フルート吹きの物思い

趣味のフルートと、それに関わるもろもろのこと。

17.0mmの不安

2006-04-27 | フルート本体
フルートを少し長くやっているひとだったら、17mmといえばすぐにわかる。
頭部管の反射板の位置のこと。
掃除棒のガーゼを差し込むのとは反対側にある17mmゲージを使って、時々反射板の位置を確認するのがフルート吹きとしてのたしなみ。

昨日、ある石ころを頭部管の中にいれると音が良くなるなんていううさん臭い話を書いたのだけれど、これをしょっちゅうやるとその17mmの位置がずれる可能性がある。反射板の位置を決めているヘッドスクリューを触らなくてはならないからである。

ところが、この17mm合わせがやっかい。

掃除棒のゲージを頭部管に突っ込んで、掃除棒に刻まれている17mmのマークが唄口の穴の中心にきているかを確認するのだけれど、これがなんともわかりずらい。

まずゲージ部分が、刻まれている溝の真ん中なのか縁の部分で見ればいいのか、よくわからないものもある。低価格な楽器についている細い金属の掃除棒では、斜めに差し込めてしまうので余計に話がややこしい。

しかも、見る角度とか、掃除棒の差し込み方とかそんな不安定な要素が多くて、見る角度、見る人、気分、照明条件、体調等によってかなりずれてしまう。
アナログの体重計を斜めから数字を読もうとする、といえば分かりやすいかな。

リペアの時、お店の人が合わせてくれる17mm(おそらくこちらが正しい)と、自分がこうと思う位置がどうしても合わなくて、見方を教えてもらったことがある。

それは、頭部管を反対側にして(胴部管側を左手側に持つ)見ると良いと言うこと。確かに、通常の位置で見るのと、反対にしてみるのではやはり微妙に位置が変わって見える。
これはこれで困ったことだ。

こんなことでは、世の中にはこの17mmにヒステリックになってしまった人も何人かはいることだろう。なんといったって、この位置がずれると「音程のバランスが崩れたり、音色が悪くなる」のだから、アマチュアとはいえフルートエンスージアスト(熱中している人)にとっては死活問題である。

しかもこの17mm。教科書にはそう書いてあるものの、世の中では普遍なものではないらしい。
管楽器のダクのホームページを見るところ、17.0、17.3、17.4mmなど、メーカーや年代によって「推奨位置」がいろいろ違うようだ。
不幸にしてそのホームページに紹介されていない楽器を所持していた場合、自分はいったいどの数値に合わせればわからず不安のどん底に落とされることになる。

数値があったとしても、まだ安心できない。

例えば私のように、アキヤマの頭部管(ダク曰く、推奨17.3mm)をサンキョー(ダク曰く、推奨17.0mm)の楽器に差し込んで使う場合。どちらかに合わせるべきなのか、中間を取るのか???

楽器屋さんの店員さん、リペアさんでさえ、そんなエンスーな数字をいちいち根拠を持って知っている人なんてほとんどいないのだ。仮に若いお姉ちゃん店員が教えてくれたとしても、それが正しいという保証は全くないのだ。


少し話は変わるが、私がハン○ッヒのピッコロを買ったとき、こんな話を聞いた。

ハン○ッヒの楽器は、一つ一つ、最適な位置に反射板位置が調整されて出荷されているのだという。
店員さんとしては、それほど綿密に品質管理されているのだということを言いたかったのだろう。

私は、聞いてみた。
では、その最適位置は何かに記録が残されているのか、私はそれを知ることができるのか。

答えはNo。

では、リペアで反射板をさわったとき、どうやって反射板の位置を戻すのか?
店員さん ・・・・・・・・・・・・・・

精神衛生上とても悪そうなので、それ以上聞くのはやめておいた。

今は、ピッコロをいつも調整してもらっているリペア屋さんがハン○ッヒについて詳しい感じなので、お任せである(普通の8.5mmより、長めらしい)。
一応念のため、自分の掃除棒にマジックでハン○ッヒの位置を書いてもらった。
とても精神衛生に良く効くおまじないである。


そこで現在のところの結論。

理想:
自分の聴感で最適位置を判断する。
特にプロフェッショナルなピッコロ吹きはこういうことをするらしい。たぶん、ハン○ッヒの最適位置調整方法も(本当に調整しているなら)これ。
私の場合、それを試すこと自体が神を冒涜する行為であるということを、試してみたらわかった。

現実:
リペアさんに合わせてもらったり自分が合わせて、ここのはずと決めたら以後、神の領域と思い一切関知しない。
もしリペアさんに反射板ずれてましたよーと言われても、昨日と今日で推奨位置が変わったんだな、神様も気紛れだなぁぐらいに考え、くよくよしない。

これがベスト。