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『動くな、死ね、甦れ!』~ヴィターリー・カネフスキー特集上映☆鑑賞

2009-11-20 23:59:18 | 映画~映画館鑑賞
渋谷・ユーロスペースにて、鑑賞  

動くな、死ね、甦れ!』~ヴィターリー・カネフスキー特集上映

【1989年/ソビエト/モノクロ/105分 】


(あらすじ)

「よーい、スタート!」という監督の声から映画は始まる。

1947年、極東・ソビエトの収容所地帯と化した小さな炭鉱町。
12歳の少年・ワレルカ(パーヴェル・ナザーロフ)は、母親・ニーナ(エレーナ・ポポワ)と二人暮らし、
同い年の少女・ガリーヤ(ディナーラ・ドルカーロワ)は、両親とバラックに住んでいた。

ワレルカは、広場でお茶を売り買ったスケート靴を強奪されるが、ガリーヤと二人で取り返す。
ガリーヤは、彼の守護天使の様にいつも見守っていた。
ある日、ワレルカは学校のトイレへ悪戯をし、それがバレて退学となる。
母は、愛人との逢瀬に夢中である。
そんな中、ワレルカは、以前、殴られた機関士に仕返しする為に汽車の線路の連結をほんの悪戯心から変えてしまう。
その結果、汽車は、轟音を立てて脱線してしまう。
刑事が犯人捜しをする中、ワレルカは町から逃亡し、ウラジオストックの強盗団の一味に加わるが…

無垢な少年少女の行き場の無い感情の行方を、強烈に叙情的に描いている。

90年度、カンヌ国際映画祭・カメラ・ドール賞を受賞した作品。


映画から、とてつもない"閉塞感"が漂い見ていて息が苦しくなるほどだった。

主人公は、収容所に抑留されている日本人捕虜との交流もあり、
冒頭から流れてくる「よさこい節」、途中で流れる「炭坑節」や「黒田節」、「五木の子守唄」や童謡など、
抑留され戦争が終わっても異国から出られない日本兵と、小さな町の小さな世界で暮らす主人公~
そこに漂う絶望感が伝わってきて、ほんと苦しかった。


ワレルカは悪戯ばかりでまだまだ子供だが、ガリーヤは聡明でワレルカをいつも助けている。



そんなワレルカの守護天使の様なガリーヤに、襲う悲劇。


ロシア映画というかソビエト映画や、他の旧共産圏の国で作られた古い映画は、
不条理極まりないパターンの映画が多い気がする(苦笑)
共産主義という、日本に住んでいると未体験である思想に基づいた暮らしへの衝撃。
この作品を撮った監督は、無実の罪で8年間投獄されていた経験があるという事だが、
隋所に、反体制的なシーンも有った気がした  

私が、ソビエト映画や東欧の国々の、思いっきりベルリンの壁が崩壊する前の映画が好きなのは、簡単に言うと上記のこの辺り  
日本に住んでいる私には、衝撃の数々  


少年少女に漂う危うさ、余裕の無さから来る悪意、諦念に近い夢の無い暮らし、
映像からそのまま伝わる緊張感(ドキュメンタリーっぽいからか)で、本当に苦しく、
また、随所に入ってくる"狂気のシーン"も衝撃であった。


この映画は三部作となっており、『ひとりで生きる』『ぼくら、20世紀の子供たち』(ドキュメンタリー)と続く 
最初は、『動くな、死ね、甦れ!』のみ見る予定だったが、そのまま、『ひとりで生きる』も続けて見た  

その感想は、また今度   追記 『ひとりで生きる』感想


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