たそがれオヤジのクタクタ山ある記

主に北関東の山を方向音痴で歩いています。山行計画の参考にされても責任は負いかねます。深慮せず軽く読み流してください。

桐生の柄杓山(城山)で花見。目的は別にもあったのだが。

2022年04月14日 | 桐生市周辺の山
◎2022年4月10日(日)

(足利の城山と区別するために、以下、城山ではなく「柄杓山」表記にする)

 柄杓山には12年前の一月に行ったことがある。その時は、城山林道に車を置き、岡平に向かい、鳴神山を往復した。柄杓山の山頂に立ち寄ったのは帰路のことで、どこにでもある寂し気な城跡の山という記憶しか残っていない。山には意識して寄ったわけだから、ここが柄杓山だとはわかっていたはずだ。少なくとも山頂の様子は。
 毎年、春のこの時期になると、梅田奥の山に車で向かいながら、右に桐生女子高校(旧)を過ぎてから左に見える山並みの一角が桜で真っ白になっているのを目にするにつけ、あの山に登ってみたいものだと思いながら、それが柄杓山であることは気づきもしないでいた。それでいて、柄杓山への標識を車窓から見かけては、特に気にもせずに通り過ぎている。結局、最初の印象が乏しかったからか、柄杓山を特定できないままに、頭の中では、桜山は柄杓山イコールではなくなっていた。山頂の城跡の記憶しかなかったからだろう。樹々の葉も落ちているのに暗い廃墟。二の丸、三の丸跡の案内板が二枚、朽ちて捨てられたように落ちていた。桜の時季ではなかったからなおさら寂しい山頂に感じた。
 あの桜の山が柄杓山だと知ったのは最近のことで、富士山見物の疲れも残っていて、近くで簡単に行ける山はないかと調べて、ようやく、あの桜山が柄杓山だと気づいた次第なのだ。

 柄杓山の周回だけでは一時間半もかかるまい。せめて3時間くらいは歩きたい。さりとて鳴神山まで行く気はない。なぜなら、直近の山行記録で鳴神山のアカヤシオはまだ先だと知っていたからだが、同じ安蘇山塊でも、知った時にはがっかりしたものだが、標高400mクラスの金原山はもう終わりらしいし、その後にぶなじろうさんの記事を拝見すれば、岳ノ山、大鳥屋山といった標高700mでちらほらと咲き始めているようでもある。そのぶなじろうさんの記事だが、12日に石尊山、深高山歩きでアカヤシオを見られている。標高としては200m下がって500mということになる。安蘇の山だから、どこでも標高に合わせてということではないようだ。毎年のことながら、花には興味はあまりないのに、きれいで可憐だからというだけでアカヤシオの咲き具合には興味津々になってしまう。ネット記事の追いかけは咲き誇るアカヤシオを自分でも行って見たいからだ。
 今季は富士山見物ばかりに頭が向き、アカヤシオのことはすっかり忘れていた。こうなったら、他人様の記事情報よりも、自分で確かめた方が確実で、アカヤシオを見られればラッキーということで、柄杓山から先はせめて大形山まで行くつもりでいた。マニアックなコースでアカヤシオを探し回るよりも、吾妻山から鳴神山に至る稜線の一部でも歩けば、せめてアカヤシオの咲き状態はわかるのではないのか。
 ということで、今回の目的は桜の花見とアカヤシオ探索ということになる。出発点は12年前とは違う日枝神社にした。

 神社の駐車場には車が一台もなかった。時間的には8時半を過ぎたところで、朝の散歩で来る方もいるだろうと思っていたが意外だった。また、戻って来た時にも他に車は2台しかなく、出会った花見ハイカーが大勢いたわりには、ここからではなく、林道側から登る人が多いのだろう。
 先にだれもいないだろうと予想できたのでゆっくりと回って山頂に向かう。神社の裏手にハイキングコースがあり、この辺はまだ桜はない。相馬塔、もう一基の石祠。これは日枝神社の奥社といった感じなのだが、これらを見ながらふと見上げると、桜ゾーンに入っていた。車道から見たほどに期待どおりの桜山になっている。足元をみると、かなりの花びらが落ちていて、おそらく今日が最終日といった感じで、現に、下った時には桜吹雪の状態になっていた。
 自己満足で写真を撮りまくる。おそらく、後で写真を見るのは一回ほどだろうし、他人に見せることもない。それをわかっていて撮ってしまう。フィルムカメラの頃は決して無駄な写真を撮ることはなかった。
 満足しながら上に向かっている。掘割らしき道状になったところを歩いてみたりもした。ここの柄杓山城もまた大きな城だったことが窺える。ただ、素人的な発想だが、独立峰にも近い金山に比べれば、位置的に吾妻山側から延びる稜線側からの攻め手には弱いかもしれない。そちらからだと、城は下った位置になる。城址のことはこれ以上は記すまい。ボロが出る。
 桜に混じってヤマツツジをいくつか見かけた。ここ連日の暑さにくたびれたのか、新鮮さはなく、しおれて花が茶色に変色しているのもある。アカヤシオはいまのところ見かけない。
 ぐるぐるあっちへ行ったり、こっちに来たりで桜を見ながら登って行くと、柄杓山の山頂に着いてしまった。9時10分。やはり、ゆっくり登っても30分ほどのものだった。山頂にはまだだれもいない。ここでも散りゆく桜を眺めたが、さすがに上は半分以上が花びらを落としている。しかし、12年前に来た時は、この柄杓山が見事な桜の山だったとは思いもしなかった。一月では仕方もない。

