たそがれオヤジのクタクタ山ある記

主に北関東の山を方向音痴で歩いています。山行計画の参考にされても責任は負いかねます。深慮せず軽く読み流してください。

おめでた山歩き・角間山と湯ノ丸山を間違える

2010年03月21日 | 長野県の山
◎2010年3月20日(土)

 上越方面に行きたかったが、渋滞が予想されるので信越方面に向かった。やはり、前橋あたりで5kmの渋滞になっている。上信越道は至ってスムーズ、と思いきや、トラックが横転して渋滞。5km通過に80分の表示。下仁田で下りて、一般道に入る。入り直しは碓井軽井沢。小諸で出て、湯ノ丸高原に向かう。地蔵峠から群馬県に入り直し、鹿沢温泉の駐車スペースに着いたのは8時20分。

 今日の予定は角間山のスキー。角間峠から山頂を往復し、元気があれば湯ノ丸山に登り、そこから滑走。まっ、そんな絵を描いていた。来る途中、雪が急激に少なくなっていた。気にかかり、登山口から少し上がって、雪の様子を見に行った。まだこんな時間なのに、雪は締まっていずに水気がたっぷり。さらに周りはブッシュだらけ。これじゃスキーも楽しくないなとスノーシューハイクに切り替える。渋滞やら雪質の状況に、こんなだったら上越方面にすれば良かったと後悔することしきり。ここまで来て、今さらどうにもならない。いろいろ勉強していれば、ちょっと下って、草津あたりにも手頃なスポットがあったろうが、何せ勉強不足で機転が利かない。

(登山口)


 8時50分、歩き出し。東京ナンバーの車から、中年カップルが出て来て、こちらはスキーの準備。ショートスキー。挨拶したら、返事は返って来たが、無愛想。「湯の丸・角間登山口」の標示。しばらくはツボ足。角間山は初めての山だから、昭文社版地図は持参した。で、すぐに、右手前方に角間山は見え出していたのだが、それが角間山だとは思わなかった。そもそもの間違いの発端はこれ。正面に見える山、これがてっきり角間山と勘違い。その後は思い込みに変わっていく。実はこの山は湯ノ丸山。湯ノ丸山には地蔵峠から登ったことはあるが、こちらからはないので、疑問にも思わない。身体がやけに重く感じる。いきなりの急登にゼイゼイし始めた。

(角間山と間違えた湯ノ丸山)


 雪は上に行くに連れて腐りかけていく。そして、点々と地肌。古いスキーの跡が結構有る。傾斜は平地になり、ようやく落ち着いた。最初の東屋あたりでスノーシューをはく。「猿飛佐助修行の地」の碑があるはずと、探したがわからない。やがて、道の窪みが二分する。ここで迷わず左方面を選ぶ。正解は右。雪に付いたスキーの跡は湯ノ丸山からのもので、この時点では、角間峠からのものと思っていた。普通はこの分岐で地図を確認するものだが、思い込み状態になっているので、それも怠る。まさに最低の歩きが始まった。天気もいいし、ぽかぽかしている。だれもいないから、気分もいい。振り返ると、あのカップルはどうしたのか、姿が見えない。実際、見えないはずなんだけどね。

(左端に浅間山の一角)

(急斜面)


 スキーの跡を追うと、スノーシューでは歩きづらいので、だれも歩いていないところを歩く。次第に急になる。ストッパーを立てて歩いている分には苦にならないが、ブッシュだけの広い斜面で、雪崩があったら、ひとたまりもない。どんどん展望が開けていく。ただ、今日はガスがかかっている。遠望は効かない。根子岳と四阿山もぼんやりしている。やがて浅間山の頭が見えだした。ところで、今、歩いているところは、後で分かったのだが、旧スキー場のゲレンデ跡らしい。古い地図には、リフトが近くに設置されている。ずっと、ゲレンデ跡を歩いて行ったことになる。

 自分は今、角間峠を経由せず、角間山に直登しようとしていると錯覚している。左に連なる尾根に鞍部のようなところが見え、あれが角間峠と勝手に解釈している。だったら、その峠の先に見えるはずの湯ノ丸山はどこ? ということになる。見えないわけはないのだが、どういうわけか、あまり気にもなっていなかった。あの山かなといった程度。おめでたいことに、「あの山」だとしたら、同じ尾根上にはなく、下から改めて登るような案配で、角間山に行った後に湯ノ丸山は無理だなと思ったりなんかしている。暑くて、頭から汗が垂れてきて、メガネを濡らす。今日は珍しくサングラスにしていた。

(ようやく稜線が見えてきた)

(2,098.6mピークから四阿山方面。手前のポカリとした山が角間山)

(湯ノ丸山方面)

(山頂標示と烏帽子岳)


