ヤマダの手抜きエンパナダ・ガジェガ
先のブログ「ふんだり蹴ったり」で災難を書きました。家の修繕にペンキ屋が二人で来ました。半日かかりで天井、壁を削り、凸凹をパテで埋め、白く塗り、2階だけ新居のようになりました。仕事が速かったのは猛暑のお陰で、すぐに乾きました。彼らに「暑い中ご苦労様でした」チップに5ユーロ(700円くらい)あげました。次の日に床のフローリングを直しに床板職人が、やはり二人で来ました。2日かかりましたが、チップは5ユーロ渡しました。その数日後に玄関の天井板を塗りに、ニス職人が来ました。一人でしたが5ユーロあげました(そうそう、災害の初日にきた屋根職人二人にも5ユーロあげていました)。
フローリングも板の天井も最後の仕上げに塗るニスの臭いはかなりキツイので、窓を一日中開けておいたので家の中は「250度のオーブン状態」のようになりました。乾燥しているマドリードで猛暑を避けるには、昼間はブラインドを降ろし窓も閉めます。熱射をカットして熱風も入れずに家の中を暗くすれば、かなり涼しくなります。でも、乾かすためと、臭いで窓を開けざるを得なかったので、夜まで熱気がこもってしまった。毎晩28度くらいあったので、もうアジの干物でした。職人たちは真昼の猛暑を避けるために、朝早くから来たので僕は寝不足になりました。おまけに別の災難の交通事故で、車の保険会社からの電話での書類チェックで絵の制作が何回も中断しました。
交通事故の方は僅かながらでも治療費がでて、車の修理も僕の申告が100%OKで、年内有効の修理代支払い書が届きました。それにしても、車のキズの下見やチェックどころか見積もりにも来ず、いきなり、これを持って修理工場で全てを修理して下さい、です。太っ腹なスペインの保険会社です。治療費は美味しいワインにまわしました。やっと一段落したころ、ゴミ箱が消えました。ゴミ箱の行方不明なんてブログに書く程の出来事じゃないのですが、丁度いい機会なので、マドリードのゴミ事情にちょっとふれます。
ゴミ処理は市の仕事です。なので、同じマドリード州内でもそれぞれの市で回収規則や処理の仕方が違います。マドリード市のゴミの分類は①生ごみ、②プラスチック容器、③ガラス瓶、④ダンボール、紙の4種類です。プラスチック容器を洗って出すスペイン人は、まず居ません。ヨーロッパではドイツが市町村を問わずに厳しいようですが、スペインはあま~いです。マンションやアパートの住民は寝る前にドアの前にポリ袋を出しておけば、管理人が回収したポリ袋をまとめた「集合住宅用のゴミ箱」を翌朝道路に出します。なので、都心でのゴミ回収トラックは交通渋滞を避けるために、早朝か深夜に街を走ります。
日本のように、深夜のゴミ回収車の音がうるさい!の文句をスペイン人は言いません。管理人を置いていないマンションの住民は、路上に置いてある巨大ゴミ箱に好きな時間に自分で放り込みます。③④以外はポリ袋入れを“一応”義務付けられています。僕の家のような個人宅は、市が①②用の個人宅サイズのゴミ箱(90x40センチくらい)を二つ各家庭に無料提供します(住民税はそれなりに割高)。③④は路上の巨大ゴミ箱に捨てます。①はタパ・ナランハ(Tapa Naranja/オレンジの蓋)と呼ばれ、②はアマリージョ(Amarillo/黄色のゴミ箱)と呼んでます。
右がタパ・ナランハ、左がアマリージョのゴミ箱
回収は①が毎日、②は月、水、金ですが、我が家は①も②も週に一回出す程度のゴミの量です。僕が一番出すのは③のワインびんです。その①、生ごみ用ゴミ箱が門の前から無くなりました。ゴミ箱にはそれぞれの番地-10とか20とか-が大文字で書いてあります。この40度の猛暑で隣人の誰かが間違えて持っていったのなら、翌日には出てきます。盗んでもなんの価値もないので、盗難はありえません。考えられるのは、ゴミ回収車が箱ごと飲み込んでしまったか、箱が壊れたか、です。
