たそがれオヤジのクタクタ山ある記

主に北関東の山を方向音痴で歩いています。山行計画の参考にされても責任は負いかねます。深慮せず軽く読み流してください。

天狗山~男山。連続する岩稜の歩きにうんざりする。

2014年11月17日 | 長野県の山
◎2014年11月15日(土)

馬越峠(7:00)……天狗山(7:47)……男山(9:13)……天狗山(10:39)……馬越峠(11:17)
※表示時刻は到着タイム。

 川上村での2日目。当初から<男山・天狗山>にするか<五郎山・天竺平>にするかで迷っていた。昭文社マップの解説本では、前者が上級、後者が初級となっている。もっとも後者の場合は五郎山だけの話ではある。何でレベルがこうも違うのか。いずれも岩稜帯の山ではあるが、前者の方がピーク2つゆえ、その分、岩場のエリアが広いからではないのか。それ以上のことはわからない。岩場だけならともかく、切り立っていたのではたまらない。
 高所恐怖症である。だから、西上州の山にはあまり行かない。ここで一旦は、五郎山に天竺平を加えて周回することに決めた。そのアクセスを考えて宿もとった。しかし、どうもぐらつく。男山・天狗山に決めたのは前夜である。五郎山は甲武信ヶ岳から直近で眺めたし、いずれまたの機会にしておこう。ただ、男山・天狗山にしても、あんぱんさんの記事を見たところ、あのルートは辿れず、さらに一人・車一台では馬越峠からの往復コースしかとりようがない。それは仕方がない。車道歩きは避けたいし、タクシーを使うのもためらわれる。

 宿に朝食を何時にするかと問われた。5時半でもいいそうだが、明るくなりかけるのは6時過ぎだし、6時にしてもらった。相変わらず外は寒く、風もある。車の窓には雪の結晶のようなものが無数にへばりついていた。八ヶ岳が見えた。真っ白だ。今日は、あれを見られるのが楽しみでもある。昨日は雪雲の中だった。
 馬越峠に向かう。峠越えのカーブの多い県道だ。「私有地につき入山禁止」ののぼり旗がやたらとひらめいている。あれか。登山道の標識が消滅したというやつ。昭文社マップや地形図に記されたルート、馬越峠のちょい西側から大深山に南下するルート、これは今は使えない。関係者に見つかったら何か言われるだろう。使わない方が無難。無用なトラブルは避けたい。

(登山口の石仏)

(まずは尾根を目指す)

(尾根に出る。とはいっても、左は馬越峠の法面で寸断されている)


 馬越峠に車はなかった。ここも昔からの峠道だったのか、石仏が2基置かれている。一つは首欠け。早速、登る。少し急ではあるが、まだ歩き出しだし、応えることはない。ただ、落ち葉が滑る。ここもまたすでに紅葉のかけらもなく、すでに冬枯れに近い風景になっている。
 尾根に乗った。天狗山とは別方向、尾根伝いに御陵山(おみはかやま)という山がある。この山にも興味があるが、今日はやめておこう(後で、この山を眺めた際、鉄塔と高圧線が目についた。行く気がしなくなった)。ここの尾根、それほどの幅広でもないが歩きやすい。尾根に出ると風が強くなった。

(おそらく、かつてはここに大深山方面への道標があったのだろう)

(天狗山が見えてきた)

(岩場登り。一つ二つ程度なら我慢もできるが…)


 下ってちょっとした鞍部。ここだな。入山禁止の登山道は。うっすらと踏み跡がある。辿ってみたが、その先不明のままに引き返した。登り返す。そろそろ岩場が出てきた。げんなり。右を見ると御座山。あの山に行ったのは遥か昔のこと。さて、御座山、御陵山、ともに「御」の字が付くけど、それなりの立場の御方に関わる山なのだろうか。
 続く岩場を登ったり巻いたりして行くと、正面に天狗山が見えてきた。台形型の山だ。もうこの辺になると、左側は岩壁の上なのか、下はスパッと切れている。自分には、こんなところが岩稜帯の山の嫌なところなのだ。岩場そのものは問題ないが、このスパッがどうしようもない。
 左右の景色を眺めながら登って行く。左下にゴルフ場も見えてくる。岩峰を見上げながらのゴルフというのはどんなものだろう。

(天狗山山頂)

(浅間山は隠れている)

(御座山)

(男山)


 天狗山に到着。新しい石祠が1基。かなり遠くに男山が見えている。男山はもしかして双耳峰? この先、えらく下って、登り返しになっているようだ。その後ろに見える八ヶ岳、雲にすっぽりと隠れてしまっている。期待していたのに残念。浅間山も隠れている。そういえば、ここまですんなりと着いたが、これは朝食の威力だろう。いつも朝食なんぞとらずに登って、バテては途中で食べる。これが今日はない。あの朝食のスタミナ、といってもたいしたものではなかったが、往復分持つだろうか。

(天狗山の岩壁)

(ロープ場)


