく。ズダーンの清めをしておかないと、これからの歩きのこともある。封を開けたまま戻すのではまずいだろうと、脇にあったミカンを上にのせて栓代わり。ごっつぁんでした。
駐車地に到着。鍋岩山神へのトラバースといい、ズダーンといい、精神的に少々疲れた歩きだった。腹は空いているが、依然としてラーメンを作って食べる気にはなれない。御神酒はちゃっかりいただいたのに。そのまま、着替えもせずに帰ることにする。
これでカレンダーどおりの9連休はおしまいか。明日からまた、ウンザリの一言だなぁ。あ~あのため息が出た。
(本日の軌跡)
「この地図の作成に当たっては、国土地理院長の承認を得て、同院発行の数値地図200000(地図画像)、数値地図25000(地図画像)、数値地図25000(地名・公共施設)、数値地図250mメッシュ(標高)、数値地図50mメッシュ(標高)及び基盤地図情報を使用した。(承認番号 平24情使、 第921号)」
※この度の掲載写真、いつもに増してお見苦しい感じで失礼いたします。何せ、からっとした景色の場にあまりに少なかったもので。
林道分岐駐車地(7:24)……花木峠への破線路分岐(7:46)……花木峠(8:29)……鍋岩山神(9:15)……野峰(10:45~11:04)……破線尾根分岐(11:14)……古道・林道(11:49)……駐車地(12:52)
別に野峰に対してのこだわりがあるわけではない。素晴らしい山と呼ぶにはいささか難がある。ただ、暮れの29日に丸岩岳経由で歩いた際、花木峠につながる尾根下りを断念した経緯があり、気になって仕方がない。気になったら、さっさと片付けてしまった方がいい。そうしないと、気になりがどんどん山積していく。時間もさほどかかるまい。自宅からのアクセスも近いし、疲れを残さずの連休最後の歩きにはちょうどいい。
さて、花木峠となったら、課題がもう一つ出てくる。峠から野峰に向かう途中にある岩峰上に鍋岩山神なる石祠があるとのこと。これは必見だろう。野峰南峰にある別口の石祠も見たいところだが、これは、行ける状況ならという条件付きにしておく。予定では、野峰までは行かず、山神先の適当な尾根から東へ、林道(古道)に下るつもりでいる。
花木峠から先の様子は、あにねこさんとハイトスさん記事を参考にし、刷り出し地形図に要所をしっかりとマークして持参した。残念ながら、飛駒から花木峠に向かう記事は目にしなかった。
(林道脇の石祠は正月飾り。上下ともに向きが違うのは何でだ?)
先日と同じく、林道の二股分岐に駐車。林道をテクテク歩く。右手に見えてきた2基の石祠には正月飾りが施されていた。そして御神酒とミカン、鏡餅が供えられていた。やはり、地元の方が山神様として崇めているのだろう。参拝しておこう。
(植林の中、道が続いている)
先日下見した破線路の入口に着く。その昔、この辺に花木(かぎ)という集落があったらしい。それらしき生活の跡は目につかない。沢を渡って入り込む。やはり道が続いていた。地形図で見る破線路は、沢沿いからやがて微妙に小尾根を巻いている。今歩いているこの道が花木峠まで続いているのを期待しているのだが。
何だか、作業道っぽくて、暗く湿っぽい道だ。杉の植林の中、右の斜面は間伐が無数に横たわり苔むしている。だが、沢沿いに道は続く。これでいいと思うが…。それよりも気になったのは、地形図では、破線路起点が林道の大分手前から始まっていることだ。そんな踏み跡を確認してはいない。そもそも、地形図の破線路を信用するものではないことは、十分に承知しているのだが…。
(しかし、ここで消えてしまった)
(しばらくは方向転換でこの窪みを歩いたが、結局、左の尾根に上がることになる)
やがて、道は沢に合流して消えた。少し戻って、この地形を地図と見比べた。破線路が南西から北西寄りに若干カーブしている場所だ。沢も北西に行くと思っていたが、そのまま南西に向かっている。このまま沢沿いに進めば718mピークに出てしまう。正面には小尾根が横切っている。この小尾根に乗ればいいものを、律儀にも手前の北西に向かう沢に入ってみた。沢といっても水のない窪みだ。
窪みをしばらく登ったが、作業用の薄い踏み跡しか目につかない。古道というには程遠い。ここで、花木峠に向かう古道は既にないと判断。左手の小尾根に取り付くことにする。標高差が開き過ぎてしまっていた。上がるまできつかった。