3日待っても現れなかったので、市役所に電話をしました。住民税の支払い書確認などもなく、ハイ、分かりました。あなたのクレーム番号〇〇を控えて下さい。近日中に新しいゴミ箱を届けますが、届かなかったら電話を下さい、とあっさりと終わりました。翌日の朝、ジョギングから戻ったら門の前に新品のゴミ箱が置いてありました。スペインでは考えられないスピードです。玄関に用意しておいたチップは僕のワイン代となりました。
スペインでは①の生ゴミを焼却する州もありますが、マドリード州は埋めます。土地は余っています。②③④はリサイクル工場へ行きます。上記の4種類以外のゴミはどうするか-例えば、パソコン、切り倒した庭の木、ソファーなど-はその都度市役所に相談します。市役所が引取りに応じてくれなかった代物でも、門の前に放置しておけば、誰かが必ず持って行ってくれます。それでも不人気の代物は、最終手段でカネを払ってジプシーに引き取りに来てもらいます。そうです、あの、フラメンコも踊るジプシーです。なにしろ、彼らは廃品回収のプロです。無価値のものでも、カネさえ払えば何でも持って行ってくれます。
イワシのトマト味を詰めたエンパナダは白ワインが、手前のチョリッソを詰めると赤ワインがすすみます。
くだらない話のブログとなりました。40度の酷暑続きで、脳みそが沸騰していると思って下さい。家にクーラーがないので、夜眠れないので制作が進みません。気晴らしに、ガリシア地方(スペイン北西部、ポルトガルの上)の名物パイのエンパナダ・ガジェガ(Empanada gallega)をつくりました。本物は小麦粉に卵やバター、ラドーを混ぜての生地つくりが難しいのですが、何しろ、40度の猛暑なので、手抜きです。パイはピザ用の粉でつくりました。
朝食の後、ピザ粉をこねました。僕は水よりもオリーブオイル多めでこねます。ジョギングから戻ったら塩梅良く膨れていました。にんにく、玉ネギを炒め、トマトを加えてドロドロにします。それに、缶詰のイワシを加えて軽く潰し、具をつくります。僕は塩分控えめなので、白コショウで味付けます。バルのタパスやスーパーで売ってるエンパナダ・ガジェガは塩が濃いので日持ちはしますが、高血圧の人はぶっ倒れます。具はツナでもチョリッソ(豚の腸詰め)でも、トマト味にすればOKです。丸めたピザ生地を2つの塊に分けて、ピザのように2枚のパイ皿をつくります。一枚に具を広げ、もう一枚で蓋をします。サイドを折り曲げて、210度のオーブンで15分焼けば出来上がりです。ガリシア人は卵の黄身を刷毛で塗りますが、見た目よりも白ワインにあえばいいので、カットです。これを一晩寝かして、パイ生地に具が染み込んだのが旨い!です。
今日のピストはトマトだらけになりました。
トマトが余ったので、ついでにピストもつくりました。僕は、トミージォ(tomillo/タイム)が一杯のピストが好きです。日本人は教会の香りがして辛気臭いとトミージォを嫌いますが、40度の猛暑にはいい香りです。バルやレストランではなく、自分だけで食べるなら、自分の好みに作るが至福です。作り方は前のブログ(夏のトマト)に書いたように、簡単です。ついでに手羽の唐揚げもつくりました。
醤油味の手羽揚げ
しつこいようですが、40度の猛暑です、ビールの量が半端ではありません。ビールの友はフライです。バルの手羽フライも良いのですが、自分で作るならスペイン・バルの味にはない、和風の醤油味です。手羽をバラして切れ目を入れ、塩、砂糖、醤油、日本酒に2時間漬けます(これもジョギングから戻るといい味が染みこんでます)。片栗粉(スペイン・バルは小麦粉)をまぶして、180度で揚げれば、もうヨコハマ港のビヤガーデンの手羽揚げです。制作の合間のささやかな楽しみです。
猛暑40度のビールの友です。
ビールで腹がチャポチャポだけれど、まだ喉が乾いてる時はティント・デ・ベラノ(tinto de verano)です。ワイン通が聞いたらひっくり返る飲み物で、赤ワインのソーダ割りです。氷を山ほど入れるので、ワインが非常に下品な味になります。どのくらい下品か?と言うと、かき氷に赤玉ポートワイン(爺さんたちには分かる)をぶっかけたを味をご想像下さい。僕はラ・マンチャ・ワインでつくるので、40度の猛暑(しつこいね)にはピッタリです。
猛ビールに飽きたら、ティント・デ・ベラノです。