まきた@VetEpi

酪農学園大学をベースに、発展途上国と日本の獣医疫学に取り組む獣医師のブログです。

それぞれいいところがある。

2006-06-24 00:56:19 | 異文化
6月23日(金)。

今日、ようやくウガンダのマケレレ大学より、インターネットを使える環境になりました。昨日までは、断続的な停電で、学部内のアクセスポイントが使えなくなっていました(書いている途中にまた停電になり、土曜日になって書いてます)。

さて、今回ウガンダへ来て一番感じていたこと。それは、全ての国は違った性格を持っていて、それぞれいいところがあるのだろうなということ。

こちらに来る直前、家族と友人たちで、エディンバラのトルコ料理屋へ行ったのですが、そこは、内装、店主、料理と3つ揃って良い店でした。
しかも音楽がまた良くて、アジアと中東の雰囲気がミックスしたような曲に聴き惚れ、
「やっぱりアフリカより、繊細な文化圏がいいなあ・・・。」
としみじみ感じました。

イギリスに来てから、以外にも自分の中で中心となってきたのは、日本人としてのアイデンティティー探しでした。イギリスと比較してよい、悪い、という見方に始まり、空手を始め、最近は、特に仏教について調べ始めました。仏教についても、少しずつ分かってきています。

やはり今回ウガンダに来る直前、空手部のTシャツを着て大学の研究室の廊下を歩いていると、センター長である教授に呼び止められ、日本の文化の話になりました。
僕が自国の武道である空手を学んでいることに触発された彼は、次に突然俳句について質問してきました。イギリスのエリートというのは、本当によく世界の歴史、文化を知っているものです。特に、自国に長い歴史と文化を持つイギリスは、同様に歴史と文化を誇る日本に興味があるようです。

お互いあまり時間がない状況だったので、二言三言交わして別れましたが、俳句や短歌をあまり知らない僕は、正直助かったと思いました。俳句、短歌を詠むのはあまり経験がありませんが、読んで味わうのはもともと好きなほうです。また俳句、短歌へと興味を伸ばしてみたくなりました。日本には、多くの文化、芸術などがあるし、国土も美しく、本当にいい国ですね。

さて、そしてウガンダ。ああ、またハードな日々が始まるなあ、と飛行機から空港に降り立った後、ドライバーと再会。お互いの顔を左右に入れ変えながら、両腕でしっかりと抱き合って背中を叩き合う、ウガンダの再会の挨拶をすると、「帰ってきたなあ」と感じました。すっかり自分が住む国の一つになっていました。

うるさいという印象だった音楽も、明るくて爽やかなものに感じます。前回も仕事した、国立ムラゴ病院の診療記録部を訪れると、みんな驚いて、「お帰りー!」と口々に挨拶してくれました。みんなの冗談で、あんなに笑ったのも久しぶりでした。優しくて、明るくて、とてもいい国です。食事も、安くて美味しい。

最近停電が本当に多いけれど、ラジオやステレオの音がなくなって、ろうそくの明かりで過ごす静かな時間が、僕は大好きなのです。ネパールの山の中での2年間を思い出します。灯油のストーヴで食事を作り、ろうそくの明かりで本を読む。しばらくして眠くなると、早い時間でもろうそくを消して、蚊帳の中にもぐりこみ、ベッドで寝てしまう。とてもいいものです。

この世界に、魅力のない国なんてない、と思えます。たしかに戦火の中にいたり、言論の自由がなかったり、独裁者のために飢餓に苦しんでいたり、大変な国は少なくない。どうにか良い状況にならないものか、と歯がゆい思いをする毎日です。

しかし、今回のウガンダへの想いから、国というのは、人もそうだけれど、優劣を比較するという見方は捨てて、違った良さを見つけるべきだと、あらためて思いました。