 では、次の目的のアカヤシオ探しに移行する。期待は半分半分だ。柄杓山の山頂の標高は361m。岡平590m、大形山681mだ。鳴神山980mがまだ早いということなら、大形山あたりがキーポイントといった感じがしないでもないが、岡平周辺で見なければ、大形山に行っても咲いてはいまい。
 今回、地図を見ながら登ったが、柄杓山から桐生アルプスの稜線にかけては破線と実線がやたらとあり、予定した破線にマーカーをし、たまにGPSで確認しながら歩いた。これはヘタな歩き方で、現に方向違いのところを歩くミスをした。実際には破線路がないところもあるし、杓子山周辺は掘切が多く、それを道と思ってしまったりで、抜け出すのに手間がかかった。単に北西に向かって尾根に乗れば良いだけのことで、ここからは難しく構えて歩かない方が賢明だった。踏み跡もしっかりしているし、たまに標識も見かける。
 何とか尾根に乗ると、オジさんが下って来た。気難しい感じがしたので声かけは挨拶だけで遠慮しておいたが、荷物はなく、おそらく、散歩がてらに日常的に歩いている方なのかもしれない。
 ヒノキの植林が切れると、ぱっと明るくなった。さてさて、アカヤシオはどうかと周囲に目配せしながら歩くが、色のあるものはまったくなく、それどころか、もしかしてこれはツツジの木じゃないかと探りを入れても、先端の蕾はまだ固いままになっている。こんなのが続く。アカヤシオエリアではなくとも、一株くらいはあるだろう。遠くを眺めても、ピンク色の花はどこにも見えない。
 小ピークに立つと、岡平の方から、親子らしき二人連れが下って来て、「ここを下れば桜の山に行けますよね」と問われ、行き方を簡単に説明し、今度はこちらから「吾妻山から登っていらしたのですか」と尋ねると、そうだとのことで、アカヤシオの咲き具合を聞くと、ツツジの類はまったく見かけなかったとの由。ガクッときた。理屈では、下になければ上にもない。
 岡平には出た。この先、大形山まで登る意味はないようだ。水を飲んでアイコスを吸っていると、元気なニイチャン3人組が軽快な足取りで鳴神山の方に登って行った。さて、下るか。10時20分。
 どんどん下って柄杓山近くまで来た。団体さんが登って来た。脇に避けて待機した。この団体さん、半端な人数ではなく30人以上はいた。何かのツアーなのだろうか。若いのも老いた方もいた。果たして、岡平から先は上るのか下るのか。アカヤシオ目当てのツアーだとすればどちらに行っても失敗だろう。鳴神山のアカヤシオの満開時期のことが気になり、後になって調べると、去年は4月15日過ぎだったようで、アカヤシオ目当てではなかったかもしれない。

 再び柄杓山に戻った。賑わっていた。とはいってもこの時節だし、20人もいたかどうかといったところだが、シートを敷いて花見の宴をしていたり、山頂の公園を探索したり、下の堀切のある広場で食事をしているグループもいる。
 林道コースに戻るつもりでいた。東に下らないといけないのだが、そのつもりで桜の中を相変わらずに名残惜しく下っていると、どうも同じ光景の中を下っている感じがして、見上げると、確かに出だしに見かけた光景だった。そのままピストンの形で日枝神社に下ってもよかったが、林道に出るつもりでいたのにはわけがあり、車で来る途中で撮り損なっていた柄杓山全景の桜を撮っておきたかった。帰る途中で車をとめて撮ることもできるが、それでは、自分の気分としてはすっきりしない。歩きの中で撮りたかった。
 太陽の位置からして東方向くらいはわかる。桜からは離れ、無理やりに東に下った。桜は消えた。道もない雑木の中に入り込んだ。ヤブでもなく、労せずに下って行くと、そのうちに民家が見え、城山林道に出た。後は車道歩きということになる。
 わざわざとは思うだろうが、県道に一旦は出たものの、すぐに脇道に戻って歩いた。だが、確かに、電線や、家屋の屋根もない白くなった柄杓山を撮ることはできたが、いくら注意しながら歩いても菜の花畑を見ることはなかった。実は、最近の柄杓山歩きの記事に、菜の花畑を前面に出した柄杓山の写真があって、ここを歩けばそのスポットに出られるだろうと思っていたのだ。これはかなわなかった。おそらく、別の道だったのかもしれない。
 日枝神社に到着。11時35分。予定通りに休憩込みの3時間は歩いたか。アカヤシオは成果なしだったが、花見の方は十分に楽しめた。