(尾根上には荒れた窪みが曲がりくねって上に向かっていた)
(あのへっこんだところが花木峠に違いない)
尾根には、杉の葉に覆われた道型が続いていた。もしかして、これが古道ではないのか。地形図の破線は、尾根上から外れているんだけどなぁ。正直のところ、これが古道なのか作業道なのかどうでもよくなっていた。カーブしながら上に向かい、やがて幅広の道が西側から合流する。かまわず上に向かう。すぐそこに峠らしき鞍部が見えている。
ここが花木峠だろう。文字の記された板切れも何もない。視界も開けてはいるが、作業道路(こういう道を「ブル道」と言うらしい。以下、これにしたがう)がやたらと目に付く。そして伐採地。皆沢方面に行くにはどこをどう下ればいいのやら。そんな古道のような形跡のものはない。風がひんやりとしている。
(花木峠から南方面。718mピーク)
(西側。古道はあちらに続いていることになっている)
(ブル道から、野峰に続く尾根に上がる)
これから向かう尾根に沿ってブル道が通っている。しばらくこれを歩き、途中から尾根に上がる。ヒノキの植林の尾根。左に赤城山が見え、後ろには718m峰。続いて、目を凝らすと富士山。今年初めての富士山だ。
(岩峰を右に巻いたはいいが…)
(見下ろすとこんな感じだが、写真を撮る余裕はある)
(まぁ何とか尾根に復帰して岩峰真下に辿り着く)
尾根幅が次第に狭くなり、やがて岩場にさしかかる。巻いて、念のため、岩場の上に戻って確認する。歩き終わってから、何だあそこだったのかというのはよくあるパターンだ。標石があるだけ。一旦下ると、正面に岩峰。これが鍋岩山神のある岩峰じゃないのか。去年4月のあにねこさんの最新情報によれば、クサリは垂れていないとのこと。
ここでどうも失敗歩きをしたようだ。岩峰基部をさっさと右に巻いたはいいが、元の尾根になかなか戻れない。傾斜が急で、枯葉で滑るし、つかむ木は簡単に折れる。手探り、四つん這いで尾根に上がった。12~13mばかり登ったろうか。下は急斜面が続いていたため、えらく緊張した。スパイク付きの長靴にしとけばよかったと後悔。グリップがよろしくなかった。
それにしても、ハイトスさんもあにねこさんも、岩峰をあっけらかん、さくっと登っている。レベルの違いだろう。
(鍋岩山神)
(桐生方面)
(富士山)
逆方向に戻り、岩の上に上がる。なるほど、これが鍋岩山神か。ちょっと傾いているんじゃないのか。狭い岩の上だ。登って来た尾根側は切れている。長居できる場所ではない。だが、富士山がよく見えた。景色だけ写真を撮って、そそくさと戻る。その際、足元に錆びたクサリを目にしたが、これはどう見ても寸足らずだ。この先はもうすんなりと歩く。
しかし、あのトラバース、恐い思いをした。汗びっしょりだ。825mピークで休む。予定どおり、この先で、手ごろな尾根から東に下ることにしよう。しかしそう簡単にはいかない。この先、ヤセ尾根が続き、東に下るにしても、かなり急斜面尾根に見え、度胸が要りそうだ。パス続きでいるうちに、尾根が広がり、なだらかになった。野峰はすでに見えている。仕方がない。このまま行っちゃうか。
(野峰が見えてきて)
(尾根が広がって、ようやくいい気分)
南峰手前の小ピークに到着。クマのものと思われるフンがあった。干からびている。その脇に座って、マーキング付きの地図を広げる。次の目当ては南峰の南側にある石祠だ。トラバースして石祠を先行しようか。
(で、これが、本日訪れのもう一つの石祠)
(野峰の南峰)
(左から野外活動センターからのコースが合流)
(野峰山頂)
石祠探しには手間取った。グルグル歩いて探し回った。ようやく見つけた。きれいなしっかりした石祠だった。正面に何かの紋章が入っている。「明治二十五年八月十五日 飛駒村 字」。その続きのカタカナ文字は自分には読みとれない。傍らの木には「桐山研」と記されたテープが巻かれていた。ハイトスさんご同行の際のテープだろうか。ここに石祠があるということは、この前を通って野峰に通うルートがあったということだろうか。半端なところに石祠は置くまい。