 <急登に耐えきれず、林の中に逃げ込んでみたが、起伏が多くてかえって歩きづらい。そのまま行くしかない。目の前左側にピーク。もう少し。これが長かったが、何とか稜線に着いた。10時45分。ロープが張られ、雪が消えていた。角間山にはピークが2つあるんだ。こっちは北峰で向こうは南峰か。いい山だなぁ。ちょっと右に折れて北峰の岩場で休む。風が強い。角間峠への標示板が逆になっている。これも風のせいか。こういうのは危険だねぇ。北東に見えるあの山は鍋蓋山か。四阿山をバックにセルフで写真を撮ったりなんかして。しばらくすると、南峰に6人のグループが来た。マイナーな山とばかり思っていたけど。ちょっと本峰らしい南峰に行ってみるか。グループもこっちにやって来た。みんな、スノーシューを手にぶら下げている。ザックに結わえりゃいいのに。自転車の荷台用のゴムで十分なんだから。ご老体ばかりだな。お疲れで、生気のある顔付きは一人もいない。南峰に着くと同時に、随分と人が上がって来た。あっという間に20人。自分の後にこんなに来たのかよ。やはり、峠ルートは楽なんだな。しかし、すごい人気の山だねぇ。「ちょっと烏帽子岳に行ってみるかい」と、ダンナが女房に話している。おっ、すごい健脚。これから湯ノ丸山に行って、烏帽子岳かよ。しかし、この山頂、過去に見た記憶が有りだな。この近辺は、こんな似たような感じの山頂が多いんだな。風も強いし、そろそろ下山するか。その前に山名板でも写真を撮っておくか。「湯ノ丸山」と記されていた。目の錯覚か? 見直した。どういうこっちゃ。「そういえば」「そういえば」と、これまでの気にも留めなかった疑問が瞬時に氷解した。何食わぬ顔をして、1人で来ていた若いネエチャンに、どこから登って来たのか聞いてみた。ぜいぜいしながら、返って来た言葉は「スキー場の第一ゲレンデから」。そして、怪訝な顔で見返しされた。一昨年の夏、4人で来た時に歩いたルート。>

 「北峰」は隣の2,098.6mピーク。「鍋蓋山」ではなく「烏帽子岳」。「角間峠への表示板」も風なんぞで向きがひっくり返ってはいなかった。もし間違いに気付かなかったら、第一ゲレンデから車道を歩くはめになっていた。しかし、何てこった。過去にもこういうパターンはいくつもあったが、たいていは途中で気づき、引き返すか、そのまま行ったことはある。山頂に着くまで、それもしばらくバカな気分に浸っていたのには、我ながら感心する。今回のミス、個々の要因はいくらもあろうが、総じての結論は甘さということか。先日の備前楯山で実証したばかりなのに何も活かされていない。ちなみに、昭文社版以外に、昨日購入した25,000分の1地形図もコンパスも持っていた。広げることもなく、頭の中の地図だけで歩いていた。方向音痴がすべきことではない。たまたま天気が良くて幸いした。11時10分、げんなりしながら湯ノ丸山から下山する。

(湯ノ丸山下りから角間山)


 北峰ならぬ2,098.6mピークに戻る。さっきの6人グループがてんでに湯を沸かしている最中だ。通り道なのに邪魔。コッヘルを蹴飛ばしてやりたい衝動にかられた。コッヘルだけ移動してガスはそのまま。オレに火にあたって行けってか。目の前に正規の角間山と角間峠。標高こそ今よりも下だが、峠からの登り返しがきつそうだ。トレースも窪みもない。余計に慎重になる。ずっと視界に山と峠が入っているのだが、敢えて25,000分の1でコンパスを合わせて下る。ズボッといった。左の向こう脛を固い氷でしたたかに打った。スノーシューをまた履く。快適な下りになる。もう少しで峠。右下の林の中に、駐車場のカップルを発見。湯ノ丸山方面に向かっている。まさか、自分と同じ勘違いではないだろうな。いや違うな。時間的に、角間山はもう済みなんじゃないのか。ダンナがノロノロして、カミサンがじっと待っているスタイルの歩き。

(角間峠)


 12時、角間峠。コースタイムではここから角間山までは40分。雪山として1時間はみた方がいいだろう。あっさり、やめにした。体力も、精神的な疲労も大きい。また、湯ノ丸山から見た角間山は貧相にも見えた。魅力も感じなくなっていた。北の展望も、今日のような霞では良くはないだろう。いろいろと、断念する理由はあげてみた。角間山に向かう新しい靴跡があった。女性? さっきのカップルのか。

(東屋で休憩)


 ここからは、踏み跡が豊富だ。夏道と思われるルートを辿るのがやはり多いようだが、トラバース気味になっていて、このベタ雪では歩きづらい。やはり、踏み跡のないところを下った。東屋でしばらく休憩。長板に腰掛ける。気分がまったくすっきりしない。遠回りで湯ノ丸山に行ったと思えばいいだろうと、正当化しようとする己に、いや、今回のことは、根本的に別次元の問題だろうと反論する別の己。悩むことでもないのだが、やはり、別の己の立場が優位だろう。立て続けにタバコを吸ってしまった。

 今朝、一番で間違えた分岐に合流。ここから見る本当の角間山は貧相でもなく歩きがいのありそうな山(冒頭の写真)。いずれ、雪解け後に改めて来てみよう。やがて、鉄条網を乗り越える。雪が融ければ放牧場のようだ。そして、13時、駐車場。ボードを持った若い連中が7人くらい、旧スキー場に向かって行った。もう春なんだね。路面には雪がまったくなくなっている。

※写真に付記したコメントはすべて正解の方。

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2 コメント

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Unknown (ぶなじろう)
2010-03-21 19:48:15
山頂で勘違いに気付くとは!こんなこともあるんでねぇ!
無事でよかった。展望の良い地域なのでかえって間違えやすいんですかね。

稜線付近は雪が少ないですね。参考になりました。
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ぶなじろうさん (たそがれオヤジ)
2010-03-21 20:55:23
特例中の特例ですよ。あまりにもみっともなくて、多くを語りたくない。それが心境です。
本当なら、もっとあった、勘違いによるドタバタを書きたかったのですが、これ以上記すと、山に行く資格がなくなるレベルにまで落ちて自己嫌悪にもなりますので、この程度を記すことによって、偽の最低限のレベルにした次第です。昨夜はヤケ酒でした。
確かに雪は少ないです。もう、日増しに融ける一方ですね。ぶなじろうさんが目指す東北の雪も同じかと思いますよ。
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