 今年の花見、仕事の合い間に尾島まで出向いたり、3日に多々良沼を桜を見ながら散歩したりした。これで、今年の花見は終わりだ。それはよしとして、アカヤシオの方はまだおあずけの状態だ。今年は不作だとかという表現を使う方も多いが、まだ見ていない以上は何ともコメントできないし、早いところ見頃の一株でも見ておきたいものだ。だが、雪の残っているうちの富士山も見たいし、悩むところだ。

(日枝神社)


(ハイキングコース入口)


(迷いようもない)


(「相馬塔」とあった)


(まずはヤマツツジ。これはまともな方だった)


(日枝神社の奥社かも)


(桜ゾーンに入った)


(この段差は城址の名残りかも。道だと思ってそのまま行くと行き止まりだった)


(つい撮ってしまう)


(今日の主役はこれ)


(すごいと思う)


(青空に映える)


(よく見ると、花芯部分が赤くなっている。もう数日で終わりだ)


(この階段は自分の歩幅に合っていた)


(桐生の町を入れて)


(数日前ならもっとうるさいくらいだったかも)


(山頂の石碑)


(三角点標石)


(桐生アルプスに向かう)


(堀切跡だと思う)


(この尾根を直進するが、ここに来るまでやたらとおかしなところを歩いていた。問題なく山頂から一本道で来られた)


(部分的にきついところもある。しばらく植林の中の登り)


(植林から抜け出す)


(何の花になるのか知らないが、こんな状態だ)


(桐生市基準点)


(桐生アルプスの稜線が見えた)


(岡平に到着)


(吾妻山方面)


(鳴神山方面に向かう3人組)


(ツツジはあきらめて下る)


(ここから植林ゾーン)


(柄杓山に近づいたようだ)


(山頂は賑わっていた)


(競演で)


(写真には写らなかったが花吹雪になっている)


(ラストにしておこう。こう桜が多いと、同じところばかり撮っているように思われる)


(適当に下って)


(林道に出た)


(途中で1)


(途中で2)


(途中で3。下の波板が邪魔)


(柄杓山を見上げて)


(途中で4)


(日枝神社に到着)


(付録。帰りに太田の丸山薬師のカタクリ群生地に寄ってみた。カタクリは柵の内側)


(こんな状態だった。もう終わってしまったようだ。しなびているのもあったし)


(来ている人はだれもいなかった。これではねぇ)


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2 コメント

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Unknown (ふみふみぃ)
2022-04-16 04:53:15
安蘇→鹿沼→小友とアカヤシオを観察してきましたが、今年の低山アカヤシオはまあ良くはないですね。絶望的にどうしようもないわけではないのですが昨年と比べると見劣りします。
まあ今のところ低山は外れでも標高上げればいい感じになってくれないものかと足尾や袈裟丸に期待してますが。なおアカヤシオの開花時期は去年と比べると大体1週間遅れくらいに感じています。鳴神山が今週末いいのではと思いますが、雨でやられてそうですね。
たそがれさんも桜は楽しまれたようですが、今年の山桜はアカヤシオと違って綺麗ですね。ツツジと桜は花付きに関連がないのか桜に不調がないのか。
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ふみふみぃさん (たそがれオヤジ)
2022-04-20 10:17:44
ふみふみぃさん、こんにちは。
今年のアカヤシオは例年に比べてよろしくないし、出遅れですか。ふみふみぃさんのおっしゃることですから、そうかもしれませんね。
鳴神山については、先週の半ば以降に見頃を迎えたようです。
今年のアカヤシオ見物は出遅れてしまいましたから、いずれ挽回しなければならないのですが、当然、標高の高い山に狙いをつけないといけなくなるわけで、となると、近場では、ここのところ避けている(笑)足尾方面でしょうか。
本記事の桜ですけど、敢えて山桜とはしませんでした。山に咲くから山桜なのでしょうけど、柄杓山の桜は里の桜の延長のようで、私としても山桜とは断言できず、単に桜にしたのですよ。
アカヤシオについては、西上州まで17日に行きましたが、800mレベルでは終わりでした。その、例年よりも遅いようだと私も期待したわけですが、こちらは例年同様のようです。
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