 下る。記すまでもなく岩場の下りだ。尖っている岩もある。真っ直ぐに下って、山腹を巻きながら尾根に出るといった按配になっている。右に岩壁を眺め、離れながら下って行く。途中、ロープあり。
 そろそろ鞍部か。大深山遺跡の分岐があり、続いて南相木村の立原キャンプ場を指す標識があった。この立原キャンプ場に導く標識は、その後もいくつか出てくる。鞍部に到着(実は鞍部はこの先にもあった)。英語とハングルが併記された標識。男山、天狗山ともに、そんなにメジャー系の山なのだろうか。

(唯一、落ち着いて歩けるところだった)

(男山が近づく)


 緩い登り。自分には、ここから少しの区間が気分よく歩けた唯一の場所である。岩混じりから解放された。そして、また岩場になり、展望が良くなった。男山がぐんと近づき、天狗山が大分遠くなった。男山をよく見ると、双耳ではなく、手前が一つのピークになっているようだ。目の前にもピークがあるから、都合2つのピーク越えかと思っていたら、一つ越えると、隠れたのがもう一つあった。

(反り返った岩)

(最後の手前ピークは巻く)


 反り返った岩が出てくる。別にこんなところは通過することはないのだが、こんなのが、自分には威圧感だ。最初のピークは越え、後は巻き。しかし、こんなのがグズグズと続くのは嫌だねえ。

(男山山頂。八ヶ岳は裾野しか見えない。雲が黒くなっている)

(天狗山)

(富士山。その左は瑞牆山)


 ラストの鞍部に着いた。標識には「男山0.6km」とあるが、これに「すぐそこ 0.06km」と書き加えられている。そういえば、これ、ネット記事で読んだ記憶がある。手書きが正解。
 風が強烈に冷たい山頂だ。正面の八ヶ岳の雲は黒くなっている。相当に荒れているんじゃないのか。山名標識が倒れていたので立てたが、すぐにクルリと反転した。周囲を眺めた。昨日の甲武信ヶ岳からの風景とほぼ同じだが、場所的に金峰山と瑞牆山がよく見える。富士山も見えている。天狗山からは見えなかった。寒くて長居ができない。タバコに火が点かない。下山。
 来た道を下るのかと、考えただけでうんざりする。ことに、天狗への登りはきついんじゃないか。このまま信濃川上駅に下ってタクシー戻りも考えた。だがなぁ、4,5千円はかかるだろう。どっちを取るかと問われれば、自分の足だろうな。考えてみれば、一人でも、峠にチャリデポし、川上駅に車を置いて歩けば、何ら問題はないわけだ。

(せり出した岩。天狗の頭も見える)


 さっきから人の声が聞こえていたが、コブを3つほど越えたところで、ハイカーがやって来た。ばらけていたが、オッサンの5人グループか。鞍部に近づき、ようやくタバコを吸う。その間、風にあおられ、帽子を2,3回脱いではザックに括り付けていた。
 天狗山の岩壁下に到着。オッソロシイといった感じではあったが、気分的にえらく時間がかかったと思ったのは下り時だけで、この登り返し部分は体験済みのためか、意外にあっさりと歩ける。山頂直下でグループがゾロゾロ下りて来た。聞けば23人だそうな。リーダーの方が、先に行かせてくれたので、こっちは待たせちゃ悪いと早足で登ってしまった。そのため、天狗の山頂に着いた時には息切れしていた。
 山頂ではオッサンがセルフ撮影をしていた。山梨からいらしたらしい。甲斐駒も冠雪していたとか。このオッサン、例の入山禁止ルートから入ったそうだ。柵を乗り越えたとか、分かりづらかったとおっしゃっていた。

(これが最後かと思う)

(駐車場)


 ラストの下り。岩がしばらく続いてのんびり下りとはならない。ラストまで気が休まらない。
 駐車場には他の車が2台。いずれも東北のナンバーだ。あの5人組だろうが、車が2台もあって、ここに引き返すのだろうか。だとすれば、よく研究しなかった口だねぇ。
 今日も身体が冷えてしまった。結局、宿の朝食だけで何とか持ってくれた。

 峠を越えて、南相木村に入る。「滝見の湯」という日帰り温泉があった。450円。ここで言う「滝見」とは、すぐ隣に「犬ころの滝」というのがあるのだが、「犬ころ」のいわれがわからない。「犬っころ」なのか「犬がころころ落ちる」なのか。
 風呂から上がり、650円の醤油ラーメンを食べて帰路につく。こういうところの食事というのは味気なく、期待する方がおかしいのだが、ラーメンもその口であった。

(本日の軌跡)

「この地図の作成に当たっては、国土地理院長の承認を得て、同院発行の数値地図200000(地図画像)、数値地図25000(地図画像)、数値地図25000(地名・公共施設)、数値地図250mメッシュ(標高)、数値地図50mメッシュ(標高)及び基盤地図情報を使用した。(承認番号 平24情使、 第921号)」