南峰を経由して野峰に向かう。途中で野外センターからのコースが合流する。陰気な植林の中を通って、野峰山頂に着いた。今日はだれもいない。先日来、雪も降っていないのか、積雪が少なくなったような気がする。休んで、菓子パンを食べる。ラーメンを作る気にはなれない。まださっきの緊張感が尾をひいている。
(今日の男体山)
ここまで来たら、先日、下った尾根を下るしかないか。それが安全だ。ついでに、見逃した滝を確認しておこう。
下りの破線尾根もまた、先日と変わり映えはないが、大型動物の新しい足跡があった。この辺、冬眠はしないのかねぇ。
(破線に沿って下ろうとしたが、こんな斜面を急降下)
(沢に出る。左に古道)
下り尾根の末端近くで気が変わり、前回と違って、ここも破線を実直に辿ろうとしてみた。左下に道みたいのが見えていたからだ。だが、ただのザレ場だった。そのまま植林の急斜面を下る。結局、ここもまた破線路は見あたらずで終わり。
(トーチカみたいな炭焼き穴跡)
沢を越えて古道に出る。一服して古道を下る。右手斜面に、先日は気づかなかった穴が見え、また、沢を渡ってわざわざ見に行く。中を恐る恐る覗く。石が数個あるだけ。これは炭焼き跡だろう。
古道に戻ると、いきなりズダーン(ズドーンではなくズダーン)と、耳をつんざく音が谷間に響き渡った。ブルッとした。先を見ると、白い犬が斜面を駆け上がって行き、すぐに戻ってきた。獲物を咥えてはいない。わずか50m先の沢の下流。ハンターに気づいてもらわないといけないから、上流から両手を振って近づいた。気づいたようだが、またズダーン。今度は5m先だった。また犬が走った。手ぶら戻り。ヘタくそが。ハンターの周囲には硝煙が立て込め、火薬の臭いがしていた。一言、二言、話をしたが、鳥撃ちだそうだ。とはいっても、シカを見つけたらシカ撃ちに切り替わりだろう。こんなところに獲物がいるとは思えない。ムダ撃ちと猟犬訓練に来たのじゃないかと疑ってしまう。初老のハンターだった。
話は違うが、RRさんからいただいたコメントによると、足尾では、親水公園上の公道やら中倉山の林道界隈で実弾射撃の訓練をしているらしい。恐っそろしい話だ。
このせいで、のんびりと滝見どころの気分ではなくなった。というか、忘れてしまった。逃げることしか頭にない。そそくさと下る。しばらくは、背中が気になって仕方がなかった。後ろからズドンではたまらない。足も本能的に速くなる。
(御神酒をいただきました)
(そして、林道合流点に戻った)
放ったらかしのアルトを見て、行者滝を見、石祠のところまで来る。途中にハンターの車が置かれていた。地元ナンバーだ。さて、今朝方から気になっていることがある。この石祠にお供えの御神酒。これ、いただいていいのだろうか。いいのだろうな。御神酒だし。栃木市の酒造の「祝駒」の名前の入った紙パック。午年で駒、神様で紙パックということだろうが、そんなことはどうでもいい。丸ごといただくと奉納者に悪いから、封を切って、一口だけいただく。ズダーンの清めをしておかないと、これからの歩きのこともある。封を開けたまま戻すのではまずいだろうと、脇にあったミカンを上にのせて栓代わり。ごっつぁんでした。
駐車地に到着。鍋岩山神へのトラバースといい、ズダーンといい、精神的に少々疲れた歩きだった。腹は空いているが、依然としてラーメンを作って食べる気にはなれない。御神酒はちゃっかりいただいたのに。そのまま、着替えもせずに帰ることにする。
これでカレンダーどおりの9連休はおしまいか。明日からまた、ウンザリの一言だなぁ。あ~あのため息が出た。
(本日の軌跡)
「この地図の作成に当たっては、国土地理院長の承認を得て、同院発行の数値地図200000(地図画像)、数値地図25000(地図画像)、数値地図25000(地名・公共施設)、数値地図250mメッシュ(標高)、数値地図50mメッシュ(標高)及び基盤地図情報を使用した。(承認番号 平24情使、 第921号)」
※この度の掲載写真、いつもに増してお見苦しい感じで失礼いたします。何せ、からっとした景色の場にあまりに少なかったもので。
花木峠への古道は既に消失でしたか。それに,花木峠から先はブル道になっているんですネ。了解しました。
ちなみに,鍋岩山神への岩場は,右を巻かずに,直登したほうが良さそうですか???