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8 コメント

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それにしても・・・ (瀑泉)
2014-11-17 22:41:53
相変わらず,記事の作成がお早いですネ(驚)。
まぁ,それはさておき,甲武信ヶ岳と天狗山・男山の遠征,お疲れ様でした!
ところで甲武信ヶ岳,標高2400mを越えるのに,この時季,まだ雪が無かったんですネ。いかんせん,馴染みの無い山域ゆえ,まだ雪が無いことに,驚いてしまいましたが。それと,どうしてもこの山は山小屋で一泊のイメージが強いのですが,こういうルート取りもあるんですネ。このルートなら,でんさんの歩いた日帰り周回より,多少,短めですかネ。何時になるかは判りませんが,参考にさせていただきますヨ。
それと天狗岳に男山,むしろこういう岩山の方が,お好みのような気がしますが(笑)。
ところで,五郎山を旺文社マップの最新版で見ると,山頂付近は破線道となっていて,中級に格上げされているようですヨ。
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瀑泉さん (たそがれオヤジ)
2014-11-18 06:01:05
瀑泉さん、こんにちは。
甲武信ヶ岳、私の歩いたルートよりも、でんさんルートが歩きがいはあるでしょう。私の場合は、奥秩父の主脈をちょこっと歩いただけですし。展望もまた、それなりのものです。
あちら方面、日帰りは十分に可能ですが、アクセス的に遠いところですから、前夜車中泊か相当に早い時間に家を出ないと厳しいでしょうね。
奥秩父の積雪はまだですが、八ヶ岳が雪ですから、そろそろ降雪があるでしょう。月末あたりではないでしょうか。あんな冷たい風も吹き荒れていましたから。
五郎山は中級に格上げですか。2001年度版は初級ですが、地図は破線のままです。あそこも、山頂付近の岩稜が厳しいのでしょうね。
私、ガレとかザレ系は平気なのですが、高度感のある岩場は苦手ですね。気分的に平気を装っても、股間はすくんでしまいますよ。
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Unknown (でん)
2014-11-18 12:58:41
男山はユニークな形をしているので甲武信ヶ岳からもすぐにわかりますね。
チャートの岩稜でまるで大小山の山頂みたいです(笑)
15日はあちこちで降雪があったようです。
天気予報でわかっていたのでまたしても沼田へのりんごの買出しにしてしまいました。
川場から北は雪雲の中でしたよ。
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でんさん (たそがれオヤジ)
2014-11-18 13:11:08
でんさん、こんにちは。
引き続きありがとうございます。
確かに甲武信ヶ岳からは遠望にはなりますが、はっきりと識別できる山ですね。
天狗山については、東西から眺めたのでいいのですが、男山については東側からだけでしたので、今度は八ヶ岳の方から意識して眺めてみたいと思いました。
大小山の山頂ですか。そう言われれば共通したところはありますね。
土曜日はこちらの天気もそんな感じでしたか。
でんさんにしてみれば、沼田のりんごが正解かもしれませんね。
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天狗、男山 (あんぱん)
2014-11-19 21:51:42
こんばんは、たそがれオヤジさん。
甲武信だけかと思っていましたが、男山、天狗山へも行かれたんですね。毛木平からの周回コースはテントを担いで、一泊で一度訪れたことがあります。確か5月下旬ごろの石楠花が咲く頃でした。その時は十文字小屋の周りは石楠花がたくさん咲いていたのを思い出します。天狗山のあの入山禁止のルートの下山口には「天狗山」を示す案内板がありました。入山禁止を登って来るとその表示が確認できるようになっているようです。
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あんぱんさん (たそがれオヤジ)
2014-11-20 06:01:52
あんぱんさん、こんにちは。
今回の男山は、あんぱんさんの記事をかなり参考にさせていただきました。五郎山といずれにするか迷いはしたものの、あんぱんさんの記事で男山のルートを知っていたがために、そちらを選択したというところもあります。
あんぱんさんの記事には、岩場のことは何も記されていないようですが、つまりは、さらっと歩かれたということでしょうか、私には信じがたいことですね。心の中で大騒ぎとぼやきながらの歩きでした。
入山禁止ルート、下には案内板もあったのですか。ですが、ちょっと下ってみた際、踏み跡はまったく感じませんでしたね。鞍部の枝にテープが巻かれているだけでした。その先も、下れたとして、テープがなければわからないでしょうね。
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天狗と男 (みー猫)
2014-11-20 22:27:03
こんばんわ。
名にふさわしい尾根でしょうか。瑞牆山を訪れた際に車道を通過しましたが、たそがれさんが嫌がるような岩場だと気安く近づけそうにないですね。甲武信ヶ岳も未踏なので、よく調べて訪問してみたいと思います。距離的に八ヶ岳が見えてたらさぞ圧巻だったでしょう。お疲れ様でした。
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みー猫さん (たそがれオヤジ)
2014-11-21 05:57:09
みー猫さん、こんにちは。
私のレベルでの岩場嫌悪感はあまりあてにはならないでしょう。高度感のない岩場なら何ともないですから。
ここは、高度感がありましたから、そんなところは大の苦手といったところなのですよ。
こういうところが平気な方がほとんどではないでしょうか。私には高所恐怖症も加わっていますしね。
男山は真ん前に八ヶ岳です。裾野から見渡せます。これから真っ白になるような季節は圧巻の眺めではないでしょうか。
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