いずれにしても,次に野峰に登って,丸岩岳間&根本山道の残りを歩く際には,参考にさせていただきますネ。
それにしても,『午年で駒、神様で紙パック』,『ズダーンの清め』,『ミカンを上にのせて栓代わり。』とは,ホントか思えるほど,その光景が目に浮かびますヨ(笑)。
ついで、早速、ありがとうございます。
花木峠への古道は、飛駒側からはすでに消失と思っておれます。ところどころの窪みや道型は名残りかもしれませんが、作業道が入り込んだりして、判然といたしません。
皆沢方面からはどうなのでしょうか。同じような状態かもしれません。いずれ歩いてみたいとは思っております。
鍋岩山神に直登ですか?できなくはないでしょうが、いかがなものでしょう。私も、前知識で巻くことしか頭になかったので、木立の間に姿を見た際、さっさと逃げてしまい、岩峰そのものの姿は見ていないのですよ。せめて、それくらいとしとけばよかったと後悔しております。
瀑泉さん、確かめて来てくださいよ。
鳩の峰をはじめ、あちこちの祠にミカンが供えてあるので感心していましたがお神酒はさすがになかったです。
ミカンで蓋をしたところが何ともユニーク、礼儀正しいですね(笑)
野峰付近ももちろん歩いたことがない私ですが植林が多いのですね。
礼儀正しいというか、卑しいというのがぴったりかもしれません。
でんさんの歩かれたルートは、ハイカーも多いでしょうから、御神酒はなかったというよりも、すでにだれかの口に入っていたということではないでしょうかね。
こんなことをしたのは初めてのことなのですが、少なくとも元日か大みそかにお供えしたとして、一週間も経っていないだろうと、安心して勝手にいただいたわけですよ。さすが、口を開けたままで戻すわけにもいかず。です。
でんさん、野峰(付近?)には行かれたことがないのですか?佐野の山だし、ほとんど地元の山のようなものじゃないですか。
さえない山です。その理由は、やはり植林が多いからなのでしょうが、コースを選べば、例えば、丸岩岳の方からとか、自然林の気持ちの良い歩きができますよ。山頂は植林の切れたところなのですが。
流石、行動がお早いですね。その界隈も覗こうかなと思ってましたが、おぼつかないハンターさんの練習場だとちょっと敬遠ですね。熊避けにはなるんでしょうが・・・たそがれさんもしばらくは褐色の世界続きと・・・おっしゃられてましたが、早めに雪上復帰でしょうか?
マメなコメントありがとうございます。
いつも、年相応の土方スタイルというか、くすんだ配色の上下を着て歩いておりますが、今回ほど、イエロー、オレンジ系の上を着た方がいいことを改めて知りましたよ。
ハンターのオッチャン自身はライトグリーンのジャンパーなんか来ていましたね。両手を振って、降参スタイルをしているよりも、色ですね。確かに。どうにかしないといけないのですが、百均あたりでそんな蛍光色のヤッケ、売ってますかね。
雪上復帰ですか。なかなかですね。今季は長靴一辺通しで、太田の金山で久しぶりに布靴を履いた次第で、革靴も履いていないんですよ。最早、そのまんま、カビ付きでお蔵入りのままかも。
皆沢から花木峠へ向かうルートも古道の跡形はほとんど見られません。
途中ブル道が有ったりしますが、古道に沿ったのかどうかも判りかねます。
鍋岩山神は自分も最初の時は怖い思いをした記憶があるのですが、2度目の時は慣れたせいかそれ程怖く感じませんでした。
ただあの鎖は信用ならぬと思ったのは2度とも同じでしたが。
しかし今回も有言実行で素晴らしい行動力ですね。
自分なんぞはストックがたまるばかりですよ。
このたびは2基の石祠の情報記事、ありがとうございます。おかげさまで何とか、巡り会えました。
ハイトスさんは、あの尾根、2度行かれたようですが、私は、もう歩くことはないでしょう。
桐生側の古道が消滅らしいことは知っていたがために、飛駒側の存在が気になっていた次第です。
行動力とはいっても、私の場合、何もしがらみはなく、あっさりしたものです。気ままな一人旅のようなものですから。ハイトスさんの場合、致し方ない。それでいても、結構、ストックはたまっていますよ。今年もこつこつと処理していきますよ。